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倉田エミの事情
第1章 調査依頼
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「1年D組の倉田エミについての情報が欲しいんですけど・・・」
その日、ある男子生徒から私達諜報部に調査依頼がきた。依頼者は1年A組の保科史弘君。見た目と話し方からは、優等生タイプで大人しい感じの印象を受けた。黒縁メガネと優しそうな顔立ちが、より一層優等生的イメージを与えてくれる。きっと自宅の本棚には参考書がズラ~っと並んでいて、学級委員とかもやっているんだろうな~なんて勝手に想像してしまった。
1年A組ということは私の隣のクラスなんだけど、彼とは話した事も無いし、その存在自体を私は今日迄知らなかった。
「オーケー、引き受けましょう」
そう軽く受け答えるのは、諜報部の部長である岡隆雄。私の1年先輩で2年A組所属。ひょろっとした長身痩躯、面長でもみあげが長い。東郷学園の生徒なんだけど、何故か制服じゃなくてスーツを着ている。もし赤いジャケットを着ていたら、まるでルパンみたいに見えるんだろう。
「コレ、料金表ね。情報収集の精度に合わせて金額が変わるから」
そう言って依頼料の説明をしているのは深山楓。彼も私の1年先輩で、岡隆雄と同じ2年A組所属。茶色い長髪に整った顔立ちと均整の取れた体格。その見た目からは、何となくチャラそうな印象を受けるけど、意外なことにテコンドーをやっているそうだ。彼も制服ではなくスーツ姿。こっちのルックスは、例えるならホスト系かな?
そして私は城ヶ崎朋子。1年B組。先月福岡から東京に引っ越しして、この学園に転校してきたばかり。まだ東郷学園のことをよく分かっていないうちに、半ば強引に、不本意な形でこの諜報部の部員になってしまったんだ。
諜報部とはいっても、本格的なスパイ映画のような事はやっていないし(たかが高校生なので当たり前だけど)、もちろん学園公認の部活動じゃない。その存在は、学園内の大多数の人が知っているようだけど、学園非公認の同好会的な位置付けのようだ。そんな訳で顧問の先生もいないし部室も無いから、基本的には放課後誰もいない視聴覚室を拠点に活動している。
そんな諜報部の具体的な活動内容としては、学園内での情報収集と情報操作が主なところ。「好きな人の事を知りたい!」とか「変な噂が広まっていて困っている!」とか、そういった依頼に対して情報戦を繰り広げている・・・らしい。部長である岡の話を聞く限りは。
まぁ、私の認識としては、学園内の便利屋、何でも屋的なイメージだ。
依頼者が去った後の視聴覚室、私達は今回の依頼に対する打ち合わせを始めた。いつも通り、部長の岡がリードしてしゃべり始める。
「じゃあ、現時点での情報を整理しよう。今回のターゲットは1年D組の倉田エミ。俺達のデータベースには情報が無い生徒だな。依頼者の保科史弘は、倉田エミに好意を抱いていて、可能な限り情報を収集して欲しいと依頼してきた・・・っと」
そう言いながら、岡はノートパソコンのキーを打っている。コレは東郷学園の備品ではなく、岡の私物であって、過去の調査依頼で収集した数百人分のデータがストックされているらしい。コレって、法的にどうなんだろう?やっぱアウトなんじゃないんだろうか?
ちなみに、その数百人分のデータの中には、私の情報も含まれている。
「城ヶ崎さん、D組に友達とかいないかな?」
岡にそう尋ねられたが、まだ転校したばかりで、ようやく自分のクラスに馴染んできたところなのに、他のクラスに友達なんかいる訳がない。
「いや~、D組に友達はいないですねぇ・・・」
と、苦笑しながら答えると、今度は深山が、
「城ヶ崎さんは、まだ転校して1ヶ月ぐらいだよね。その立場を上手く利用出来ないかな?」
なんて提案してきた。
「利用するっていうと?」
どういう事かと問いかけると、
「まだこの学校の事がよく分からないから、職員室の場所はどこ?とか、何か適当な理由で話しかけるとかさ」
続けて岡も、
「城ヶ崎さんには究極の方向音痴という特技がある訳だし、その線でターゲットに接近出来るな」
なんて言って頷いている。究極の方向音痴だなんて失礼な!・・・でも、実際私が方向音痴なのは確かなことだ。さすがに転校して1ヶ月も経つと、もう慣れちゃったけど、転校初日なんか、昼休みに中庭から教室に戻ろうとしたら、さんざん道に迷った挙げ句、何故か校舎の屋上に出てしまっていたしなぁ・・・。初めての場所では必ず道に迷う。これが私の不本意な特技である。
「道を尋ねるのはいいとして、その後はどうするんですか?教えてくれてありがとう~って、それで終わっちゃいそうですけど」
知らない人に話しかけるだけでもドキドキもんなのに、個人情報を引き出そうだなんて、私に出来るんだろうか?そんな不安が頭をよぎった。
でも、そんな私の不安にはお構い無しに、岡は気楽そうに話を進める。
「まぁまぁ、そこは城ヶ崎さんのコミュニケーションスキルで上手い事やってよ。とりあえず楓はいつも通り、周辺人物から情報を収集してくれ。俺は学園のサーバをハッキングして、基本的な情報を固めておくから」
そんなことをサラリと言ってのける。学園のサーバをハッキングって、本当に高校生なのか?と疑ってしまった・・・。少なくとも、普通の高校生ではないな・・・。
私立東郷学園、生徒総数およそ五百人。偏差値は都内の平均辺りで、文化系、体育会系を問わず、部活動も盛ん。最近は女子野球部なんかも結構話題になっているようだ。
自由な校風が売りで、個性的な生徒が多数在籍しているらしい。まぁ、諜報部なんてのが存在している事からもそれは分るだろう。
入学試験には普通教科のテストとは別に、高校では珍しい一芸入試制度を導入している事でも知られている。私は特にこれといった特技も無かったので(一応、料理が得意ではあるけど、アピールするには弱いし、岡が言う究極の方向音痴なんてのは本来特技と言わないもんね)、普通に編入テストを受けて合格したんだけど、この諜報部の二人、岡と深山は、一体どういう風に入試を突破したんだろう?さすがに入学試験の時に「諜報部を作りたいです」なんて事は言わなかっただろうけど。てゆーか、何で諜報部なんて作ったんだろう?学校の部活動でやる内容じゃないよねぇ?
翌日、私はターゲットである倉田さんと接触するべく、休み時間にD組の前をウロチョロしていた。ポケットには岡から借りたボイスレコーダーとデジカメが入っていて、コイツで倉田さんとの会話を録音し、チャンスがあれば隠し撮りするよう言われているのだ。
今は休み時間だから教室を出入りする生徒は大勢いるけど、お目当ての倉田さんが中々出て来ない(出入りする女子の名札をくまなくチェックしている)。あぁ~、じれったいけど、出来れば出て来ないで欲しいような、何だか複雑な気分だ。今回のターゲットは同じ学年だからまだいいけど、上級生が相手だとやりづらいんだろうなぁ~。
廊下からD組の中を覗くと、女子が数人集まっておしゃべりしている様子が見える。そもそも、どの人が倉田さんなんだろう?
依頼者である保科君は、倉田さんの情報を手に入れたら告白とかするんかな?やっぱ倉田さんの事を好きで、情報欲しさに諜報部へ依頼してきた訳だし。そう考えると、ちょっと応援したいような、でも諜報部に調査依頼をするのってどうよ?って気もしなくもないけど・・・。
「城ヶ崎さん、調子はどう?」
ふと、声をかけられて気付いたんだけど、いつの間にか横に深山が立っていた。そういえば彼は、周辺人物から情報を集める役割なんだっけ。
「あ~、イヤ、まだ接触出来てないです・・・」
何だかちょっと情けないような、申し訳ないような気分になってしまった。やはりここは、もっと自分から積極的に動いて、早く倉田さんと接触するべきなんだろうか?
「まぁそう気張らないで、肩の力を抜いてリラックスしてね。あくまで自然体で接近するようにお願い」
「はぁ・・・」
深山にそう言われたけど、自然体でなんて出来るんだろうか?私、別に演技力がある訳でもないしなぁ・・・。岡が「コミュニケーションスキルで~」なんて言っていたけど、それについても自信が無い。私って、自分から積極的に友達を増やすタイプじゃないし。同じクラスの人とだって、まだそんなに親しくなっている訳じゃないのになぁ~。
ところで、深山の方はどうなんだろう?調査、進んでいるんかな?
「深山さんはどうなんですか?調査、進んでます?」
そう尋ねてみると、
「ある程度の人間関係とかは分ってきたよ。あ、ちなみに、あそこにいる茶髪でポニーテールの子。あの子が倉田エミだから」
深山はそう言って、D組の中にいる女子の集団の方を指差す。茶髪でポニーテールの子っていうと・・・、あ~、あの人が倉田さんなのね。遠目に見ても、結構カワイイ人だなぁ~。明るく活発な感じがするし、たぶん友達も多いんだろう。
D組の女子の集団、その中で中心になってしゃべっている人がいた。会話の内容までは分らないけど、よく笑い、よく頷き、表情がコロコロ変わっている。今回の依頼者である保科君は、あの人の事が好きなのね。何か納得してしまう程カワイイ人だ。
「隆雄の方は、ちょっとハッキングに手間取っているらしい。どうやら学園側に、システムのセキュリティを強化されちゃったみたいだね。まぁ、隆雄にかかれば時間の問題だろうけど」
深山はこんな事を軽く言ってのける。つくづく、とんでもない高校生だなぁ~と思った。こんな人達の仲間に入って、私は本当に大丈夫なんだろうか?やっている事が全部学園にバレたら、内申点とかにも響きそうだし、最悪、停学とか退学とかになるんじゃないんだろうか?岡と深山はその辺り、どういう風に考えているんだろう?
「おっと、もうすぐ休み時間が終わるよ。じゃぁ、焦らず確実に、頑張ってね」
そう言って深山は立ち去った。私もここらで一旦引き上げるとするかな~。
帰り際、D組の中を覗くと、まだ倉田さん達はおしゃべりを続けていた。う~ん、上手く出来るんだろうか?
その日、ある男子生徒から私達諜報部に調査依頼がきた。依頼者は1年A組の保科史弘君。見た目と話し方からは、優等生タイプで大人しい感じの印象を受けた。黒縁メガネと優しそうな顔立ちが、より一層優等生的イメージを与えてくれる。きっと自宅の本棚には参考書がズラ~っと並んでいて、学級委員とかもやっているんだろうな~なんて勝手に想像してしまった。
1年A組ということは私の隣のクラスなんだけど、彼とは話した事も無いし、その存在自体を私は今日迄知らなかった。
「オーケー、引き受けましょう」
そう軽く受け答えるのは、諜報部の部長である岡隆雄。私の1年先輩で2年A組所属。ひょろっとした長身痩躯、面長でもみあげが長い。東郷学園の生徒なんだけど、何故か制服じゃなくてスーツを着ている。もし赤いジャケットを着ていたら、まるでルパンみたいに見えるんだろう。
「コレ、料金表ね。情報収集の精度に合わせて金額が変わるから」
そう言って依頼料の説明をしているのは深山楓。彼も私の1年先輩で、岡隆雄と同じ2年A組所属。茶色い長髪に整った顔立ちと均整の取れた体格。その見た目からは、何となくチャラそうな印象を受けるけど、意外なことにテコンドーをやっているそうだ。彼も制服ではなくスーツ姿。こっちのルックスは、例えるならホスト系かな?
そして私は城ヶ崎朋子。1年B組。先月福岡から東京に引っ越しして、この学園に転校してきたばかり。まだ東郷学園のことをよく分かっていないうちに、半ば強引に、不本意な形でこの諜報部の部員になってしまったんだ。
諜報部とはいっても、本格的なスパイ映画のような事はやっていないし(たかが高校生なので当たり前だけど)、もちろん学園公認の部活動じゃない。その存在は、学園内の大多数の人が知っているようだけど、学園非公認の同好会的な位置付けのようだ。そんな訳で顧問の先生もいないし部室も無いから、基本的には放課後誰もいない視聴覚室を拠点に活動している。
そんな諜報部の具体的な活動内容としては、学園内での情報収集と情報操作が主なところ。「好きな人の事を知りたい!」とか「変な噂が広まっていて困っている!」とか、そういった依頼に対して情報戦を繰り広げている・・・らしい。部長である岡の話を聞く限りは。
まぁ、私の認識としては、学園内の便利屋、何でも屋的なイメージだ。
依頼者が去った後の視聴覚室、私達は今回の依頼に対する打ち合わせを始めた。いつも通り、部長の岡がリードしてしゃべり始める。
「じゃあ、現時点での情報を整理しよう。今回のターゲットは1年D組の倉田エミ。俺達のデータベースには情報が無い生徒だな。依頼者の保科史弘は、倉田エミに好意を抱いていて、可能な限り情報を収集して欲しいと依頼してきた・・・っと」
そう言いながら、岡はノートパソコンのキーを打っている。コレは東郷学園の備品ではなく、岡の私物であって、過去の調査依頼で収集した数百人分のデータがストックされているらしい。コレって、法的にどうなんだろう?やっぱアウトなんじゃないんだろうか?
ちなみに、その数百人分のデータの中には、私の情報も含まれている。
「城ヶ崎さん、D組に友達とかいないかな?」
岡にそう尋ねられたが、まだ転校したばかりで、ようやく自分のクラスに馴染んできたところなのに、他のクラスに友達なんかいる訳がない。
「いや~、D組に友達はいないですねぇ・・・」
と、苦笑しながら答えると、今度は深山が、
「城ヶ崎さんは、まだ転校して1ヶ月ぐらいだよね。その立場を上手く利用出来ないかな?」
なんて提案してきた。
「利用するっていうと?」
どういう事かと問いかけると、
「まだこの学校の事がよく分からないから、職員室の場所はどこ?とか、何か適当な理由で話しかけるとかさ」
続けて岡も、
「城ヶ崎さんには究極の方向音痴という特技がある訳だし、その線でターゲットに接近出来るな」
なんて言って頷いている。究極の方向音痴だなんて失礼な!・・・でも、実際私が方向音痴なのは確かなことだ。さすがに転校して1ヶ月も経つと、もう慣れちゃったけど、転校初日なんか、昼休みに中庭から教室に戻ろうとしたら、さんざん道に迷った挙げ句、何故か校舎の屋上に出てしまっていたしなぁ・・・。初めての場所では必ず道に迷う。これが私の不本意な特技である。
「道を尋ねるのはいいとして、その後はどうするんですか?教えてくれてありがとう~って、それで終わっちゃいそうですけど」
知らない人に話しかけるだけでもドキドキもんなのに、個人情報を引き出そうだなんて、私に出来るんだろうか?そんな不安が頭をよぎった。
でも、そんな私の不安にはお構い無しに、岡は気楽そうに話を進める。
「まぁまぁ、そこは城ヶ崎さんのコミュニケーションスキルで上手い事やってよ。とりあえず楓はいつも通り、周辺人物から情報を収集してくれ。俺は学園のサーバをハッキングして、基本的な情報を固めておくから」
そんなことをサラリと言ってのける。学園のサーバをハッキングって、本当に高校生なのか?と疑ってしまった・・・。少なくとも、普通の高校生ではないな・・・。
私立東郷学園、生徒総数およそ五百人。偏差値は都内の平均辺りで、文化系、体育会系を問わず、部活動も盛ん。最近は女子野球部なんかも結構話題になっているようだ。
自由な校風が売りで、個性的な生徒が多数在籍しているらしい。まぁ、諜報部なんてのが存在している事からもそれは分るだろう。
入学試験には普通教科のテストとは別に、高校では珍しい一芸入試制度を導入している事でも知られている。私は特にこれといった特技も無かったので(一応、料理が得意ではあるけど、アピールするには弱いし、岡が言う究極の方向音痴なんてのは本来特技と言わないもんね)、普通に編入テストを受けて合格したんだけど、この諜報部の二人、岡と深山は、一体どういう風に入試を突破したんだろう?さすがに入学試験の時に「諜報部を作りたいです」なんて事は言わなかっただろうけど。てゆーか、何で諜報部なんて作ったんだろう?学校の部活動でやる内容じゃないよねぇ?
翌日、私はターゲットである倉田さんと接触するべく、休み時間にD組の前をウロチョロしていた。ポケットには岡から借りたボイスレコーダーとデジカメが入っていて、コイツで倉田さんとの会話を録音し、チャンスがあれば隠し撮りするよう言われているのだ。
今は休み時間だから教室を出入りする生徒は大勢いるけど、お目当ての倉田さんが中々出て来ない(出入りする女子の名札をくまなくチェックしている)。あぁ~、じれったいけど、出来れば出て来ないで欲しいような、何だか複雑な気分だ。今回のターゲットは同じ学年だからまだいいけど、上級生が相手だとやりづらいんだろうなぁ~。
廊下からD組の中を覗くと、女子が数人集まっておしゃべりしている様子が見える。そもそも、どの人が倉田さんなんだろう?
依頼者である保科君は、倉田さんの情報を手に入れたら告白とかするんかな?やっぱ倉田さんの事を好きで、情報欲しさに諜報部へ依頼してきた訳だし。そう考えると、ちょっと応援したいような、でも諜報部に調査依頼をするのってどうよ?って気もしなくもないけど・・・。
「城ヶ崎さん、調子はどう?」
ふと、声をかけられて気付いたんだけど、いつの間にか横に深山が立っていた。そういえば彼は、周辺人物から情報を集める役割なんだっけ。
「あ~、イヤ、まだ接触出来てないです・・・」
何だかちょっと情けないような、申し訳ないような気分になってしまった。やはりここは、もっと自分から積極的に動いて、早く倉田さんと接触するべきなんだろうか?
「まぁそう気張らないで、肩の力を抜いてリラックスしてね。あくまで自然体で接近するようにお願い」
「はぁ・・・」
深山にそう言われたけど、自然体でなんて出来るんだろうか?私、別に演技力がある訳でもないしなぁ・・・。岡が「コミュニケーションスキルで~」なんて言っていたけど、それについても自信が無い。私って、自分から積極的に友達を増やすタイプじゃないし。同じクラスの人とだって、まだそんなに親しくなっている訳じゃないのになぁ~。
ところで、深山の方はどうなんだろう?調査、進んでいるんかな?
「深山さんはどうなんですか?調査、進んでます?」
そう尋ねてみると、
「ある程度の人間関係とかは分ってきたよ。あ、ちなみに、あそこにいる茶髪でポニーテールの子。あの子が倉田エミだから」
深山はそう言って、D組の中にいる女子の集団の方を指差す。茶髪でポニーテールの子っていうと・・・、あ~、あの人が倉田さんなのね。遠目に見ても、結構カワイイ人だなぁ~。明るく活発な感じがするし、たぶん友達も多いんだろう。
D組の女子の集団、その中で中心になってしゃべっている人がいた。会話の内容までは分らないけど、よく笑い、よく頷き、表情がコロコロ変わっている。今回の依頼者である保科君は、あの人の事が好きなのね。何か納得してしまう程カワイイ人だ。
「隆雄の方は、ちょっとハッキングに手間取っているらしい。どうやら学園側に、システムのセキュリティを強化されちゃったみたいだね。まぁ、隆雄にかかれば時間の問題だろうけど」
深山はこんな事を軽く言ってのける。つくづく、とんでもない高校生だなぁ~と思った。こんな人達の仲間に入って、私は本当に大丈夫なんだろうか?やっている事が全部学園にバレたら、内申点とかにも響きそうだし、最悪、停学とか退学とかになるんじゃないんだろうか?岡と深山はその辺り、どういう風に考えているんだろう?
「おっと、もうすぐ休み時間が終わるよ。じゃぁ、焦らず確実に、頑張ってね」
そう言って深山は立ち去った。私もここらで一旦引き上げるとするかな~。
帰り際、D組の中を覗くと、まだ倉田さん達はおしゃべりを続けていた。う~ん、上手く出来るんだろうか?
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