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26 ゾーイの生い立ち回想(ゾーイ視点)
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父は著名な医者であり、母は植物を魔法で操れる者として知られる薬草魔賢者だった。私は両親の影響を受け、幼い頃から医学と魔法の融合に興味を抱いていた。自ら薬草を摘んで様々な組み合わせを試し、新しい解毒剤や治癒薬を創り出す実験を欠かさなかった。
時には危険な魔道具を取り扱い、自身の身体で効果を確かめる勇気を持っていた。私の研究室は謎めいた匂いと様々な薬瓶で満ち、実験台には魔法陣が描かれた。私の魔法属性は母と同じ緑の魔法で、植物を操りその成長を画期的な速度で促す力を持っている。母の指導のもとで植物の性質や魔法の知識を学び、父の医学的な教えを受けて実践的なスキルを磨いた。
私の努力と好奇心から生まれた新たな発見は、両親を喜ばせたが同時に困惑もさせた。誕生日のプレゼントには人体模型をねだり、実験用の取り扱い危険の液体を調合しては、実験室を何度も爆発させたからだ。
人体のどこが急所か、それを狙えばどんな症状になるかは熟知している。大抵の毒薬とその解毒剤が作れ、植物とも完璧にコミュニケーションが取れるようになった頃、ベンジャミン男爵からある条件を提案された。
「私の愛娘の専属侍女になってくれ。好きな研究はなんでもしていいし、そのための資金は惜しまない」
その条件は最高に嬉しいものだった。大富豪のベンジャミン男爵がなんでも研究していいとおっしゃったのだ。それこそ、どんな珍しい薬草でも手に入るし、どんな魔道具でも開発し放題だ。嬉しくて断る理由などなかった。ベンジャミン男爵家に専用の研究室も与えられ、オリビア様のお世話をしながら実験三昧の生活に明け暮れた。
最初は、仕事だった。オリビア様は私の主で大切にお守りする存在にすぎなかった。だが、今ではオリビア様を守ることが私の生き甲斐になっている。
なぜなら、ベンジャミン男爵夫妻もオリビア様も、私に家族のように接してくれるからだ。エマやラナとも気心が知れていて、専属侍女仲間に不満はない。オリビア様のいる場所はとても居心地が良い。
☆彡 ★彡
私は頭の中で回想を終えて、目の前にいるクロエと向き合った。緑の魔法や植物魔法と言われる能力を持つ私は、大抵の植物を成長させ意のままに操れる。今はハッピーフェザーデルライトを操り、足の裏こちょこちょ攻撃をクロエに仕掛けていた。
本当は拷問も大好きで、人体の・・・・・・あわわ・・・・・・これはあんまり口外するな、とエマから言われているから詳しくは言えないけど、拷問は楽しい。だが、より穏便な方法で目的を達した方が良いという、リーダーのエマの持論を優先した。
私はエマには逆らわないし、ラナとも仲良くしたい。そう、私は平和主義だし優しいのだ! クロエからオリビア様を襲わせたという言質が取れた時には、こちょこちょ攻撃もやめてやった。実に優しいと思う。
やがて、屋敷の外が騒がしくなり、以前パリノ公爵家ですれ違った黒髪の男性が王家の騎士たちを従えて入ってきた。後ろにはハミルトンもいる。
「まさか、女三人だけで全部倒したのか? 強すぎなんだが・・・・・・」
驚いた表情のハミルトンは、やはり軟弱な公爵家の坊ちゃんだな。足を切られて倒れている騎士を見て青ざめていた。致命傷ではないし、単に動けないようにしただけの浅い傷だ。
「この状況を説明してくれないか? これだけの騎士を傷つけたら、君たちも無罪放免とはいかないぞ」
融通のきかない男のようだ。私は魔道具をその男の前で作動させ、クロエの自白を聞かせた。ベンジャミン男爵家に忍び込んだ男たちの言質も、クロエの自白の前に録音されていた。
「ベンジャミン男爵家に侵入した男たちとゾーイが持っている魔道具はそちらに渡しますから、有効に利用してください。私たちはベンジャミン男爵家のオリビアお嬢様の専属侍女です」
エマは協力することを強調する。
「あぁ、ありがとう。ご協力は感謝する。しかし、ベンジャミン男爵家を襲ったからといって、プレイデン侯爵家に報復にくるのはまずいだろう? ここは法治国家だぞ。ベンジャミン男爵家にだってお咎めがいくかもしれない」
(なんというか、この男はだめだな。融通がきかないし、理屈屋な気がするし、いろいろ面倒だ。世の中、正論ばかり振り回していてもダメなのに)
私はきんちゃく袋からマスクを三枚取り出して、黙ってエマとラナに渡した。そうして、紫の玉もチョッキのポケットから取り出す。エマが玉に向かって火魔法で発火させると、周囲にメモリーバニシング・スモークが大量に発生した。
これは吸い込んだ者の記憶を一時的に混乱させ、特定の期間の出来事や情報を消し去る作用があった。こんな面倒な男からは、私たちの目撃情報は消した方が良い。
濃い紫の煙が充満するなか、騎士たちはむせかえりうずくまっていた。特定の記憶がなくなるだけで、この煙がおさまれば身体に異常は残らない。そんなわけで、特殊なマスクをつけた私たちは悠々とその場から立ち去ろうとした。
「まぁ、いい。今回は見逃してやるよ。だが、今後は勝手にあまり派手な動きをするなよ」
黒髪の男だけは煙にむせることもなく、背筋を伸ばした状態で立っていた。
(ふん! なかなかやるじゃないか)
私たちはこの男が大魔道士様だなんて、思ってもいなかったのだった。
୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧
※誤字、脱字、多めの作者です。あったら教えていただけると助かります。
時には危険な魔道具を取り扱い、自身の身体で効果を確かめる勇気を持っていた。私の研究室は謎めいた匂いと様々な薬瓶で満ち、実験台には魔法陣が描かれた。私の魔法属性は母と同じ緑の魔法で、植物を操りその成長を画期的な速度で促す力を持っている。母の指導のもとで植物の性質や魔法の知識を学び、父の医学的な教えを受けて実践的なスキルを磨いた。
私の努力と好奇心から生まれた新たな発見は、両親を喜ばせたが同時に困惑もさせた。誕生日のプレゼントには人体模型をねだり、実験用の取り扱い危険の液体を調合しては、実験室を何度も爆発させたからだ。
人体のどこが急所か、それを狙えばどんな症状になるかは熟知している。大抵の毒薬とその解毒剤が作れ、植物とも完璧にコミュニケーションが取れるようになった頃、ベンジャミン男爵からある条件を提案された。
「私の愛娘の専属侍女になってくれ。好きな研究はなんでもしていいし、そのための資金は惜しまない」
その条件は最高に嬉しいものだった。大富豪のベンジャミン男爵がなんでも研究していいとおっしゃったのだ。それこそ、どんな珍しい薬草でも手に入るし、どんな魔道具でも開発し放題だ。嬉しくて断る理由などなかった。ベンジャミン男爵家に専用の研究室も与えられ、オリビア様のお世話をしながら実験三昧の生活に明け暮れた。
最初は、仕事だった。オリビア様は私の主で大切にお守りする存在にすぎなかった。だが、今ではオリビア様を守ることが私の生き甲斐になっている。
なぜなら、ベンジャミン男爵夫妻もオリビア様も、私に家族のように接してくれるからだ。エマやラナとも気心が知れていて、専属侍女仲間に不満はない。オリビア様のいる場所はとても居心地が良い。
☆彡 ★彡
私は頭の中で回想を終えて、目の前にいるクロエと向き合った。緑の魔法や植物魔法と言われる能力を持つ私は、大抵の植物を成長させ意のままに操れる。今はハッピーフェザーデルライトを操り、足の裏こちょこちょ攻撃をクロエに仕掛けていた。
本当は拷問も大好きで、人体の・・・・・・あわわ・・・・・・これはあんまり口外するな、とエマから言われているから詳しくは言えないけど、拷問は楽しい。だが、より穏便な方法で目的を達した方が良いという、リーダーのエマの持論を優先した。
私はエマには逆らわないし、ラナとも仲良くしたい。そう、私は平和主義だし優しいのだ! クロエからオリビア様を襲わせたという言質が取れた時には、こちょこちょ攻撃もやめてやった。実に優しいと思う。
やがて、屋敷の外が騒がしくなり、以前パリノ公爵家ですれ違った黒髪の男性が王家の騎士たちを従えて入ってきた。後ろにはハミルトンもいる。
「まさか、女三人だけで全部倒したのか? 強すぎなんだが・・・・・・」
驚いた表情のハミルトンは、やはり軟弱な公爵家の坊ちゃんだな。足を切られて倒れている騎士を見て青ざめていた。致命傷ではないし、単に動けないようにしただけの浅い傷だ。
「この状況を説明してくれないか? これだけの騎士を傷つけたら、君たちも無罪放免とはいかないぞ」
融通のきかない男のようだ。私は魔道具をその男の前で作動させ、クロエの自白を聞かせた。ベンジャミン男爵家に忍び込んだ男たちの言質も、クロエの自白の前に録音されていた。
「ベンジャミン男爵家に侵入した男たちとゾーイが持っている魔道具はそちらに渡しますから、有効に利用してください。私たちはベンジャミン男爵家のオリビアお嬢様の専属侍女です」
エマは協力することを強調する。
「あぁ、ありがとう。ご協力は感謝する。しかし、ベンジャミン男爵家を襲ったからといって、プレイデン侯爵家に報復にくるのはまずいだろう? ここは法治国家だぞ。ベンジャミン男爵家にだってお咎めがいくかもしれない」
(なんというか、この男はだめだな。融通がきかないし、理屈屋な気がするし、いろいろ面倒だ。世の中、正論ばかり振り回していてもダメなのに)
私はきんちゃく袋からマスクを三枚取り出して、黙ってエマとラナに渡した。そうして、紫の玉もチョッキのポケットから取り出す。エマが玉に向かって火魔法で発火させると、周囲にメモリーバニシング・スモークが大量に発生した。
これは吸い込んだ者の記憶を一時的に混乱させ、特定の期間の出来事や情報を消し去る作用があった。こんな面倒な男からは、私たちの目撃情報は消した方が良い。
濃い紫の煙が充満するなか、騎士たちはむせかえりうずくまっていた。特定の記憶がなくなるだけで、この煙がおさまれば身体に異常は残らない。そんなわけで、特殊なマスクをつけた私たちは悠々とその場から立ち去ろうとした。
「まぁ、いい。今回は見逃してやるよ。だが、今後は勝手にあまり派手な動きをするなよ」
黒髪の男だけは煙にむせることもなく、背筋を伸ばした状態で立っていた。
(ふん! なかなかやるじゃないか)
私たちはこの男が大魔道士様だなんて、思ってもいなかったのだった。
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※誤字、脱字、多めの作者です。あったら教えていただけると助かります。
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