(完)子供も産めない役立たずと言われて・・・・・・

青空一夏

文字の大きさ
26 / 50

レイラ男爵の処分その2

 私は、王家の兵士に、大きな屋敷に連れていかれた。
そこの女主人から灰色の染料をかけられると、目に入り恐ろしく痛かった。この染料は臭くて、ネバネバしていて、気持ち悪いものだった。これは、ヘイズリーがグレイスにかけたものと同じなのだろうか? なんで、こんなものを、かけられなければならないんだ!

「これを、グレイスにかけたのはヘイズリーだ! 私は、かけていない!」 

「止めようと思えば止めれたはずのお前は、なにもしなかった。同罪だろう? お前は、しばらくは庭師の手伝いでもしておくれ!」

 押し込められた部屋は薄暗くて寒い。薄い布団の他はなにもない部屋は牢獄のようだ。髪は、まだらな灰色となり、右目は染料が入ってチクチクと痛んだ。なぜ、こんな所に入らされるのだろうか? 

 朝早く起こされ、パンとスープだけが与えられた。なんて、味のないスープなんだ! 私はなぜ、こんな目にあっている?

 広大な敷地の庭園を、庭師達と一緒に手入れをする。朝から晩までしゃがみ込んで雑草を手でむしり取り、竹箒で庭掃除をする。腰が痛み、膝がガクガクになった。

「こんなことも、まともにできないとは! 歳だけくって、なんて残念なじじぃだ!」

 同じ年代と思われるじじぃにじじぃ呼ばわりされ、からかわれ、庭園の木に登らされて枝を切り落とす作業をさせられた。重いノコギリを落としそうになりながら、必死に作業をした。私が、高所恐怖症だと知っての嫌がらせに違いない! 私を木の上から突き落とそうとしているのかもしれない。 

 
 全てが、嫌になって、死のうと思った時に、かつての恋人の面影が浮かんだ。泣いている彼女の顔が、グレイスの顔に変わった時に・・・・・・私は・・・・・・考えた。

 あのかつての恋人に、私達がグレイスにしてきたようなことをした者がいたら、私はどうしただろうか? 間違いなく、そんな者達は皆殺しにしたいと思ったはずだ。それでも、私はこうして生かされている。

 次の日、やはり高い木に登り、剪定ばさみで枝を切っていると、庭師のじじぃ達がやって来て言った。

「だいぶ、慣れたじゃねーーか? その木から、山の方を見てみ? 絶景だぜ?」

 私は言われた通りに山の方角を見つめた。山頂に霧のような薄雲が緩く流れていく様は、確かに綺麗だなと思った。

 休憩の時には、茶が配られた。思わず『ありがとう』と言うと、相手はびっくりしたような顔をしていた。

「お前は、礼が言えないじじぃと思っていたよ?」

 そう、言われてからかわれたが、確かに『ありがとう』と人に最後に言ったのはいつだったかな・・・・・・もう、思い出せないほど遠い昔かもしれない・・・・・・

「そうだな。ずっと、こんな言葉があることすら忘れていたよ・・・・・・」

 私は、ポツリと呟いたのだった。

 
感想 263

あなたにおすすめの小説

「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?

あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。 閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。 そう、ぶちまけた。 もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。 でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。 そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。 わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか? ※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz) ※なんちゃって異世界。 ※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。 ※この話は小説家になろうにも掲載しております。

すれ違いのその先に

ごろごろみかん。
恋愛
転がり込んできた政略結婚ではあるが初恋の人と結婚することができたリーフェリアはとても幸せだった。 彼の、血を吐くような本音を聞くまでは。 ほかの女を愛しているーーーそれを聞いたリーフェリアは、彼のために身を引く決意をする。 *愛が重すぎるためそれを隠そうとする王太子と愛されていないと勘違いしてしまった王太子妃のお話

あの人のことを忘れたい

ララ愛
恋愛
リアは父を亡くして家族がいなくなった為父の遺言で婚約者が決まり明日結婚することになったが彼は会社を経営する若手の実業家で父が独り娘の今後を託し経営権も譲り全てを頼んだ相手だった。 独身を謳歌し華やかな噂ばかりの彼が私を託されて迷惑に違いないと思うリアとすれ違いながらも愛することを知り手放したくない夫の気持ちにリアは悩み苦しみ涙しながら本当の愛を知る。

私は愛されていなかった幼妻だとわかっていました

ララ愛
恋愛
ミリアは両親を亡くし侯爵の祖父に育てられたが祖父の紹介で伯爵のクリオに嫁ぐことになった。 ミリアにとって彼は初恋の男性で一目惚れだったがクリオには侯爵に弱みを握られての政略結婚だった。 それを知らないミリアと知っているだろうと冷めた目で見るクリオのすれ違いの結婚生活は誤解と疑惑の 始まりでしかなかった。

【完結】私は義兄に嫌われている

春野オカリナ
恋愛
 私が5才の時に彼はやって来た。  十歳の義兄、アーネストはクラウディア公爵家の跡継ぎになるべく引き取られた子供。  黒曜石の髪にルビーの瞳の強力な魔力持ちの麗しい男の子。  でも、両親の前では猫を被っていて私の事は「出来損ないの公爵令嬢」と馬鹿にする。  意地悪ばかりする義兄に私は嫌われている。

【完結】愛する夫の務めとは

Ringo
恋愛
アンダーソン侯爵家のひとり娘レイチェルと結婚し婿入りした第二王子セドリック。 政略結婚ながら確かな愛情を育んだふたりは仲睦まじく過ごし、跡継ぎも生まれて順風満帆。 しかし突然王家から呼び出しを受けたセドリックは“伝統”の遂行を命じられ、断れば妻子の命はないと脅され受け入れることに。 その後…… 城に滞在するセドリックは妻ではない女性を何度も抱いて子種を注いでいた。 ※完結予約済み ※全6話+おまけ2話 ※ご都合主義の創作ファンタジー ※ヒーローがヒロイン以外と致す描写がございます ※ヒーローは変態です ※セカンドヒーロー、途中まで空気です

年下夫の嘘

クマ三郎@書籍&コミカライズ3作配信中
恋愛
結婚して三ヶ月で、ツェツィーリエは一番目の夫を亡くした。朝、いつものように見送った夫は何者かに襲われ、無惨な姿で帰ってきた。 それから一年後。喪が明けたツェツィーリエに、思いもよらない縁談が舞い込んだ。 相手は冷酷無慈悲と恐れられる天才騎士ユリアン・ベルクヴァイン公爵子息。 公爵家に迎え入れられたツェツィーリエの生活は、何不自由ない恵まれたものだった。 夫としての務めを律儀に果たすユリアンとの日々。不満など抱いてはいけない。 たとえ彼に愛する人がいたとしても……

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました