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本編
俺が2人の本音を聞く話
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静かな夕食が終わり、俺は厨房に食器を片してきた。いつもよりゆっくり時間をかけて。
2人には考える時間を与えた。俺と向き合いたくなかったら逃げてもいい。まあ逃げたら、俺が見限るだけだが。
部屋に戻ったら、2人は椅子に座ったままだった。
厨房からティーセットを借りてきたので、気持ちを落ち着けるように紅茶を淹れる。
市場で偶然見つけたファーストフラッシュの茶葉。初摘みや春摘みとも呼ばれる新茶。大雑把なこの世界で、ファーストフラッシュだけの茶葉は珍しかった。
大体春摘みも夏摘みも混ぜ合わせて売るのは、茶葉に対する冒涜だと思うぞ、俺は。
蒸らしてカップに注ぐ。色は通常の紅茶より薄く、緑茶にも似ている。
それぞれに給仕してから、俺も椅子に座る。
香りを確かめ、一口飲む。香りはマスカットのようで、柔らかく爽やかな飲み口だ。
「香りが果物っぽくて、渋みが少なくて飲みやすいね。」
エルは違いがわかる男だった。
「…薄い。」
本当に残念な男だよ、ジークは。
「残念で悪かったな。」
どうやら口に出していたらしい。エルがブッと笑い出した。
「ユーリくらいだよ、僕達を普通の人扱いするのは。」
笑いながら、寂しそうに言う。
「…だな。」
ジークもいつもの不遜さがない。
俺がいない間に色々と思い出して考えたようだ。どちらから話を切り出すかはわからないが、今は何も言わずに待つだけ。
ん~、お茶が美味い。
「…ユーリはさ、僕達を好きって言っていたけど、いつから?」
「いつからかなぁ。前世を思い出してさ、俺が作る料理を美味そうに食べてくれる。それからかなぁ。同じものを食べ、同じ時を過ごす。これだけで仲間だな、家族だなって思えるほど結構単純なんだ、俺は。」
お茶の残りを飲み干す。
「俺は、偶然にもエル達の過去も未来も知っている。だけど、それはエル達に会ったから思い出しただけで、会わなかったら知っていることを知らないままだった。エルの言う神の采配か、運命かはわからない。けどさ、仲間を、家族を見捨てるほど俺は薄情じゃない。俺は守ったり、戦ったりは出来ない。見送ることしかできない。でも『おかえり』って言って出迎えたあと、美味しい料理で癒されて欲しい、笑顔にしたいって思ったら、いつの間にか好きになっていたよ。ちなみに、2人セットだからな。エルかジークかじゃなくて、エルもジークもだから。」
「ふはっ、ユーリは欲張りだね。」
エルが呆れたように言う。
「おう、俺は欲張りなんだよ。」
俺は開き直る。
「…僕は怖かったよ。ユーリもいつかは離れていくじゃないかって。でも、離れられなくなったのは、僕の方だ。今更離してあげれないくらい、…ユーリが必要なんだ。料理とか治癒力とか前世の記憶だとか関係ない、って言いたいけど、でも、それも全部をひっくるめてユーリなんだから。そんなユーリを誰かに渡したくはないよ、僕は。」
「うん。…今更手離されても困るな。」
「ユーリがメイジーの頭を撫でてくれた時、気持ちが軽くなった。救われた気がした。僕も単純なんだけど、それだけでユーリを失う選択はできない。したくない。僕は、ユーリがそばにいてくれるだけで幸せな気持ちになれるんだ。だからお願い、僕のそばにいてください。」
「エルの気持ちはわかった。ありがとう。よろしくね。」
「うん!」
エルの晴れ晴れとした笑顔。やっぱり笑顔のエルが好きだ。
さて、残るは問題児だ。
ジークから本心を聞き出すのが一番の難題。
エルは俺の考えをわかっていたから、素直に言ってくれた。ジークに後がないとするために。
結局、エルの掌にコロコロ転がるぐらいなら、さっさと覚悟を決めればよかったのに。
ある意味ジークには同情するよ。
2人には考える時間を与えた。俺と向き合いたくなかったら逃げてもいい。まあ逃げたら、俺が見限るだけだが。
部屋に戻ったら、2人は椅子に座ったままだった。
厨房からティーセットを借りてきたので、気持ちを落ち着けるように紅茶を淹れる。
市場で偶然見つけたファーストフラッシュの茶葉。初摘みや春摘みとも呼ばれる新茶。大雑把なこの世界で、ファーストフラッシュだけの茶葉は珍しかった。
大体春摘みも夏摘みも混ぜ合わせて売るのは、茶葉に対する冒涜だと思うぞ、俺は。
蒸らしてカップに注ぐ。色は通常の紅茶より薄く、緑茶にも似ている。
それぞれに給仕してから、俺も椅子に座る。
香りを確かめ、一口飲む。香りはマスカットのようで、柔らかく爽やかな飲み口だ。
「香りが果物っぽくて、渋みが少なくて飲みやすいね。」
エルは違いがわかる男だった。
「…薄い。」
本当に残念な男だよ、ジークは。
「残念で悪かったな。」
どうやら口に出していたらしい。エルがブッと笑い出した。
「ユーリくらいだよ、僕達を普通の人扱いするのは。」
笑いながら、寂しそうに言う。
「…だな。」
ジークもいつもの不遜さがない。
俺がいない間に色々と思い出して考えたようだ。どちらから話を切り出すかはわからないが、今は何も言わずに待つだけ。
ん~、お茶が美味い。
「…ユーリはさ、僕達を好きって言っていたけど、いつから?」
「いつからかなぁ。前世を思い出してさ、俺が作る料理を美味そうに食べてくれる。それからかなぁ。同じものを食べ、同じ時を過ごす。これだけで仲間だな、家族だなって思えるほど結構単純なんだ、俺は。」
お茶の残りを飲み干す。
「俺は、偶然にもエル達の過去も未来も知っている。だけど、それはエル達に会ったから思い出しただけで、会わなかったら知っていることを知らないままだった。エルの言う神の采配か、運命かはわからない。けどさ、仲間を、家族を見捨てるほど俺は薄情じゃない。俺は守ったり、戦ったりは出来ない。見送ることしかできない。でも『おかえり』って言って出迎えたあと、美味しい料理で癒されて欲しい、笑顔にしたいって思ったら、いつの間にか好きになっていたよ。ちなみに、2人セットだからな。エルかジークかじゃなくて、エルもジークもだから。」
「ふはっ、ユーリは欲張りだね。」
エルが呆れたように言う。
「おう、俺は欲張りなんだよ。」
俺は開き直る。
「…僕は怖かったよ。ユーリもいつかは離れていくじゃないかって。でも、離れられなくなったのは、僕の方だ。今更離してあげれないくらい、…ユーリが必要なんだ。料理とか治癒力とか前世の記憶だとか関係ない、って言いたいけど、でも、それも全部をひっくるめてユーリなんだから。そんなユーリを誰かに渡したくはないよ、僕は。」
「うん。…今更手離されても困るな。」
「ユーリがメイジーの頭を撫でてくれた時、気持ちが軽くなった。救われた気がした。僕も単純なんだけど、それだけでユーリを失う選択はできない。したくない。僕は、ユーリがそばにいてくれるだけで幸せな気持ちになれるんだ。だからお願い、僕のそばにいてください。」
「エルの気持ちはわかった。ありがとう。よろしくね。」
「うん!」
エルの晴れ晴れとした笑顔。やっぱり笑顔のエルが好きだ。
さて、残るは問題児だ。
ジークから本心を聞き出すのが一番の難題。
エルは俺の考えをわかっていたから、素直に言ってくれた。ジークに後がないとするために。
結局、エルの掌にコロコロ転がるぐらいなら、さっさと覚悟を決めればよかったのに。
ある意味ジークには同情するよ。
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