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SかMか
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久しぶりに前世を夢に見た。
前世の両親もクズだった。
幼い頃から美しかった娘を金持ちの変態に売りつけて金を稼いでいたのだ。
これがまともな神経の人間であれば、精神に異常をきたすか死にたくなっただろうが、幸い(?)私はドMだった。
物心ついた頃からそういう生活だったから順応するように、そういう性質になったのかもしれない。
どちらにしろ、ドMだから前世でも私は絶望せずに生きていられたのだけれど。
売られては買われ、また売られて、そうやって変態共の間を転々とし、最後に私を買ったのは初老の男だった。
何を思ったのか、彼は買った私を妻にした。
彼の前に私を所有していた変態は彼の商売の取引相手だった。彼にとっては、はした金だっただろうが気が遠くなるほどの金額で私を買ったのだ。
私が知る限り、社会的地位のある世間的には立派に見える人間ほど人格が破綻している。
今まで私を所有していた変態共が生温く思えるほど、この時の私の所有者は、やばかった。
罵倒は私にはご褒美だったが肉体への責め苦だけはつらかった。この私ですら口にするのもおぞましい行為の数々で死にかけた私を最後のご主人様、夫となった初老の男が救ってくれたのだ。
救ってくれた恩がある。余程ひどくない限り肉体への責め苦も受け入れるつもりだった。
けれど、夫は私に何もしなった。
SM行為どころか、夫婦としての営みすらも。
「どうして私に何もしないのですか?」
尋ねた私に、旦那様は優しい顔で言ったのだ。
「そんなつもりで君を助けたのではない。ただ君を救いたかった。君に傍にいてほしかった」
取引相手、前の私のご主人様の傍にいた私を一目見て好きになったのだという。確かに、前世でも私の容姿は男の目を惹く絶世の美女だったが。
この時の私は十七歳で旦那様とは祖父と孫ほどの年齢差だ。今までのご主人様達も祖父や父ほどの年齢だったので今更気にしないけれど。
「それに年齢のせいか、私はもう男として機能しない。だから、私に隠れてなら浮気も許すよ」
「言質はとりました。後で文句言わないでくださいね」
妻のこの間髪入れずの切り返しは予想外だったようで旦那様は微妙な顔になった。
この時は、なぜ旦那様がそんな顔をするのか分からなかったし、そもそも旦那様の感情など私には、どうでもいい。
旦那様が浮気を許さなくても彼が私を満足させてくれないのなら他を当たるつもりだった。
その結果、追い出されても構わない。
私を満足させてくれる新たなご主人様を見つければいいのだから。
わざわざ探すまでもなく旦那様の傍に私の理想そのもののドSでハイスペックなイケメンがいた。イケメンという言葉では到底足りない超絶美形だ。
彼は旦那様の姉の孫で旦那様の養子、私の義理の息子だ。私より十歳年上だったけれど。
私の祖父ほどの年齢だった旦那様は当然ながら以前にも妻がいたが、十年程前に亡くなった彼女との間に子はできず一族の中で一番優秀な彼を後継者に決め養子にしたという。
私が誘惑するまでもなく彼は旦那様の留守中に私に手を出してきた。
私の容姿は充分、彼に劣情を催してくれたようだ。
相手は義理の息子で、いきなり押し倒してきたので他の女性であれば抵抗しただろうが私はしなかった。
だって……気持ちよかったのだ。
確かに、彼はいきなり押し倒してきたが、今まで相手をさせられた変態共から味わわされた行為に比べれば、ずっと優しかったし、何より巧みだった。
これがブサメンでヘタクソなら周囲や旦那様に訴えたが。
それからは、旦那様に隠れて彼と睦み合う日々だった。
すぐに私がドMだと気づいた彼は私の理想通りのドSになってくれた。優れた頭脳から放たれる罵倒だけでも満足だったが、閨も巧みで毎回意識が飛びそうになるのもよかった。
別に私を満足させてくれるドSなイケメンなら「彼」でなくてもよかった。
彼だって見かけが好みで肉欲を満たしてくれる女なら「私」でなくてもよかっただろうから、お互い様だ。
前世で最高に幸福な日々だった。
けれど、それも終わりを迎えた。
前世の両親もクズだった。
幼い頃から美しかった娘を金持ちの変態に売りつけて金を稼いでいたのだ。
これがまともな神経の人間であれば、精神に異常をきたすか死にたくなっただろうが、幸い(?)私はドMだった。
物心ついた頃からそういう生活だったから順応するように、そういう性質になったのかもしれない。
どちらにしろ、ドMだから前世でも私は絶望せずに生きていられたのだけれど。
売られては買われ、また売られて、そうやって変態共の間を転々とし、最後に私を買ったのは初老の男だった。
何を思ったのか、彼は買った私を妻にした。
彼の前に私を所有していた変態は彼の商売の取引相手だった。彼にとっては、はした金だっただろうが気が遠くなるほどの金額で私を買ったのだ。
私が知る限り、社会的地位のある世間的には立派に見える人間ほど人格が破綻している。
今まで私を所有していた変態共が生温く思えるほど、この時の私の所有者は、やばかった。
罵倒は私にはご褒美だったが肉体への責め苦だけはつらかった。この私ですら口にするのもおぞましい行為の数々で死にかけた私を最後のご主人様、夫となった初老の男が救ってくれたのだ。
救ってくれた恩がある。余程ひどくない限り肉体への責め苦も受け入れるつもりだった。
けれど、夫は私に何もしなった。
SM行為どころか、夫婦としての営みすらも。
「どうして私に何もしないのですか?」
尋ねた私に、旦那様は優しい顔で言ったのだ。
「そんなつもりで君を助けたのではない。ただ君を救いたかった。君に傍にいてほしかった」
取引相手、前の私のご主人様の傍にいた私を一目見て好きになったのだという。確かに、前世でも私の容姿は男の目を惹く絶世の美女だったが。
この時の私は十七歳で旦那様とは祖父と孫ほどの年齢差だ。今までのご主人様達も祖父や父ほどの年齢だったので今更気にしないけれど。
「それに年齢のせいか、私はもう男として機能しない。だから、私に隠れてなら浮気も許すよ」
「言質はとりました。後で文句言わないでくださいね」
妻のこの間髪入れずの切り返しは予想外だったようで旦那様は微妙な顔になった。
この時は、なぜ旦那様がそんな顔をするのか分からなかったし、そもそも旦那様の感情など私には、どうでもいい。
旦那様が浮気を許さなくても彼が私を満足させてくれないのなら他を当たるつもりだった。
その結果、追い出されても構わない。
私を満足させてくれる新たなご主人様を見つければいいのだから。
わざわざ探すまでもなく旦那様の傍に私の理想そのもののドSでハイスペックなイケメンがいた。イケメンという言葉では到底足りない超絶美形だ。
彼は旦那様の姉の孫で旦那様の養子、私の義理の息子だ。私より十歳年上だったけれど。
私の祖父ほどの年齢だった旦那様は当然ながら以前にも妻がいたが、十年程前に亡くなった彼女との間に子はできず一族の中で一番優秀な彼を後継者に決め養子にしたという。
私が誘惑するまでもなく彼は旦那様の留守中に私に手を出してきた。
私の容姿は充分、彼に劣情を催してくれたようだ。
相手は義理の息子で、いきなり押し倒してきたので他の女性であれば抵抗しただろうが私はしなかった。
だって……気持ちよかったのだ。
確かに、彼はいきなり押し倒してきたが、今まで相手をさせられた変態共から味わわされた行為に比べれば、ずっと優しかったし、何より巧みだった。
これがブサメンでヘタクソなら周囲や旦那様に訴えたが。
それからは、旦那様に隠れて彼と睦み合う日々だった。
すぐに私がドMだと気づいた彼は私の理想通りのドSになってくれた。優れた頭脳から放たれる罵倒だけでも満足だったが、閨も巧みで毎回意識が飛びそうになるのもよかった。
別に私を満足させてくれるドSなイケメンなら「彼」でなくてもよかった。
彼だって見かけが好みで肉欲を満たしてくれる女なら「私」でなくてもよかっただろうから、お互い様だ。
前世で最高に幸福な日々だった。
けれど、それも終わりを迎えた。
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