一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

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18話

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 ジュニアが町に戻ってから一か月後テラとマイトは町に戻る準備をしている。

「なあテラ俺達師範に認めてもらえるかな?」

「うーんまだ師範に一撃を入れられるとは思えないんですが…」

「そうだよな…でも戻らないと怒られそうだし…
とにかくアインスタッドに戻るしかねえか…」

「その話なんですが僕はドナ村に行ってもいいですか?」

「うん?ドナ村って確かこの間魔族に襲われた村だよなどうしてだ?」

「僕はあの村でお世話になりましたがこの前は慌ただしくて皆のお墓をちゃんと作る事が出来ませんでした…
だから僕はもう一度ドナ村に行ってちゃんと弔ってやりたいんです」

「そうか…なら俺も一緒に行こうかな。
ザリュウ様に俺もちゃんとお礼を言いたいからな。
師範だって分かってくれるさ」

「マイトさん…
ありがとうございます」

   2人は予定を変更してドナ村へと向かう。
道中は何事も無く無事にドナ村へと着いた2人は入口で待ち構えていた兵士に声を掛けられる。

「止まれ!貴様等は一体何用でこの村に来たのだ!」

「俺達は前にこの村でお世話になったからせめてお墓参りだけでもしようと思って来たんだがダメなのか?」

「ほう?そうゆう事なら構わんがこの村には凶悪犯が潜伏しているかもしれんから気を付けるように!」

「へぇー凶悪犯ってどんな奴なんだい?」

「アインスタッドという町のザリュウ剣術道場の師範であったザリュウジュニアという者だがこの男には大量殺人の嫌疑が掛けられている。
もし見かけたらすぐに教えてくれ!」

「なっ!なんで…」

マイトは抗議しようとするテラを押さえつけ兵士に答える。

「それは怖いですね…
分かりました見かけたらすぐにご連絡しますね」

「うむでは気を付けて行くように」

「ありがとうございます」

   2人は兵士に聞こえないように十分な距離を取ってから話し始める。

「テラ何故かは分からないが師範は追われているらしいな」

「おかしいですよ!
どうしてマイトさんはあの場で抗議しなかったんですか!?」

「あんな下っ端の兵士に言った所で何の意味があるって言うんだ?
それにどうして師範が追われているのか分からないまま話した所で話にならないだろう」

「マイトさんそこまで考えていたんですね…
すいません僕はそこまで考えが至らずに先走ろうとしてしまって…」

「とにかく今はこの村でやる事をやったら町に戻ったら情報を集めようぜ!
もし兵士に何か聞かれたら俺が答えるからテラは黙ってろよ!」

「はい!ありがとうございます」

   テラとマイトは村人の墓を綺麗にしていく。
花で墓の周りを飾り付け少しでも見栄えを良くする。
そして一つ一つの墓を周り祈りを捧げた。

「ロックさん達色々と僕なんかに優しくしてくれてありがとうございました。」

「カイリさん達…いつも美味しいご飯ありがとうございました。」

「アンさん…こんな僕を好きになってくれてありがとう…
僕は立派な冒険者になるからね」

   テラは村人1人1人のお墓を周りお別れの挨拶をしていく。
マイトも付き添い全てのお墓を回る。
しかしザリュウのお墓の前に来た時マイトの態度が急変する。

「ザリュウ様…
こんな俺を拾ってここまで育てて頂いてありがとうございました…
ザリュウ様の名に恥じないような剣士に絶対になりますから天国で見てて下さい」

 マイトは8か月前まではアインスタッドで暴れていた浮浪児集団のリーダーだった。
しかし仲間に裏切られ兵士に捕まった所を助けてくれたのがザリュウだった。
マイトはその時の恩をザリュウに返す為に修行してきたのだ。

「マイトさんそろそろ行かないと夜になってしまいます…」

「そうだな…
ザリュウ様また来ますから…」

 2人が村の入り口まで行くと先ほど話した兵士から声を掛けられる。

「お前達は本当に墓参りに来ただけだったんだな…
疑って監視するような事をしてしまって済まない」

 兵士は2人が墓を綺麗にしたりお祈りをしている最中2人の事を監視していたのだ。
しかし怪しい動きをせず熱心にお祈りをしている2人に疑う余地はないと判断していた。

「この後はどこに行くんだ?
もしアインスタッドに行くつもりならやめときな」

「まあ誰もいないはずのこの村に来たのだから疑われるのはしょうがねえよ。
でもなんでアインスタッドに行かない方が良いんだ?」

「アインスタッドにさっき言ってたザリュウジュニアって凶悪犯の仲間の魔族が潜んでるって話だ。
最近も殺人事件が起きて町には俺みたいに駆り出された兵士がわんさか居るからな。
だからよっぽどの用事がない限り行かない方が良いだろう」

「そんな事になってるのか…
分かった違う町に行く事にするよ。
忠告ありがとな」

「ここら辺も物騒だから気を付けて行けよ」

 兵士は2人を見送り再び町の入り口を見張りだす。
テラとマイトはこの後どうするか考える。

「マイトさんどうしましょうか…
アインスタッドに魔族が出るなんて…」

「うーんもしかしたら師範が追われているのは魔族のせいかもしれないな…
でも俺達が行った所で出来る事はないだろうな」

「そうするとどこか近くの町に行って情報を集めますか?」

「それしかないだろうな…
だが行くのは近くの町や村じゃなくアインスタッドから5日ぐらい掛かる所にあるツヴァイブルクだ!
あそこは城塞都市だから様々な人が逃げ込んでくるから情報が入りやすいだろう」

「なるほど…では早く行きましょう」

 テラとマイトは目的を決め新たな町へと向かって歩き出す。
ツヴァイブルクは町としてはアインスタッドより小さいが町の周りを何重もの城壁と堀で囲い鉄壁を誇る町だ。

 2人はツヴァイブルクに着くと宿を取り早速情報収集を始める。

「僕は冒険者ギルドに行って情報を集めますね」

「ああ俺はちょっと別の方で聞き込みしてみる」

2人は別の方面からアインスタッドの情報を探る。
テラは冒険者ギルドにて色々聞いてみるが有力な情報は得られない。
しかし最近聞いてなかったメルの事を聞いてみると新たな情報が得られた。
テラはギルドで聞いた話をマイトにするため宿へと戻る。
マイトもほどなくして宿へと戻ってくる。

「マイトさんどうでしたか?」

「こっちは全然ダメだ…
裏社会の奴らに聞いたんだが皆大した情報は持ってねぇみたいだ。
テラの方はどうだ?」

「関係あるか分かりませんが少し前この町にメル達が来たみたいです。
その後魔族を倒しにアインスタッドに向かったらしいのですがアインスタッドのギルドからは勇者達は来てないの一点張りらしいのです。
それに他の冒険者も何人か向かったらしいのですがアインスタッドには誰も来てないと言ってるそうです。
これは何かあると思いませんか?」

「そうだな…
勇者たちが来た事を隠しているのか、それとも本当に来ていないのか?
普通なら勇者が来るならアインスタッドの方でも探したりしそうだもんな。
それに他の冒険者も来てないってのはどう考えてもおかしいよな」

「ギルドではアインスタッドの町全体で何かを隠ぺいしてるのじゃないかと疑ってるみたいです」

「だろうな。
だけどアインスタッド程大きな町だと王都からの命令でもない限り強制的に調査するのは無理だろうしお手上げって訳だな」

「はい…どうしましょうか?」

 2人は結局結論が出ずその日は宿で旅の疲れを癒すのだった。
次の日もいろいろ考えてみるが名案は出ない。
そこでマイトがテラに提案をする。

「テラ俺が1人でアインスタッドに戻って様子を探ってみようと思うんだ。
俺なら裏の奴等に顔が利くからなんとかなると思う」

「でも今行ったら何が待ち構えてるか分かりませんよ。
安全を確保してからの方が…」

「だけどこのまま手をこまねいている訳にはいかないだろ?
だから俺が行って様子を見てくるからテラはこのままツヴァイブルクで情報を集めてくれ」

「でも…マイトさんにまでもしもの事があったら…」

「そんな事言ってたらいつまで経っても何も出来ないままだろ!
とにかく俺がアインスタッドに行ってる間テラはこの町で大人しくしてろよ!」

「え…でも…」

「とにかく俺は行くからテラは大人しくしてろよ!」

 マイトは優柔不断なテラを置いて部屋を出て行ってしまった。
残されたテラはどうするべきか分からずただ立ち尽くしていた。

   マイトがツヴァイブルクを出てから3日が経ちテラはようやくひとつの決断をする。

「やっぱり僕もアインスタッドに行こう!
マイトさんだけ危険な目に合わせる訳には行かないからね」

   テラはすぐに宿を引き払うとアインスタッドに向かう。
道中モンスターに襲われたりして時間が掛かってしまったがようやくアインスタッドに辿り着く。

   町の入口に兵士が立ち異様な雰囲気を醸し出していた。

「これは…
気のせいかどの人も目が虚ろだ一体この町で何が…」

   テラが町の異様さに入るのに二の足を踏んでいると後ろから服を引っ張られ茂みの中へと連れ込まれる。

「ハッ!一体誰だ!」

そこに居たのは意外な人物だった…
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