【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺が料理を本格的に作った話

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俺が厨房で働き出して3日。
今、コンソメスープを作っている。
合間に料理を教えているが、俺が飲みたくてブイヨンから作り出した。
この世界のスープは、ただ水から野菜や肉を煮たもの。旨味は出ているからそれなりに美味いが、やっぱりもう一つ上をいくのが食べたい。
折角設備が整っているので、作りたくなった。
コンソメは、アク取りや火加減で目が離せない。間違っても沸騰なんてさせたら、全てが駄目になる。
と、頑張って作りましたよ。

「料理長、味をみてください。」

「うむ。」

スープを小皿に入れて渡す。
料理長が皿に口をつけ飲む。

「…なんだ、これは。スープなのか?」

「スープですよ。」

「こんな美味いのは初めてだ。しかもスープだけなのに、色々な食材の味が広がって、野菜と肉を同時に食べている感覚に落ちいる。」

「でしょ。まあ、材料使い放題なので作れたんです。仔牛の骨があればフォンドヴォーも作れるかなぁ。」

「それはなんだ?」

「ソースや煮込み料理に使える出汁ですよ。」

「それもこれとは違うのか?」

「全く違いますね。」

「はぁ、お前に料理を教えた人に会ってみたかったな。」

料理長が残念そうに言う。難しいことは言わないでもらいたい。前世の料理長に流石に会いには行けんでしょうし。

「ユーリが教えてくれた料理はどれも話題になっているようで、宿泊客の他に、食堂だけの客も増えてきているって、支配人が言っていたぞ。きちんと給金もらっておけよ。」

「はーい。じゃあ、コンソメスープ半分もらっていきますね。」

と、アイテムボックスから鍋を出して、スープを半分移した。

「残り半分か。また争奪が始まるな。おい、このスープのレシピ、ちゃんと書き記したか?!」

「はい!書きました!」

「よし!」

俺に下っ端の子を付けさせて、俺が作る料理の材料、工程を書く。
レシピ書くのが面倒だから、『見て覚えろ』って言ったら、『無理』って返ってきた。
で、この子が付いた。
料理長が去ってから、その子に『内緒な』って、コンソメスープを飲ましたら、すっごいいい笑顔をした。

「ユーリさん、これ、僕も作りたいです。」

「作れるようになるためには、いっぱい頑張らないとだぞ?」

「はい!これ、母さんに飲ませたい!」

「そっか。頑張れ。」

母親に食べさせたい気持ちって世界が変わっても変わらないんだな、と、気持ちがほこほこした。

「ユーリさん、お連れ様がお帰りになりましたよ。」

と、給仕係に声を掛けられる。

「はーい。ありがとうございます。」

と、2人の元に行く。



「スープだけ?」

「しかも具なし。」

「いいから飲んでみて。」

「まぁユーリの料理なら。」

と、コンソメスープだけを先に出したら、こんな会話になった。
2人は一匙掬い飲む。
途端に目が見開いて、次にふにゃんとした表情になった。

「何これ。美味すぎ!」

「具がないのに、いろんな味がする。」

と、凄い勢いでスプーンを口へと運ぶ。それでも音を立てずに、しかも上品に飲めるなんて、と明後日な方向で感心した。
俺は次の料理をと、厨房に戻った。


スープを楽しむ2人に声をかける者達がいた。

「君達、スープしか頼んでないの?」

「金もないのに、よくここに入れたね?」

と、2人を笑いに来たのだ。
エルとジークの容姿に女性の視線を独占するので、2人を勝手に妬んだ貴族のお坊ちゃんと取り巻きが絡んできたのだ。
けれど、2人はお坊ちゃん達を相手にするわけもなく、

「次は何かな?」

「肉だろ、肉。」

「野菜も食べないとユーリに怒られるよ。」

呑気に会話をしている。
そんなカオスな状況の中、何も知らないユーリがカートを押して戻ってきた。






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