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番外編
side アムール
リクエストをいただきました【隠されたリアムの真実】後のお話です。
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ドガッッ!!!
久しぶりにアダマス王国に帰って来たアムールが先ずしたことは、息子のロベールを思いっきり殴った。
「立て、ロベール。お前は誰かに殴られたかったんだろ?だったら、その役目は私しかいないよな?ブルートに任せてもいいんだが、お前を簡単に死なす訳にはいかないしな。」
ロベールの父であるブルートも怒り心頭で殴りたがっていたが、アムールが止めた。
ブルートもアムールの真意を知って、アムールに譲った。
ヨロヨロと立ち上がったロベールを、アムールは容赦なく2発目を殴る。
そして、倒れたロベールを放って、アムールはロベールの妻キリルの前に立つ。
「私は『家を任せた』とお願いしていったはずだが、コレはどういうこと?」
アムールは優しく微笑みながら、キリルに問う。
キリルは、真っ青な顔でガタガタと震えるばかりで、何も言わない。
いや、言えないのだろう。
10代の頃から戦場を駆け抜けたアムールと、温室育ちのキリルでは、圧倒的に経験値が違うのだから。
「さて、ルーフェス、エドワード、何か言うことはあるか?」
アムールは、『使えないな』とキリルを切り捨て、孫2人に問う。
「「……。」ありません。」
かろうじて答えたのはルーフェス。エドワードもキリルと同じで何も答えられなかった。
「そう。なら、爵位返上して平民になりなさい。ロベール、ルーフェス、エドワードは陰茎切断して、魔力封鎖の腕輪をしろ。子供は絶対に作れないようにする。」
「「「!!」」」
「そっ、そこまでしなくても!」
と、叫んだのはキリルだった。
アムールは、躊躇なくキリルを平手打ちにする。
「ルキゥール帝国舐めてんのか、てめぇは。継承権5位のリアムが自死したんだ。王国の公爵家の一つや二つくらい、普通に潰すだろ。5位だって生まれた順でしかない。リアムが一番最初に産まれたなら、3位だったかもしれない。」
ルーフェスとエドワードに向き直り、
「皇太子の妾になるなら、処置は勘弁してあげるよ。ただ、子供を産む人形になるだけなんだけど、ね。」
と、にんまりと笑いながら伝える。
血筋を残す為であって、間違っても愛情を求めるなと、言外に言い聞かせる。
ルーフェスもエドワードも顔を白くさせながらも、今後の生活の保証ができるのならと、思い悩む。
「……勘違いしているようだから言うけど、今までと同じ生活を送れると思うなよ。明日、答えを聞く。ブルート、ロベールを連れて城に行くぞ。」
と、さっさと立ち去ろうとしたが、
「キリル、実家に行ったところで助けてもらえんぞ。私が潰す家が一つ増えるだけだ。その前に、国自体亡くなるかもしれんがな。」
アムールが城に行っている間に、実家を頼ろうとしても無駄だと、先に教えておく。
一応息子の妻であり、孫の母でもあったから、親切に教えてあげた。
キリルはその言葉で、地面に崩れるようにしゃがみ込むしかなかった。
「で、何か言い訳はあるかい?」
アダマス国王、王妃、宰相、フレデリックとアムールは対峙する。
今のアムールの肩書は、前公爵夫人ではない。ルキゥール帝国皇帝代理として、王宮に来ていた。
国王以下は、顔の腫れたロベールを見て言葉を失っていた。
「こ、こちらの落ち度により、この度は、」
「そういうのはいいよ。帝国としては、継承権を持つ者をむざむざと殺されてしまった。その損害の落とし前は、どうつけるのさ。」
「ち、違う!リアムは自ら」
「その環境を作り上げた一因は、お前だろ。青二才が口を挟んでくるな。」
アムールは、フレデリックの言い訳も最後まで聞かずに切り捨てる。
「カイル兄上、ザライア兄上と亡くし、私が帝国に戻らなくてはいけなくて、夫は私に付いてくると、息子に爵位を譲ることになった。それがこの結末とは、私でも予想しなかったよ。東の国を挟んだだけで、帝国の脅威は薄らいでいたんだろうか?それともロベールがいれば、脅威は免れるとでも思ったのか?」
「そ、そのようなことは微塵にも」
「だよね。帝国が瓦解したら、アダマスも無事ではないからね。帝国がこの大陸の支えになっているから、恩恵を受けられるんだもんねぇ。」
アムールの言葉で顔色を悪くする大人3人と、意味が全く理解できないフレデリック。
それに気付いたアムールは、
「お前らは、王族としてそのバカの教育を怠っていたのか?たかがリヴィアサンを倒したくらいで『英雄』とは笑える。」
クックッと笑いなら言う。
「我が帝国は海に面していないけど、ベヒモスもフェニックス、ドラゴンもいる。騎士団総長なら、一人で倒せる。なら、我が帝国の騎士団総長の方が『英雄』というに相応しいと思わないか?」
フレデリックはやっとバカにされたとわかり、顔をカッと赤らめる。
「皇族は、この大陸自体を血統魔法で支えているんだよ。人が住むのに適さないこの大陸に、水、土の恩恵を与えているのが皇族だ。だから嫁いだ私ですら、まだ継承権はあるんだよ。」
頭の悪そうなフレデリックに、アムールは簡単に説明をする。
王族ならきちんと教育されているはずのことを皇族自らの説明により、更に国王以下は顔色を悪くする。
それでもフレデリックは理解しようとはしなかった。
「何故初代アダマス王に皇族が嫁いだのか、勉強しなかったのか?…ああ、だから、リアムにあのような仕打ちができたんだな。なるほど。では、お前に教えてやろう。あと5年もしないうちにアダマスでは、宝石が採れなくなる。断言してもいい。」
アムールはニヤニヤと笑いながら言う。
これには国王達も驚く。
「リアムは思いの外皇族の血統魔法が強かったみたいだね。リアムが生まれてから、宝石の産出が増えたんじゃない?そのリアムが自死した。しかもこの国で。初代王妃の魔法は、リアムの自死により消滅しただろうね。あと5年で宝石に代わる特産品を作らないと、国自体潰れるねぇ。」
ただの預言とも言えなくないアムールの言葉。でも、大陸一の魔力を持つ皇帝の次に強い魔力を持っている継承権1位のアムールの言葉だから、魔法の話となれば聞き捨ててもおけない。
「国を守ったはずの英雄達は、実は国を破滅に導く愚者だったとは、国民はどう思うかな?いやぁ、愉快だねぇ。」
周りは青褪めていく中、アムールは一人笑っている。
「さて、陛下より、今回の件で慰謝料を頂戴したいと、書状を預かっております。継承権5位を見殺しにされ、それに伴い2~4位は継承権剥奪が決まりました。ただでさえ少ない継承者を、このようにした報いは受けていただきたい、とのことです。」
と、皇帝より預かっていた書状を国王に渡した。
内容を確認した国王は、驚愕した。
要約すると、国家予算の20年分の金額、国宝と呼ばれる宝石等を寄越せと書かれてあった。
「拒否権はないよ。初代の盟約は破れたんだから。バカ共の行いによってね。」
ニコニコと笑うアムール。
「一応1年以内なら分割は応じるから。1年経っても支払いがないなら、……ねぇ。いや、言わなくても国王なら、わかるよね?」
「…くっ、了承、した。」
苦しげに国王は言う。
アムールの手によって、帝国周辺諸国の王家が亡くなった数を考えれば、今更一つ増えても誤差の範囲でしかない。
「「陛下!」」
王妃と宰相は、国王の決断に対して不満があるみたいだけど、アムールの知ったことではない。
「即断してくれて助かるよ。お礼に耳寄りな情報をあげよう。聖者だっけ?今、妊娠しているよ。」
ふふっと笑いながら、アムールは言う。
「教会の奥に自由に出入りできるから、興味本意で核を盗んで、試したらしいけど、誰の子だろうね?そこのバカ以外にも、仲間だった人達とも寝てるらしいから。ちなみにうちの孫は『結婚するまでは』と、拒否していたみたいだから、皇族の血は入っていないようで助かったよ。今時の聖者は、娼夫よりタチが悪いね。聖者というよりは、淫売の方が似合うな。……さて、あとは王族の問題だから、私達は帰るね。そのバカの処分は任せるよ。でも絶対に簡単に殺さないで欲しいな。リアムも長い時間苦しい思いをしたんだから、同じくらい苦しまないと罰にもならないよね?」
アムールはそう言って立ち上がり、ブルートはロベールを引きずって、またさっさと王宮を立ち去って行った。
部屋に残された国王達は、難題ばかりを残され呆然とし、フレデリックは聖者ルテウスの淫行に驚き、愕然としていた。
アダマスに到着するまでに、学園でリアムの名を騙って悪行をした者達、王宮にてリアムを害した者達は洗い出して、帝国より抗議と慰謝料を請求してある。
中でもリアムの名誉を、尊厳を傷つけた者は、今頃帝国の暗部によって、拷問を受けているだろう。『生かさず殺さず狂わさず』を伝えてあるから、1年くらいは持つかなと考える。
公爵家の従者、使用人についても、処罰はもう済んでいる。
英雄達も先行きは暗いだろう。
アムールが何もしなくても自滅しそうなので、わざわざ手を出すまでもない。
明朝、孫達の返事を待たずに帝国に戻る予定だ。
愚か者を連れて帝国に戻ることはしない。
公爵家に戻り、ロベールを執務室に押し込めて、爵位返上から領地経営などの諸々の手続きをさせる。それが終わったら、孫と共に処置をして、平民として寒村に一家を放り込む予定だ。
アムールとブルートは、別邸に戻らず、リアムの遺体が安置されている部屋に行く。
教会が自死した者の葬儀は行えないと拒否したため、未だ墓地に埋葬できなくて、屋敷に安置されていた。
アダマスの教会にも、近いうちに何らかの処罰を行う予定だ。
腐敗しないように、氷魔法に覆われており、部屋に入るととても寒かった。
しかし、アムールとブルートはそんな寒さを気にせずに、リアムに近づく。
「バカだね。なんで、私達を頼ってくれなかったの。」
と、穏やかなリアムの顔を見て、アムールは泣き出した。
ブルートもアムールの肩を抱きながら、一緒に涙する。
ここでやっと2人は、リアムを悼むことができた。
最後に会ったのは、まだ5歳だった。
ちょっと舌足らずで『おじいたま』『おばあたま』って呼んでくれていた。
ザライア兄上が亡くなって、急に帝国が行きが決まった時に、『行かないで』って泣いてくれた。
「リアム、一緒に帝国に帰ろう。皇族の霊廟に入ろうか。私もブルートも入る予定だから、もう淋しくなんてないよ。……なんで、孫のお前が、先に逝くのかなぁ。」
アムールもブルートも止めどなく涙を流し続ける。
『おじいたま、おばあたま』と、言って笑顔で駆け寄ってきた可愛いリアム。
ブルートに抱っこされ、アムールがクッキーを渡す。
『おじいたま、おばあたま、だいちゅき!』
と、また笑顔で言ってくれた。
小さい頃のリアムを思い出しながら、2人はいつまでもリアムの顔を見続けた。
----------
今の作者ではこれが精一杯です。
これじゃない!と思われた方、申し訳ないです。
各人目線は収拾がつかなくて断念しました。話の内容もありきたりな内容になってしまい、ボツにさせていただきました。
少し改稿しました。
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ドガッッ!!!
久しぶりにアダマス王国に帰って来たアムールが先ずしたことは、息子のロベールを思いっきり殴った。
「立て、ロベール。お前は誰かに殴られたかったんだろ?だったら、その役目は私しかいないよな?ブルートに任せてもいいんだが、お前を簡単に死なす訳にはいかないしな。」
ロベールの父であるブルートも怒り心頭で殴りたがっていたが、アムールが止めた。
ブルートもアムールの真意を知って、アムールに譲った。
ヨロヨロと立ち上がったロベールを、アムールは容赦なく2発目を殴る。
そして、倒れたロベールを放って、アムールはロベールの妻キリルの前に立つ。
「私は『家を任せた』とお願いしていったはずだが、コレはどういうこと?」
アムールは優しく微笑みながら、キリルに問う。
キリルは、真っ青な顔でガタガタと震えるばかりで、何も言わない。
いや、言えないのだろう。
10代の頃から戦場を駆け抜けたアムールと、温室育ちのキリルでは、圧倒的に経験値が違うのだから。
「さて、ルーフェス、エドワード、何か言うことはあるか?」
アムールは、『使えないな』とキリルを切り捨て、孫2人に問う。
「「……。」ありません。」
かろうじて答えたのはルーフェス。エドワードもキリルと同じで何も答えられなかった。
「そう。なら、爵位返上して平民になりなさい。ロベール、ルーフェス、エドワードは陰茎切断して、魔力封鎖の腕輪をしろ。子供は絶対に作れないようにする。」
「「「!!」」」
「そっ、そこまでしなくても!」
と、叫んだのはキリルだった。
アムールは、躊躇なくキリルを平手打ちにする。
「ルキゥール帝国舐めてんのか、てめぇは。継承権5位のリアムが自死したんだ。王国の公爵家の一つや二つくらい、普通に潰すだろ。5位だって生まれた順でしかない。リアムが一番最初に産まれたなら、3位だったかもしれない。」
ルーフェスとエドワードに向き直り、
「皇太子の妾になるなら、処置は勘弁してあげるよ。ただ、子供を産む人形になるだけなんだけど、ね。」
と、にんまりと笑いながら伝える。
血筋を残す為であって、間違っても愛情を求めるなと、言外に言い聞かせる。
ルーフェスもエドワードも顔を白くさせながらも、今後の生活の保証ができるのならと、思い悩む。
「……勘違いしているようだから言うけど、今までと同じ生活を送れると思うなよ。明日、答えを聞く。ブルート、ロベールを連れて城に行くぞ。」
と、さっさと立ち去ろうとしたが、
「キリル、実家に行ったところで助けてもらえんぞ。私が潰す家が一つ増えるだけだ。その前に、国自体亡くなるかもしれんがな。」
アムールが城に行っている間に、実家を頼ろうとしても無駄だと、先に教えておく。
一応息子の妻であり、孫の母でもあったから、親切に教えてあげた。
キリルはその言葉で、地面に崩れるようにしゃがみ込むしかなかった。
「で、何か言い訳はあるかい?」
アダマス国王、王妃、宰相、フレデリックとアムールは対峙する。
今のアムールの肩書は、前公爵夫人ではない。ルキゥール帝国皇帝代理として、王宮に来ていた。
国王以下は、顔の腫れたロベールを見て言葉を失っていた。
「こ、こちらの落ち度により、この度は、」
「そういうのはいいよ。帝国としては、継承権を持つ者をむざむざと殺されてしまった。その損害の落とし前は、どうつけるのさ。」
「ち、違う!リアムは自ら」
「その環境を作り上げた一因は、お前だろ。青二才が口を挟んでくるな。」
アムールは、フレデリックの言い訳も最後まで聞かずに切り捨てる。
「カイル兄上、ザライア兄上と亡くし、私が帝国に戻らなくてはいけなくて、夫は私に付いてくると、息子に爵位を譲ることになった。それがこの結末とは、私でも予想しなかったよ。東の国を挟んだだけで、帝国の脅威は薄らいでいたんだろうか?それともロベールがいれば、脅威は免れるとでも思ったのか?」
「そ、そのようなことは微塵にも」
「だよね。帝国が瓦解したら、アダマスも無事ではないからね。帝国がこの大陸の支えになっているから、恩恵を受けられるんだもんねぇ。」
アムールの言葉で顔色を悪くする大人3人と、意味が全く理解できないフレデリック。
それに気付いたアムールは、
「お前らは、王族としてそのバカの教育を怠っていたのか?たかがリヴィアサンを倒したくらいで『英雄』とは笑える。」
クックッと笑いなら言う。
「我が帝国は海に面していないけど、ベヒモスもフェニックス、ドラゴンもいる。騎士団総長なら、一人で倒せる。なら、我が帝国の騎士団総長の方が『英雄』というに相応しいと思わないか?」
フレデリックはやっとバカにされたとわかり、顔をカッと赤らめる。
「皇族は、この大陸自体を血統魔法で支えているんだよ。人が住むのに適さないこの大陸に、水、土の恩恵を与えているのが皇族だ。だから嫁いだ私ですら、まだ継承権はあるんだよ。」
頭の悪そうなフレデリックに、アムールは簡単に説明をする。
王族ならきちんと教育されているはずのことを皇族自らの説明により、更に国王以下は顔色を悪くする。
それでもフレデリックは理解しようとはしなかった。
「何故初代アダマス王に皇族が嫁いだのか、勉強しなかったのか?…ああ、だから、リアムにあのような仕打ちができたんだな。なるほど。では、お前に教えてやろう。あと5年もしないうちにアダマスでは、宝石が採れなくなる。断言してもいい。」
アムールはニヤニヤと笑いながら言う。
これには国王達も驚く。
「リアムは思いの外皇族の血統魔法が強かったみたいだね。リアムが生まれてから、宝石の産出が増えたんじゃない?そのリアムが自死した。しかもこの国で。初代王妃の魔法は、リアムの自死により消滅しただろうね。あと5年で宝石に代わる特産品を作らないと、国自体潰れるねぇ。」
ただの預言とも言えなくないアムールの言葉。でも、大陸一の魔力を持つ皇帝の次に強い魔力を持っている継承権1位のアムールの言葉だから、魔法の話となれば聞き捨ててもおけない。
「国を守ったはずの英雄達は、実は国を破滅に導く愚者だったとは、国民はどう思うかな?いやぁ、愉快だねぇ。」
周りは青褪めていく中、アムールは一人笑っている。
「さて、陛下より、今回の件で慰謝料を頂戴したいと、書状を預かっております。継承権5位を見殺しにされ、それに伴い2~4位は継承権剥奪が決まりました。ただでさえ少ない継承者を、このようにした報いは受けていただきたい、とのことです。」
と、皇帝より預かっていた書状を国王に渡した。
内容を確認した国王は、驚愕した。
要約すると、国家予算の20年分の金額、国宝と呼ばれる宝石等を寄越せと書かれてあった。
「拒否権はないよ。初代の盟約は破れたんだから。バカ共の行いによってね。」
ニコニコと笑うアムール。
「一応1年以内なら分割は応じるから。1年経っても支払いがないなら、……ねぇ。いや、言わなくても国王なら、わかるよね?」
「…くっ、了承、した。」
苦しげに国王は言う。
アムールの手によって、帝国周辺諸国の王家が亡くなった数を考えれば、今更一つ増えても誤差の範囲でしかない。
「「陛下!」」
王妃と宰相は、国王の決断に対して不満があるみたいだけど、アムールの知ったことではない。
「即断してくれて助かるよ。お礼に耳寄りな情報をあげよう。聖者だっけ?今、妊娠しているよ。」
ふふっと笑いながら、アムールは言う。
「教会の奥に自由に出入りできるから、興味本意で核を盗んで、試したらしいけど、誰の子だろうね?そこのバカ以外にも、仲間だった人達とも寝てるらしいから。ちなみにうちの孫は『結婚するまでは』と、拒否していたみたいだから、皇族の血は入っていないようで助かったよ。今時の聖者は、娼夫よりタチが悪いね。聖者というよりは、淫売の方が似合うな。……さて、あとは王族の問題だから、私達は帰るね。そのバカの処分は任せるよ。でも絶対に簡単に殺さないで欲しいな。リアムも長い時間苦しい思いをしたんだから、同じくらい苦しまないと罰にもならないよね?」
アムールはそう言って立ち上がり、ブルートはロベールを引きずって、またさっさと王宮を立ち去って行った。
部屋に残された国王達は、難題ばかりを残され呆然とし、フレデリックは聖者ルテウスの淫行に驚き、愕然としていた。
アダマスに到着するまでに、学園でリアムの名を騙って悪行をした者達、王宮にてリアムを害した者達は洗い出して、帝国より抗議と慰謝料を請求してある。
中でもリアムの名誉を、尊厳を傷つけた者は、今頃帝国の暗部によって、拷問を受けているだろう。『生かさず殺さず狂わさず』を伝えてあるから、1年くらいは持つかなと考える。
公爵家の従者、使用人についても、処罰はもう済んでいる。
英雄達も先行きは暗いだろう。
アムールが何もしなくても自滅しそうなので、わざわざ手を出すまでもない。
明朝、孫達の返事を待たずに帝国に戻る予定だ。
愚か者を連れて帝国に戻ることはしない。
公爵家に戻り、ロベールを執務室に押し込めて、爵位返上から領地経営などの諸々の手続きをさせる。それが終わったら、孫と共に処置をして、平民として寒村に一家を放り込む予定だ。
アムールとブルートは、別邸に戻らず、リアムの遺体が安置されている部屋に行く。
教会が自死した者の葬儀は行えないと拒否したため、未だ墓地に埋葬できなくて、屋敷に安置されていた。
アダマスの教会にも、近いうちに何らかの処罰を行う予定だ。
腐敗しないように、氷魔法に覆われており、部屋に入るととても寒かった。
しかし、アムールとブルートはそんな寒さを気にせずに、リアムに近づく。
「バカだね。なんで、私達を頼ってくれなかったの。」
と、穏やかなリアムの顔を見て、アムールは泣き出した。
ブルートもアムールの肩を抱きながら、一緒に涙する。
ここでやっと2人は、リアムを悼むことができた。
最後に会ったのは、まだ5歳だった。
ちょっと舌足らずで『おじいたま』『おばあたま』って呼んでくれていた。
ザライア兄上が亡くなって、急に帝国が行きが決まった時に、『行かないで』って泣いてくれた。
「リアム、一緒に帝国に帰ろう。皇族の霊廟に入ろうか。私もブルートも入る予定だから、もう淋しくなんてないよ。……なんで、孫のお前が、先に逝くのかなぁ。」
アムールもブルートも止めどなく涙を流し続ける。
『おじいたま、おばあたま』と、言って笑顔で駆け寄ってきた可愛いリアム。
ブルートに抱っこされ、アムールがクッキーを渡す。
『おじいたま、おばあたま、だいちゅき!』
と、また笑顔で言ってくれた。
小さい頃のリアムを思い出しながら、2人はいつまでもリアムの顔を見続けた。
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今の作者ではこれが精一杯です。
これじゃない!と思われた方、申し訳ないです。
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