【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺がエルに流されない話

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朝目が覚めると、昨日と同じ体勢で寝ていた。ただ、エルもジークも昨日より密着している。てか、2人とも酒クセェ。
朝ごはん作らなきゃだと思って、ベッドから這い出ようとした。
モゾモゾ動く度に、身体中が筋肉痛かのように悲鳴をあげる。
痛い!しかもあらぬ所が一番痛い!
昨日街を歩いただけで?……ってそんな訳でなく、ジークとの行為で、だよね。
ジークに流されたって言えば流された。でも、俺の意思もあったから受け入れたわけで。
あんなジークを放って置けるほど、俺は『人でなし』ではないし。
かと言って、『お人好し』になる気もない。
ただ、ああやって何かに発散させなければ、ジークは既に廃人のようにもなっていたかもしれないと思った。
いや、ジークだけでなく、エルもロドリー達もだ。普通の生活を望んでも出来なくて、魔王を倒すまで繰り返す転生。ある意味地獄だ。
本当、何で神様?作者様?は、エル達に魔王討伐をここまで強要するのかな。小説にない裏設定があったなら、母ちゃん、ちゃんと教えておいてくれよ。

ベッドから何とか抜け出し、壁に手をつきながら何とか寝室を出た俺は、朝ごはんのため、厨房に向かった。



「ジーク、起きて。ユーリがいない。」

「んああ、メシ作りに行ったんだろ?」

「あんな身体で?」

「……あぁ、昨日無理させたな。」

エルの言葉で、ジークの頭がやっと覚めていく。

「そうだよ。だから、ジークが責任を持って部屋に戻らせて。ジークの相手で、しかも初めてだったなら、2~3日寝込んでもおかしくないんだよ!」

ジークは仕方ないと言いながら起きだした。
エルと寝室を出たら、ユーリがカートからテーブルに皿を並べていた。

「おはよう。ごはんできたよ。食べよう。」

といつも通りを振る舞うユーリ。
動きはぎこちないながら、昨夜は何もなかったかのようにしている。
ジークはもちろんエルまでも、ユーリを凝視する。

「もう、突っ立ってないで座ってよ。先食べるよ。」

と、ユーリは宣言通りに先に食べ始めた。

「ユーリ、昨日「今はやめて。ごはんはきちんと美味しく食べたいから。」……わかった。」

ジークは、なかったことにされなくて良かったと、一安堵したが、今はその話をしたくないと言われたから、黙っているしかなかった。
エルも、今夜は僕もイケるかもと思った。
考えはそれぞれで、みんな無言で食べた。
食べ終わったら、ジークから切り出した。

「ユーリ、今日動くのは辛いだろ。寝てていいんだぞ。」

ジークらしくない気遣いで、俺はキョトンとしてしまった。

「ユーリ寝てた方がいいって。」

エルも心配している。

「いや、あちこち痛いけど、動けない訳ではないし。それにエルの心配は下心いっぱいだしね。」

「……は?」

「昨日、俺を煽って、言ってはいけない言葉を言わせて、ジークを怒らして、ブチ切れたジークが俺を抱くように仕向けたのはエルだろう。」

「…あれ、…バレた?」

「うん、俺にはバレバレ。ジークはブチ切れて気がついてなかったけど。」

「…エル💢」

「ジーク、落ち着いて。ね?」

「ジークを怒らさせて、俺の同情心を買って抱かれたなら、俺の性的接触のハードルが下がるって思った?」

俺は務めて笑顔で言う。

「…少し?」

てへって言うエル。

「下がるか、アホ!当分、キスは禁止します!反省しろ!バカエル!」

「そんなぁ~。」

と、テーブルの食器をカートに載せて、さっさと部屋を出る。
部屋からジークの怒鳴り声が聞こえても、俺は知らん顔でまた厨房に食器を返しに行く。

朝ごはんを作りながら、昨夜のエルとの言い合いが普段のエルと違っていたことが不思議だった。
それにジークの言い分を合わせた時に、答えが出た。
俺はまんまとエルの策に嵌められた。だけどジークが限界にきていたから、エルなりにジークを気遣った策だったんだろうけど。
そこまで親切に俺はジークに教えてあげない。エルには俺を弄んだ罰として、ジークからの説教は受けてもらいたい。

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