一度目は勇者、二度目は魔王だった俺の、三度目の異世界転生

染井トリノ

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魔王時代編

20.仲間探しへ

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 別行動をしていた俺達は、目的を遂げて魔王城へ帰還していた。
 俺は魔剣バルムンクを、エレナは魔剣メルカルトを、ムウはクリスタルドラゴンの遺骸を持って帰ってきた。その後も魔剣探しや素材集めを続けていく。ある程度揃ってきたところで、エレナが俺に提案をした。

「仲間を集めましょう」

「仲間……か」

 魔王城の一室で、俺達は寛ぎながら話している。エレナは真剣な表情で話を続けた。

「ベル君……途方もない目的を達成するには、ワタシ達の力だけじゃ不足よ。って、わざわざ言わなくてもわかっているのでしょ?」

「わかってるよ。俺もそろそろかなと思ってたところだ」

 エレナの言う通り、俺の目的を果すためには戦力が足りない。魔王として成長した俺でも、一人では望む未来たどり着けないだろう。なぜなら、俺が魔王なったことで、人間側に勇者が生まれる可能性が上がったからだ。いや、もはや確実に誕生すると言いきれる。
 魔王が猛威を振るえば、立ち向かう勇者が誕生する。それは世界の常識みたいなものだ。
 たとえ俺が戦い、奪われた領地を取り戻したとしても、勇者が誕生すれば攻め込まれるだろう。そうなれば三〇〇年前と同じ結末が待っている。

「何も変えられない。結局また、魔界は侵略されてしまう……そんな未来を、俺は望んでいるわけじゃない」

「ええ、知っているわ。ワタシもそうよ」

「エレナ……」

「だから探しましょう。ワタシと同じ理想を抱く誰かを」

「ああ」

 奪う側にも、奪われる側にもなりはなしない。本物の平和を掴むんだ。
 俺達は仲間を探すため、一時的に魔王城を出ることに決めた。
 当てもなく闇雲に探すつもりはない。人間達の侵略は続いていて、今もどこかで略奪が行われている。各地で人間に対抗する者達が集まっているらしい。強力な力を持つ者が指揮をとり、侵攻する人間達と戦っているのだ。彼らにこれから会いに行く。

「エレナ、ムウ、準備はいいか?」

「ええ、大丈夫よ」

「もちろんでありますよ!」

「よし。一ヶ月……いや、半月で集めるぞ」

 俺達に残された領土は残り僅か。もはや寄り道は許されない。少しでも早く、一人でも多くの仲間を集める。望んだ未来を掴むため、二度と同じ後悔をしないため、俺達は旅立った。

「世界を変えてやる――今度こそ!」

 強い思いを胸に秘め、魔界の空を駆け抜ける。これから出会うのは、運命を共有する仲間達である。共に戦い、共に笑い、最後の未来を託す仲間達だ。
 未来に望みを託すための戦いは、ようやく始まったのだ。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
次回より本編へ戻ります。
魔王時代編は、本編がある程度進んでからまた投稿しますね。
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