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神聖王国と砂漠の国
第25話 狼の正体
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なぜ……
こうなったのだろう……
小さなテーブルにお茶とお菓子が乗っていて、私はその前に座らされている。
私の前には、この国の王ファルーク様が座り、横には宰相ルーカス様が座っている。
2人は笑顔で、私にお菓子やお茶を進めてくる。
近くに執事が1人と、軍団長のグレッド様がいて、この2人も、柔らかい表情で私達を見守っていた。
なぜ、こんな状況に……
王宮に着いた私と伯爵は、宰相様と軍司令官様、軍団長様に迎えられた。伯爵は、宰相様と軍司令官様と共に王宮の奥へと連れて行かれ、残された私は王宮の入り口で待つ事になった。
伯爵の計画がいつ実行に移されるか分からない。何か、伝える方法でもあれば良いのだけど…
……
…………
………………
静かに、邪魔にならない様に立っていた。
………隣が気になる。
隣には、同じ様に静かに立つ軍団長のグレッド様がいた。
グレッド様は黒髪でターバンを緩く巻いた軽い印象の男性だ。だが、王の剣と称され、最高位の剣魔法……広範囲の味方を癒し敵を攻撃する『白銀の刃』を使い、お父様と並ぶ程の実力者だった。
逆にヴィムク様は、強面で顔に傷があり硬派な印象の男性。王の盾と称され最高位の守護魔法、災害も攻撃も広範囲の味方のみを護る『護りの大盾』が使える実力者だ。
そのグレッド様が、隣にずっといる。
なぜ?
つい、ジッと見てしまった。
「どうされましたか?」
「い、いえ」
「お暇でしたら、庭にでも行きますか?案内しますよ」
満面の笑顔で、提案してきた。
いや…奴隷の私を王宮の庭に連れ出して良いのでしょうか?
ダメですわよね?!
「いえ、旦那様のお帰りを待たないといけませんので…」
やんわりと、断る。
「たぶん、今日中には帰れないよ」
だから大丈夫、とグレッド様は言う。手を差し出しエスコートの構えを取る。
だから、私は奴隷なんですわ!エスコートを受ける身分ではありません!
「あ、あの」
「どうしたの?俺は女性には優しいつもりだよ」
「いえ、あの、わたしくし、奴隷、なんですけど…」
頭の中が真っ白になって、言葉が上手く出てこない。そもそも貴族だった時も、こんな風に気安く接してくる人はいなかったし。
「そんな事か、俺は、気にしないから大丈夫!さっ行こうか」
呆気に取られてる内に手を取られ、自身の腕に絡ませる。
とても、手馴れている。
案内されたのは庭園で、花々に囲まれた場所にガゼボがある。白を基調とした落ち着きある色合いの……
(え?)
その場所に太陽に照らされ、金に煌めく銀色の狼がいた。声を掛けようとしたら、別の場所から声が掛かった。
「陛下!!」
(……え?)
「こんな所に居たんですか?!探したんですよ!」
『あー、すまん、分かっている』
『そううるさく言うな』
面倒臭そうに、狼は唸っている。
隣に居るグレッド様を見上げると、まずいといった顔をしている。居ると思わなかったみたい。
「へいか?」
気づいたら言葉を発していた。
ハッと振り向く狼と宰相様、あちゃーと手を額に置くグレッド様。私は何が何だか分からなかった。
--------------------
陛下の狼姿の時は、念話です。
聞かせる相手を選べる為、この時は未だシルフィアには陛下の声は聞こえていません。
こうなったのだろう……
小さなテーブルにお茶とお菓子が乗っていて、私はその前に座らされている。
私の前には、この国の王ファルーク様が座り、横には宰相ルーカス様が座っている。
2人は笑顔で、私にお菓子やお茶を進めてくる。
近くに執事が1人と、軍団長のグレッド様がいて、この2人も、柔らかい表情で私達を見守っていた。
なぜ、こんな状況に……
王宮に着いた私と伯爵は、宰相様と軍司令官様、軍団長様に迎えられた。伯爵は、宰相様と軍司令官様と共に王宮の奥へと連れて行かれ、残された私は王宮の入り口で待つ事になった。
伯爵の計画がいつ実行に移されるか分からない。何か、伝える方法でもあれば良いのだけど…
……
…………
………………
静かに、邪魔にならない様に立っていた。
………隣が気になる。
隣には、同じ様に静かに立つ軍団長のグレッド様がいた。
グレッド様は黒髪でターバンを緩く巻いた軽い印象の男性だ。だが、王の剣と称され、最高位の剣魔法……広範囲の味方を癒し敵を攻撃する『白銀の刃』を使い、お父様と並ぶ程の実力者だった。
逆にヴィムク様は、強面で顔に傷があり硬派な印象の男性。王の盾と称され最高位の守護魔法、災害も攻撃も広範囲の味方のみを護る『護りの大盾』が使える実力者だ。
そのグレッド様が、隣にずっといる。
なぜ?
つい、ジッと見てしまった。
「どうされましたか?」
「い、いえ」
「お暇でしたら、庭にでも行きますか?案内しますよ」
満面の笑顔で、提案してきた。
いや…奴隷の私を王宮の庭に連れ出して良いのでしょうか?
ダメですわよね?!
「いえ、旦那様のお帰りを待たないといけませんので…」
やんわりと、断る。
「たぶん、今日中には帰れないよ」
だから大丈夫、とグレッド様は言う。手を差し出しエスコートの構えを取る。
だから、私は奴隷なんですわ!エスコートを受ける身分ではありません!
「あ、あの」
「どうしたの?俺は女性には優しいつもりだよ」
「いえ、あの、わたしくし、奴隷、なんですけど…」
頭の中が真っ白になって、言葉が上手く出てこない。そもそも貴族だった時も、こんな風に気安く接してくる人はいなかったし。
「そんな事か、俺は、気にしないから大丈夫!さっ行こうか」
呆気に取られてる内に手を取られ、自身の腕に絡ませる。
とても、手馴れている。
案内されたのは庭園で、花々に囲まれた場所にガゼボがある。白を基調とした落ち着きある色合いの……
(え?)
その場所に太陽に照らされ、金に煌めく銀色の狼がいた。声を掛けようとしたら、別の場所から声が掛かった。
「陛下!!」
(……え?)
「こんな所に居たんですか?!探したんですよ!」
『あー、すまん、分かっている』
『そううるさく言うな』
面倒臭そうに、狼は唸っている。
隣に居るグレッド様を見上げると、まずいといった顔をしている。居ると思わなかったみたい。
「へいか?」
気づいたら言葉を発していた。
ハッと振り向く狼と宰相様、あちゃーと手を額に置くグレッド様。私は何が何だか分からなかった。
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陛下の狼姿の時は、念話です。
聞かせる相手を選べる為、この時は未だシルフィアには陛下の声は聞こえていません。
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