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魔王時代編
14.第二の試練
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魔剣に込められた恨みを一身に受け、それを乗り越えた俺には、さらなる試練が待っていた。
「くそっ……魔力が溢れて……」
真っ暗闇の空間からは開放された。しかし先程までと同じ体勢で苦しんでいる。魔剣から大量の魔力が流れ込んで、俺の身体は爆発しそうだった。
ティルヴィングには使用者に無限の魔力を与える能力が備わっている。魔術師にとって無敵に近い性能だが、当然リスクも存在する。
これこそが第二の試練、無限に湧き出る魔力に耐えられる身体かどうかが試されてる。
「うっ……熱い」
全身の血管が蒸発するような熱さだ。熱で意識が朦朧として、立っているのもやっとになる。ふらつきながら必死で耐える。そこへ異変を察知してエレナとムウが駆け寄ってきた。
「ベル君!」
「主殿!!」
二人の姿を見た俺は、両膝を地面について倒れこんだ。血相を変えた二人が傍へ寄る。俺は心配をかけまいとすぐに立ち上がった。
「だ、大丈夫だ」
およそ大丈夫には見えないだろう。額は雨に濡れたように汗が滴り、焦点も定まっていない。心配そうに見つめるエレナは、俺の後ろに突き刺さった剣を見つけた。
「その剣は」
「ああ、これがティルヴィングだ。こいつに触れたら大量に魔力が流れ込んできて……ぐっ」
俺は胸を押さえて蹲った。
「ベル君!」
エレナは心配そうに俺の名を呼び、肩を支えるようにそっと触れた。俺はその手にやさしく触れて、やせ我慢した笑顔で言う。
「大丈夫だ……。これくらい耐えられなきゃ、魔王になんてなれっこない」
「……」
「意地でも耐え抜いてやる」
「……違うわベル君」
そんな俺にエレナは言う。
「耐えるんじゃなくて、身体を作り変えなさい。今ここで、魔王の器に進化するのよ」
「作り変える? そんなこと……」
「出来なければ死ぬだけよ」
エレナは真剣な表情で俺に言った。
「そうか……そうだな」
俺は覚悟を決めた。身体中を駆け巡る魔力に耐えながら、全神経を集中する。
そしてイメージする。魔王となった自分を、この魔力に相応しい肉体を――
「進化しなさい。魔王に――」
全身を漆黒のオーラが包みこんでいく。オーラで纏われた身体は、徐々に大きくなっていく。肉体が成長を始めたのだ。身長は二メートルを超え、瞳の赤はより濃くなっていく。腕も足も胴体も、比べ物にならないほど太く強靭な肉体へと変化した。
「ふぅー」
俺は長く大きく呼吸をした。自分の手足を確認して、あふれ出しそうだった魔力が身体に馴染んでいるのを感じる。エレナと視線を合わせてると、彼女は黙って頷いた。
こうして俺は、後に魔王ベルフェオルと呼ばれる姿を手に入れたのだ。
「くそっ……魔力が溢れて……」
真っ暗闇の空間からは開放された。しかし先程までと同じ体勢で苦しんでいる。魔剣から大量の魔力が流れ込んで、俺の身体は爆発しそうだった。
ティルヴィングには使用者に無限の魔力を与える能力が備わっている。魔術師にとって無敵に近い性能だが、当然リスクも存在する。
これこそが第二の試練、無限に湧き出る魔力に耐えられる身体かどうかが試されてる。
「うっ……熱い」
全身の血管が蒸発するような熱さだ。熱で意識が朦朧として、立っているのもやっとになる。ふらつきながら必死で耐える。そこへ異変を察知してエレナとムウが駆け寄ってきた。
「ベル君!」
「主殿!!」
二人の姿を見た俺は、両膝を地面について倒れこんだ。血相を変えた二人が傍へ寄る。俺は心配をかけまいとすぐに立ち上がった。
「だ、大丈夫だ」
およそ大丈夫には見えないだろう。額は雨に濡れたように汗が滴り、焦点も定まっていない。心配そうに見つめるエレナは、俺の後ろに突き刺さった剣を見つけた。
「その剣は」
「ああ、これがティルヴィングだ。こいつに触れたら大量に魔力が流れ込んできて……ぐっ」
俺は胸を押さえて蹲った。
「ベル君!」
エレナは心配そうに俺の名を呼び、肩を支えるようにそっと触れた。俺はその手にやさしく触れて、やせ我慢した笑顔で言う。
「大丈夫だ……。これくらい耐えられなきゃ、魔王になんてなれっこない」
「……」
「意地でも耐え抜いてやる」
「……違うわベル君」
そんな俺にエレナは言う。
「耐えるんじゃなくて、身体を作り変えなさい。今ここで、魔王の器に進化するのよ」
「作り変える? そんなこと……」
「出来なければ死ぬだけよ」
エレナは真剣な表情で俺に言った。
「そうか……そうだな」
俺は覚悟を決めた。身体中を駆け巡る魔力に耐えながら、全神経を集中する。
そしてイメージする。魔王となった自分を、この魔力に相応しい肉体を――
「進化しなさい。魔王に――」
全身を漆黒のオーラが包みこんでいく。オーラで纏われた身体は、徐々に大きくなっていく。肉体が成長を始めたのだ。身長は二メートルを超え、瞳の赤はより濃くなっていく。腕も足も胴体も、比べ物にならないほど太く強靭な肉体へと変化した。
「ふぅー」
俺は長く大きく呼吸をした。自分の手足を確認して、あふれ出しそうだった魔力が身体に馴染んでいるのを感じる。エレナと視線を合わせてると、彼女は黙って頷いた。
こうして俺は、後に魔王ベルフェオルと呼ばれる姿を手に入れたのだ。
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