【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺が産まれたての仔鹿の話

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目が覚めて、目に入ってきたのは、知らない天井でなく、エルの寝顔だった。俺の後にはジークがいて、背中が暖かかった。
それで俺は宿にいると勘違いして、もそもそベッドから這い出て、朝ごはんを作りに行こうとした。
床に足を着き、立とうとしたけど、腰から下に力が入らず崩れ落ちた。
なぜ?って、頭の中は?がいっぱいだった。
盛大な音で崩れ落ちたため、エルとジークが起きた。

「ユーリ!起きたの!」

「…エル、おはよ。脚、力が入らない。なんで?」

俺は、床から立ち上がれないでいる。
産まれたての仔鹿のようにプルプルして、なかなか立てないのだ。
ジークがベッドから起き出して、俺を抱き上げて、ベッドに降ろす。

「ジーク、ありがとう。」

「ん。」

「2日ほど眠りっぱなしだったんだよ。倒れたのを覚えてない?」

「?………そうだ、誘拐されたんだ。」

「で、薬を飲まされたのは?」

「そこは覚えている。そこからはあんまり記憶にない。」

「倒れてから中和剤を飲ませたんだけど、完全に薬が回っていたから中和するのに時間がかかって、ずっと眠りっぱなしだったの。」

「…ということは、」

「「?」」

「最低10食は食べてないのかぁ!もってぇねぇ。」

「「……。」」

俺は絶望した。オムライスまだ食べてなかったのぃ~。パンしか食べてないんだよ?しかもふかふかなパンでなく、焼き締めたかったいヤツ。顎を使うから満腹中枢は刺激され満腹感は得るけど、食べるならやっぱり美味しいモノを食べたいじゃん。
いや2人して半目になるなよ。お前らだって美味しいモノには目がないじゃん!

「とにかく、ユーリはまだ体調が万全じゃないから寝ていること。食べたいのがあれば、料理長にお願いするから。」

俺はキョロキョロと周りを見渡して、豪華な家具にキングサイズのベッド、ここは宿でないと気がついた。

「…料理長連れて来たの?」

「いや、宿に戻って持ってくる。」

「てか、ここどこ?」

「「城。」」

「は?城?また俺達王都に戻ってきたの?」

「いや戻っていない。ユーリのいた国の隣の国だ。」

呆れたようにジークに言われる。
平民は読み書き計算さえ出来れば困らないんだから、地理とかもう覚えてねぇ。

「でも、城なら馬車で2日かかったよね?」

ゲートを使うから大丈夫だ。」

ゲート?」

ゲートは知らないのか?」

「出てこなかった。門…ああ、こう決まった場所から場所へ移動できるやつ?ゲームにはあったな。」

「まぁ、そんなようなものだ。」

「へぇ、知らないのにどんなモノかわかるんだ。」

「学生の時はゲームしていたから、ファンタジー系ならそうかなぁって。」

「ほうほう、その話聞きたい!」

「エル、ユーリを休ませろ。ユーリも喋ってないで寝てろ。」

「あっ、そうだね。で、何食べたい?」

「オムライスを所望します!食べ損ねたから。」

「了解。」

「じゃあ僕は医師に連絡してくるよ。ベッドから動かないでね。」

と、2人は出て行った。
1人で寝ているのって熱出した時以来だな、なんて呑気に思っていた。


俺は薬で朦朧としている中、遠回しに2人に受け入れてやるからきちんと告白してこいって言ったのは覚えていなかった。
後からそのことを聞き、穴があったら入って、のたうち回っていただろうくらいに恥ずかしい思いをしたのは、もうちょっと後のこと。




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