3 / 3
後編
しおりを挟む
「え?修道院?なぜ、そうなるんだ?とにかく屋敷に戻ろう」
すっかり顔を青ざめたルナはおとなしく馬車に乗った。
「ルナ、お茶でも飲みながら少しここで待っていて」
ベンジャミンはルナを居間に座らせると、メイドに温かい紅茶を持ってくるように伝えた。
しばらくすると、ルナが会いたくてたまらなかった黒髪の貴公子が現れた。
ルナの前で膝をついた貴公子はルナの手の甲にキスした。
「私だよ、ルナ。君の夫のベンジャミンだ」
ルナはあまりのことに声が出ない。そう言われてみれば、背格好も似ていた。けれど、こんなに印象が違うものなのかとルナは首を傾げていた。
「私が振られた理由が私を好きだからなら、許してあげるよ。だって、離婚理由がまぎらわしくて王もこんがらがるだろう?この黒髪と黒い目がお気に入りなら、これからはずっとこれでいてもかまわないよ」
「え?許してくれるの?だったら、お願い!その姿に月に一度はなって仮面舞踏会で私とデートしてもらえない?」
遠慮がちに、かわいくおねだりする妻にベンジャミンは満足げに笑った。
「いいとも。可愛い妻のためならたやすいことだ」
☆
「ねぇ、貴方、早く登っていらして!!」
「あぁ、君は猿みたいだ。木登りが上手すぎるよ。さぁ、リンゴだ」
「ふふっ、ありがとう。あらすごく大きなリンゴね!これなら二人でかじれるわ」
ルナとイライジャは二人で並んで仲よくリンゴを両端からかじっていく。
イライジャはルナに捧げる詩を朗読してルナは拍手喝采した。
「素敵な詩ね。とても素晴らしいわ!貴方は天才よ」
リンゴの芯が木の下に落とされて、二人がキスする音だけが響いていた。
☆
黒髪の美男美女は仮面舞踏会にいつも現れるようになった。
腕を絡ませて上気した頬をピンクに染めて微笑む美女は、このうえなく幸せそうに見えた。
すっかり顔を青ざめたルナはおとなしく馬車に乗った。
「ルナ、お茶でも飲みながら少しここで待っていて」
ベンジャミンはルナを居間に座らせると、メイドに温かい紅茶を持ってくるように伝えた。
しばらくすると、ルナが会いたくてたまらなかった黒髪の貴公子が現れた。
ルナの前で膝をついた貴公子はルナの手の甲にキスした。
「私だよ、ルナ。君の夫のベンジャミンだ」
ルナはあまりのことに声が出ない。そう言われてみれば、背格好も似ていた。けれど、こんなに印象が違うものなのかとルナは首を傾げていた。
「私が振られた理由が私を好きだからなら、許してあげるよ。だって、離婚理由がまぎらわしくて王もこんがらがるだろう?この黒髪と黒い目がお気に入りなら、これからはずっとこれでいてもかまわないよ」
「え?許してくれるの?だったら、お願い!その姿に月に一度はなって仮面舞踏会で私とデートしてもらえない?」
遠慮がちに、かわいくおねだりする妻にベンジャミンは満足げに笑った。
「いいとも。可愛い妻のためならたやすいことだ」
☆
「ねぇ、貴方、早く登っていらして!!」
「あぁ、君は猿みたいだ。木登りが上手すぎるよ。さぁ、リンゴだ」
「ふふっ、ありがとう。あらすごく大きなリンゴね!これなら二人でかじれるわ」
ルナとイライジャは二人で並んで仲よくリンゴを両端からかじっていく。
イライジャはルナに捧げる詩を朗読してルナは拍手喝采した。
「素敵な詩ね。とても素晴らしいわ!貴方は天才よ」
リンゴの芯が木の下に落とされて、二人がキスする音だけが響いていた。
☆
黒髪の美男美女は仮面舞踏会にいつも現れるようになった。
腕を絡ませて上気した頬をピンクに染めて微笑む美女は、このうえなく幸せそうに見えた。
4
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
ぱんだ
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
親愛なるあなたに、悪意を込めて!
にゃみ3
恋愛
「悪いが、僕は君のことを愛していないんだ」
結婚式の夜、私の夫となった人。アスタリア帝国第一皇子ルイス・ド・アスタリアはそう告げた。
ルイスは皇后の直々の息子ではなく側室の息子だった。
継承争いのことから皇后から命を狙われており、十日後には戦地へと送られる。
生きて帰ってこれるかどうかも分からない。そんな男に愛されても、迷惑な話よ。
戦地へと向かった夫を想い涙を流すわけでもなく。私は皇宮暮らしを楽しませていただいていた。
ある日、使用人の一人が戦地に居る夫に手紙を出せと言ってきた。
彼に手紙を送ったところで、私を愛していない夫はきっとこの手紙を読むことは無いだろう。
そう思い、普段の不満を詰め込んだ手紙。悪意を込めて、書きだしてみた。
それがまさか、彼から手紙が返ってくるなんて⋯。
今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。
reva
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。
特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。
けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。
彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下!
「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。
私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。
地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます
久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」
大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。
彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。
しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。
失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。
彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。
「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。
蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。
地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。
そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。
これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。
数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
公開はしなくて大丈夫です。
青空さんの作品が面白くて、過去作を色々短編から時間を見つけては読み進めています。
ところで、かなり前の作品なので今更でしょうし、スルーされてもかまいません。
イライジャの名前が、後編でだけ何ヶ所かベンジャミンになっているようです。いきなりベンジャミンと言い出して、誰だ?となりました。仮面舞踏会の時の偽名として用意してた名前ですかね?
名前を名乗ってはいなかったようで、主人公からは黒髪の貴公子としか呼ばれてませんでしたが。
どうにも気になったので、今更の報告させていただきました。
退会済ユーザのコメントです
maro様
ありがとうございますぅー😊💓
ほっこりしていただき私も嬉しいです😆