最後の願いを叶えて

ゆい

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私の願い

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 彼は私の唯一で、私の半身だ。
 だから、離れられないんだよ。









 パチッと暗かった部屋にあかりが灯る。それは彼が帰ってきたことを意味する。

「いい子にしていた?」

 ベッドに横たわる私の頭を優しく撫でる。
 彼の優しい手を私は嫌がらずに受け入れる。
 一回だけ反抗して彼の手を叩いてしまった時、私は後悔をした。
 あの時の後悔は、もうしたくないから。

「明日ね、仕事が休みになったんだ。上の方から有休消化を言われてね。繰り越せない日数が増えすぎたから、消化しろってさ。」

 クスクスと笑いながら、彼は私に明日の予定を教えてくれる。
 何月何日かは分からないけど、曜日の感覚はまだ僕には残っていた。明日は金曜だ。土日は休みだから、彼は三連休となる。3日も彼が家にいるのかと思うと気が重い。

「この月曜日は祝日だから四連休になるね。実に楽しみだよ。」

 と、彼は言う。そんな怖しい事実は知りたくなかった。
 青褪めた顔の私を上からニンマリと微笑む彼。これからの時間が酷く怖い。







「あ、あっ、…や、も、やだぁ…。」

「んん~、でも、ここは『もっともっと』って言っているみたいだよ?」

 私の体内に埋め込んだディルドをグリっと捻りながら、奥に入れてくる。

「ああぁ!」

「気持ちよさそうだね。でも、ここら辺も気持ちいいよね?」

 軽く抜き差しをしながら、奥へと進めてくる。
 太くてイボイボが付いていて、前立腺をゴリゴリ潰すように、グリグリと回しながら入れられる。
 刺激は強いけど、達することはない。
 身体は昂らされるけど、頂点にはかないようにディルドを抜き差しされる。
 しかも射精管理として、陰茎にはプジーが差し込まれていた。
 尿道に栓をしている状態であり、前立腺を別方向からも刺激を与えられていた。
 それでも隙間からはトロトロと精液が零れ落ちていく。
 それが酷くもどかしくて苦しい。行き場のない熱が体内に溜まっていく一方だった。

「や、イかせて、お願い!出したい!」

 私はなりふり構わずに懇願をした。

「ふふ、もうここは扱かなくても、けるでしょ?」

 私の陰茎をやわやわと触りながら、彼は言う。

「イけない、イけないの!…とって、おねがい、とって!」

 私はぐずる子供のように首を横にイヤイヤと振りながら、お願いをする。
 陰茎を触らなくてもけるような身体にしたのは彼。
 腹の中でくことも覚えさせられたけど、今はとにかく精液を出したくて、頭の中はそれでいっぱいになっていた。

「だしたい、……だしたいよぉ」

 私は首を振りながら、泣いてしまう。
 感情がコントロールできないのか、本当に子供のようにぐずってしまう。

「ふふ、可愛い。」

 彼は愉悦に満ちた仄暗い表情をする。
 私が子供のようにぐずる姿を見るのが、彼は殊の外喜びを感じるらしい。
 私は彼のその表情を見て、まだまだ出してもらえないと悟る。
 彼が悦に入ってしまったら、とことん私をイジリ倒すだろう。それこそ、泣こうが喚こうが。
 身体は火照って肌は赤くなっているけど、顔はまた青褪めてしまったのだろう。
 そんな私の顔色を見て、彼は、

「ふふ、流石に初日からトばさないよ?明日からの4日間が楽しみだからね。」

 4日間の激しい責め苦が楽しみだという彼。私はもう絶望しかなかった。

「もぅ、…ころして。」

「はは、可愛いことを言うね。……俺は、絶対に、絶対に!許さないから!俺から全てを奪ったおまえを!」

 激昂した彼は、片手で私の首を絞めながら、片手で私の中に入っていたディルドを抜き、彼自身を埋めていく。

「ふっ、力が入り過ぎて、れづらいな。」

 彼は私の首を絞めていた手を緩ませる。肺に入ってこなかった空気が一気に入ってきた。
 身体の力が抜けた一瞬で、彼の陰茎は私の胎の奥へと入ってきた。
 肺の中を空気で満たされる前のことで、上手く呼吸が整えられず、私は咽てしまう。
 咳をするたびに身体が強張り、彼の陰茎を締めつける。
 その度に彼の陰茎が私の胎の中にあることを実感させられる。
 ああ、待ち望んだものがきた!と、私の身体は歓喜に沸く。あんな玩具ではない。生身の彼が私を犯してくれていると!
 玩具で強制的にイかせられても、心は気持ち良いとは感じない。
 胎の中が彼だと認識した瞬間、一気に階段を昇ったかのように、すぐにってしまった。

「あああぁぁ!!」

 彼の陰茎を締めつけ、ビクビクと痙攣する私の身体。締めつけがキツいのか、彼は少し眉を寄せ、苦しげな表情をした。

「俺がれたら、すぐきやがって!本当に言うことが聞けない駄犬だな。」

 まだ痙攣している私の身体に、私の尻にパァァンと平手打ちをしてくる。もちろん、彼の陰茎は私の中にはいったままでだ。
 パァァン、パァァンと、三回目の平手打ちで、私はまたってしまった。

「雑魚ちんこだな。この俺が相手にしているんだ。くのを我慢ぐらいしろ。」

 彼は私の髪を鷲掴みにして、絶頂の余韻に浸っている私を無理矢理起こし、連続でってしまったことを叱る。

「ご、ごめん、なさい。…がまん、する、から、もっと、…ちょうだい。」

「……おまえは、本当に、欲しがりだな。」

 呆れ半分、情欲半分の表情の彼。
 私は欲しがりなのかな?と首を傾げつつも、彼から与えられる痛みを享受する。

 今夜は彼の機嫌が良いのか、私をいっぱい犯してくれそうだ。













 私と彼の性格は全くの正反対だった。
 彼は、明るい性格に文武両道、正義感もあるが、融通も利く、まさにヒーローみたいな存在だった。
 反対に私は、人見知りで何をやらせてもダメ、両親も周りも私を必要ないものとして対応した。

 そんな私をいつでも励まして、庇ってくれた彼。

 私は彼に憧憬を、嫉妬を、崇拝を、憎悪を抱いた。

 彼とは、元々は1つであったのに、と思ったら、私はもうダメだった。



 最初にしたことは、彼の彼女を寝取った。結婚を考えていた彼女を寝取ったのだ。
 彼女との行為が終わった後、『なんだ、普段私をバカにしていたのに、彼のフリをした私が見抜けず、私の下でよがったの?』『大丈夫だよ。きちんと証拠として、君の姿を録画してあるから』なんて言って動画を観せれば、簡単に発狂してくれた。
 ネットで手に入れた催淫剤は当たりだったようで、彼女は普段よりあられもない姿を私に曝してくれたのだ。
 彼の名前を呼びながら発情して、正気に戻ったら、自分を抱いた相手が彼ではなく、『キモい』と何度となく言い続けてきた私だったのだから、絶望した顔は、本当にみものだった。
 清楚をウリにしていた彼女が自ら、私の陰茎をしゃぶりだした時は、笑いを堪えるのが大変だったよ。
 それからの彼女は、家から一歩も出れなくなったらしい。彼は彼女の変貌ぶりに心配したけど、彼女は彼を視ると怯え、暴れだすので、彼女の家に通うのを諦めたようだ。彼女の両親からも『もう来ないで欲しい』と言われたらしい。


 次は両親。私からといっても受け取ってもらえないからと、彼から渡してもらった温泉宿泊券。ちょっと有名な温泉宿を予約した。両親は喜んで温泉旅行へと行った。
 そして、その翌日の夕方、警察から電話があった。両親の運転していた車が崖から落ちた、と。
 思わず出そうになる笑い声を必死に抑えた。彼は勝手に悲しみ泣いているようにとってくれた。
 あぁ、こんなに上手くいくのだったら、もっと早くに実行するべきであった、と。
 温泉宿に行く道のりは、急カーブが多い。私は計画した時から、ブレーキパイプを少しずつ薬剤で腐食させていた。
 普段の運転なら、ちょっとブレーキの利きが悪くても、タイヤが古くなったかな?ぐらいだけど、流石に急カーブの多い道で、ブレーキが利かないとなると、……ね。
 警察も車のメンテナンスが万全でなかったがための事故としてくれた。
 両親の訃報に彼も泣きたかっただろうけど、私が先にこんな状態になってしまったのだから、泣けなくなった。
 気丈にも彼は両親の葬式の喪主を務め上げた。


 最後に、両親の四十九日の法要が終わってから、彼に種明かしをした。
 彼に『観てもらいたい動画がある』と言った。普段、オモシロ動画や癒し動画を彼に薦めていたから、今回もその手の動画だろうと油断したみたいだ。
 でも私が彼に観せたものは、私が彼女を犯している動画。
 催淫剤で興奮している彼女は、自ら私の上に跨り腰を激しく動かしている。
 彼女の初めて観る痴態に驚きを隠せない彼。驚きつつも彼の股間は少し膨らんでいた。
 そんな彼に追い打ちをかけるように、両親の死の真相を伝えた。
 彼が昼間会社に行っている間、私はせっせと車に薬剤を塗っていたんだよって。

 彼は怒った。激怒した。彼は私を初めて殴った。私は彼から怒りを向けられたのは初めてだった。
 彼からの初めての怒りは、わたしにてとってはご褒美としか思えなかった。彼が本気で怒り、罵ってくれた。それはもう、これでもかと私の陰茎は勃起して痛かった。
 そんな私の股間に気が付いた彼はあろうことか踏みつけてきた。彼から踏まれたという甘美な刺激で、私は盛大にってしまった。更に私は嬉ションまでしてしまい、この後は彼に躾として犯され、私の身体の隅々を管理されていく。彼に管理されると思うだけで、またってしまいそうになる。


 彼は、私の願いをなんでも叶えてくれた。縄で縛ってくれたし、鞭で打ってくれた。傷だらけになった私の身体に優しく傷薬を塗り込む姿は、昔と変わらなかったのが少し泣けた。
 深夜の公園にも犬の格好をした私を散歩に連れて行ってくれた。彼はこれにはすぐに頷いてくれなかったけど、何とか説得をして、家から遠く離れた公園で散歩をしてくれた。移動時、私は興奮しすぎて鼻血を出してしまったのは、恥ずかしいエピソードだ。
 普段会社勤めの彼だから、疲れを残さないように、私は平日は我慢をした。
 そんな私を彼は気遣って、玩具を色々と用意してくれた。彼が用意してくれたから使うのであって、私は自分で使いたいとは思わなかった。
 一回だけ彼でなくては嫌だと反抗して、彼の手を叩いてしまった。彼は物凄く悲しい表情をした。あとから分かったけど、彼は少し風邪気味だったみたいで、私に移したくなかったそうだ。私は後悔をした。この後は、彼の言うことを素直に聞くように心掛けた。


 でも彼は、私の願いの中で1つだけは絶対に叶えてくれなかった。
 彼はその願いを知っていながら、絶対に許してくれなかった。






 彼と私は、双子の兄弟。彼が兄、私が弟。私と彼は一卵性の双子。
 元々は1つであった兄を私が一人占めにするは当たり前だろう?
 兄は私の唯一で、私の半身だ。
 だから、兄を手に入れた今、私は死にたかった。
 今ここで私が死ねば、兄の心には私という傷が永遠に刻み付けられるから。私の死で私の計画が完成するのに。

 もう、離さないよ、兄さん。

 だから、もう、殺して。

 そして、私だけを想って生きて。



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