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29 レオナード王太子殿下視点
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ブリュボン帝国に向かう途中で肥沃な土壌に広がる大農園をいくつも通り過ぎた。果物がたわわに実り、さまざまな種類の野菜が農園いっぱいに育っていた。
鉱山をいくつも所有しそこからは貴重な鉱石や鉱物が採取され、その利益は莫大なものだそう。我が国とは天と地ほどの差があった。
壮麗な宮殿内は目を見張るほど豪華絢爛だった。とても高価な調度品の数々がセンス良く飾られ、壁になにげなく掛かっている絵画でさえ、値の付けられないほど価値のあるものばかりだった。国力の差をまざまざと思い知らされる。
これは是非とも、ヴァルナス皇太子殿下と皇太子妃になられる女性に取り入りたい。信頼を得て友人にでもなれれば、きっと僕の国の為に尽力してくれる関係になれるぞ!
ところが謁見の場で僕が見た女性は10歳の頃から婚約していたステファニーだった。繊細なデザインのドレスをまとい、髪は優雅に結われて肌の色艶も良く、昔より格段に美しくなっている。
迂闊にも僕が言った言葉でヴァルナス皇太子殿下の怒りをかったが、ステファニーがとめてくれて和やかな空気に変わった。ステファニーの花嫁姿を目に刻み込め、というヴァルナス皇太子殿下の言葉に母上は不機嫌に顔を歪めたが、僕は愛想笑いを浮かべてお世辞を言った。
「もちろんですよ。ヴァルナス皇太子殿下とステファニー嬢ならとてもお似合いです。この式に列席できることが光栄です。ところで、大農園をいくつも通ってきて、多くの農作物が立派に育っているのを見ました。それを少し我が国に分けてもらえませんか?」
ヴァルナス皇太子殿下のさきほどまでの威圧的な態度が少しづつ軟化した。こいつはステファニーの願いを忠実に叶えたいという女に甘い愚か者だよ。だったらステファニーの関心をひけば、このヴァルナス皇太子殿下も一緒に取り込めるはずさ。
「ステファニー嬢。一度は婚約者同士になり支えあった僕達ですから、これからは信頼しあえる良き友人として親交を深めましょう。このバーバラも含めた4人で力を合わせれば、この世界をより良き世界にできるのではありませんか? まずはルコント王国の荒れた農地をその緑の奇跡で救ってください。毎日、飢えた子供達が命を落としています」
ステファニーの心の中には僕への気持ちが残っているに違いない。だからこそ僕を今すぐ拷問部屋に連れて行きそうだったヴァルナス皇太子殿下を止めてくれたのだ。
「ルコント王国の民が飢えているのはお気の毒ですわ。ヴァルナス様、子供達が飢えて亡くなる姿は想像するだけで悲しいです」
「あぁ、もちろんだとも。隣国とはいえ飢えた民を見殺しにはできないさ。食料支援は任せておきたまえ。すぐに手配しよう。しばらくゆっくりしてから帰国すれば良い。我が帝国には観光すべき場所がたくさんあるからな」
やった! 食料支援を約束してくれた。しかも観光まで勧めてくれるなんて、実はお人好しのまぬけなのかもしれない。
謁見後に案内された部屋で僕達は寛いだ。ゲストルームは居心地が良くて、出された食事は最高に美味しかったし、翌日の結婚式では最前列でステファニーの花嫁姿が見られた。
「すっごく綺麗だ」
あんまり綺麗なんで僕はステファニーを捨てたことを後悔した。そうだ、前はあれほど綺麗な緑の髪ではなかったからだ。今のような容姿で緑の奇跡を起こせることを知っていたら捨てなかったのに、僕は未練がましくステファニーを見つめた。
「レオナードよ、ステファニー嬢を手放したのは失敗だったな。見よ、あの美貌を。しかも緑の奇跡を起こせるなんて・・・・・・元はと言えばあの娘はルコント王国の貴族だったのだ。食料支援などよりもステファニー嬢を返してもらえば、ルコント王国の土壌はあっという間に改善され、農作物が余って捨てるほど収穫できるのになぁ」
いつもは寡黙な父上が、美しいステファニーの姿を眺めながら舌なめずりしたのだった。
鉱山をいくつも所有しそこからは貴重な鉱石や鉱物が採取され、その利益は莫大なものだそう。我が国とは天と地ほどの差があった。
壮麗な宮殿内は目を見張るほど豪華絢爛だった。とても高価な調度品の数々がセンス良く飾られ、壁になにげなく掛かっている絵画でさえ、値の付けられないほど価値のあるものばかりだった。国力の差をまざまざと思い知らされる。
これは是非とも、ヴァルナス皇太子殿下と皇太子妃になられる女性に取り入りたい。信頼を得て友人にでもなれれば、きっと僕の国の為に尽力してくれる関係になれるぞ!
ところが謁見の場で僕が見た女性は10歳の頃から婚約していたステファニーだった。繊細なデザインのドレスをまとい、髪は優雅に結われて肌の色艶も良く、昔より格段に美しくなっている。
迂闊にも僕が言った言葉でヴァルナス皇太子殿下の怒りをかったが、ステファニーがとめてくれて和やかな空気に変わった。ステファニーの花嫁姿を目に刻み込め、というヴァルナス皇太子殿下の言葉に母上は不機嫌に顔を歪めたが、僕は愛想笑いを浮かべてお世辞を言った。
「もちろんですよ。ヴァルナス皇太子殿下とステファニー嬢ならとてもお似合いです。この式に列席できることが光栄です。ところで、大農園をいくつも通ってきて、多くの農作物が立派に育っているのを見ました。それを少し我が国に分けてもらえませんか?」
ヴァルナス皇太子殿下のさきほどまでの威圧的な態度が少しづつ軟化した。こいつはステファニーの願いを忠実に叶えたいという女に甘い愚か者だよ。だったらステファニーの関心をひけば、このヴァルナス皇太子殿下も一緒に取り込めるはずさ。
「ステファニー嬢。一度は婚約者同士になり支えあった僕達ですから、これからは信頼しあえる良き友人として親交を深めましょう。このバーバラも含めた4人で力を合わせれば、この世界をより良き世界にできるのではありませんか? まずはルコント王国の荒れた農地をその緑の奇跡で救ってください。毎日、飢えた子供達が命を落としています」
ステファニーの心の中には僕への気持ちが残っているに違いない。だからこそ僕を今すぐ拷問部屋に連れて行きそうだったヴァルナス皇太子殿下を止めてくれたのだ。
「ルコント王国の民が飢えているのはお気の毒ですわ。ヴァルナス様、子供達が飢えて亡くなる姿は想像するだけで悲しいです」
「あぁ、もちろんだとも。隣国とはいえ飢えた民を見殺しにはできないさ。食料支援は任せておきたまえ。すぐに手配しよう。しばらくゆっくりしてから帰国すれば良い。我が帝国には観光すべき場所がたくさんあるからな」
やった! 食料支援を約束してくれた。しかも観光まで勧めてくれるなんて、実はお人好しのまぬけなのかもしれない。
謁見後に案内された部屋で僕達は寛いだ。ゲストルームは居心地が良くて、出された食事は最高に美味しかったし、翌日の結婚式では最前列でステファニーの花嫁姿が見られた。
「すっごく綺麗だ」
あんまり綺麗なんで僕はステファニーを捨てたことを後悔した。そうだ、前はあれほど綺麗な緑の髪ではなかったからだ。今のような容姿で緑の奇跡を起こせることを知っていたら捨てなかったのに、僕は未練がましくステファニーを見つめた。
「レオナードよ、ステファニー嬢を手放したのは失敗だったな。見よ、あの美貌を。しかも緑の奇跡を起こせるなんて・・・・・・元はと言えばあの娘はルコント王国の貴族だったのだ。食料支援などよりもステファニー嬢を返してもらえば、ルコント王国の土壌はあっという間に改善され、農作物が余って捨てるほど収穫できるのになぁ」
いつもは寡黙な父上が、美しいステファニーの姿を眺めながら舌なめずりしたのだった。
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