5 / 12
本編
第2話 アトリエ追放①
しおりを挟む
鏡の前に行き、2人とも嬉しそうにクルクル回っては眺めていた。嬉しそうにはしゃぐ妖精を見ていたカイムは、窓の方から視線を感じ振り返るとオーガの少年と目が合った。
何故か気になったカイムは、窓に足を向け少年に話しかけると、彼は自分の容姿が恐ろしいせいで友達が出来ないと打ち明けた。
オーガは、褐色の肌に角が生え金の目をしている。他の魔族と違い、職人気質で温厚な性格をしている者が多い。ただ、言葉が荒い者が多いので、勘違いされやすい種族だ。
「そっかぁ、幻惑草があれば、少しは見た目が変えられるかもだけど……根本的な解決にはならないかも……」
このヴィロン王国は、人間以外の種族を嫌ってる者が多い。王族が、他種族を認めていないからだ。そのため、消極的かつ厭戦的な考えを持つ他種族の者達はヴィロン王国を離れた。
この少年は、物乞いのようだった。
普通、幼い子は孤児院か教会、国が運営する養護院が保護する決まりになっている。しかし、それは人族に限ったこと……他種族で、特に人間と異なる姿をしている少年は、受け入れられなかったのだろう。
だから……少年の願いを叶えても、幻惑草を使って見た目を変化させても、彼が友達を作れるとは思えなかった。既に、認知されてしまっているだろうから……
「……ヤッ、パリ……ムズカ、シイ……」
カイムの表情を見て、少年は理解したのか悲しげな顔をして俯いた……友達を作りたくて、見て聞いて、頑張って覚えたのだろう人の言葉を使う少年に、私は何かしてあげたくなった……が……
その時……
廊下の先からドタドタと激しい音を響かせて、誰かがこっちに向かって走ってくるのが聞こえたのは。
「っ!みんな隠れて!さっ、貴方も、もう行って…ごめんね、力になれなくて」
カイムは、瞬時に音の正体が誰か気付き妖精達を逃がす。彼女の声を聞き慌てて姿を消す妖精。オーガの少年も、カイムを気にかけつつ窓から離れた。
このアトリエの現主は、大の人族主義者。他種族は、一切認めない人間だ。他種族を見かけたら、嬲り殺しかけない。ましてや、子供なんて気にもとめないだろう。
(わたし、……何かしたかな……怒られるようなこと…)
胸の前で手を握り、音の主が中に入ってくるのを覚悟して待った。
「カイム!!!!」
「はいっ!」
扉が壊れるんじゃないかと思うくらいに激しく開かれ、デュナメス様は一直線に私に向かって歩き胸ぐらを掴んできた。
「貴様は!何をしたか分かっているのか!」
……何をしたか?
何したんだろう……?
分からないけど謝らなきゃ……
「も、申し訳ありません!」
「貴様のせいで!貴様の存在が!貴様がっ……!」
「っっ!」
デュナメス様が、何に怒ってるか分からないけど……私のせいだって連呼してる。顔を真っ赤にして、怒りの形相で……私を殴り飛ばした。
「ポーションも作れぬ無能が!貴様がいるだけで、このアトリエは!アトリエの価値がっ!」
「すみませんっ!ごめんなさいっ」
「あの方は!何故こんな無能を放置してるのか!何故っ!」
「っ!」
私がポーションを作れないせいで……師匠が……
師匠は、本当に凄い人なのに……私のせいで…
……私の存在が……アトリエの価値も、師匠の価値も、下げているのだとデュナメス様は言った。
「……貴様のせいだ……」
ハアハアと息を切らせるデュナメス様。
何故か気になったカイムは、窓に足を向け少年に話しかけると、彼は自分の容姿が恐ろしいせいで友達が出来ないと打ち明けた。
オーガは、褐色の肌に角が生え金の目をしている。他の魔族と違い、職人気質で温厚な性格をしている者が多い。ただ、言葉が荒い者が多いので、勘違いされやすい種族だ。
「そっかぁ、幻惑草があれば、少しは見た目が変えられるかもだけど……根本的な解決にはならないかも……」
このヴィロン王国は、人間以外の種族を嫌ってる者が多い。王族が、他種族を認めていないからだ。そのため、消極的かつ厭戦的な考えを持つ他種族の者達はヴィロン王国を離れた。
この少年は、物乞いのようだった。
普通、幼い子は孤児院か教会、国が運営する養護院が保護する決まりになっている。しかし、それは人族に限ったこと……他種族で、特に人間と異なる姿をしている少年は、受け入れられなかったのだろう。
だから……少年の願いを叶えても、幻惑草を使って見た目を変化させても、彼が友達を作れるとは思えなかった。既に、認知されてしまっているだろうから……
「……ヤッ、パリ……ムズカ、シイ……」
カイムの表情を見て、少年は理解したのか悲しげな顔をして俯いた……友達を作りたくて、見て聞いて、頑張って覚えたのだろう人の言葉を使う少年に、私は何かしてあげたくなった……が……
その時……
廊下の先からドタドタと激しい音を響かせて、誰かがこっちに向かって走ってくるのが聞こえたのは。
「っ!みんな隠れて!さっ、貴方も、もう行って…ごめんね、力になれなくて」
カイムは、瞬時に音の正体が誰か気付き妖精達を逃がす。彼女の声を聞き慌てて姿を消す妖精。オーガの少年も、カイムを気にかけつつ窓から離れた。
このアトリエの現主は、大の人族主義者。他種族は、一切認めない人間だ。他種族を見かけたら、嬲り殺しかけない。ましてや、子供なんて気にもとめないだろう。
(わたし、……何かしたかな……怒られるようなこと…)
胸の前で手を握り、音の主が中に入ってくるのを覚悟して待った。
「カイム!!!!」
「はいっ!」
扉が壊れるんじゃないかと思うくらいに激しく開かれ、デュナメス様は一直線に私に向かって歩き胸ぐらを掴んできた。
「貴様は!何をしたか分かっているのか!」
……何をしたか?
何したんだろう……?
分からないけど謝らなきゃ……
「も、申し訳ありません!」
「貴様のせいで!貴様の存在が!貴様がっ……!」
「っっ!」
デュナメス様が、何に怒ってるか分からないけど……私のせいだって連呼してる。顔を真っ赤にして、怒りの形相で……私を殴り飛ばした。
「ポーションも作れぬ無能が!貴様がいるだけで、このアトリエは!アトリエの価値がっ!」
「すみませんっ!ごめんなさいっ」
「あの方は!何故こんな無能を放置してるのか!何故っ!」
「っ!」
私がポーションを作れないせいで……師匠が……
師匠は、本当に凄い人なのに……私のせいで…
……私の存在が……アトリエの価値も、師匠の価値も、下げているのだとデュナメス様は言った。
「……貴様のせいだ……」
ハアハアと息を切らせるデュナメス様。
22
あなたにおすすめの小説
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
パーティのお荷物と言われて追放されたけど、豪運持ちの俺がいなくなって大丈夫?今更やり直そうと言われても、もふもふ系パーティを作ったから無理!
蒼衣翼
ファンタジー
今年十九歳になった冒険者ラキは、十四歳から既に五年、冒険者として活動している。
ところが、Sランクパーティとなった途端、さほど目立った活躍をしていないお荷物と言われて追放されてしまう。
しかしパーティがSランクに昇格出来たのは、ラキの豪運スキルのおかげだった。
強力なスキルの代償として、口外出来ないというマイナス効果があり、そのせいで、自己弁護の出来ないラキは、裏切られたショックで人間嫌いになってしまう。
そんな彼が出会ったのが、ケモノ族と蔑まれる、狼族の少女ユメだった。
一方、ラキの抜けたパーティはこんなはずでは……という出来事の連続で、崩壊して行くのであった。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
捨てられ王女ですが、もふもふ達と力を合わせて最強の農業国家を作ってしまいました
夏見ナイ
ファンタジー
魔力ゼロの『雑草王女』アリシアは、聖女である妹に全てを奪われ、不毛の辺境へ追放された。しかし、彼女を慕う最強の騎士と、傷ついた伝説のもふもふとの出会いが運命を変える。
アリシアの力は魔力ではなく、生命を育む奇跡のスキル『万物育成』だった! もふもふ達の力を借り、不毛の大地は次々と奇跡の作物で溢れる緑豊かな楽園へと変わっていく。
やがて人々が集い、彼女を女王とする最強の農業国家が誕生。その頃、アリシアを捨てた祖国は自滅により深刻な食糧難に陥っていた――。
これは、優しき王女が愛する者たちと幸せを掴む、心温まる逆転建国ファンタジー。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる