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魔法学園編(本編)
111.魔女
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レイブの口から【魔女】という単語が飛び出す。
この世界における魔女とは、生まれながらに優れた魔法センスを持ち、膨大な魔力を保有する女性の事を言う。
魔女の外見は人間と同じだが、決して人間ではない。
しかし魔族というわけでもなく、亜人種というわけでもない。
それらとはまったく異なる個体で、有する魔法センスは上位の悪魔すら凌駕する程だ。
魔女というだけあって女性しか存在しないのだが、その理由は現在もわかっていない。
「まじょ? まじょとは何でしょうか?」
女性は惚けた顔して言い返す。
「演技なんて無駄だぞ? 俺は魔女をよく知っている。特にあんたは有名だからな」
魔女は古の時代から存在している。
だから当然、勇者・魔王時代にもいたし関わりもあった。
その中でも特に有名だった魔女達がいる。
「お前……七大罪の一人だろ?」
「――――!!」
女性が目を見開き反応する。
この反応……どうやら図星だったらしい。
「七大罪の魔女……魔女の中でも特に優れた魔法センスを持ち、特殊なスキルを持つ存在。同時に危険な思想を持っていた」
「……」
「700年前の大戦の際、勇者によって【怠惰】が、魔王によって【憤怒】と【暴食】が討伐された。だから今は七大罪ってわけでもないか」
魔王時代、俺は他に【傲慢】と【色欲】の魔女には会っている。
魔女は不老に近い寿命を持ち、外見も大きく変化しないから見間違えることも無いだろう。
そして残り2人のうち、【強欲】の特徴を耳にした事があるのだが、それとも当てはまっていない。
となるとこいつは……
「あんたは【嫉妬】の魔女だな」
女性の口角が引きあがる。
先程までの笑顔とは違い、狂気を感じられるような笑顔を見せた。
「ふふふ……そこまで見抜かれているなら、本当に演技は無駄のようね?」
女性の外見が変化していく。
月光で照らされた髪が紫色に光る。
その瞳も、魔女特有の紫色へと変色した。
黒いドレスが豊満な胸と全身を包む。
「改めて御機嫌よう―――――貴方の言う通り、私は【嫉妬】の魔女キルケーよ」
二人の居る路地を月光が照らす。
それによって少しだけ視界がクリアになった。
ここでようやく互いの顔がハッキリと見える。
「驚いたわ。まさか、今の時代に魔女を見分けられる人間が残っていたなんてね」
「そうだろうな」
700年前の大戦で、大罪の3人が欠けた。
それと同時に多くの魔女も戦死している。
元々魔女は人数が少なかった。
それが戦いによって殲滅され、さらに少なくなっている。
現代で魔女の存在を知っている人間は極少数だろう。
「魔女キルケー、もう一度聞くが何をしに来た? 大罪の魔女であるあんたが、何の目的もなくこんな所をウロウロしているわけないよな?」
「ええ、もちろんよ。だけどそれを貴方に教える義理があるかしら?」
「言いたくないなら好きにすれば良い。ただし、俺の周りで妙な事するなら容赦はしない」
レイブは鋭い眼光で睨む。
キルケーは怯む事無く笑顔で返す。
「あらあら怖い顔。そんなに怖い顔をするなら、今ここで私を倒さなくてもいいの?」
「何言ってんだ。今のあんたは本体じゃない……どうせ街の外にいるんだろ?」
「あら、それも見抜かれていたのね? ふふふ……貴方一体何者なのかしら?」
「名前なら昼に名乗ったはずだぞ」
「そうだったわね。レイブ・アスタルテ……数日前に王都を救った英雄さん」
どうやらキルケーにも、レイブの活躍は届いていたらしい。
「俺の事を知っているなら話は早い。忠告はしたぞ? 俺も、あんたが何もしないなら手は出さない。さっさと自分の住処へ帰るんだな」
「舐められたものね。貴方の強さは知っているけど所詮は人間……魔女である私は止められない」
キルケーはレイブの偉業を耳にしている。
その上でこの余裕を見せている。
反応から察するに、彼の持つ勇者と魔王の個性は知らないようだ。
もし知っていたなら、ここまで余裕では居られなかっただろうか?
キルケーの場合は、それでも余裕な態度を崩さなかったかもしれない。
彼女の瞳からは、それほどの自身が感じられる。
「宣言してあげる。数日後にこの街は廃墟となる。そして、いずれは王都も滅ぼすわ」
そう言いきったキルケーに対し、険しい顔でレイブが答える。
「その言葉……宣戦布告ととってもいいんだな?」
二人の視線がぶつかり合う。
殺気立ち、空気がピリピリしていく。
これから戦いが始まるのではないかと思えるほどの緊張感が走った。
しかし戦いは起こらない。
両者は緊張を緩め、改めて互いを見合う。
「さて、今日はこれで失礼するわ」
キルケーの身体が霧状に崩れていく。
魔法によって作られた偽体、その操作を解除していく。
「さようなら。また会うときを楽しみにしているわ」
「ああ」
「あの女の子にもよろしくね」
「……」
最後に一言だけ言い残し、【嫉妬】の魔女は去っていった。
彼女の宣言通り、この数日後……
街は戦場と化すだろう。
その時……この街と魔女、そしてフレンダとの因縁が交錯する。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
次回更新は11/22(木)12時です。
お気に入り登録、感想いただけると嬉しいです。
あとそろそろ、チーム名を作品内で登場させないとですね。
この世界における魔女とは、生まれながらに優れた魔法センスを持ち、膨大な魔力を保有する女性の事を言う。
魔女の外見は人間と同じだが、決して人間ではない。
しかし魔族というわけでもなく、亜人種というわけでもない。
それらとはまったく異なる個体で、有する魔法センスは上位の悪魔すら凌駕する程だ。
魔女というだけあって女性しか存在しないのだが、その理由は現在もわかっていない。
「まじょ? まじょとは何でしょうか?」
女性は惚けた顔して言い返す。
「演技なんて無駄だぞ? 俺は魔女をよく知っている。特にあんたは有名だからな」
魔女は古の時代から存在している。
だから当然、勇者・魔王時代にもいたし関わりもあった。
その中でも特に有名だった魔女達がいる。
「お前……七大罪の一人だろ?」
「――――!!」
女性が目を見開き反応する。
この反応……どうやら図星だったらしい。
「七大罪の魔女……魔女の中でも特に優れた魔法センスを持ち、特殊なスキルを持つ存在。同時に危険な思想を持っていた」
「……」
「700年前の大戦の際、勇者によって【怠惰】が、魔王によって【憤怒】と【暴食】が討伐された。だから今は七大罪ってわけでもないか」
魔王時代、俺は他に【傲慢】と【色欲】の魔女には会っている。
魔女は不老に近い寿命を持ち、外見も大きく変化しないから見間違えることも無いだろう。
そして残り2人のうち、【強欲】の特徴を耳にした事があるのだが、それとも当てはまっていない。
となるとこいつは……
「あんたは【嫉妬】の魔女だな」
女性の口角が引きあがる。
先程までの笑顔とは違い、狂気を感じられるような笑顔を見せた。
「ふふふ……そこまで見抜かれているなら、本当に演技は無駄のようね?」
女性の外見が変化していく。
月光で照らされた髪が紫色に光る。
その瞳も、魔女特有の紫色へと変色した。
黒いドレスが豊満な胸と全身を包む。
「改めて御機嫌よう―――――貴方の言う通り、私は【嫉妬】の魔女キルケーよ」
二人の居る路地を月光が照らす。
それによって少しだけ視界がクリアになった。
ここでようやく互いの顔がハッキリと見える。
「驚いたわ。まさか、今の時代に魔女を見分けられる人間が残っていたなんてね」
「そうだろうな」
700年前の大戦で、大罪の3人が欠けた。
それと同時に多くの魔女も戦死している。
元々魔女は人数が少なかった。
それが戦いによって殲滅され、さらに少なくなっている。
現代で魔女の存在を知っている人間は極少数だろう。
「魔女キルケー、もう一度聞くが何をしに来た? 大罪の魔女であるあんたが、何の目的もなくこんな所をウロウロしているわけないよな?」
「ええ、もちろんよ。だけどそれを貴方に教える義理があるかしら?」
「言いたくないなら好きにすれば良い。ただし、俺の周りで妙な事するなら容赦はしない」
レイブは鋭い眼光で睨む。
キルケーは怯む事無く笑顔で返す。
「あらあら怖い顔。そんなに怖い顔をするなら、今ここで私を倒さなくてもいいの?」
「何言ってんだ。今のあんたは本体じゃない……どうせ街の外にいるんだろ?」
「あら、それも見抜かれていたのね? ふふふ……貴方一体何者なのかしら?」
「名前なら昼に名乗ったはずだぞ」
「そうだったわね。レイブ・アスタルテ……数日前に王都を救った英雄さん」
どうやらキルケーにも、レイブの活躍は届いていたらしい。
「俺の事を知っているなら話は早い。忠告はしたぞ? 俺も、あんたが何もしないなら手は出さない。さっさと自分の住処へ帰るんだな」
「舐められたものね。貴方の強さは知っているけど所詮は人間……魔女である私は止められない」
キルケーはレイブの偉業を耳にしている。
その上でこの余裕を見せている。
反応から察するに、彼の持つ勇者と魔王の個性は知らないようだ。
もし知っていたなら、ここまで余裕では居られなかっただろうか?
キルケーの場合は、それでも余裕な態度を崩さなかったかもしれない。
彼女の瞳からは、それほどの自身が感じられる。
「宣言してあげる。数日後にこの街は廃墟となる。そして、いずれは王都も滅ぼすわ」
そう言いきったキルケーに対し、険しい顔でレイブが答える。
「その言葉……宣戦布告ととってもいいんだな?」
二人の視線がぶつかり合う。
殺気立ち、空気がピリピリしていく。
これから戦いが始まるのではないかと思えるほどの緊張感が走った。
しかし戦いは起こらない。
両者は緊張を緩め、改めて互いを見合う。
「さて、今日はこれで失礼するわ」
キルケーの身体が霧状に崩れていく。
魔法によって作られた偽体、その操作を解除していく。
「さようなら。また会うときを楽しみにしているわ」
「ああ」
「あの女の子にもよろしくね」
「……」
最後に一言だけ言い残し、【嫉妬】の魔女は去っていった。
彼女の宣言通り、この数日後……
街は戦場と化すだろう。
その時……この街と魔女、そしてフレンダとの因縁が交錯する。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
次回更新は11/22(木)12時です。
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あとそろそろ、チーム名を作品内で登場させないとですね。
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