一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

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38話

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   テラ達はリヒャルダの仲間と合流する為に足早に洞窟内を進んでいた。
しかしこの階は余り広い通路ではない上にモンスターが多く何度も戦闘を強いられる事になった。

「回復術師ってのは便利だねぇ。
傷や疲労を回復してくれるのはもちろん支援魔法で戦闘を楽にしてくれるんだから。
これは回復術師を見直さないといけないね」

「僕は魔力が多い方ですので…
普通の回復術師がこんなに魔法使ったらあっという間に魔力が切れてしまうらしいですよ」

「そうか…流石は大賢者様の弟子って事か…
それにしてもモンスターがこうも多いのはやっぱり何か変だよ!
昨日はここまで多くなかったからあたい1人でも上に行けたんだから」

「とにかく今は急いでリヒャルダさんの仲間を探しましょう!」

   しかしモンスターは次々に現れテラ達の行く手を阻む。

「ああ!いい加減しつこい!」

「リヒャルダさんの仲間はどこら辺に居るんですか?」

「もうすぐ待ち合わせの場所だよ。
そこは何故かモンスターが現れないからけっこうなパーティーが休憩場所に使っている部屋さ」

   テラ達はモンスターを倒しながら会話をしている。
ようやく周辺のモンスターを一掃し一息つく。

「そこの部屋だよ!
ちゃんとみんな来てるかな…」

「リヒャルダさんその前にちょっと失礼します」

   テラは回復魔法をリヒャルダに使う。
疲労の色が濃いと判断した為だ。

「ありがとねテラ。
テラが居なかったらあたいはここまで辿り着けなかったよ」

「困った時はお互い様ですから気にしないでください。
さあ中に入りましょう」

   テラが扉を開けるとそこにはモンスターと戦っている大勢の者が居た。

「これは一体…ここはモンスターが出ない筈じゃなかったのかい…」

「リヒャルダさん落ち着いて!
今はみんなに協力してモンスターを倒しましょう!」

   乱戦になっている為リヒャルダはパーティーメンバーを確認する事が出来ないが落ち着きを取り戻しモンスターへと向かって槍を突き出していく。
テラは戦っている冒険者達に向かって支援魔法を使って援護しながら自らも攻撃していく。

「誰か知らんが助かる!
出来たら奥の方で強いモンスターと戦っているパーティーが居るからそっちを援護してくれ!」

「分かりました!」

   テラは冒険者の男に指示された方へと行くとそこには2メートル程の人型のモンスターが居た。
モンスターは剣と盾を持ち身体は鱗で覆われており見た目は蜥蜴人間みたいだった。

「こいつはウォーリアーリザードマン!
確かBランクの魔物だったはず…
なんでこんな奴がここに居るんだ」

   いつの間にかテラの横に来ていたリヒャルダがモンスターの説明をする。

「リヒャルダさん大丈夫ですか?」

「ああ…それよりもウォーリーアーリザードマンはモンスターのくせに知能もあるから気を付けるんだよ」

「はい!」

 テラは短剣を構えウォーリーアーリザードマンへと斬りかかる。
リヒャルダもテラとタイミングを合わせて槍を突き出す。
ウォーリーアーリザードマンはその攻撃を剣の横なぎで防ごうとするがテラのぜルマルの短剣に剣がぶつかった時ウォーリーアーリザードマンの剣は砕けてしまう。

「テラのその短剣は一体何で出来てるんだい!
短剣で剣を砕くなんて普通じゃないよ!」

「これは師匠から頂いた物ですから特別製なんです」

「そうかい…なら納得だよ…」

 すでにリヒャルダはイングベルトの事を聞いていたので師匠と聞いてイングベルトから貰ったものとすぐに理解した。

「テラ…それでとっとと奴の息の根も止めてくれないか?」

「リヒャルダさんそれは無茶ですよ…
短剣なのでこれで止めを刺すには弱点を上手く突き刺さないといけなくてけっこう難しいんですから…」

「ならあたいが隙を作るからテラはそこを狙ってくれ!」

 リヒャルダは槍を構えウォーリーアーリザードマンへと突っ込む。
ウォーリーアーリザードマンは折れた剣を捨て盾で自分を隠しながらリヒャルダへと突っ込んでいく。
お互いが突進し槍と盾がぶつかるがウォーリーアーリザードマンの盾がリヒャルダの槍を弾き飛ばす。
リヒャルダはそのせいで大きく体勢を崩した所にウォーリアーリザードマンの拳が顔面に入り大きく吹き飛ばされる。
   ウォーリアーリザードマンがリヒャルダに攻撃した時テラはウォーリアーリザードマンの後方から忍び寄りゼルマルの短剣をウォーリアーリザードマンの首へと突き刺すのであった。
ゼルマルの短剣の刀身は20センチ程しかないがそれでもウォーリアーリザードマンの命を奪うには充分であった。
   テラはウォーリアーリザードマンが動かなくなったのを確認するとリヒャルダへと走り出す。

「おーいてぇ!
あのモンスター女の顔面を殴るなんて最低だね!」

「良かったぁ無事みたいですね」

「どこが無事なもんかい!
顔以外もあちこち傷だらけだよ!
全く嫁入り前の女が傷だらけになってるのに無事なんて酷いじゃないか!」

   テラが回復魔法をリヒャルダに掛けると顔の腫れや傷は消えていった。

「そういえばテラは回復術師だったね…
つい一緒に戦っているとその事を忘れちまうよ…
でも実際痛くて動けなかったから助かったありがとな」

「いえそれよりもモンスターはまだ居ますから気を抜かないで下さい」

「ああ分かってるよ!
さてこのまま奥のモンスターを倒しに行くよ!」

   テラとリヒャルダは更に奥へと進むと激しい鉄がぶつかり合う音が聞こえてくる。
そこではリヒャルダのパーティー天の導きが戦っていた。

「皆大丈夫かい?」

「その声はリヒャルダか?
このモンスターは危険だ!離れていろ!」

   天の導きのリーダーであるバスティアンがモンスターと戦いながらリヒャルダに声を掛ける。

「バスティアン!私はまだ戦えるから手伝うよ!」

「ダメだ!こいつは本気で強い…
俺が相手をしているから離れるんだ!」

   するとバスティアンと戦っていたモンスターが話し始める。

「かっかっかっこれはまた弱そうな援軍だな!
俺は何人相手でも構わんぞ!一緒に掛かってきたらどうだ?」

   テラとリヒャルダはモンスターが会話を出来たことに驚く。
モンスターは先程のウォーリアーリザードマンより一回り大きく装備も一段と豪華な物を身に付けていた。

「なんなんだこいつは…
テラ!援護をお願いしても良いかい?」

   テラは頷きいくつ物支援魔法を詠唱して発動させていく。

「俺はキングリザードマン!
リザードマン達の王だ!逃げも隠れもしないから好きに掛かってくると良い!」

「キングリザードマンだって…
そんな奴聞いた事もないよ」

「それは当たり前だ!
俺は先程生まれたばかりだからな!
そんな事より早く掛かってこい!」

「逃げるんだリヒャルダ!
Aランクのやっと戦える相手にCランクのお前では相手にならん!
現に他のメンバーもこいつにやられてしまった…」

「そうかい…バスティアン悪いけど私も戦わせて貰うからね!」

   リヒャルダは槍を構えキングリザードマンへと槍を突き出す。
しかしリヒャルダの攻撃は難なく躱されてしまいカウンターに蹴りを食らってしまう。

「グボッ!まだだよ!」

   リヒャルダは槍を連続で突き出すがキングリザードマンは軽い身のこなしで躱してしまう。
すると横からバスティアンが剣をキングリザードマンに向けて振り下ろす。
キングリザードマンは持っている剣でバスティアンの一撃を受け止める。

「先程までより剣が重いな…
何をしたんだ?」

「さあな!でもそれだけじゃないぞ!」

   バスティアンは素早い動きでキングリザードマンへと剣を振るっていく。

「くっ!これは一体…
そうか後ろに居る男が何かやったんだな…」

   キングリザードマンはテラへと視線を向ける。
キングリザードマンはテラが支援魔法をバスティアンに使った事に勘づいたのだがテラは気にせずキングリザードマンに向けて短剣を構える。

「これは些か分が悪いようだ…」

   キングリザードマンはそう言っていきなり走り出すとリヒャルダの横を抜けて去っていく。

「待ちやがれ!人の仲間をやっておいて逃げれると思ってるのか!」

   しかしバスティアンの叫びもキングリザードマンには届いていないのか逃げるのをやめない。

「バスティアン!皆はどこ?
この子はテラと言って回復術師だから治せるかも知れないよ!」

「なにっ!本当か!
皆はこっちに居るはずだ!
頼む治してやってくれ!」

「はい!僕に出来ることなら…
とにかく皆さんの所に行きましょう」

   他のモンスター達も逃げ出して行くのを確認しテラ達は戦闘を終え天の導きの仲間の元へと急ぐのであった。

   
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