異世界労働戦記☆スキル×レベル☆生産者ケンタ

のきび

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2章 ゴブリンの花嫁たち

助けるのに理由はいらない、そこに善悪などなく、ただ後悔しないために助けるのだ。

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 朝起きたときに俺の隣にはサラさんの姿はなかった。

 最初は狩りにでも出かけたと思っていた。

 しかし朝食の準備が整っても戻ってこなかった。

 嫌な予感がした。

 まさか仲間を救いに行ったのか。昨日の今日でサラさんがこんなに短絡的に行動をするなんて思わなかった。

 なんで今なんだ。

 いや、分かってるだろ。

 俺がまた間違えたんだ。その人をよく見ないで強い武器を与えた。
 
 あの武器でサラさんは変わってしまった。仲間を救えると思ってしまったんだ。

 短絡的なのは俺じゃないか。

「ダメですいません」

 町の反対側を探していたレオナが俺の合流した。空振りか。となるとやはり町を出たのか。

「ケンタ!」

 正門の方から駆け足でクニャラが走ってくる。

 小人族ミニムの足はあまり速いとは言えない。

 少しでも時間を短縮するため俺は自分からクニャラに向かい走った。

 義足の結合部が痛むが今はそんなこと気にしていられない。

「どうだったクニャラ」

「ゴメスは正門から出たです」

 守衛のガイロスさんが出入場をチェックしていておりサラさんがは2時間前にこの町を出たという。

 いつもは狩り用の槍を持っているのだが、今日は剣だけだったのでガイロスさんがどこに行くのかと訪ねたところ、ちょっと狩りにねと言って笑って行ったそうだ。

 その笑いは戦地に赴く兵士が覚悟を決めて笑うときの笑みと同じだったとガイロスさんは心配をしていたと言う。

 俺は自分の額をガンガンと拳を握って叩きつけた。

「何してるです!」

「俺のせいだ、俺があんな剣を作らなければ」

 俺は馬鹿だ、サラさんの為にと言いつつ自分が最強剣を作りたかっただけじゃないか!

「ケンタさんのせいじゃありません! 私も同じです自分の中にある後悔や劣等感が原因なんです」

 後悔や劣等感。

 それは誰しも持っているもので特別なものではない。

 だからこそ俺は気をつけなきゃいけなかったんだ。

 もっとレオナやサラさんを良く見るべきだった。
 
「俺があんな剣を作らなければ、こんなことにはならなかった。ただそれだけだ。すべては俺の責任だ」

「ケンタはバカです」

「そうだよ俺はバカだ」

「大バカです」

「そうだ大バカだ」

 俺の言葉にクニャラは顔を歪め俺をポカポカと殴る。

「なんで分からないのです! レオナもゴメスもケンタに感謝してるのです」

「なんで感謝なんか……」

「誰も私達に力を貸してくれなかったです」

 クニャラやレオナはその日食べるものにも困っていて、荷物持ちでも何でもやるからと頼み込んだが誰ひとり助けてくれなかった。

 サラさんの事情を知るシャーロンさんすら力を貸さなかった。無理だと諦めて。

「ちがう、別に善意で力を貸したわけじゃない。ただ助ける手段を持ってたから助けただけだ」

 そうだ、あのときだって回復薬をもってたから助けただけだ。食事だって持ってたからあげただけだ。助けるためにあげたわけじゃない。

「善意とか悪意とか関係ないのです。助けて欲しいときにケンタは力を貸してくれたです。だからみんな感謝してるです。ケンタが好きなのです」

「そうです、私もケンタさんが好きです。みんなも好きなんですクニャラもゴメスさんもケンタさんが大好きなんです」

 情けないな、こんなひと回り以上も年齢が違う子に諭されるなんて。

 そうだな、地球じゃ誰にも愛されなかった俺だけど、この世界で好きだと言ってくれる人がいる。ならやることは一つだろ。

「二人共ありがとう。サラさん……。サラを連れ戻さないとな」

「はいです!」

「連れ戻してガツンと言ってやりましょう!」

 だけどS級冒険者たちが崩壊するほどの敵だ。そしてゴブリンキング、ゴブリン種最強の魔物こいつがいるだけでゴブリンの力は何倍にも上がる。

 武器だ。強い武器が必要だ。

 このまま皆でサラを助けに行っても全滅は必至だ。

 せめてエルダートレイン時代のように神話武器が作れれば。

 俺の中にスキルはある、それは分かっている。

 じゃあなぜ使えない。

 この世界とあの世界では何が違う。

 あの世界にあって、この世界に無いもの。

「ケンタ?」
「ケンタさん?」

 エルダートレインにあって、この世界に無いもの……。

 ゲーム画面? ステータスやメニュー、マップなどがあるゲーム画面がない。

 まさかあるのか?

 俺はエルダートレインの時のように腕を左から右へ流した。

 その動作にリンクするように視界に様々なメニューが組み込まれたゲーム画面が現れた。

 なんで今まで気がつかなかったんだ。

 なんのために前の異世界で一週間も引きこもってたんだ。

 これじゃ女神様が働かざる者ニートとして罰しても仕方がないじゃないか。
 
 反省するのは後だ。

 まずは俺の回復だ。メニューから回復薬(大)を選ぶと一瞬で完成した。

 それを飲むと失った手足が再生した。

「治ったのです!」
「ケンタさん!」

「クニャラ、レオナ一度家に戻るぞ、装備を整える」

 二人は俺に抱きつき喜ぶが、今は喜んでいる場合ではない。

 時間がないので二人を脇に抱え家まで一気に走った。

 家につくと早速武器を作る。

 最初はレオナの武器だ。

 レオナは二刀流。一本目はブロードソード系の最上位の剣のひとつ天叢雲剣、別名草薙剣。
 これは最初から魔法剣ハリケーンブラストがついている。

 ハリケーンブラスト通常使うことができない魔法剣で天叢雲剣だけについている特殊魔法だ。

 メニュー画面からはそれを選び作ろうとすると付加能力が選択可能になっていることに気がついた。

 この世界の影響でゲーム画面がチートになっている。

 使えるなら使わせてもらうまでだ。

 レオナは周りが見えていなく猪突猛進型だ。なら付ける付加能力はこれだ。

◎神剣:天叢雲剣
・魔法剣ハリケーンブラスト(固定)
・攻撃力+100%
・打ち落とし+25%
・精霊:カマイタチ
・受け流し+50%
・斬撃延長

 付加能力を選び出し製作を選ぶと一瞬で剣が出来上がった。出来上がった剣は選んだ能力以上の付加能力がついた。

◎神剣:天叢雲剣
・魔法剣ハリケーンブラスト     Lv1(固定)
・攻撃力+200%         Lv1
・打ち落とし+25%        LV1
・精霊:カマイタチ         LV1
・受け流し+50%         Lv1
・斬撃延長             Lv1

 なんだこれ? 攻撃力は想定より高いしすべての能力にLVがついてるだと。これもこの世界の影響なのか。

 次は同じくブロードソードの最高位のひとつ魔剣ティルフィング、これも天叢雲剣と同じく固定型の特殊魔法がある。

魔法剣:アローレイン
 一日に3度だけ使える魔法剣だがその威力は絶大だ。
そして出来たのが。

◎魔剣:ティルフィング
・魔法剣:アローレイン3/3 LV1 (固定)
・攻撃力+200%      LV1
・悪魔:アンドラス      LV1
・ダメージ反射×2      LV1
・受け流し+50%      LV1
・腕力+100%       LV1

 選べることによって最初から当たり付加能力である守護霊を付けることができたのはありがたい。

 これは装着者の能力を高める効果があるのでレベルの低いレオナには必須能力だ。

 そして鎧も同じように強化したこれは防御力や素早さ、魔法耐性を上げるものを中心にした。

 出来上がった剣を渡すとレオナは剣の出来に驚く。

「すごい、な、なんですかこれ」

「うん、すごい剣。あとレオナは二刀流だけど左手は情報でないよね?」

「はい私はただの戦士なので」

 通常戦士は一本の剣と盾を持つ。だけどレオナはなぜか二本持ちなのだ。それを指摘すると『手作りの……』と言って顔を真っ赤にするので、たぶん中二病なのだろう。

 俺の手作りのやつは中二仕様だからな。

「だから能力を使う時は武器を右手に持ち替えないと使えないから注意してくれ」

「はい、わかりました」

 クニャラの武器は杖武器最上位の中の最高位ケーリュケイオン。

 二匹の蛇と翼が装飾されており飛翔効果と光魔法強化と闇魔法強化がついているトリプルだ。もちろん素材も高いのだが。

 とっておいても仕方がないし今はこれが必要だ。

◎神杖ケーリュケイオン
・飛翔効果       LV1 (固定)
・光魔法強化      LV1 (固定)
・闇魔法強化      LV1 (固定)
・攻撃力+200%   LV1
・神:ディアボロス   LV1
・魔法強化+30%   LV1
・魔力回復+100%  LV1
・マナドレイン+10% LV1

 クニャラの用意するのは魔法関係に特化した頭の悪い杖だ。

 そして防具類も魔力回復系を付けたので撃ちすぎて息切れするようなことはなくないだろう。

「ありがとうです!」

 杖や装備を渡すとクニャラはギュッと抱き締めて目をつぶる。その動作は絶対にサラを助けようとする強い意志が感じられた。

「絶対に助けような」

「そういう意味ではないのです」

 よくわからないがクニャラの頭を撫でてごまかした。

 装備の他には二人に回復薬(大)や肉体強化なのどのポーションを持たせた。

 クニャラは回復魔法がまだ使えない、何かあったとき誰も治せないから回復薬は欠かせないのだ。

 そして指輪だ。

 俺は二人の指に指輪をはめ自分の指にも指輪はめた。

 「この指輪は家族の絆だ、能力や付加価値など一切無いただの指輪だど俺たちにふさわしいと思う」

「そうなのです。ふさわしいのです」

「私もそう思います」

「それとこれはサラのだ。必ずサラの指にはめて一緒に帰ってくるんだ」

 俺たちは顔を見合わせ頷く。絶対に帰ってくるという気持ちで。

 四人で笑顔で暮らすために。

「よし行こうか!」

「「はい」なのです!」

 劣等感があっても良い。

 戦う力がなくても良い。

 ただ、後悔だけはしたくない!!
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