(完)専属執事は私の恋人

青空一夏

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8 エイプリルはアイシャ様の話し相手になりたいらしい(ギルバート視点)

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🌼 今回から路線変更のため、ますますウェズリーとエイプリルをアホに書きます。


・*:..。o○☆*゚・*:..。o○☆*゚・*:..。o○☆*゚・*:..。o○☆*゚



「ウェズリー様! この人ただの執事のくせに、私に意地悪するんです!」

 やっぱり、って言うのだね? なぜだろうね? こういった種類の人間は必ず常識を教えてあげるとと言うのだよ。私が本気でこのエイプリルに意地悪するとしたら、こんなものでは済まないぞ。

「いったい何を言ったんですか? エイプリルが泣いているじゃないですか?」

 ウェズリーは可哀想な姫君を救うヒーローにでもなったつもりで、私を睨み付けて詰問するがお前ごときの視線に怖じ気づく私ではないよ。

「この侍女に『ウェズリー様の専属侍女としての仕事』をやるように言っただけですよ。こちらに来てからまともに働いていませんよね」

 首を傾げているこの木偶の坊に、この専属侍女の日課を教えてあげるべきかな。

「エイプリルの仕事は朝起きてウェズリー様をお見送りして、ウェズリー様の部屋か自分の部屋にずっといるだけです。やっているのはウェズリー様のお部屋の床を、モップで掃除するだけだと思いますよ」

「いや、ベッドのシーツは毎日取り替えられているし、プライベートの浴室はいつも磨かれているし、靴はピカピカだし、洗濯もできている」

 唐変木は、胸をはって私に得意気に言うが……こいつって、本当に常識がないんだな……いやになってくるよ。
天才となんとかは紙一重って言うけれど……まさにこういうことだな、と思う。音楽だけ奏でているべき人間だと思う。

「知らないのなら教えてさしあげます。当家には数種類の使用人がいます。洗濯は洗濯女がし、靴磨き・洗面所など水回りの掃除・棚の拭き掃除・調度品や楽器のほこり取りは下女の仕事です。つまり、エイプリルは侍女なので掃除はしないし、洗濯も靴磨きもしません」

「え? 意味がわからないなぁ、侍女は優雅に夫人の相手をするものだろう? だったら、アイシャ様のお話相手になってあげればいいだけだろう?」

「そうです! 私、アイシャ様のお世話をします。お話相手になったり、一緒にお茶したり、お出かけのお供をしたり……」

 エイプリルは、嬉しげに私に言ってくるのだった。
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