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41話
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テラ達は7階を命からがら通過する。
その際にオトマールが怪我を負い動けなくなってしまい他のパーティーにも少なからず被害が出ていた。
「テラこっちも頼むよ」
「はい!こっちの治療が終わり次第行きます」
テラはここに居る中で最高の回復魔法が使えるため重傷者を全部1人で治療していた。
「テラ君こっちも頼む!」
「はい!ちょっと待っててください」
天の導きのメンバーが各パーティーに話しかけテラの治療が必要かどうか判断しテラを呼ぶかどうか決めているのだが水弾を受けた者は例外なく重傷だった為テラの出番が多くなっていた。
「テラさん少しは休憩されたらどうですか?
私達がある程度は治療しているので皆さんそこまで急ぎではないはずですので少しはご自身の身体や魔力の事も考えて下さい」
「ミリアムさんありがとうございます。
でも僕は大丈夫ですから…」
「本当ですか?辛くなったらすぐに言ってくださいね」
そう言いながらミリアムはテラに疲労回復の魔法を掛ける。
テラは回復魔法を詠唱中だった為頭を下げてお礼をする。
テラ達は現在6階と7階の間である階段で休憩している。
ここなら7階のモンスターの水弾も飛んでこないし6階のモンスターが来ても1か所だけ警戒すれば大丈夫だとバスティアンが判断した為だ。
「これでもう大丈夫です。
では僕は次の方の所に行きますので失った血の量が多くふらつくと思いますので安静にしていて下さいね」
「ありがとう…こんな洞窟の中でこんな怪我しちまって終わったと思ったのに助かったぜ。
この借りは地上に戻ったらたっぷりと返してやるから覚悟しておけよ」
「はっはっはっ!その言い方だとお前がこの兄さんに復讐するみたいだぞ!」
「えっ!そうか?じゃあお礼をしてやるから楽しみにしておけよ!」
「はい!楽しみにしてますから皆で地上まで戻りましょうね」
テラはそう言い残して次の重傷者の所に行く。
その光景を見ていたミリアムとリヒャルダはどこか心配そうな顔をしている。
「リヒャルダさんどうしてテラさんは1人で冒険をしているのでしょうか?
あの性格ですと他の冒険者に騙されたりする事も多いでしょうし、とても冒険者向きの性格とは思えないんですけど…」
「ミリアムが言うぅー?あんたも相当なお人好しだと思うんだけど…」
「私はけっこう腹黒ですので…フフフ」
「そ…そうかい…
でもテラは大賢者様に言われてここに潜っているらしいし普段は冒険なんかしないんじゃないのかい?
あの性格だと絶対に騙されるからね」
「良かったら私達のパーティーに誘ってみたらどうですか?
リヒャルダさんとは仲良くやっているようですし私達にもメリットがあると思うのですがどうですか?」
「もう誘ったよ…でも簡単に断られちまったよ…
テラは大賢者様に指示された通りこの洞窟を1人で探検しなきゃいけないだとさ」
「では大賢者様に言われた事が終わってからの事は聞いてないんですね?」
「ああそれは聞いてないけど…」
「なら誘ってみましょうよ!ダメで元々なんですから成功したらラッキーぐらいの気持ちで声を掛けてみたらどうですか?」
「うーんダメだと思うけどミリアムがそう言うなら誘ってみるかな…」
リヒャルダはぶつぶつ独り言を話し始める。
ミリアムはそんなリヒャルダから少しだけ距離を取るとバスティアンがミリアムに小声で話し掛ける。
「どうしてリヒャルダにテラ君を誘うように言ったんだ?
テラ君はうちには来ないと思うが…」
「それでも良いんですよ。
リヒャルダさんに自分の恋心に気付いて貰いたいだけですから」
「リヒャルダがテラ君に?」
「はい、リヒャルダさんは気付いてないようですけど間違いないですよ。
テラ君と戻ってきてからあんなに女の子らしくなってるリヒャルダさん見たら間違いないですよ」
「そうか…あのリヒャルダがついに恋か…」
「あら?リヒャルダさんが恋をしたら変ですか?」
「いやそういう訳じゃないんだが…」
「リヒャルダさんももう19歳なんですから恋ぐらいしますよ。
テラ君を誘って断られてもそれでテラ君と縁が繋がれば良いですけどね」
「女って言うのは色々考えてるんだな…」
そんな会話が行われてるとは知らずにテラは治療を終え天の導きの元へと戻ってきた。
「皆さん遅くなってすいません」
テラが頭を下げて天の導きのメンバーに謝罪をする。
「テラ君気にしなくて良いんだよ。
君のおかげで我々だけじゃなく他のパーティーの助かってるんだから文句なんか言わないよ。
それよりもテラ君も休んでくれ」
「はい!ありがとうございます」
テラは階段に腰を下ろし簡単な食事を食べ始める。
そこにリヒャルダが近寄りテラの横へと腰を下ろす。
「お疲れテラ…大丈夫かい?」
「僕は大丈夫ですよ」
「そうかいそれでテラに聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「なんですか?」
その時6階を警戒していた冒険者が大声で叫ぶ。
「見た事ないモンスターが現れたぞ!
俺達じゃ防げそうもないどうする?」
「リヒャルダ!俺と一緒に様子を見に行くぞ!
お前が見たモンスターかどうか確認してくれ!」
「ちっ!分かったよ!」
リヒャルダは急いで立ち上がりバスティアンと共に階段を駆け上がる。
テラは食事を止め戦闘準備を始める。
6階へと駆け上がったリヒャルダが見たのは以前見た長い牙を持ったサーベルタイガーのようなモンスターだった。
「リーダー私が前に戦ったのは間違いなくこいつだよ!
私の槍は効果がまるでなくてテラが牙を折ってくれたからなんとか追い払う事が出来たんだ」
「しかしこいつの牙は2本あるが他にも牙があったのか?」
「いや…前見た奴も2本だったよ…
そうすると他にもこのモンスターが居るって事かい?」
「その可能性は考えておいた方が良いだろう」
バスティアンとリヒャルダは武器を構え他のパーティーが攻撃し終わった瞬間を狙ってモンスターへと攻撃する。
「ガッ…こいつ…前より早い…」
「リヒャルダ!」
モンスターは前足でリヒャルダの槍と共に腕を攻撃したのだ。
その一撃でリヒャルダの槍は折れリヒャルダ自身も壁へと吹き飛ばされていた。
バスティアンはリヒャルダに一瞬目をやるがすぐにモンスターへと集中する。
だがモンスターはバスティアンの横を駆け抜けリヒャルダへと向かっていく。
「リヒャルダ逃げろ!」
バスティアンはリヒャルダに声を掛けながらモンスターを追い掛けるがとても間に合いそうにない。
「くっ!」
リヒャルダはなんとか自力で逃れようとするが初撃のダメージで動けないでいた。
モンスターが前足を振りかざし下ろす。
「グギャァァァ」
モンスターが叫び声のような声を上げる。
「リヒャルダさん大丈夫ですか?」
「テラ!」
モンスターの前足が振り降ろされる瞬間テラがゼルマルの短剣で横からモンスターの前足を切り落としていた。
モンスターは左前足が無くなったというのにテラの事をじっと睨み続ける。
「テラ君ありがとう。
ここからは俺がやるからリヒャルダの治療を頼む」
「バスティアンさんお願いします」
テラが回復魔法を詠唱し始めるとバスティアンはモンスターに向かって剣を振るう。
「回復術師のテラ君が頑張ってくれたのにAランク戦士の俺がお前にダメージ与えられなかったら恥ずかしいからな!」
バスティアンは連撃でモンスターの動きを封じる。
リヒャルダの槍が効かなかったモンスターも流石にAランクのバスティアンの攻撃は無視できるものではないのか残った前足で防いだり避けたりしていた。
他のパーティーメンバーも魔法や弓でバスティアンの援護を始めバスティアンが徐々にモンスターへとダメージを与えていく。
このまま押し切れるとバスティアンが思った時…
「バスティアンさん危ない!
もう1匹横から来ます!」
テラがバスティアンに危険を知らせた事でバスティアンはバックステップでもう1匹の攻撃を回避する。
現れたモンスターは先程まで戦っていたモンスターと瓜二つの姿をしていたが片方の牙が折れていた。
「どうやらこいつが前にリヒャルダとテラ君が戦った奴らしいな」
「そうみたいですね…」
新たに出てきた方がもう1匹の傷付いた前足を舐めている。
そしてどこか悲しそうな声を出す。
「どうやらこの2匹は番みたいですね…」
「ああ…しかしそんなのは戦闘には関係ないからな」
「そうですね…
バスティアンさんリヒャルダさんの治療は終わりましたので僕が新たに来た1匹を食い止めますからもう1匹をお願いしても良いですか?」
「大丈夫なのかい?
いくらテラ君でも勝てるとは思えないのだが…」
「僕は食い止めるだけですよ。
バスティアンは1匹を倒したらすぐにこちらの援護をお願いします」
「そう言うことか!
分かった…テラ君死ぬなよ!」
「はい!」
2人は話終えると未だに傷を舐めあっているモンスターへと向き直ると2人は突撃する。
他のパーティーは2匹目が現れバスティアンが攻撃を止めた為様子見をしていたが2人に合わせて攻撃を始める。
「みんな!俺の方は良いからもう1匹の方を頼む!
あと近接戦闘は危険だから遠距離攻撃で頼む!」
バスティアンの声に全員が頷きもう1匹へと攻撃を集中させる。
テラはゼルマルの短剣とミールに貰った短剣を振り回しモンスターに攻撃していく。
一方のバスティアンは片足がなくかなりの傷を負っているモンスターを1人でも徐々に追い詰めていく。
「よし!このまま行けばテラ君の援護にもうすぐ行けるぞ!」
しかしテラの方は牙が片方ないだけで万全のモンスターが相手であり、みんなの援護を貰っても徐々に追い詰められていた。
「相手が早すぎて僕の攻撃が当たらない…」
ゼルマルの短剣で牙を折られたモンスターはテラの攻撃を警戒して全て躱していた。
しかもテラへの攻撃は1発1発が早くて重くテラにはギリギリで躱すのが精一杯だった。
「このままじゃいずれやられる…」
テラが打開策を見い出せないでいる中テラは遂に攻撃を足にかすってしまう。
「くっ!」
テラはすぐに無詠唱で回復させるが焦っていた。
「バスティアンさん急いで下さい!」
「済まない!もう少し掛かる!」
バスティアンの言葉にテラは更に焦りどうしていいか分からなくなってしまう。
そして無謀にも自分からモンスターへと攻撃を仕掛けようとした時リヒャルダが止める。
「テラ!しっかりしな!
あたいも一緒に戦うからさ!」
「リヒャルダさん…」
「あたいだけじゃないよ!
ほら周りを見てみな!」
テラが周りを見るとそこには各パーティーの戦士やシーフといった近接戦闘を得意とする物が立っていた。
「皆さん…」
「俺達も冒険者だぜ!
回復術師の兄ちゃんばかりに良い格好させられないぜ!」
「ありがとうございます。
でもこのモンスターは本当に危険です!
皆さん気を付けて下さい」
しかしモンスターは支援に来た冒険者達を一瞥するとテラに向かって攻撃してくる。
何人かがテラの前に飛び出しモンスターの攻撃を防ぐがそのまま吹き飛ばされてしまう。
「大丈夫ですか!?」
「テラ!今はモンスターに集中しな!」
モンスターは次々にテラへと攻撃を繰り出すが冒険者達がテラの身代わりになって吹き飛ばされていく。
ついに残されたのがテラとリヒャルダの2人になった時ついに待ち人が現れる。
「遅くなった済まない!」
「バスティアン!待ってたよ!
さあここから反撃するよ!」
テラとリヒャルダとバスティアンはモンスターに向かってようやく攻勢に出るのであった。
その際にオトマールが怪我を負い動けなくなってしまい他のパーティーにも少なからず被害が出ていた。
「テラこっちも頼むよ」
「はい!こっちの治療が終わり次第行きます」
テラはここに居る中で最高の回復魔法が使えるため重傷者を全部1人で治療していた。
「テラ君こっちも頼む!」
「はい!ちょっと待っててください」
天の導きのメンバーが各パーティーに話しかけテラの治療が必要かどうか判断しテラを呼ぶかどうか決めているのだが水弾を受けた者は例外なく重傷だった為テラの出番が多くなっていた。
「テラさん少しは休憩されたらどうですか?
私達がある程度は治療しているので皆さんそこまで急ぎではないはずですので少しはご自身の身体や魔力の事も考えて下さい」
「ミリアムさんありがとうございます。
でも僕は大丈夫ですから…」
「本当ですか?辛くなったらすぐに言ってくださいね」
そう言いながらミリアムはテラに疲労回復の魔法を掛ける。
テラは回復魔法を詠唱中だった為頭を下げてお礼をする。
テラ達は現在6階と7階の間である階段で休憩している。
ここなら7階のモンスターの水弾も飛んでこないし6階のモンスターが来ても1か所だけ警戒すれば大丈夫だとバスティアンが判断した為だ。
「これでもう大丈夫です。
では僕は次の方の所に行きますので失った血の量が多くふらつくと思いますので安静にしていて下さいね」
「ありがとう…こんな洞窟の中でこんな怪我しちまって終わったと思ったのに助かったぜ。
この借りは地上に戻ったらたっぷりと返してやるから覚悟しておけよ」
「はっはっはっ!その言い方だとお前がこの兄さんに復讐するみたいだぞ!」
「えっ!そうか?じゃあお礼をしてやるから楽しみにしておけよ!」
「はい!楽しみにしてますから皆で地上まで戻りましょうね」
テラはそう言い残して次の重傷者の所に行く。
その光景を見ていたミリアムとリヒャルダはどこか心配そうな顔をしている。
「リヒャルダさんどうしてテラさんは1人で冒険をしているのでしょうか?
あの性格ですと他の冒険者に騙されたりする事も多いでしょうし、とても冒険者向きの性格とは思えないんですけど…」
「ミリアムが言うぅー?あんたも相当なお人好しだと思うんだけど…」
「私はけっこう腹黒ですので…フフフ」
「そ…そうかい…
でもテラは大賢者様に言われてここに潜っているらしいし普段は冒険なんかしないんじゃないのかい?
あの性格だと絶対に騙されるからね」
「良かったら私達のパーティーに誘ってみたらどうですか?
リヒャルダさんとは仲良くやっているようですし私達にもメリットがあると思うのですがどうですか?」
「もう誘ったよ…でも簡単に断られちまったよ…
テラは大賢者様に指示された通りこの洞窟を1人で探検しなきゃいけないだとさ」
「では大賢者様に言われた事が終わってからの事は聞いてないんですね?」
「ああそれは聞いてないけど…」
「なら誘ってみましょうよ!ダメで元々なんですから成功したらラッキーぐらいの気持ちで声を掛けてみたらどうですか?」
「うーんダメだと思うけどミリアムがそう言うなら誘ってみるかな…」
リヒャルダはぶつぶつ独り言を話し始める。
ミリアムはそんなリヒャルダから少しだけ距離を取るとバスティアンがミリアムに小声で話し掛ける。
「どうしてリヒャルダにテラ君を誘うように言ったんだ?
テラ君はうちには来ないと思うが…」
「それでも良いんですよ。
リヒャルダさんに自分の恋心に気付いて貰いたいだけですから」
「リヒャルダがテラ君に?」
「はい、リヒャルダさんは気付いてないようですけど間違いないですよ。
テラ君と戻ってきてからあんなに女の子らしくなってるリヒャルダさん見たら間違いないですよ」
「そうか…あのリヒャルダがついに恋か…」
「あら?リヒャルダさんが恋をしたら変ですか?」
「いやそういう訳じゃないんだが…」
「リヒャルダさんももう19歳なんですから恋ぐらいしますよ。
テラ君を誘って断られてもそれでテラ君と縁が繋がれば良いですけどね」
「女って言うのは色々考えてるんだな…」
そんな会話が行われてるとは知らずにテラは治療を終え天の導きの元へと戻ってきた。
「皆さん遅くなってすいません」
テラが頭を下げて天の導きのメンバーに謝罪をする。
「テラ君気にしなくて良いんだよ。
君のおかげで我々だけじゃなく他のパーティーの助かってるんだから文句なんか言わないよ。
それよりもテラ君も休んでくれ」
「はい!ありがとうございます」
テラは階段に腰を下ろし簡単な食事を食べ始める。
そこにリヒャルダが近寄りテラの横へと腰を下ろす。
「お疲れテラ…大丈夫かい?」
「僕は大丈夫ですよ」
「そうかいそれでテラに聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「なんですか?」
その時6階を警戒していた冒険者が大声で叫ぶ。
「見た事ないモンスターが現れたぞ!
俺達じゃ防げそうもないどうする?」
「リヒャルダ!俺と一緒に様子を見に行くぞ!
お前が見たモンスターかどうか確認してくれ!」
「ちっ!分かったよ!」
リヒャルダは急いで立ち上がりバスティアンと共に階段を駆け上がる。
テラは食事を止め戦闘準備を始める。
6階へと駆け上がったリヒャルダが見たのは以前見た長い牙を持ったサーベルタイガーのようなモンスターだった。
「リーダー私が前に戦ったのは間違いなくこいつだよ!
私の槍は効果がまるでなくてテラが牙を折ってくれたからなんとか追い払う事が出来たんだ」
「しかしこいつの牙は2本あるが他にも牙があったのか?」
「いや…前見た奴も2本だったよ…
そうすると他にもこのモンスターが居るって事かい?」
「その可能性は考えておいた方が良いだろう」
バスティアンとリヒャルダは武器を構え他のパーティーが攻撃し終わった瞬間を狙ってモンスターへと攻撃する。
「ガッ…こいつ…前より早い…」
「リヒャルダ!」
モンスターは前足でリヒャルダの槍と共に腕を攻撃したのだ。
その一撃でリヒャルダの槍は折れリヒャルダ自身も壁へと吹き飛ばされていた。
バスティアンはリヒャルダに一瞬目をやるがすぐにモンスターへと集中する。
だがモンスターはバスティアンの横を駆け抜けリヒャルダへと向かっていく。
「リヒャルダ逃げろ!」
バスティアンはリヒャルダに声を掛けながらモンスターを追い掛けるがとても間に合いそうにない。
「くっ!」
リヒャルダはなんとか自力で逃れようとするが初撃のダメージで動けないでいた。
モンスターが前足を振りかざし下ろす。
「グギャァァァ」
モンスターが叫び声のような声を上げる。
「リヒャルダさん大丈夫ですか?」
「テラ!」
モンスターの前足が振り降ろされる瞬間テラがゼルマルの短剣で横からモンスターの前足を切り落としていた。
モンスターは左前足が無くなったというのにテラの事をじっと睨み続ける。
「テラ君ありがとう。
ここからは俺がやるからリヒャルダの治療を頼む」
「バスティアンさんお願いします」
テラが回復魔法を詠唱し始めるとバスティアンはモンスターに向かって剣を振るう。
「回復術師のテラ君が頑張ってくれたのにAランク戦士の俺がお前にダメージ与えられなかったら恥ずかしいからな!」
バスティアンは連撃でモンスターの動きを封じる。
リヒャルダの槍が効かなかったモンスターも流石にAランクのバスティアンの攻撃は無視できるものではないのか残った前足で防いだり避けたりしていた。
他のパーティーメンバーも魔法や弓でバスティアンの援護を始めバスティアンが徐々にモンスターへとダメージを与えていく。
このまま押し切れるとバスティアンが思った時…
「バスティアンさん危ない!
もう1匹横から来ます!」
テラがバスティアンに危険を知らせた事でバスティアンはバックステップでもう1匹の攻撃を回避する。
現れたモンスターは先程まで戦っていたモンスターと瓜二つの姿をしていたが片方の牙が折れていた。
「どうやらこいつが前にリヒャルダとテラ君が戦った奴らしいな」
「そうみたいですね…」
新たに出てきた方がもう1匹の傷付いた前足を舐めている。
そしてどこか悲しそうな声を出す。
「どうやらこの2匹は番みたいですね…」
「ああ…しかしそんなのは戦闘には関係ないからな」
「そうですね…
バスティアンさんリヒャルダさんの治療は終わりましたので僕が新たに来た1匹を食い止めますからもう1匹をお願いしても良いですか?」
「大丈夫なのかい?
いくらテラ君でも勝てるとは思えないのだが…」
「僕は食い止めるだけですよ。
バスティアンは1匹を倒したらすぐにこちらの援護をお願いします」
「そう言うことか!
分かった…テラ君死ぬなよ!」
「はい!」
2人は話終えると未だに傷を舐めあっているモンスターへと向き直ると2人は突撃する。
他のパーティーは2匹目が現れバスティアンが攻撃を止めた為様子見をしていたが2人に合わせて攻撃を始める。
「みんな!俺の方は良いからもう1匹の方を頼む!
あと近接戦闘は危険だから遠距離攻撃で頼む!」
バスティアンの声に全員が頷きもう1匹へと攻撃を集中させる。
テラはゼルマルの短剣とミールに貰った短剣を振り回しモンスターに攻撃していく。
一方のバスティアンは片足がなくかなりの傷を負っているモンスターを1人でも徐々に追い詰めていく。
「よし!このまま行けばテラ君の援護にもうすぐ行けるぞ!」
しかしテラの方は牙が片方ないだけで万全のモンスターが相手であり、みんなの援護を貰っても徐々に追い詰められていた。
「相手が早すぎて僕の攻撃が当たらない…」
ゼルマルの短剣で牙を折られたモンスターはテラの攻撃を警戒して全て躱していた。
しかもテラへの攻撃は1発1発が早くて重くテラにはギリギリで躱すのが精一杯だった。
「このままじゃいずれやられる…」
テラが打開策を見い出せないでいる中テラは遂に攻撃を足にかすってしまう。
「くっ!」
テラはすぐに無詠唱で回復させるが焦っていた。
「バスティアンさん急いで下さい!」
「済まない!もう少し掛かる!」
バスティアンの言葉にテラは更に焦りどうしていいか分からなくなってしまう。
そして無謀にも自分からモンスターへと攻撃を仕掛けようとした時リヒャルダが止める。
「テラ!しっかりしな!
あたいも一緒に戦うからさ!」
「リヒャルダさん…」
「あたいだけじゃないよ!
ほら周りを見てみな!」
テラが周りを見るとそこには各パーティーの戦士やシーフといった近接戦闘を得意とする物が立っていた。
「皆さん…」
「俺達も冒険者だぜ!
回復術師の兄ちゃんばかりに良い格好させられないぜ!」
「ありがとうございます。
でもこのモンスターは本当に危険です!
皆さん気を付けて下さい」
しかしモンスターは支援に来た冒険者達を一瞥するとテラに向かって攻撃してくる。
何人かがテラの前に飛び出しモンスターの攻撃を防ぐがそのまま吹き飛ばされてしまう。
「大丈夫ですか!?」
「テラ!今はモンスターに集中しな!」
モンスターは次々にテラへと攻撃を繰り出すが冒険者達がテラの身代わりになって吹き飛ばされていく。
ついに残されたのがテラとリヒャルダの2人になった時ついに待ち人が現れる。
「遅くなった済まない!」
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さあここから反撃するよ!」
テラとリヒャルダとバスティアンはモンスターに向かってようやく攻勢に出るのであった。
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