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10 閑話 スイーツ専門カフェオーナー視点でのグレイス達の甘々デート
今日はクリスマスなので、ちょっとおまけ的なお話になってます。グレイスとアシュリー・バラノ侯爵とのカフェデート。モブ視点でカフェオーナー視点になります。
୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧
私のカフェはありがたいことにとても流行っているがいらっしゃるのは女性ばかりだ。もちろん恋人に強請られてカップルで来る男性もいるけれど、ピンクを基調とした可愛らしい店内は男性からするとかなり恥ずかしいようでごく少ない。
「いらっしゃいませぇーー♪」
扉が開き2メートル以上ありそうな大男が入ってきた時、私は思わず後ずさった。盛り上がった筋肉の大きな体は熊のようで、厳めしい顔つきは鷹のよう、立派な顎髭はなんというか・・・・・・むさ苦しいし恐ろしい。はっきり言ってめちゃくちゃ怖いのだ!
「ひっ!!」
つい喉の奥から悲鳴をあげると、その男性の隣の綺麗な女性がふわりと微笑んだ。
「うふっ。やはりアシュリー・バラノ侯爵様が素敵すぎてついお声がでてしまいますわよねぇ。この方は騎士団長様ですわ。この国の平和はこの方によって保たれていると言っても過言ではありませんのよ! お心も、とぉーーってもお優しいのですわ」
心の底から嬉しそうに頬を染めてそう言った女性は、とても美しく上品だ。その微笑みはまるで花が咲いたようである。
私もつられて微笑み返し、そのアシュリー・バラノ侯爵と呼ばれた男性に目をやる。彼は耳まで真っ赤になって照れていた。
(あれほど強面なのに、かわいいこと! 初々しいカップルね。これはお付き合いしたてとお見受けしたわ。うん、うん。確実に両思いね)
私は奥の落ち着ける席にご案内して注文を伺う。
「なにがよろしいですか?」
「そうだな。グレイス嬢はなにがいい?」
「そうですわね。私はカヌレとクレーム・ブリュレどちらにしようか迷ってしまって・・・・・・あぁ、この可愛い色のマカロンも美味しそう・・・・・・」
「それなら、それらを全部とタルト・タタンも注文しよう」
「え! それは嬉しいのですけれど、全部は食べられませんわ」
「大丈夫! 私を見てくれ。この体は伊達に大きいだけではないよ。こんなお菓子なら余裕で食べられるから。グレイス嬢はそれぞれのお菓子の味を堪能すればいい。お腹がいっぱいになったら私が残りをたいらげるよ」
「・・・・・・えっと、男性って甘い物が苦手な方が多いと思うのですが」
「うん、でも私は違う。甘い物は好物だ! 気にしないで」
この二人の会話には男性の愛が溢れていた。いろいろな味を楽しめばいい、と優しく提案する男性。このような提案をする男性に悪い人はいない。この方は見た目があまりに怖いけれど心根は真逆。私はそんな二人が微笑ましくて暖かい気持ちに包まれる。
カヌレ、クレーム・ブリュレ、マカロン、タルト・タタンの4種類のお菓子とお茶をテーブルに運びながらも、やはり目の端で彼らを観察し聞き耳を立ててしまう私だ。
「今日は騎士団のほうには行かなくてよろしかったのですか? お仕事がおありだったのでは?」
「いや、今日はちょうど公休日だった。それよりルーカスやエミリー嬢に腹を立てていて当然なのに優しく接してくれて脱帽するよ。グレイス嬢は天使だな。しかも二人とも生きがいを見いだしたように目が生き生きとしていた」
「そうですね。最後のあの二人の嬉しそうな顔にはこちらも幸せな気分になれますわね。ところで今日は何の日か知っていますか?」
「うん? 何の日かって? そうだな、初めてグレイス嬢とカフェに来た記念すべき日だ!」
「うふ、それも正解! ですが今日は異国ではクリスマスといって、大好きな人と美味しい物を食べてプレゼントを交換する日なのですって。私も本で見ただけで詳しくは知らないのですが大雑把な解釈としては、大好きな人と過ごす日で間違いありません。だからね、今日はアシュリー・バラノ侯爵様に会えてとっても幸せです! メリークリスマス!」
(かわいい! 破壊的な威力の愛の告白だわっ!)
私はあの男性がなんと返すか耳をすます。
「あ、ありがとう。私のことはアシュリーと呼び捨てでかまわないよ。私もグレイス嬢といられて夢の中だ。でもどうしたらいい? プレゼントを用意していないなぁ。困ったぞ・・・・・・」
心底困ったように首を傾げている大男に、私はちっと舌打ちをしたくなる。
(こんな場合はプレゼントなんて女は気にしないものよ。それに夢の中ではなくて、夢のようの間違いだし・・・・・・もっと一緒にいられて嬉しいことを強調しなさいよっ! だが、スラスラと耳障りのいい言葉が出てこないのは誠実な証。この男性はきっと死ぬまであの女性だけを愛するわね)
私は初めて来たお客様なのに無遠慮に分析しては、心の中で応援するのだった。
すると、女性のほうが、
「プレゼントはもういただきましたわ。ほらあの白い薔薇の花束ですわ。あれにはとても心がこもっていますもの。それに私と一緒に過ごしていただくこの時間こそがプレゼントですわ。私の為にこうしてスイーツカフェに付き合ってくださる・・・・・・これが充分私への最上のプレゼントとなっております!」
(なんて素晴らしい恋の世界なの! 愛する人と一緒にいる時間がプレゼント・・・・・・恐るべし名言・・・・・・私も仕事が終わったら彼に連絡しよう)
一週間前に喧嘩してそれから連絡してなかった彼を思い出した私は心に誓ったのだった。
そのカップルの周りは暖かい雰囲気に満ちており、その周りに座っているお客様が自然と笑顔になる力があるようだった。
そうして店に入って来た時にはぎこちなかった二人が、店を出るときには手を繋いで出て行ったのを見て「あぁ、羨ましい」と独りごちた私であった。
仕事が終わり店を閉めてからすぐさま彼に会いに行く。
「どうしたんだい? まだあと2週間は怒っていると思っていたよ」
彼は私をからかうようにそう言った。
「今日は特別! カフェにいらっしゃった素敵なお客様がね、今日は大好きな人と過ごす日だって言ってたからね。異国の習慣らしいけどさ、そう聞いたら仲直りしないわけにはいかないわ」
「大好きな人? 嬉しいよ! 僕もなかなか言えなかったけれど君が大好きだよ。ついでに今日、プロポーズしていいかな? こんな照れる台詞は勢いで言わないと無理だから!愛してる。結婚しよう!」
私はもう5年も付き合ってきた彼から、やっとプロポーズされたのである。あの仲の良いカップルのお陰で素直になれた私達はあの二人に心から感謝したのだった。
異国の祭り? お祝い? よくわからないけれど、大好きな人と過ごす日に彼と仲直りして満足よ!
メリークリスマス!
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私のカフェはありがたいことにとても流行っているがいらっしゃるのは女性ばかりだ。もちろん恋人に強請られてカップルで来る男性もいるけれど、ピンクを基調とした可愛らしい店内は男性からするとかなり恥ずかしいようでごく少ない。
「いらっしゃいませぇーー♪」
扉が開き2メートル以上ありそうな大男が入ってきた時、私は思わず後ずさった。盛り上がった筋肉の大きな体は熊のようで、厳めしい顔つきは鷹のよう、立派な顎髭はなんというか・・・・・・むさ苦しいし恐ろしい。はっきり言ってめちゃくちゃ怖いのだ!
「ひっ!!」
つい喉の奥から悲鳴をあげると、その男性の隣の綺麗な女性がふわりと微笑んだ。
「うふっ。やはりアシュリー・バラノ侯爵様が素敵すぎてついお声がでてしまいますわよねぇ。この方は騎士団長様ですわ。この国の平和はこの方によって保たれていると言っても過言ではありませんのよ! お心も、とぉーーってもお優しいのですわ」
心の底から嬉しそうに頬を染めてそう言った女性は、とても美しく上品だ。その微笑みはまるで花が咲いたようである。
私もつられて微笑み返し、そのアシュリー・バラノ侯爵と呼ばれた男性に目をやる。彼は耳まで真っ赤になって照れていた。
(あれほど強面なのに、かわいいこと! 初々しいカップルね。これはお付き合いしたてとお見受けしたわ。うん、うん。確実に両思いね)
私は奥の落ち着ける席にご案内して注文を伺う。
「なにがよろしいですか?」
「そうだな。グレイス嬢はなにがいい?」
「そうですわね。私はカヌレとクレーム・ブリュレどちらにしようか迷ってしまって・・・・・・あぁ、この可愛い色のマカロンも美味しそう・・・・・・」
「それなら、それらを全部とタルト・タタンも注文しよう」
「え! それは嬉しいのですけれど、全部は食べられませんわ」
「大丈夫! 私を見てくれ。この体は伊達に大きいだけではないよ。こんなお菓子なら余裕で食べられるから。グレイス嬢はそれぞれのお菓子の味を堪能すればいい。お腹がいっぱいになったら私が残りをたいらげるよ」
「・・・・・・えっと、男性って甘い物が苦手な方が多いと思うのですが」
「うん、でも私は違う。甘い物は好物だ! 気にしないで」
この二人の会話には男性の愛が溢れていた。いろいろな味を楽しめばいい、と優しく提案する男性。このような提案をする男性に悪い人はいない。この方は見た目があまりに怖いけれど心根は真逆。私はそんな二人が微笑ましくて暖かい気持ちに包まれる。
カヌレ、クレーム・ブリュレ、マカロン、タルト・タタンの4種類のお菓子とお茶をテーブルに運びながらも、やはり目の端で彼らを観察し聞き耳を立ててしまう私だ。
「今日は騎士団のほうには行かなくてよろしかったのですか? お仕事がおありだったのでは?」
「いや、今日はちょうど公休日だった。それよりルーカスやエミリー嬢に腹を立てていて当然なのに優しく接してくれて脱帽するよ。グレイス嬢は天使だな。しかも二人とも生きがいを見いだしたように目が生き生きとしていた」
「そうですね。最後のあの二人の嬉しそうな顔にはこちらも幸せな気分になれますわね。ところで今日は何の日か知っていますか?」
「うん? 何の日かって? そうだな、初めてグレイス嬢とカフェに来た記念すべき日だ!」
「うふ、それも正解! ですが今日は異国ではクリスマスといって、大好きな人と美味しい物を食べてプレゼントを交換する日なのですって。私も本で見ただけで詳しくは知らないのですが大雑把な解釈としては、大好きな人と過ごす日で間違いありません。だからね、今日はアシュリー・バラノ侯爵様に会えてとっても幸せです! メリークリスマス!」
(かわいい! 破壊的な威力の愛の告白だわっ!)
私はあの男性がなんと返すか耳をすます。
「あ、ありがとう。私のことはアシュリーと呼び捨てでかまわないよ。私もグレイス嬢といられて夢の中だ。でもどうしたらいい? プレゼントを用意していないなぁ。困ったぞ・・・・・・」
心底困ったように首を傾げている大男に、私はちっと舌打ちをしたくなる。
(こんな場合はプレゼントなんて女は気にしないものよ。それに夢の中ではなくて、夢のようの間違いだし・・・・・・もっと一緒にいられて嬉しいことを強調しなさいよっ! だが、スラスラと耳障りのいい言葉が出てこないのは誠実な証。この男性はきっと死ぬまであの女性だけを愛するわね)
私は初めて来たお客様なのに無遠慮に分析しては、心の中で応援するのだった。
すると、女性のほうが、
「プレゼントはもういただきましたわ。ほらあの白い薔薇の花束ですわ。あれにはとても心がこもっていますもの。それに私と一緒に過ごしていただくこの時間こそがプレゼントですわ。私の為にこうしてスイーツカフェに付き合ってくださる・・・・・・これが充分私への最上のプレゼントとなっております!」
(なんて素晴らしい恋の世界なの! 愛する人と一緒にいる時間がプレゼント・・・・・・恐るべし名言・・・・・・私も仕事が終わったら彼に連絡しよう)
一週間前に喧嘩してそれから連絡してなかった彼を思い出した私は心に誓ったのだった。
そのカップルの周りは暖かい雰囲気に満ちており、その周りに座っているお客様が自然と笑顔になる力があるようだった。
そうして店に入って来た時にはぎこちなかった二人が、店を出るときには手を繋いで出て行ったのを見て「あぁ、羨ましい」と独りごちた私であった。
仕事が終わり店を閉めてからすぐさま彼に会いに行く。
「どうしたんだい? まだあと2週間は怒っていると思っていたよ」
彼は私をからかうようにそう言った。
「今日は特別! カフェにいらっしゃった素敵なお客様がね、今日は大好きな人と過ごす日だって言ってたからね。異国の習慣らしいけどさ、そう聞いたら仲直りしないわけにはいかないわ」
「大好きな人? 嬉しいよ! 僕もなかなか言えなかったけれど君が大好きだよ。ついでに今日、プロポーズしていいかな? こんな照れる台詞は勢いで言わないと無理だから!愛してる。結婚しよう!」
私はもう5年も付き合ってきた彼から、やっとプロポーズされたのである。あの仲の良いカップルのお陰で素直になれた私達はあの二人に心から感謝したのだった。
異国の祭り? お祝い? よくわからないけれど、大好きな人と過ごす日に彼と仲直りして満足よ!
メリークリスマス!
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