『 使えない』と勇者のパーティを追い出された錬金術師は、本当はパーティ内最強だった

紫宛

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追放と加入

第15話 王弟レオハルト (レオ視点)

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今回は、大幅変更となり申し訳ありません。
第14話を書き直し、書き足ししましたので、先に読んで頂くと、わかりやすいかな?と思います。
第15話は、同時刻のレオ視点となります。
よろしくお願いしますm(_ _)m

--------



俺は昼頃、急いでギルドに向かった。
ヴォルフから、緊急の依頼が入ったからだ…
兄上に話して城を抜け出させて貰い、身の丈はある大剣を背負い、街の中を走っていた。


カランカラン

「ヴォルフはいるか?!悪い!遅くなったっ」
「まぁ~レオさん、お待ちしてましたですよぅ!マスターさんは上に居ますから、階段を上って行ってくださいですぅ」

フヨウの許可を貰い、階段を駆け上がり執務室に飛び込む。

「ヴォルフ!」
「来たか!レオ」

部屋の中には、ヴォルフが居て通信映像魔道具が起動していた。
映し出されていたのは、東の領主で名をイースと言い、王家に忠誠を誓っている一族の一つだ。

『レオハルト様……ご迷惑をおかけし申し訳ありません!』

映像の向こうで姿勢を正し、深々と頭を下げた。

「謝罪はいい、何があった?!」
「東の勇者が、イース殿の依頼を先延ばしにしてたらしいんだ。そのせいで、アクアフロッグが大量発生し、更に……デスアクアフロッグに進化しやがった」

なっ!

アクアフロッグは、カエル型のモンスターだLvはそんなに高くなく40前後だが、集まると1つに合体デスアクアに進化する。
デスアクアフロッグに進化したら、Lvは格段に跳ね上がり、とても危険だ。
アクアが40前後に対し、デスアクアのLvは105になる。

その為、アクアフロッグが大量発生した際は早急に対応する必要がある。

「ザハルは、何してたんだ!?」
「………女の所だよ」

ギリリと歯を食いしばりヴォルフは答えた。
デスアクアが何体いるのか分からないが、普通の冒険者には危険な相手だ。

俺が呼ばれたのも頷けるが……やつの尻拭いかよっ

「それで!ザハルは!」
「ギルドに来いと言ったが…門番から、連絡があった」

まさか……

「先に行ったそうだ。門番が言うには、いつもの調子で、聖女を囲い笑いながら向かったと!下手に手を出せば、近くの村が危険にさらされる!頼むレオ!追いかけてくれ!」

「ああ!分かった!奴らがどうなろうが知ったことではないが、村は放っておけない!」
「門扉までは、俺が転移で連れて行ってやる!」

『申し訳ありませんが、よろしくお願いします!!』

ヴォルフに、門扉まで送ってもらい……
外に出て、全力で発生場所まで走った。




全力で走ってると、向こうから逃げてきてる奴がいた……東の勇者一行だ。
その姿は、装備はボロボロ、肉は溶け骨が剥き出しになっており、更に、顔や腕から血が溢れていた。骨も折れてそうだ……命からがら逃げてきたようだな。

奴らの横を通り過ぎる時

「雑魚が!」

と言ってやった。

まぁ実際、屑で雑魚なんだが……
いや、昔はまだマシだったか?
まぁいい、今は目の前のモンスターだ。

雑魚勇者を追ってきたんだろうデスアクアが、俺に標的を定めた。
デスアクアは4体、アクアが7体……か!
流石に本気で戦わないと、ヤバそうだ……


「裂破陣!」

先ずは弱いアクアを先に倒す事にする。
体力は、だいたい700前後……
モンスターの足元に、風の魔法陣を出現させる。無数の風の刃が、アクアとデスアクアをひきさく。
デスアクアはものともしないが、アクアは悲鳴を上げた。

自身の足に風を纏わせ、一瞬の間にアクアの間合いに入る。
大剣を引き抜き、片足を軸にして、回るように振り払った。
アクアの体が、真っ二つに別れ煙になって消えると魔石がカランと音をさせて数個落ちた。

残りのアクアも、倒していく。
デスアクアが、適わないと判断したのか逃だした。だが!俺が逃がすはずもない!
村に行かれたら困るんだよ!

(鑑定!)

※デスアクアフロッグ※
Lv105
体力 1520
魔力 980
スキル
あわ、溶解液、パンチ
水無効 弱点 雷

弱点は、雷っと

「魔法剣 雷!」

剣に雷を纏わせる。
再び、足に風を纏わせデスアクアの前に出る。それでも、デスアクアは反対側に向きを変え逃げようとする。

空波雷刹波くうはらいせつは

雷を纏わせた衝撃波をデスアクアに浴びせる。鑑定を使った後は、モンスターの体力値が見えるようになっている。
半分ほど減らせたが、まだ余裕のようだ。
俺に攻撃を仕掛けてこなかったから、良かったものの、デスアクアは逃げるのを辞め俺を囲むように襲いかかってきた。

飛び上がって避け、大剣を振り下ろす。

「まず一体!」

魔石が落ちる。
雷を纏わせた大剣は、的確に急所を切り裂く。溶解液を浴びせようと口を大きく開けたデスアクア、それを後ろに飛び退る。


くそ、あの攻撃はヤバいな。

少しでも当たれば、装備だろうが肉だろうが何でも溶かす溶解液だ。
大剣を見ると、少しかかったのか煙を上げて溶けていた。

「雷光裂破!」

大剣が少しづつ溶けていく。
剣での攻撃は無理そうだと判断し、雷での魔法、もしくは雷を使った剣技で戦うしかない。一瞬での判断ミスは、死に繋がる。

「サンダーストーム!」

雷の嵐を奴らの頭上に落とす。
魔法使い職ではないから、魔力がごっそり持ってかれたが、何とか倒せたようだ。

カランカラン、カランと魔石が落ちる音が聞こえた。

「はぁ~~~」

疲れた……
ドサッとその場に腰を下ろす。
この辺りでLv105は、普段なら出ない。
ちゃんと、モンスターを討伐してれば、こんな事にはならなかったんだ。

通信魔道具を取りだし、ヴォルフに繋ぐ。

『大丈夫だったか?』
「何とかな……そっちは?」
『尋問が終わったところだ』
「それで?」
『暫くは謹慎だな……その後は…、どうするかな……一応は解放だが』
「そうか」
『ああ、しかし奴ら、自分達が弱いのをイレーネのせいにしたぞ』

「なんだと?」

知らず知らず、言葉が鋭くなる。

『自分達は呪いをかけられた、と散々言ってたな』
「愚かな……勇者解任を急がないとダメだな」
『ああ、勇者王決定戦でケリを付けよう』
「そうだな、イレーネの記憶の件は、分かったか?」
『いや、まだだ』
「そうか」

ため息が漏れる。
イレーネは、13年前から前の記憶がないらしい。そのため、迎えに行こうと思ったが、行けなかった。それに、今王城は、改革派と守旧派と別れており、とても危険な状況だ。

13年前、守旧派の過激派がイレーネを殺そうと目論んだ。馬車が事故にあい崖下に転落。
1人のが命懸けで守ったお陰で、イレーネの命は助かったが、そのせいか記憶をなくしていた。

王城に迎え入れるにしても、過激派を捕えなければ再びイレーネの命が危うい。
今はまだ、冒険者でいる方が彼女の命の為にも安全なんだ……。

『イレーネの事はフォルスに任せておけ』
「分かってる」
『今日は申し訳ありませんでした、レオハルト王弟殿下』
「お前に殿下と呼ばれ敬語を使われると、寒気がする。いつも通りでいい」

はは、と笑いヴォルフは、通信を切った。



いつか、必ず迎えに行くからな。
俺の大切な妹……イレーネ。
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