大作家になった楓

青空一夏

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大作家になった楓

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「君さぁ、勘違いしないで?君はあくまで引き立て役、そんなに意味不明な目力、ださないで。通るときもなにもしないでよ。歩いて横切ればいいだけ!!演技なんてするなよ!!脇役はそれがお仕事」

「は、はい。わかりました」

はぁーーい。位置に戻ってぇーー!!いきまぁーーす!!

「アクション!!」







楓はヒロインの横でただ頷くだけの役だ。

笑ってもいけない、演技などいらない、ただ無表情な顔で首を縦に振るだけ。

個性はいらない。なんにもいらない。そこにいればいいだけだ。







こんどは泣く役がきた。

泣けばいいだけ‥‥そこにはなんの工夫もいらないと言われた。

没個性‥‥が要求される。

少しぐらいの美しさなんて芸能界では通用しない。

楓が主役になれる映画なんてないし、楓を中心に回る世界なんてない‥‥

と、思ったらひとつだけ楓は思いついた。

自分の世界をつくればいいんだ。自分が中心になる、というより支配者になれる世界!

それは、小説。物語の作者は登場人物を笑わせたり、泣かせたり、殺すことだってできる。





それから、楓は小説を書きまくった。

自分に蔑むような言葉を投げつけた監督を見返したくて


これでもか、これでもか、というくらいに‥‥





10年後、大作家になった楓は映画を作り始めた。


「ほら、君!!余計なことしないでよ。ただ、そのヒロインの横を通り過ぎればいいだけなんだからっ!」

エキストラに文句を言った楓は自分のその言葉になんの疑問も、もたなかった。
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みんなの感想(1件)

2020.10.04 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2020.10.04 青空一夏

maro様

そう、そう
よくあることですよねー😅
感想、寄せていただき感謝です!

解除

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