39 / 41
39話
しおりを挟む
テラ、リヒャルダ、バスティアンの3人はモンスターが退却するのを見届け天の導きパーティーメンバーの所へと向かう。
3人が倒れており辛うじて話せそうなのは1人だけだった。
「オトマール大丈夫か!」
「ああ…俺は大丈夫だが2人が…」
倒れている2人に目をやると見るも無残な状態だった。
しかし2人とも息はあるのでテラは回復魔法を急いで詠唱し始める。
「兄さんが誰か知らないが既に手遅れだと思う。
2人を楽に死なせてやってくれないか…」
しかしテラはオトマールが言い終わるのと同時に回復魔法を発動する。
すると青くなっていた顔に赤みが差し回復していく。
しかしオトマールはテラが治療をしている光景を見ないで話を続ける。
「有難いがやっても無駄だと思うぜ…
もろにキングリザードマンの剣を食らっちまったんだから…
俺が先にやられずにもっとしっかり防いでやればレギナルトとミリアムは助かったはずなのに…」
「じゃあ次からはちゃんと盾になるんだよ」
「そうね…ちゃんと死ぬ気で守ってね」
「ああでも2人はもう…」
オトマールは目を伏せながら悔しがっている。
「あのオトマール?
僕とミリアムなら大丈夫だよ」
「そうよこの人のおかげで助かったみたい」
「そんなはずねぇだろ!
あんな状態から回復するなんて有り得ねえ…
ってお前らどうして起きてるんだ?
本当に治ったのか?」
「うーん僕も今起きた所だから状況が分からないんだけどリーダー教えて貰える?」
天の導きのリーダーバスティアンが話し始める。
「2人が瀕死だったのは確かだ。
でもあそこで他の奴に回復魔法を掛けてるテラっていうのが2人も治療してくれたんだ。
それで俺がこの気付け薬を使ったら2人共起きたって訳だ」
「あの子どもが?
僕よりも小さいのに…」
「じゃあ終わったらお礼を言わなくちゃね。
リヒャルダも一緒に居るみたいだからリヒャルダが連れてきてくれたのかな?」
テラは2人の治療が終わるとすぐに他の冒険者の治療をしていた。
リヒャルダもまたモンスターが出て来たら危ないからと念の為テラに付いていた。
テラは目に付く冒険者の治療を終えるとリヒャルダに誘われて天の導きの元へと戻ってくる。
「皆大丈夫?
あたい心配したんだから…」
リヒャルダの問いにバスティアンが答える。
「ああ大丈夫だ!
それよりリヒャルダそっちの少年は何者なんだい?
3人の瀕死者を治すなんて普通じゃ考えられないぞ!」
「それは…」
リヒャルダは目線をテラへと向ける。
テラはイングベルトの事を言っても良いのかテラに目で聞いているのだと気づいた。
「リヒャルダさん僕が説明しますよ。
僕はテラと申します。
回復術師をやってましてとある人に指導してもらってます。
ここに居るのはその方に指示されたからです」
「そのとある人というのは誰だい?」
「絶対に内緒にして頂けるならお話しますがお約束して頂けますか?」
バスティアンがパーティーメンバーに視線を向けると全員が頷いていた。
それを確認するとバスティアンもテラに頷く。
「僕に今教えて頂いてるのは大賢者イングベルト様です。
その前は森の魔女ミール様にも半年程魔法について教えて頂いてました」
「大賢者様だけでなく魔女様にも教えて貰ってたのかい!
それは規格外になるはずだよ!」
リヒャルダも驚いた声を出す。
リヒャルダはイングベルトの事は知っていたがミールの事は知らなかったからだ。
「セラスの翼の2人に教えて貰ってたならその魔力も納得だ。
だがセラスの翼はファンが多いあまり名前を使うのは危険だから気を付けた方が良い。
かく言う俺もザリュウ様に憧れて冒険者になってザリュウ剣術道場を訪ねた事もある。
残念ながらザリュウ様には会えなかったがな…」
バスティアンは悔しそうにザリュウに会えなかった事を言う。
テラはここでザリュウにも指導を受けていた事は秘密にした。
確実に面倒な事になると思ったからだ。
「それにしてもセラスの翼はザリュウ様以外は弟子を取らないと有名なのに2人に教えて貰うなんて凄いよ!
僕も大賢者様に是非指導して貰いたいんだけど口聞いて貰うのはダメかな?」
「レギナルト!
そうゆうのが面倒な事だと言うのだ。
我々はテラ君に助けて頂いたそれで良いじゃないか!
テラ君が居なければレギナルトとミリアムは死んでいただろうし、オトマールも危なかっただろう…
そんな命の恩人に失礼な事はするなよ」
バスティアンの言葉にレギナルトは下を向いてしまう。
「なんだよ…少しぐらい良いじゃないか…
大賢者様と話せるだけでも良いんだからさ」
「レギナルトやめんか!」
「レギナルト…このテラはねあたいの事を助けてくれてここまで危ない道のりだからって連れてきてくれたんだよ。
何の見返りもないのにさ…
あたいにとっても命の恩人であるテラに失礼な事をするならあたいが相手になるよ」
バスティアンと共にリヒャルダもレギナルトを戒める。
「分かったよ!
もう大賢者様の事は聞かないよ!
それで良いんだろう!」
レギナルトは大声を出した後離れた所に行って座り込んでしまった。
ミリアムがバスティアンに何か目配せをしてレギナルトの元へと歩いて行く。
それを見ていたバスティアンは大きくため息をついた後テラへと向き直る。
「済まない!
普段はあんな奴じゃないんだが…
どうやら大賢者様の名前を聞いて常識が吹き飛んでしまったらしい…」
「あたいからも謝るよ。
テラ本当に済まないね。
レギナルトはうちの魔法使いだから大賢者様に憧れていたんだ。
だからあんな真似をしたんだと思う。
あたい達はテラに助けて貰ったことに感謝してるから二度とあんな真似はさせないから許して欲しい…」
テラは2人から謝罪をされちょっと困りながら口を開く。
「あの…僕はあまり気にしてませんから。
大賢者様の名前の事でここまでこうゆう事があって少しは慣れましたし気にしないでください」
「ありがとう…
そう言って貰えるとこちらも助かる。
ちゃんとレギナルトには言っておくから許してくれ」
「あの…それよりも皆さんがここで襲われたモンスターについてお聞きしたいのですが良いでしょうか?」
「キングリザードマンの事か?
我々も大して分からないがそれでも良ければ構わないよ」
「あのモンスター達はどうやってここに現れたんですか?
ここには入口が一つしかなくてあんなに多数のモンスターが入ってくる前に誰かが扉を閉めてしまわなかったのですか?」
テラの問いにバスティアンは首を傾けながら答える。
「確かに言われてみればそうなのだが…
いきなり入口の奴等が騒ぎ出したと思ったらモンスターとの戦いが始まっていたんだ。
何匹か倒した所でキングリザードマンが我々の所に現れ戦いになったんだ。
その後は君も知ってる通り3人が次々にやられて俺が戦っている時に君とリヒャルダが来たのさ」
テラはバスティアンの言葉について考える。
あのキングリザードマンは生まれたばかりと言っていたし種族の違うモンスターが統率されて扉を通ってきたという事実が何を意味しているのか考えるが答えは出なかった。
「うーんそうするとあのキングリザードマンが引き上げる時に他のモンスターも引き上げた事を考えるとキングリザードマンが指揮していたと思って間違いないと思います。
他の階に現れた変わったモンスターの事を考えるとキングリザードマンも本来この洞窟では見ないモンスターって事なのかな…」
「うん?他の階に現れた変わったモンスターってなんだい?」
テラとリヒャルダはここまで来るのに現れた強いモンスターについてバスティアンに話をする。
「…この洞窟で何か異変が生じているようだな…
そうすると我々だけでは太刀打ち出来ないだろうから一旦地上に戻った方が良いだろう。
テラ君も一緒にどうだい?」
テラはバスティアンの言葉に頷く。
リヒャルダは離れた所にいるオトマール、レギナルト、ミリアムに今の事を伝えに行く。
天の導きが集まるとレギナルトはテラに話し掛ける。
「さっきは済まなかった…
大賢者様は僕の憧れの人だからついあんな事を言ってしまったんだ。
それと傷を治してくれてありがとう」
「もう気にしてませんから大丈夫ですよ。
それよりも地上まで同行させて貰いますのでよろしくお願いします」
「ああこちらこそよろしく」
レギナルトは手を差し出しテラと握手をする。
その光景をミリアムは優しく見守っていた。
こうしてテラは天の導きと共に地上へと戻る事になった。
3人が倒れており辛うじて話せそうなのは1人だけだった。
「オトマール大丈夫か!」
「ああ…俺は大丈夫だが2人が…」
倒れている2人に目をやると見るも無残な状態だった。
しかし2人とも息はあるのでテラは回復魔法を急いで詠唱し始める。
「兄さんが誰か知らないが既に手遅れだと思う。
2人を楽に死なせてやってくれないか…」
しかしテラはオトマールが言い終わるのと同時に回復魔法を発動する。
すると青くなっていた顔に赤みが差し回復していく。
しかしオトマールはテラが治療をしている光景を見ないで話を続ける。
「有難いがやっても無駄だと思うぜ…
もろにキングリザードマンの剣を食らっちまったんだから…
俺が先にやられずにもっとしっかり防いでやればレギナルトとミリアムは助かったはずなのに…」
「じゃあ次からはちゃんと盾になるんだよ」
「そうね…ちゃんと死ぬ気で守ってね」
「ああでも2人はもう…」
オトマールは目を伏せながら悔しがっている。
「あのオトマール?
僕とミリアムなら大丈夫だよ」
「そうよこの人のおかげで助かったみたい」
「そんなはずねぇだろ!
あんな状態から回復するなんて有り得ねえ…
ってお前らどうして起きてるんだ?
本当に治ったのか?」
「うーん僕も今起きた所だから状況が分からないんだけどリーダー教えて貰える?」
天の導きのリーダーバスティアンが話し始める。
「2人が瀕死だったのは確かだ。
でもあそこで他の奴に回復魔法を掛けてるテラっていうのが2人も治療してくれたんだ。
それで俺がこの気付け薬を使ったら2人共起きたって訳だ」
「あの子どもが?
僕よりも小さいのに…」
「じゃあ終わったらお礼を言わなくちゃね。
リヒャルダも一緒に居るみたいだからリヒャルダが連れてきてくれたのかな?」
テラは2人の治療が終わるとすぐに他の冒険者の治療をしていた。
リヒャルダもまたモンスターが出て来たら危ないからと念の為テラに付いていた。
テラは目に付く冒険者の治療を終えるとリヒャルダに誘われて天の導きの元へと戻ってくる。
「皆大丈夫?
あたい心配したんだから…」
リヒャルダの問いにバスティアンが答える。
「ああ大丈夫だ!
それよりリヒャルダそっちの少年は何者なんだい?
3人の瀕死者を治すなんて普通じゃ考えられないぞ!」
「それは…」
リヒャルダは目線をテラへと向ける。
テラはイングベルトの事を言っても良いのかテラに目で聞いているのだと気づいた。
「リヒャルダさん僕が説明しますよ。
僕はテラと申します。
回復術師をやってましてとある人に指導してもらってます。
ここに居るのはその方に指示されたからです」
「そのとある人というのは誰だい?」
「絶対に内緒にして頂けるならお話しますがお約束して頂けますか?」
バスティアンがパーティーメンバーに視線を向けると全員が頷いていた。
それを確認するとバスティアンもテラに頷く。
「僕に今教えて頂いてるのは大賢者イングベルト様です。
その前は森の魔女ミール様にも半年程魔法について教えて頂いてました」
「大賢者様だけでなく魔女様にも教えて貰ってたのかい!
それは規格外になるはずだよ!」
リヒャルダも驚いた声を出す。
リヒャルダはイングベルトの事は知っていたがミールの事は知らなかったからだ。
「セラスの翼の2人に教えて貰ってたならその魔力も納得だ。
だがセラスの翼はファンが多いあまり名前を使うのは危険だから気を付けた方が良い。
かく言う俺もザリュウ様に憧れて冒険者になってザリュウ剣術道場を訪ねた事もある。
残念ながらザリュウ様には会えなかったがな…」
バスティアンは悔しそうにザリュウに会えなかった事を言う。
テラはここでザリュウにも指導を受けていた事は秘密にした。
確実に面倒な事になると思ったからだ。
「それにしてもセラスの翼はザリュウ様以外は弟子を取らないと有名なのに2人に教えて貰うなんて凄いよ!
僕も大賢者様に是非指導して貰いたいんだけど口聞いて貰うのはダメかな?」
「レギナルト!
そうゆうのが面倒な事だと言うのだ。
我々はテラ君に助けて頂いたそれで良いじゃないか!
テラ君が居なければレギナルトとミリアムは死んでいただろうし、オトマールも危なかっただろう…
そんな命の恩人に失礼な事はするなよ」
バスティアンの言葉にレギナルトは下を向いてしまう。
「なんだよ…少しぐらい良いじゃないか…
大賢者様と話せるだけでも良いんだからさ」
「レギナルトやめんか!」
「レギナルト…このテラはねあたいの事を助けてくれてここまで危ない道のりだからって連れてきてくれたんだよ。
何の見返りもないのにさ…
あたいにとっても命の恩人であるテラに失礼な事をするならあたいが相手になるよ」
バスティアンと共にリヒャルダもレギナルトを戒める。
「分かったよ!
もう大賢者様の事は聞かないよ!
それで良いんだろう!」
レギナルトは大声を出した後離れた所に行って座り込んでしまった。
ミリアムがバスティアンに何か目配せをしてレギナルトの元へと歩いて行く。
それを見ていたバスティアンは大きくため息をついた後テラへと向き直る。
「済まない!
普段はあんな奴じゃないんだが…
どうやら大賢者様の名前を聞いて常識が吹き飛んでしまったらしい…」
「あたいからも謝るよ。
テラ本当に済まないね。
レギナルトはうちの魔法使いだから大賢者様に憧れていたんだ。
だからあんな真似をしたんだと思う。
あたい達はテラに助けて貰ったことに感謝してるから二度とあんな真似はさせないから許して欲しい…」
テラは2人から謝罪をされちょっと困りながら口を開く。
「あの…僕はあまり気にしてませんから。
大賢者様の名前の事でここまでこうゆう事があって少しは慣れましたし気にしないでください」
「ありがとう…
そう言って貰えるとこちらも助かる。
ちゃんとレギナルトには言っておくから許してくれ」
「あの…それよりも皆さんがここで襲われたモンスターについてお聞きしたいのですが良いでしょうか?」
「キングリザードマンの事か?
我々も大して分からないがそれでも良ければ構わないよ」
「あのモンスター達はどうやってここに現れたんですか?
ここには入口が一つしかなくてあんなに多数のモンスターが入ってくる前に誰かが扉を閉めてしまわなかったのですか?」
テラの問いにバスティアンは首を傾けながら答える。
「確かに言われてみればそうなのだが…
いきなり入口の奴等が騒ぎ出したと思ったらモンスターとの戦いが始まっていたんだ。
何匹か倒した所でキングリザードマンが我々の所に現れ戦いになったんだ。
その後は君も知ってる通り3人が次々にやられて俺が戦っている時に君とリヒャルダが来たのさ」
テラはバスティアンの言葉について考える。
あのキングリザードマンは生まれたばかりと言っていたし種族の違うモンスターが統率されて扉を通ってきたという事実が何を意味しているのか考えるが答えは出なかった。
「うーんそうするとあのキングリザードマンが引き上げる時に他のモンスターも引き上げた事を考えるとキングリザードマンが指揮していたと思って間違いないと思います。
他の階に現れた変わったモンスターの事を考えるとキングリザードマンも本来この洞窟では見ないモンスターって事なのかな…」
「うん?他の階に現れた変わったモンスターってなんだい?」
テラとリヒャルダはここまで来るのに現れた強いモンスターについてバスティアンに話をする。
「…この洞窟で何か異変が生じているようだな…
そうすると我々だけでは太刀打ち出来ないだろうから一旦地上に戻った方が良いだろう。
テラ君も一緒にどうだい?」
テラはバスティアンの言葉に頷く。
リヒャルダは離れた所にいるオトマール、レギナルト、ミリアムに今の事を伝えに行く。
天の導きが集まるとレギナルトはテラに話し掛ける。
「さっきは済まなかった…
大賢者様は僕の憧れの人だからついあんな事を言ってしまったんだ。
それと傷を治してくれてありがとう」
「もう気にしてませんから大丈夫ですよ。
それよりも地上まで同行させて貰いますのでよろしくお願いします」
「ああこちらこそよろしく」
レギナルトは手を差し出しテラと握手をする。
その光景をミリアムは優しく見守っていた。
こうしてテラは天の導きと共に地上へと戻る事になった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
164
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる