(完)子供も産めない役立たずと言われて・・・・・・

青空一夏

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前レイラ男爵夫人(グレイスの元姑)の処分その1(前レイラ男爵夫人side)

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 はぁ? グレイスの手のひらにホクロ? そんなものは知らない・・・・・・リリィを見るとガクガクと身を震わせている。まずいわ。このリリィが偽物だとバレたら、私も必ず処罰される。ここは・・・・・・知らなかったことにしよう。

「えぇーー! なんですってぇーー? グレイスさんには、ホクロがあったのですか? ちょっと、待ってくださいね」

 そう言いながら、リリィの右手を掴んで手のひらを大げさに見るふりをした。

「ない! この女にはホクロがないわ! なんてこと! 私達はこの女に騙されていたのです。アイザック、いつから、この女がグレイスさんに入れ替わったのかしら? 私は、年寄りで目も弱ってしまい、よく人の顔が確認できないのです」

 私は、目をショボショボさせて、涙を流すふりもした。リリィだけの罪として、なんとかこの場を収めなければならない。

「そ、そうだ。そうだ! この女が私達を騙していたんだ! おい、お前は一体誰なんだ? 王様、申し上げます。この女はいつのまにか、屋敷に忍び込みグレイスのふりをしていたようです。こいつが極悪人だ!」

 アイザックも私に足並みを揃える発言を始めた。うん、うん。これで、なんとか、この罪をこの女一人に被せてしまえば私達は安泰なはずだ。

「おい、ババァ! ふざけんなよ。お前が『グレイスになりすませばいいわ』って言ったんだろうがよっ! 都合よく目が弱ったふりなんかしやがって。オペラを見て、はしゃいで、高級料理を吐くぐらい食ってたお前の目が見えないわけがないだろう?」

 リリィが、顔を真っ赤にし激しく私を罵ってきたのだ。ちっ、黙っていればいいものを。

「まぁ、下品な言葉遣いですこと! こんな嘘つき女は舌を引っこ抜き八つ裂きにしたうえ、野犬にでも食われればいい!」

「おい、ババァ! お前がグレイスさんに灰色の染料をぶっかけて喜んでいたことも全部話してやるよ。このババァは、グレイスさんに、ご飯もろくに与えず、雑用女にしてこき使っていたんだ。理由は、子供が産めないからだって言ってさぁーー。あっははは。笑っちゃうよ! 子供が産めないのはきっとこのアイザックのせいだろう? クソ男はプライドだけ高い能なし、種なしのクズじゃないか」

「なんだと? どういう意味だ? お前の子供は私の子だろう? お前はそう言ったじゃないか!」

「あっははは。言ったさ。でも、真っ赤な嘘だよ。あの子の父親は誰だかわかんないなぁ。だって、あたしはあんたの屋敷に住むまでは金をくれれば誰とでもからね」

「・・・・・・なんて女だ。最低の女だ!」

「あっはは! 最低の男に言われたくないね! あんたは、グレイスさんをいじめ抜いている自分の母親を止めようともしなかったじゃないか! それどころか、もっと虐めるように仕向けたくせに。あんたはグレイスさんに『不妊症のくせに!とんだ不良品を買わされた』ってよく言ってたね? あれは、最高におかしかったよ。不良品はあんたなのにさぁ。あっははは」

「くそっ! おまえなんか、殺してやる」

 アイザックはリリィの首を絞めだした。王家の騎士が割って入ってとめる。周囲の貴族達の呆れる声があがった。

「「「実に見苦しい! この者達は、自らが言った方法で処刑されればいいと思います!」」」

「「「賛成ですわ」」」 

「「「グレイス様がされたことを全部してあげてから処刑されたら良いと思いますわ」」」

 そこに居合わせた貴族達の全てがそんな恐ろしいことを言い出した。冗談じゃぁない! 死ぬのは嫌だ!

「うるさい! うるさい! 黙れぇーー! 私は少しも悪くないんだ! 嫁を虐めてなにが悪い。借金を背負って身内一人いなかったグレイスを誰が助けた? ここにいる貴族のお前らの誰一人としてレイラ男爵家にいるグレイスを心配して訪ねてきたことなどなかったじゃないか! 綺麗ごとを言うな! 私は無罪だぁーー!」

 
「このやかましい女を連れていけ」

 王の厳しい声が聞こえた。あぁ、ダメだ・・・・・・もはや、助かる道はなさそうだった。
私は、ガクンと膝から崩れ、力が抜けていく。地獄だ・・・・・・私を待つのはそれしかない。
なぜ、こうなった?そうか、リリィのせいだ・・・・・・

 子供ができないのはアイザックのせいだったなんて思わなかった。リリィの子供がアイザックの子供じゃなかったことも、初めて知った。だから、全てリリィが悪い! あの性悪女のリリィが、レイラ男爵家に乗り込んできたからこうなったんだ!

*



:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


 

 私は、大貴族の大きな屋敷に連れていかれた。

「お前は、ここで雑用女としてしばらく働け!」

 そう言い残して王家の兵士が去っていくと、早速その家の女主人がこう言った。

「ねぇ、その髪は気にくわないわぁ。私が、もっと良い色にしてあげましょう」

 灰色の染料を頭からバシャリとかけられたのだった。
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