2代目魔王と愉快な仲間たち

助兵衛

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31話 上げて落とす

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和也、ロリババアに
めっちゃ死ぬ言われた。

「ちょっと、話の勢いが激し過ぎて酔っちゃったな? 分かりやすく、教えてくれない? 」

ロリエル、多分お婆ちゃんはむーんと可愛らしく唸って言葉を選ぶ。

「そうね。貴方のその魔力、魔王の魔力でしょう? 貴方のじゃないはずよ」

和也の世界に魔力は無く、魔法も無い。
この身に宿る、覚えの無い特殊能力も魔力にも見当がつかない。

他人の物だと言われれば、なんだかストン納得出来た。

「多分? 」

「それが問題なのよ。何で他人の魔力があるのか知らないけど、制御出来ていないから意思とな関係無しに暴走したり、するんじゃない? 」

そういえばした。

「なるほど? 」

フワッとした返事しか出来ない和也に、ロリエルが詰め寄った。

「貴方、今とっても不安定よ? そして不安定さはどんどん増していっている。転移魔法陣や、契約の儀式の時は運良く何も無かっただけ。自覚しなさい」

「えっもう、広まってる話なの? 」

和也にとっては恥ずべきトラブルの数々、出来ればみんなに秘密にしたい。

「馬鹿みたいな魔力だからね、嫌でも分かっちゃうわよ。敏感なら大陸の端に居ても分かるくらいじゃないかしら? 嫌だわ本当」

悲報、和也の恥ずべきトラブル大陸に轟く。

とにかくね、とロリエルが和也の襟を掴んで引き寄せた。

「何とかしなきゃ大変な事になるわよ。人為的にか、偶然か、そんな事になってるのは気の毒だと思うけど魔法の使い方くらい習得しておく事ね」

「そんな……」

「安心なさい、この皇家特別顧問の私が一肌脱いであげるから。私にかかれば、魔法のトーシロでも一晩でそこそこの使い手にしてみせるわ」

「おっ、おお……ありがとうございます? 」

今までフワッとしか使えない、知らなかった謎の力。
それとは別に、しっかりと体系化された技能を扱える様になるのは単純に嬉しかった。

いや魔法ですよ。
そりゃ興奮する。

魔王と呼ばれて今更であるが、やっぱり男の子、魔法が嬉しいお年頃。

「どれどれ」

ロリエルが屈んだ和也の胸に手を当てた。
目を閉じ、ふんふんやらふむふむ、やらと呟き内科の触診の如く触れる位置を変えていく。

「先生、どうですか? 」

「ごめんやっぱ、今のなしね」

「え? 」

「君才能ないわ」

はーーー、とクソデカな溜息をついてロリエルが離れる。
どっかりとソファに座って、和也と愛歌にも今更ながら着席を促した。

「君、その魔力は持ってるだけだね。外部に作用させる事も、体内で作用させる事も出来ないよ」

「つまり、魔法が使えない? 」

「無理、使えるとしたら魔力を暴走させる自爆ね。魔力の量も性質も、魔王と全く同じなんだから威力は凄いわよ」

「ちょっと、自爆芸は軽率に使えないっかな……」

「はぁ……でかい魔力を感知して、折角弟子でもとれるかと思って、わざわざ帝都まで来たのになぁ。とりあえずガス抜きの方法は教えてあげるわ、定期的に魔力を循環させて暴走しないように気をつける事。はいじゃあ面会おしまいね」

「病院かな? ……ありがとうございます、あの魔法って練習では何とも」

「ならないわよ」

「グスン、はい」










「して、皆の衆」

和也が色んな意味で弄ばれ、ボロボロとなり疲れて部屋に帰った後。

謁見の間。

「カズヤはどうだ? 面白い若者であったろう」

人類の支配者、ヴィセア帝国初代皇帝エール・ヴィセア。

「自分は、特に。散々語り合った故、もう言うべきことはありません」

人類最強、帝国十二勇士アークライトシーザー辺境伯。

「まぁ、不安定ですが、それを魅力と捉えれない事も無いでしょう。私は彼より、妹のアイカさんに興味を抱きましたねえ」

世界最大宗教のトップにして、帝国十二勇士の一角、勇者教大司教アンバー

「あ、あの私はそんな。値踏みを出来るような立場ではございませんので……ただ、優しい方だなと」

皇帝の一人娘、唯一宝具の継承を受けた2代目帝国十二勇士、ルーリエ・ヴィセア。

「私は弟子にするつもりだったから期待してたのに、肩透かしを食らった気分だったわよ。まぁ、貴方の言う死を司る力は興味深いけれど、そのくらいね」

皇家特別顧問兼ねて元帝国十二勇士、世界最高の魔女、ロリエル。

「では、まだその若造りを継続せねばならないな」

いつもは寡黙なアークライトも、旧知の仲と語らうときは幾らか口が軽くなるらしく、あっさりと地雷を踏み抜いた。

「若作りじゃねー! 老いないの! 不老なの、羨ましいでしょ」

「老いようと思えば老いる事も出来るはずだろう。魔力が多すぎる故の現象だったか? 」

「五月蝿いわね。ほんと、ガワは変わっても中身はあの頃、悪ガキのまんまなんだから」

思い出話に花が咲かすのも悪くない。
だが、今は目的を持って集まって貰った以上話の脱線はここまでにしてもらわなければならない。

「まぁ、まぁ。ロリエルよ、カズヤの容態はどうだ? 」

「……」

幼いロリエルの顔に影が差す。
本当の歳を微かに滲ませて、手元に控えていた資料を捲った。

「長くないわ、対処療法は教えたけれど。あの膨大な制御出来ない魔力はもう、癌と言っても間違えでは無いと思うの。多分次か、その次の暴走で……」

「カズヤは死ぬか」

「それて済むかしら。ねぇ陛下、私ね……とっても嫌な予感がするのよ。あの子には偶然か人為的かって言ったけれど、間違いなく何かの意思が介在しているわ。その意思が、暴走を見逃すとは思えないの」

「それすら、いや、それこそがその先の何かこそが目的であると」

断言は出来ないわ、とロリエルは口ごもって語尾をさ迷わせた。

本来、ロリエルは断言出来るような事柄以外はっきりと口にしない質だ。
そんな彼女が、不確定な和也の行く末を報告したのはそれだけこの事態が危険であると理解出来てしまったから。

「陛下、私は沢山の年月を生きたわ。ここ数ヶ月はそんな私から見ても、規格外な激動の日々。何か起こるわよ、きっと」

「全ては勇者様のお心のままに……魔王などより、勇者様の復活が待ち遠しい」

アンバー大司教が祈り、また場が静かになった。

勇者復活。

この場の誰もが夢見る、大願であり。
叶わぬと知っている。

「勇者が見れば、この状況をどう思うだろうか。我らはしっかりと、あやつの守った意志を受け告げているのだろうか。もし、会えるなら……」


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