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6.いつから好きか
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「大丈夫?」
「は、い……」
少し苦し気な声音にどこか満足しつつ、僕はゆっくりアンジェに覆いかぶさった。
*** ***
僕は、紳士にはなれない、似非紳士だとはっきりと知った。
大事にしたいのに、そこにどうぞ食べて下さいと言わんばかりに好物が置いてあって、我慢する事が出来ずに、最終的に食らいついていた。
発情駄犬と言われても仕方がない所業だけど、でも、誰だって僕みたいになると信じてる。
好きな相手が、ベッドの上で裸になって誘惑してきたら、ほいほい乗ってしまうんだよ。
いや、ごめん。
言い訳です。
だって、アンジェ可愛すぎなんだよ! 美人で可愛いって最強コンビでしょ!? 上目づかいで、強請られたら、即陥落しちゃうの分かるでしょ!?
手が早いとか、告白して即ベッドインのくそ野郎とか、言われても仕方がない。ただし、罪悪感があっても後悔はしていない。
そして、アンジェがかわいくて途中でやめられないことくらい察してください。
とまあ、紳士ぶりながらも最終的に、アンジェの思惑? に乗ってしまった我慢でのできない僕だけど、アンジェを可愛がった後に、どうしても気になってしまうのはアンジェの行動だ。
何かきっかけがなければ、動くことは無かったはず。
でも、ここで聞くのも相当野暮な気がする。
それくらいは空気読む。
そんなわけで、疲れてきっているアンジェを甲斐甲斐しく世話をして、アンジェの横に滑り込む。
そして、胸の方にアンジェを抱き寄せると、おずおずとアンジェが身を寄せてきて、ムラムラしてしまった。
ここはさすがに意思の力で何とかしたけど、アンジェが何か言いたいような感じで見上げて来たので、アンジェが話し出すまでせかさず待つ。
「あの、わたくしの事嫌いになりました?」
「全然? むしろアンジェが嫌いになった? 恥ずかしいけど、がっついていた自覚あるし……」
「それはありません! むしろ! むしろ……もっとしていただいても……」
なんてこと言うんだと、手で顔を覆う。
そんな事を言われたら、次はもっと頑張るしかない。
むしろ、今まさに反応しかかっている愚息をどうすればいいのか。
「あのさ、アンジェ。すごくうれしいんだけど、もうちょっと自覚してほしいかなぁ」
僕は、世の平均的男性に比べたら淡白寄りかも知れないけど、こんな美人で可愛い女性に誘われれば、元気になるくらいには、健康的な成人男性なのだ。
「あの……このような事を聞くのはどうかと思いますが、わたくしで満足できますか?」
「満足も何も、僕は学校に通っていた時からアンジェの事がタイプだから、今問題なく満ち足りているよ」
「それは、本当ですか?」
「本当だけど?」
その答えにほっとしたような顔で、僕に微笑んだ。
どうしてそんな事気になるのかわからないけど、女性の心理というものは難しい。
でも、好きな相手を満足させたいという気持ちは分かる。
「わたくしは、てっきりシエラ令嬢のような方が好みなのだと思っておりまして……」
「……さっきから思ってたけど、どうしてシエラ嬢の事が気になるの? 王太子殿下の事が忘れられないから?」
じっとアンジェの事を見下ろすと、アンジェは即座に否定する。
「違います! エーリッヒ様がシエラ令嬢に未だにこころを残していらっしゃるようでしたので……それで――」
「え? 僕、シエラ嬢のことなんてどうとも思っていないけど……」
「しかし、先ほど居間でシエラ令嬢の事が心配だと――……」
「ええ? そんな事言ってないけど――……もしかして、あの時の話? それなら友人の事が心配かって聞かれたから、心配だって答えただけだよ!」
驚いたように、お互いを見て、アンジェが盛大な勘違いをしていた事が分かった。
「そ、そうなんですね……わたくし、勘違いをしてしまって……」
もそもそと言うアンジェに、僕はせっかくだからと聞きたいことを聞くことにした。
「僕も聞きたいことがあるんだけど……」
「な、なんですか?」
「いつから僕の事好きだったの?」
これ、最大の疑問。
好かれてはいるなーとは思っていた。
でも、それは異性ではなく友人のような、家族のような愛情だと思っていた。
そんな風に思っているところが、僕が鈍感である所以なのだけど、ちょっと気になったのだ。
僕自身は、一緒に暮らし始めてから、自覚し始めていたところだったけど、アンジェは果たしてどうなのか。
答えを待っていると、アンジェはどこか覚悟したように口を開いた。
「は、い……」
少し苦し気な声音にどこか満足しつつ、僕はゆっくりアンジェに覆いかぶさった。
*** ***
僕は、紳士にはなれない、似非紳士だとはっきりと知った。
大事にしたいのに、そこにどうぞ食べて下さいと言わんばかりに好物が置いてあって、我慢する事が出来ずに、最終的に食らいついていた。
発情駄犬と言われても仕方がない所業だけど、でも、誰だって僕みたいになると信じてる。
好きな相手が、ベッドの上で裸になって誘惑してきたら、ほいほい乗ってしまうんだよ。
いや、ごめん。
言い訳です。
だって、アンジェ可愛すぎなんだよ! 美人で可愛いって最強コンビでしょ!? 上目づかいで、強請られたら、即陥落しちゃうの分かるでしょ!?
手が早いとか、告白して即ベッドインのくそ野郎とか、言われても仕方がない。ただし、罪悪感があっても後悔はしていない。
そして、アンジェがかわいくて途中でやめられないことくらい察してください。
とまあ、紳士ぶりながらも最終的に、アンジェの思惑? に乗ってしまった我慢でのできない僕だけど、アンジェを可愛がった後に、どうしても気になってしまうのはアンジェの行動だ。
何かきっかけがなければ、動くことは無かったはず。
でも、ここで聞くのも相当野暮な気がする。
それくらいは空気読む。
そんなわけで、疲れてきっているアンジェを甲斐甲斐しく世話をして、アンジェの横に滑り込む。
そして、胸の方にアンジェを抱き寄せると、おずおずとアンジェが身を寄せてきて、ムラムラしてしまった。
ここはさすがに意思の力で何とかしたけど、アンジェが何か言いたいような感じで見上げて来たので、アンジェが話し出すまでせかさず待つ。
「あの、わたくしの事嫌いになりました?」
「全然? むしろアンジェが嫌いになった? 恥ずかしいけど、がっついていた自覚あるし……」
「それはありません! むしろ! むしろ……もっとしていただいても……」
なんてこと言うんだと、手で顔を覆う。
そんな事を言われたら、次はもっと頑張るしかない。
むしろ、今まさに反応しかかっている愚息をどうすればいいのか。
「あのさ、アンジェ。すごくうれしいんだけど、もうちょっと自覚してほしいかなぁ」
僕は、世の平均的男性に比べたら淡白寄りかも知れないけど、こんな美人で可愛い女性に誘われれば、元気になるくらいには、健康的な成人男性なのだ。
「あの……このような事を聞くのはどうかと思いますが、わたくしで満足できますか?」
「満足も何も、僕は学校に通っていた時からアンジェの事がタイプだから、今問題なく満ち足りているよ」
「それは、本当ですか?」
「本当だけど?」
その答えにほっとしたような顔で、僕に微笑んだ。
どうしてそんな事気になるのかわからないけど、女性の心理というものは難しい。
でも、好きな相手を満足させたいという気持ちは分かる。
「わたくしは、てっきりシエラ令嬢のような方が好みなのだと思っておりまして……」
「……さっきから思ってたけど、どうしてシエラ嬢の事が気になるの? 王太子殿下の事が忘れられないから?」
じっとアンジェの事を見下ろすと、アンジェは即座に否定する。
「違います! エーリッヒ様がシエラ令嬢に未だにこころを残していらっしゃるようでしたので……それで――」
「え? 僕、シエラ嬢のことなんてどうとも思っていないけど……」
「しかし、先ほど居間でシエラ令嬢の事が心配だと――……」
「ええ? そんな事言ってないけど――……もしかして、あの時の話? それなら友人の事が心配かって聞かれたから、心配だって答えただけだよ!」
驚いたように、お互いを見て、アンジェが盛大な勘違いをしていた事が分かった。
「そ、そうなんですね……わたくし、勘違いをしてしまって……」
もそもそと言うアンジェに、僕はせっかくだからと聞きたいことを聞くことにした。
「僕も聞きたいことがあるんだけど……」
「な、なんですか?」
「いつから僕の事好きだったの?」
これ、最大の疑問。
好かれてはいるなーとは思っていた。
でも、それは異性ではなく友人のような、家族のような愛情だと思っていた。
そんな風に思っているところが、僕が鈍感である所以なのだけど、ちょっと気になったのだ。
僕自身は、一緒に暮らし始めてから、自覚し始めていたところだったけど、アンジェは果たしてどうなのか。
答えを待っていると、アンジェはどこか覚悟したように口を開いた。
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