一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

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37話

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   テラはリヒャルダと共に洞窟を進んで行く。

「なあテラさっきの無詠唱で使ってた魔法なんだけどあれは練習すれば誰でも使えるのかい?」

「はい。
練習すれば誰でも出来るようになりますよ。
ただし魔力を多く消費するので魔力が少ない方にはおすすめ出来ませんが…」

「うーんうちの魔法使いはよく魔力が足りないって喚いてるからダメだな…
無詠唱で使えれば強力な武器になりそうなのに残念…」

「魔力はレベルを上げれば増えますよ。
だから覚えておけばいざという時に役立ちますよ」

「うーん気難しい奴だからやめとくかな。
魔力が少ないワシへの当て付けかとか言われそうだしね」

 テラ達はそんな話をしながら7階へと辿り着く。
7階は大きな湖がありとても広い階だった。

「この階は湖からモンスターがいきなり出てくるから気を付けなよ」

「この湖にモンスターが居るんですか!」

「ああ魚型のモンスターやら蟹みたいなモンスターなんかが居るよ。
いきなり水中から飛び出してくるのも居るから注意しておくんだよ」

「あの…もしかしてそこの水の中でこっちを見ているのがそうですか…」

 テラがそう言うとリヒャルダは慌てて槍を構えて水中を見る。

「間違いないねこれはキラーフィッシュだよ…
油断してると飛び掛かってくるから気を付けな」

 水中にはキラーフィッシュが10匹ほどおり全てがテラとリヒャルダの方を向いていた。
テラも短剣を構えいつキラーフィッシュが襲ってきても良いようにする。

「そんなに構えなくてもいいよ。
こいつはFランクの弱いモンスターでね油断している奴に向かって一斉に襲い掛かるんだけど警戒している相手には飛び掛かってこないから安心しな」

「なるほど…でも油断したら襲ってくるんですよね?
どうすれば良いんですか?」

「どうすればってそのまま後ろにでも下がって湖から離れれば良いだろ?」

「あっ!そうですね…すいません」

 テラは若干顔を赤くして湖から距離を取る。
2人が湖から離れるとキラーフィッシュもどこかに行ってしまった。
テラ達はそのまま湖からの攻撃を警戒しながら先へと進む。

「この階のモンスターは全部湖の中なんですか?」

「いや外にも敵は居るよ!だから湖ばっかり見てると後ろから襲われたりするからね」

 その後リヒャルダが言っていた蟹のモンスターと戦闘になるがテラは短剣であっけなく蟹の甲羅をたたき割り倒してしまう。

「テラ…あんた本当に回復術師かい…
そこまで戦えるならシーフと言われても信じまうよ…」

「はは…ありがとうございます。
でも僕は紛れもなくただの回復術師ですよ」

「ただの回復術師がそんなに強いはずないでしょ!
ところであんたのレベルは幾つなんだい?」

「えっとちょっと待って下さい…」

   テラはミールに教わったレベルを確認する魔法を使おうとして自分には使えない魔法だと気づいた。

「あっ!この魔法は自分には使えないんだった…
確か前に確認した時は55でした」

「55ってあんた高すぎでしょ…
それに今使おうとした魔法はなんだい?」

   テラはレベルを確認する魔法について説明する。

「そんな魔法聞いた事もないよ…
でも自分には使えないって事はあたいには使えるのかい?」

「はい使えますよ。
試しにやってみましょうか?」

「良いのかい!早速頼むよ!」

   テラは魔法を詠唱し発動する。

「ええとリヒャルダさんのレベルは31ですね」

「本当かい!30に上がってたらラッキーと思ってたのにまさか31とは…
それにしてもそんな便利な魔法があるなんて…うちの魔法使いにも覚えて貰えば洞窟内でいつでもレベルの確認が出来るね」

「簡単な魔法ですからお会いしたら教えてあげますよ。
多分すぐに使えるようになりますから」

「済まないね。
あたい達のパーティーは洞窟に入ると1ヶ月潜りっ放しとかよくある事だから助かるよ」

「そんなに長く洞窟に居るんですね!
食糧とかはどうしてるんですか?」

「そんなのモンスターを食べるに決まってるだろ!
8階にはジャイアントボアも出るし食うには困らないよ」

   その時テラは自分達に向けられてる殺気に気付く。

「リヒャルダさん!伏せて!」

「なんだい急に」

   リヒャルダはテラの言葉通り伏せると2人の上を水弾が通過する。

「今のはなんだい!」

「湖にいるあいつがやったんです。
今のを見る限り相当強いモンスターみたいですね…」

   テラ達を攻撃したのは水の中から顔を出している首長竜みたいな生物だった。
モンスターは間髪入れずに口から水弾をテラ達に向けて放つ。

「こんなモンスター聞いた事もないよ!
しかもあんな離れた水の中から攻撃されちゃあたいじゃ手も足も出やしないよ!」

「僕も離れた相手を攻撃するすべがないです…
とりあえず今は逃げませんか?」

「それしかなさそうだね…」

   テラ達は水弾を回避し続けながら逃げる事を決める。
しかしモンスターの水弾は絶え間無く放たれテラ達は逃げる事すら困難を極めゴロゴロと転がり回避していた。

「これはあたい達を逃がすつもりはなさそうだね…」

「僕が隙を作りますからその間に逃げましょう。
チャンスは短いと思いますので逃さないで下さいね」

「隙を作るって一体どうやって…」

「クレイニードル!」

   テラはクレイニードルを3発モンスターに向かって放つ。
モンスターはテラ達が逃げ続けていた事で自分は攻撃されないと考えていたのか3発とも顔に直撃する。

「今です!早く逃げましょう!」

「あ…ああ…」

   リヒャルダは驚きながらもテラの後をついて逃げる。
モンスターは予想外の攻撃に悲鳴を上げのたうち回っていた。
テラ達は無事に下へと降りる階段を見つけて危険な7階から辛くも逃れるのであった。

「テラ…あんたさっきのは攻撃魔法だよね?
私を騙してたのかい?」

「いえ僕は回復術師ですよ。
ただ先程の魔法は命を削って使う事が出来る僕の唯一の攻撃魔法です」

「命を削る?
そんな魔法聞いた事がないよ!」

   リヒャルダの追求にテラは観念して攻撃魔法とイングベルトの事を話す事に決めた。

「僕は回復術師でも戦えるように攻撃魔法を練習したんです。
すると先程のロックニードルが使えるようになったのですが、先日大賢者様に先程の攻撃魔法は無理矢理体内に新しい魔力を通す道を作った事により使えば使う程僕の身体を蝕んでいくそうです。
だから最初は遠距離の攻撃方法はないと言ったのです…」

   リヒャルダはテラの話をテラの目をじっと見つめ真剣に聞いていた。

「あたいにはテラが嘘をついてないと信じるよ。
まあ話はあんまり分からなかったけどね…
それにしても大賢者様って大賢者イングベルト様の事かい?」

「はい…僕にこの洞窟を全力で潜るように指示したのも大賢者様です」

「なるほど大賢者様はテラの師匠って訳かい!
それならテラが色々とあたいが知らないような魔法や無詠唱で魔法使えるのも納得だよ。
確かに大賢者様の名前なんか最初から出されたらあたいだって困っちまっただろうし黙ってたのは仕方ない事だね」

「リヒャルダさん…ありがとうございます」

「良く考えたらあたいはテラに助けられっぱなしなんだから文句を言うのは筋違いってもんさ。
それよりも大賢者様の事は聞かれると面倒な事になるからあたいのパーティーメンバーにも黙っておくんだよ」

「分かりました。
それよりさっきのモンスターは一体何だったんでしょうね」

「さあね
あそこはあたいも何度も通ってるのに初めて見るモンスターだったし、その前のモンスターの事もあるからこの洞窟で何か起きてるのかもしれないね…」

「そうですね…
こうなると早くリヒャルダさんの仲間と合流した方が良さそうですね」

   リヒャルダはテラの言葉に頷き足早に洞窟を進んで行くのであった。
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