1 / 4
1 理想的な婚約者
しおりを挟む
私はアデリン・コプルストン。グリンデルバルト王国の公爵令嬢でダライアス王太子殿下の婚約者だ。家族仲は良好で私たちは家族揃って必ず夕食をとる。今夜もコプルストン公爵家の大食堂で、家族揃ってテーブルについていた。
「アデリンお姉様は私の憧れよ。とても自慢のお姉様ですわ。水魔法を極めて氷魔法まで使えるなんて凄いです」
妹のキティーは私をいつも褒めてくれるし、私を慕ってくれる愛らしい子よ。
「アデリンは自慢の娘よ。成績も良くてこれだけ美しいのですから、ダライアス王太子殿下もアデリンに夢中よ。ありがたいことです」
私は王立貴族学院二年生。ちなみに、キティは一年生でダライアス王太子とお兄様は三年生になる。皆それぞれに成績は良かった。
「全くだ。我がコプルストン公爵家は、アデリンが王太子妃になることで、ますます繁栄します。未来の王妃様に乾杯!」
お兄様は私に、にっこりと微笑んだ。
「ありがとうございます。私もコプルストン公爵家の役に立てて嬉しく思います」
貴族の娘は家の繁栄のために有益な縁談を受け入れる必要があったし、それに対して特に不満はなかった。
家族は皆優しくて温かで、とても私を大事にしてくれる。
その一方で、私の専属執事はアルフォンス・オグデンといい、クールで素っ気ない。彼は一年までは同じ貴族学院に通っており、私と首位争いをするほど優秀だった。
けれど、オグデン伯爵家が没落し学院を辞める羽目に陥ったとき、お母様がコプルストン公爵家に引き取った。理由はとても見目麗しく優秀だったからよ。いずれ、私は王太子妃として王家に嫁ぐ。それまでは私の専属執事として働き、私が嫁いだ後はお母様の専属執事になることが決まっていた。
「悪いけど嫁ぐ際には、アルフォンスを連れてくるのはやめてくれ。あいつは生意気だし、王家に嫁ぐのに男の使用人は要らないだろう? 侍女やメイドならいくらでも連れて来て構わない」
そのようにダライアス王太子には言われたし、お母様もアルフォンスを気に入って手放そうとはしなかったからよ。
だからなのか、アルフォンスは私を主人とは思っていないようで、敬語は使うけれどいつもバカにしているみたい。注意ばかりしてくるもの。
「今日も学院の裏庭で寝転がっていましたね? ドレスの背中に草や泥の跡がありました。レディがそのようなことをするものではありません」
「なんでわかったのよ? 洗浄魔法で背中の泥は綺麗に取れているはずですわ。それに見つからないように、周囲の光を収集し、私の周りに微小な光の複雑な模様を生成したわ。だから、私は透明になっていたと思うわ」
「そのような高度な魔法を人前で使わないでくださいね。自分の能力を全てさらけ出すべきではありません。全く困ったお人ですね。そのようなことで王太子妃になれるのですかね?」
冷たい口調で私をたしなめた。私は肩をすくめる。
「はいはい。わかっていますわ。未来の王妃殿下は全ての手の内を明かさないことが肝要よね。でも、ダライアス王太子殿下も家族もとても信頼できる良い人たちよ。もちろん、学園の皆もね」
「そうですか? それは良かったですね」
アルフォンスはいつも無表情。彼は誰も信用していないみたい。可哀想な人よね。
☆彡 ★彡
王太子妃教育は王立貴族学院が休みの日に行われる。朝早くから暗くなる前まで拘束されるけれど、授業はそれほど難しくはない。その際、ダライアス王太子とのお茶会も毎回開かれた。
「アデリン嬢はとても美しいね。その瞳がたまらなく好きだ。僕はアデリン嬢の碧い瞳の深淵に、心を奪われている。僕の黄金の瞳も素晴らしいと思うから、僕たちの間に生まれる子供はとても美しくなるよね?」
私たちの話題はこの国がどうしたらもっと良くなるか、ということが多かったけれど、このようにお互いの長所を褒め合うことも多かった。
「そうですね。ダライアス殿下の黄金の瞳はとても素晴らしいですから、そのような瞳を持つ男の子が生まれたら嬉しく思いますわ」
そう答えると、ダライアス王太子殿下は満足そうに微笑んだ。私たちはとても仲良しだし、うまくいっていると思っていた。
婚約者がダライアス王太子殿下で良かったわ。
「アデリンお姉様は私の憧れよ。とても自慢のお姉様ですわ。水魔法を極めて氷魔法まで使えるなんて凄いです」
妹のキティーは私をいつも褒めてくれるし、私を慕ってくれる愛らしい子よ。
「アデリンは自慢の娘よ。成績も良くてこれだけ美しいのですから、ダライアス王太子殿下もアデリンに夢中よ。ありがたいことです」
私は王立貴族学院二年生。ちなみに、キティは一年生でダライアス王太子とお兄様は三年生になる。皆それぞれに成績は良かった。
「全くだ。我がコプルストン公爵家は、アデリンが王太子妃になることで、ますます繁栄します。未来の王妃様に乾杯!」
お兄様は私に、にっこりと微笑んだ。
「ありがとうございます。私もコプルストン公爵家の役に立てて嬉しく思います」
貴族の娘は家の繁栄のために有益な縁談を受け入れる必要があったし、それに対して特に不満はなかった。
家族は皆優しくて温かで、とても私を大事にしてくれる。
その一方で、私の専属執事はアルフォンス・オグデンといい、クールで素っ気ない。彼は一年までは同じ貴族学院に通っており、私と首位争いをするほど優秀だった。
けれど、オグデン伯爵家が没落し学院を辞める羽目に陥ったとき、お母様がコプルストン公爵家に引き取った。理由はとても見目麗しく優秀だったからよ。いずれ、私は王太子妃として王家に嫁ぐ。それまでは私の専属執事として働き、私が嫁いだ後はお母様の専属執事になることが決まっていた。
「悪いけど嫁ぐ際には、アルフォンスを連れてくるのはやめてくれ。あいつは生意気だし、王家に嫁ぐのに男の使用人は要らないだろう? 侍女やメイドならいくらでも連れて来て構わない」
そのようにダライアス王太子には言われたし、お母様もアルフォンスを気に入って手放そうとはしなかったからよ。
だからなのか、アルフォンスは私を主人とは思っていないようで、敬語は使うけれどいつもバカにしているみたい。注意ばかりしてくるもの。
「今日も学院の裏庭で寝転がっていましたね? ドレスの背中に草や泥の跡がありました。レディがそのようなことをするものではありません」
「なんでわかったのよ? 洗浄魔法で背中の泥は綺麗に取れているはずですわ。それに見つからないように、周囲の光を収集し、私の周りに微小な光の複雑な模様を生成したわ。だから、私は透明になっていたと思うわ」
「そのような高度な魔法を人前で使わないでくださいね。自分の能力を全てさらけ出すべきではありません。全く困ったお人ですね。そのようなことで王太子妃になれるのですかね?」
冷たい口調で私をたしなめた。私は肩をすくめる。
「はいはい。わかっていますわ。未来の王妃殿下は全ての手の内を明かさないことが肝要よね。でも、ダライアス王太子殿下も家族もとても信頼できる良い人たちよ。もちろん、学園の皆もね」
「そうですか? それは良かったですね」
アルフォンスはいつも無表情。彼は誰も信用していないみたい。可哀想な人よね。
☆彡 ★彡
王太子妃教育は王立貴族学院が休みの日に行われる。朝早くから暗くなる前まで拘束されるけれど、授業はそれほど難しくはない。その際、ダライアス王太子とのお茶会も毎回開かれた。
「アデリン嬢はとても美しいね。その瞳がたまらなく好きだ。僕はアデリン嬢の碧い瞳の深淵に、心を奪われている。僕の黄金の瞳も素晴らしいと思うから、僕たちの間に生まれる子供はとても美しくなるよね?」
私たちの話題はこの国がどうしたらもっと良くなるか、ということが多かったけれど、このようにお互いの長所を褒め合うことも多かった。
「そうですね。ダライアス殿下の黄金の瞳はとても素晴らしいですから、そのような瞳を持つ男の子が生まれたら嬉しく思いますわ」
そう答えると、ダライアス王太子殿下は満足そうに微笑んだ。私たちはとても仲良しだし、うまくいっていると思っていた。
婚約者がダライアス王太子殿下で良かったわ。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
382
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる