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公爵アイザック
アイザック1
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キラリと輝く切っ先と、恐ろしい程の美しい笑み。
クルクルと自分の一部かのようにナイフを回し、その輝きに汗が滲んだ。
「さあ、あなた?どういうことなのか、話していただけますわよね?ああ、もちろん。わたくしを納得させることが出来なかったら、それ切り落としますわよ?」
妻の視線が下半身に向く。
うふふふと弧を描く唇と、ギラリと光る鋭い目の対照的な感情に、夫であり筆頭公爵家の公爵家当主であり、現国王の従兄弟であるアイザックは、自分の分身がきゅっと縮こまるのを感じた。
妻――シャラリーニャの本気が伝わる。
「あ、ああ…もちろんだとも!夫婦の間に隠し事はないと――…」
ひゅっ――、ドス!
短く風を切る音と、ナイフの刺さる音。
後方で夫婦の肖像画の自分の下半身の一点にナイフが突き刺さった。
背に冷たい汗が流れた。
怖い、怖すぎる。
「あら、わたくしったら…手が滑ってしまいましたわ?」
扇子で口元を隠しながら微笑む妻、その目は笑っていない事くらい理解している。
自分の分身の命どころか、本体アイザックの命の危機を感じた。
アイザックとシャラリーニャは貴族には珍しい恋愛結婚だ。
少なくてもシャラリーニャはそう思っている。
もともと、時期宰相として王宮内に出入りしているときに女騎士として前王妃、現王太后の騎士として仕えていたシャラリーニャをアイザックが見初めたのが二人の始まり――、と大概の人は思っている。
ただ事実は少し違う。
実のところ、アイザックはシャラリーニャが知らないだけで、以前から彼女の事を知っていた。
彼女を知ったのは、アイザックが十六、シャラリーニャが十四の頃。
少し補足しておくと、シャラリーニャが正式にアイザックと顔を合わせたのが十八なので、四年以上も前からアイザックに知られていた。
というのも、実はシャラリーニャは男子界隈ではかなり有名な美少女だったからだ。
年のわりに発達のいい、胸と尻。
下世話な会話には必ず登場するものの、それはあくまでもひっそりと。
なにせ、武芸家系の女。
当時から武芸に優れ、恐ろしい程腕もたつ。こんな下世話な話が耳に入った日には、色んな意味で人生終わる。
そしてアイザックも例にもれず、その胸に惹かれていた。
さて、このアイザックは金髪碧眼の見た目は完璧男として名をはせていた。もちろん、見た目だけでなく頭脳も優秀であった。
そして、彼がひそかに自慢だったのはその目の良さ。何キロも先のものも見えるのだ。
優秀な特技とも言えた。
そして、その無駄にいい目の良さで、遠目から女性の胸を眺め放題していた。
遠くから、じっくりと眺めても誰も何も言わない。というか気付かれない。
素晴らしい女性の胸の数々をその目に納めてきた。
つまるところ、アイザックは胸フェチだった。
ただし、胸が好きな男なんて大勢いる。
特別変態気質、という訳ではない。
しかし、アイザックは誰よりもその上を言っていた。
目の良さと鋭い観察眼という無駄に有り余る才能で、服の上からでもたゆんたゆんと揺れる胸を見れば、その胸の大きさ形張りなどを正確に見抜けるようになっていた。
そして、決意していた。
自分は胸に妥協しないと。
結婚相手は好みの胸を持つ令嬢にすると。
最低である。
そして、その最有力候補がシャラリーニャだった。
クルクルと自分の一部かのようにナイフを回し、その輝きに汗が滲んだ。
「さあ、あなた?どういうことなのか、話していただけますわよね?ああ、もちろん。わたくしを納得させることが出来なかったら、それ切り落としますわよ?」
妻の視線が下半身に向く。
うふふふと弧を描く唇と、ギラリと光る鋭い目の対照的な感情に、夫であり筆頭公爵家の公爵家当主であり、現国王の従兄弟であるアイザックは、自分の分身がきゅっと縮こまるのを感じた。
妻――シャラリーニャの本気が伝わる。
「あ、ああ…もちろんだとも!夫婦の間に隠し事はないと――…」
ひゅっ――、ドス!
短く風を切る音と、ナイフの刺さる音。
後方で夫婦の肖像画の自分の下半身の一点にナイフが突き刺さった。
背に冷たい汗が流れた。
怖い、怖すぎる。
「あら、わたくしったら…手が滑ってしまいましたわ?」
扇子で口元を隠しながら微笑む妻、その目は笑っていない事くらい理解している。
自分の分身の命どころか、本体アイザックの命の危機を感じた。
アイザックとシャラリーニャは貴族には珍しい恋愛結婚だ。
少なくてもシャラリーニャはそう思っている。
もともと、時期宰相として王宮内に出入りしているときに女騎士として前王妃、現王太后の騎士として仕えていたシャラリーニャをアイザックが見初めたのが二人の始まり――、と大概の人は思っている。
ただ事実は少し違う。
実のところ、アイザックはシャラリーニャが知らないだけで、以前から彼女の事を知っていた。
彼女を知ったのは、アイザックが十六、シャラリーニャが十四の頃。
少し補足しておくと、シャラリーニャが正式にアイザックと顔を合わせたのが十八なので、四年以上も前からアイザックに知られていた。
というのも、実はシャラリーニャは男子界隈ではかなり有名な美少女だったからだ。
年のわりに発達のいい、胸と尻。
下世話な会話には必ず登場するものの、それはあくまでもひっそりと。
なにせ、武芸家系の女。
当時から武芸に優れ、恐ろしい程腕もたつ。こんな下世話な話が耳に入った日には、色んな意味で人生終わる。
そしてアイザックも例にもれず、その胸に惹かれていた。
さて、このアイザックは金髪碧眼の見た目は完璧男として名をはせていた。もちろん、見た目だけでなく頭脳も優秀であった。
そして、彼がひそかに自慢だったのはその目の良さ。何キロも先のものも見えるのだ。
優秀な特技とも言えた。
そして、その無駄にいい目の良さで、遠目から女性の胸を眺め放題していた。
遠くから、じっくりと眺めても誰も何も言わない。というか気付かれない。
素晴らしい女性の胸の数々をその目に納めてきた。
つまるところ、アイザックは胸フェチだった。
ただし、胸が好きな男なんて大勢いる。
特別変態気質、という訳ではない。
しかし、アイザックは誰よりもその上を言っていた。
目の良さと鋭い観察眼という無駄に有り余る才能で、服の上からでもたゆんたゆんと揺れる胸を見れば、その胸の大きさ形張りなどを正確に見抜けるようになっていた。
そして、決意していた。
自分は胸に妥協しないと。
結婚相手は好みの胸を持つ令嬢にすると。
最低である。
そして、その最有力候補がシャラリーニャだった。
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∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
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