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第1話 婚約破棄(R15)
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「ミナージュ・シリウス!貴様には失望した!聖女を虐め貶め怪我させたこと、更にっ!毒を使って殺害せんとしたこと!死刑に値する!当然貴様との婚約など破棄だ!」
私は、嫌がらせしたことは認めますが、貶めた事も怪我させたこともありません。ましてや毒を使っての殺害など……それを説明したいですが、喉を焼かれ喋ることが出来ません。
初めから、私の意見など聞く気は無いという事ですわね。
騎士達に、地面に這いつくばされるほどに引き倒され、上から押さえつけられ周りの貴族からは嘲笑が零れる。
お父様達に視線を向けるが、仇を見るような目で睨まれました。
「貴様の様な性悪な女など娘ではない!勘当だ!さっさと死ね!」
「お前の様な性悪な女が、僕の姉上だったなんて最悪。早く死んでよね」
「貴方の様な性悪な女を産んだ事が私の最大の過ちだったわね」
と、家族は言いました。
第2王子である、ククルト・プロキオンに寄り添うように立つ聖女アイリス様が微笑んでいるのが見えます。
でも、誰も彼女の嫌な微笑みには気付いていないようです。
そして私は、処刑の日まで地下の牢獄に入れられました。友人だと思っていた人達は、やってもいない私の罪を捏造し王子に報告したそうです。
冷たい牢獄の中……ずっと、考えていました。
学園に通っていた時から、聖女アイリスとククルトの距離の近さを……
アイリスは、とても頭が良く儚げで可愛らしい聖女だった。攻撃魔法が得意の私と違い、回復魔法が得意な彼女は、みんなから好かれ、大事にされていました。
「…………、……」
声は出ない。
公爵家の令嬢として、第2王子の婚約者として様々な教育を幼い頃から受けてきましたが……
何の意味もありませんでしたね。
(いつ、死ぬのでしょうか)
あれから3日経ちますが、未だ処刑の日は知らされません。
(もう、生きている意味も意思もありません)
食事が運ばれる事はなく、只々ギリギリのラインで生かされているだけ……
(いつになったら、殺してくれるのでしょうか?)
それから更に2日、騎士の方が来て乱暴に私を引き摺って行きました。
(やっと、処刑してくれるのでしょうか)
ですが、私の考えは甘かったようです。
王様から告げられた言葉は、魔獣討伐隊の魔道要員として参加する事でした。
魔獣討伐隊とは、プロキオン王国を含めた周辺の同盟国から年に1度、腕の立つ人物を集め結成される部隊。数ヶ月かけて各地を周り、魔獣を討伐するのが役目です。貴族だったり平民だったり、男であれ女であれ……兎に角、腕が立つ者は何者であれ招集される。
「貴様には、魔獣討伐隊の魔道要員として参加して貰う。良いか、貴様は死んでも討伐隊を守れ」
「陛下、私も参加しますわ」
「アイリス、其方は参加する必要は無い。危険だから、国に留まるのだ」
陛下が私に命令すると、アイリスが自分も参加すると言い出した。だが、みんなの人気者の聖女を陛下が参加させるとは思えない。
魔獣討伐というのは、本当に危険な事なのだから。
腕の立つ人物で集めた討伐隊でも、死人が出るほどなのだから……
「陛下、私の回復魔法がきっと役に立ちますっ!私は傷付いた方々を治してあげたいのです!」
「……分かった、其方がそこまで言うのなら許可しよう。しかし!ククルトと護衛を付けるぞ」
「ありがとうございます!陛下」
第2王子は、意外と剣の扱いが上手いです。中型の魔獣であれば、倒せる程に……ただ、連携は苦手としていますが……。
「ヴェイグ・アルクトゥルスを呼べ」
「はっ!」
謁見の間の扉が開かれ、黒髪で右目に眼帯をした金の目の男性が入ってきた。
「…………」
(彼は…アルクトゥルス王国の王弟殿下……)
彼は、私を鋭く一瞥し国王に挨拶をした。
聖女を害した私を、軽蔑しているのでしょう。
害してませんけど…
「プロキオン国王に、ご挨拶を申し上げる」
「構わん。お主には、犯罪者を任せる事になり申し訳ないな。だが、あの娘の事は、捨て駒程度に考えておけば良い」
「…………承知しております」
アルクトゥルス王弟殿下は、難しい顔をして了承の返事を返した。けれど、その顔は……何だか少し、辛そうな……?
そして、ふと……聖女アイリスを見ると、彼女はアルクトゥルス王弟殿下を一心に見つめ頬を染めていた。
……やっぱり、惚れっぽい性格をしてるのかしらね。
「ヴェイグ様っ!皆様が怪我をしたら私が絶対に回復しますから、いつでも言って下さいね!」
胸を強調するように、両手で胸を挟み手を組みアルクトゥルス王弟殿下を見つめ言った。胸は強調されたが、尻軽に見えないよう計算された姿勢だった。
「ああ、よろしく頼む」
だが、アルクトゥルス王弟殿下は素っ気なくアイリスに返していた。その態度にアイリスは、最初不満気だったが、次第に燃えるような目でアルクトゥルス王弟殿下を見つめた。
相手が自分に興味無いほど、落としがいがあるのかも知れませんね。私には関係ありませんが……
「お前達、罪人を連れて行け!」
「はっ」
騎士が数人近寄ってきて、左右に1人ずつ私の手を掴み強引に連れ出して行った。
私が連れ出されたあと、謁見の間では……
「ヴェイグ殿、あの女は死ぬまでこき使ってくれて構わぬ。寧ろ、魔獣に襲われ死ねば良い」
「…………」
「アルクトゥルス王国は、正義の国と聞いておる。あの女の所業は、許せぬだろう。お主の好きなように使え、もし大型の魔獣に襲われそうになれば囮にでもすれば良い。使い方はお主次第よ」
「……承知、しました」
アルクトゥルスは、考えていた。
ミナージュ嬢は、第2王子の婚約者として何度か顔を合わせた事があるが…誰かを害すような御方では無かった。
平民にも優しく接し、自ら怪我を負っても民を守るような御方だった……
その御方が、聖女を殺そうとしたなど信じられぬ。
……そして、貴族の令嬢としてマナーや所作が完璧だった彼女が、破れた服に所々絡まった髪、唇は乾燥しカサカサ……目は……生きる事を諦めた、死人のような目…
我が国の民は、彼女を女神のように慕う者が多いというのに……一体何があったというのだ。
死ぬ事を望まれ死にたい悪役令嬢と、彼女を死なせたくなくて奔走する討伐隊隊長の恋物語が今始まる。
私は、嫌がらせしたことは認めますが、貶めた事も怪我させたこともありません。ましてや毒を使っての殺害など……それを説明したいですが、喉を焼かれ喋ることが出来ません。
初めから、私の意見など聞く気は無いという事ですわね。
騎士達に、地面に這いつくばされるほどに引き倒され、上から押さえつけられ周りの貴族からは嘲笑が零れる。
お父様達に視線を向けるが、仇を見るような目で睨まれました。
「貴様の様な性悪な女など娘ではない!勘当だ!さっさと死ね!」
「お前の様な性悪な女が、僕の姉上だったなんて最悪。早く死んでよね」
「貴方の様な性悪な女を産んだ事が私の最大の過ちだったわね」
と、家族は言いました。
第2王子である、ククルト・プロキオンに寄り添うように立つ聖女アイリス様が微笑んでいるのが見えます。
でも、誰も彼女の嫌な微笑みには気付いていないようです。
そして私は、処刑の日まで地下の牢獄に入れられました。友人だと思っていた人達は、やってもいない私の罪を捏造し王子に報告したそうです。
冷たい牢獄の中……ずっと、考えていました。
学園に通っていた時から、聖女アイリスとククルトの距離の近さを……
アイリスは、とても頭が良く儚げで可愛らしい聖女だった。攻撃魔法が得意の私と違い、回復魔法が得意な彼女は、みんなから好かれ、大事にされていました。
「…………、……」
声は出ない。
公爵家の令嬢として、第2王子の婚約者として様々な教育を幼い頃から受けてきましたが……
何の意味もありませんでしたね。
(いつ、死ぬのでしょうか)
あれから3日経ちますが、未だ処刑の日は知らされません。
(もう、生きている意味も意思もありません)
食事が運ばれる事はなく、只々ギリギリのラインで生かされているだけ……
(いつになったら、殺してくれるのでしょうか?)
それから更に2日、騎士の方が来て乱暴に私を引き摺って行きました。
(やっと、処刑してくれるのでしょうか)
ですが、私の考えは甘かったようです。
王様から告げられた言葉は、魔獣討伐隊の魔道要員として参加する事でした。
魔獣討伐隊とは、プロキオン王国を含めた周辺の同盟国から年に1度、腕の立つ人物を集め結成される部隊。数ヶ月かけて各地を周り、魔獣を討伐するのが役目です。貴族だったり平民だったり、男であれ女であれ……兎に角、腕が立つ者は何者であれ招集される。
「貴様には、魔獣討伐隊の魔道要員として参加して貰う。良いか、貴様は死んでも討伐隊を守れ」
「陛下、私も参加しますわ」
「アイリス、其方は参加する必要は無い。危険だから、国に留まるのだ」
陛下が私に命令すると、アイリスが自分も参加すると言い出した。だが、みんなの人気者の聖女を陛下が参加させるとは思えない。
魔獣討伐というのは、本当に危険な事なのだから。
腕の立つ人物で集めた討伐隊でも、死人が出るほどなのだから……
「陛下、私の回復魔法がきっと役に立ちますっ!私は傷付いた方々を治してあげたいのです!」
「……分かった、其方がそこまで言うのなら許可しよう。しかし!ククルトと護衛を付けるぞ」
「ありがとうございます!陛下」
第2王子は、意外と剣の扱いが上手いです。中型の魔獣であれば、倒せる程に……ただ、連携は苦手としていますが……。
「ヴェイグ・アルクトゥルスを呼べ」
「はっ!」
謁見の間の扉が開かれ、黒髪で右目に眼帯をした金の目の男性が入ってきた。
「…………」
(彼は…アルクトゥルス王国の王弟殿下……)
彼は、私を鋭く一瞥し国王に挨拶をした。
聖女を害した私を、軽蔑しているのでしょう。
害してませんけど…
「プロキオン国王に、ご挨拶を申し上げる」
「構わん。お主には、犯罪者を任せる事になり申し訳ないな。だが、あの娘の事は、捨て駒程度に考えておけば良い」
「…………承知しております」
アルクトゥルス王弟殿下は、難しい顔をして了承の返事を返した。けれど、その顔は……何だか少し、辛そうな……?
そして、ふと……聖女アイリスを見ると、彼女はアルクトゥルス王弟殿下を一心に見つめ頬を染めていた。
……やっぱり、惚れっぽい性格をしてるのかしらね。
「ヴェイグ様っ!皆様が怪我をしたら私が絶対に回復しますから、いつでも言って下さいね!」
胸を強調するように、両手で胸を挟み手を組みアルクトゥルス王弟殿下を見つめ言った。胸は強調されたが、尻軽に見えないよう計算された姿勢だった。
「ああ、よろしく頼む」
だが、アルクトゥルス王弟殿下は素っ気なくアイリスに返していた。その態度にアイリスは、最初不満気だったが、次第に燃えるような目でアルクトゥルス王弟殿下を見つめた。
相手が自分に興味無いほど、落としがいがあるのかも知れませんね。私には関係ありませんが……
「お前達、罪人を連れて行け!」
「はっ」
騎士が数人近寄ってきて、左右に1人ずつ私の手を掴み強引に連れ出して行った。
私が連れ出されたあと、謁見の間では……
「ヴェイグ殿、あの女は死ぬまでこき使ってくれて構わぬ。寧ろ、魔獣に襲われ死ねば良い」
「…………」
「アルクトゥルス王国は、正義の国と聞いておる。あの女の所業は、許せぬだろう。お主の好きなように使え、もし大型の魔獣に襲われそうになれば囮にでもすれば良い。使い方はお主次第よ」
「……承知、しました」
アルクトゥルスは、考えていた。
ミナージュ嬢は、第2王子の婚約者として何度か顔を合わせた事があるが…誰かを害すような御方では無かった。
平民にも優しく接し、自ら怪我を負っても民を守るような御方だった……
その御方が、聖女を殺そうとしたなど信じられぬ。
……そして、貴族の令嬢としてマナーや所作が完璧だった彼女が、破れた服に所々絡まった髪、唇は乾燥しカサカサ……目は……生きる事を諦めた、死人のような目…
我が国の民は、彼女を女神のように慕う者が多いというのに……一体何があったというのだ。
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