【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺がおこちゃまな話

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宿に戻った俺達は、ロドリーの準備待ちということでしばらくこの街に待機となった。
その間、2人は冒険者らしく依頼を受けて稼いでくる。俺は?

「ユーリは宿で待機。なんかこの宿の料理人が、僕達に作った朝の食事を教えて欲しいって言ってたよ。帰ってきた時、宿の人がそう言っていた。」

「ええ、料理を教えるの?メンドー。却下で。」

「食材も好きなの使っていいって。」

「う~~ん。」

「宿代も割引してくれるって。」

「そこまで言うなら、教えてあげなくもないかな。」

「ぷっ。」

「ジーク笑うな!メシ作ってあげないぞ!」

「なら、魔物の中に放り込むまでだ。」

「もう、すぐにケンカしないの。ほら、食堂に夕飯食べに行こう。」

「ほらユーリ行くぞ。」

むーっとしながらも、2人について行く。


昨日は眠くて食べれなかったけど、夕食は普通に美味かった。朝、厨房に行ってわかっているけど、料理長がしっかりと管理しているから、美味しくて安全な料理を提供できるんだ。
でも2人は、俺の方が美味しいって言ってくれるから、ちょっぴり照れる。
部屋に戻りながら、俺が音を立てずに綺麗に食べたのに驚いていた。

「ユーリ、貴族のテーブルマナーは習ったの?」

「ああ、前(前世)ね。」

「下級貴族のマナーよりできているな。」

「『美味しい料理を提供をするのにマナーを知らないのは恥』って、料理長の言葉だったから、見習いの時に徹底的に仕込まれた。こっちで通用するとは思わなかったけど。」

「良い料理長だったんだね。」

「うん。尊敬できる人だったな。」






「で、朝の話だけど、俺、別の部屋に行くよ。」

俺は部屋に着くなり、そう切り出した。
だってエルとジークは恋人じゃなくても、そういう関係っぽかったし。

「だから、僕とジークは恋人同士ではない。」

「……。」

ジークはむっすりと怒って、口すら挟まない。
俺とエルが言い合っているのを聞いて段々と怒りが頂点にきて、

「いい加減にしろ!」

と、俺に怒鳴った。はぁと溜息を吐き、

「エル。」

「…30分?」

「1時間。」

「ん。ユーリ、今回は助けないよ。」

と、エルはそう言い残し、部屋を出て行った。
俺は、ジークに手首を掴まれ、寝室に連れて行かれ、ベッドに放り投げられた。

「ユーリ、いい加減にしてくれ。エルと俺を恋人なんて生易しい関係でくくるな。」

怒鳴られた時から、ジークの威圧で怖くて喋ることができないでいる俺は、頷くこともできなかった。

「お前が知っているかがわからんが、俺は毎回最後に死んでいるんだ。毎回だ!仲間が死んで、アイツが死んだのを見届けているんだ!お前にその気持ちがわかるか!守るべきアイツが俺より先に死んでいるんだぞ!転生する度に無力感を覚えるよ!離れようとしたよ!それでもアイツは俺を引き留めるんだぞ!それこそ身体を使ってもな!俺がアイツを離さないんじゃない。アイツが俺を縛り付けているんだ!」

恋愛の何たるものかも知らないおこちゃまな俺はジークの地雷をものの見事に踏み抜き、完全に怒らせたわけで。
ジークがエルに対しての小説の中の台詞は、もっと重たいものだった。
バトルシーンが面白いからって、気持ちが揺れ動くシーンは流して読んでいた。
だから、ジークの本当の気持ちを理解した気でいた俺は、ただBLしたくないからって、巻き込まれたくないからって、結果ジークの心の傷を更に深く抉ってしまった。

ジークの慟哭は、俺の胸も苦しくさせる。
ジークの胸に飛び込み抱きつきながら、何回も『ごめん』と謝った。


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