王女様は夫のイケメン公爵様に二度恋をする

青空一夏

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後編

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「え?修道院?なぜ、そうなるんだ?とにかく屋敷に戻ろう」
すっかり顔を青ざめたルナはおとなしく馬車に乗った。

「ルナ、お茶でも飲みながら少しここで待っていて」
ベンジャミンはルナを居間に座らせると、メイドに温かい紅茶を持ってくるように伝えた。

しばらくすると、ルナが会いたくてたまらなかった黒髪の貴公子が現れた。

ルナの前で膝をついた貴公子はルナの手の甲にキスした。
「私だよ、ルナ。君の夫のベンジャミンだ」

ルナはあまりのことに声が出ない。そう言われてみれば、背格好も似ていた。けれど、こんなに印象が違うものなのかとルナは首を傾げていた。

「私が振られた理由が私を好きだからなら、許してあげるよ。だって、離婚理由がまぎらわしくて王もこんがらがるだろう?この黒髪と黒い目がお気に入りなら、これからはずっとこれでいてもかまわないよ」

「え?許してくれるの?だったら、お願い!その姿に月に一度はなって仮面舞踏会で私とデートしてもらえない?」
遠慮がちに、かわいくおねだりする妻にベンジャミンは満足げに笑った。

「いいとも。可愛い妻のためならたやすいことだ」





「ねぇ、貴方、早く登っていらして!!」

「あぁ、君は猿みたいだ。木登りが上手すぎるよ。さぁ、リンゴだ」

「ふふっ、ありがとう。あらすごく大きなリンゴね!これなら二人でかじれるわ」

ルナとイライジャは二人で並んで仲よくリンゴを両端からかじっていく。

イライジャはルナに捧げる詩を朗読してルナは拍手喝采した。

「素敵な詩ね。とても素晴らしいわ!貴方は天才よ」

リンゴの芯が木の下に落とされて、二人がキスする音だけが響いていた。





黒髪の美男美女は仮面舞踏会にいつも現れるようになった。

腕を絡ませて上気した頬をピンクに染めて微笑む美女は、このうえなく幸せそうに見えた。

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感想 2

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みんなの感想(2件)

manga⭐︎jirou

公開はしなくて大丈夫です。

青空さんの作品が面白くて、過去作を色々短編から時間を見つけては読み進めています。

ところで、かなり前の作品なので今更でしょうし、スルーされてもかまいません。

イライジャの名前が、後編でだけ何ヶ所かベンジャミンになっているようです。いきなりベンジャミンと言い出して、誰だ?となりました。仮面舞踏会の時の偽名として用意してた名前ですかね?
名前を名乗ってはいなかったようで、主人公からは黒髪の貴公子としか呼ばれてませんでしたが。
どうにも気になったので、今更の報告させていただきました。

解除
2020.10.04 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2020.10.04 青空一夏

maro様

ありがとうございますぅー😊💓

ほっこりしていただき私も嬉しいです😆

解除

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