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番外編 思わぬ再開
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最初は、不快なシーンが続くと思います。赤ん坊に対し不適切な発言もあります。ご了承ください(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
あと、元夫の発言が幼稚化していますが、そういう性癖?とご理解下さい。
微?ざまぁ有りです。
─────
あれから1年。
リリィの元夫バルドと元義母サリアは、家を追い出され、国を追われ、リリィのいる隣国に流れ着いていた。
未だ反省すること無く、リリィを逆恨みする毎日を送っていた。
何故だ?!何故だ?!何故だ?!
何故、僕が……こんな目に……っ
僕とママは、あの日からすごく大変な目に合ってる……
それもこれも、あの女が離婚なんてするからだっ!僕がママと寝て何が悪いんだよっ!
「くそっ!ママ、ママ、大丈夫?」
「大丈夫よ、私の可愛い、バルド」
あの日からママは、夜になると良く分からないお店に行ってお金を稼いでいる。そのせいで、あまり僕の相手をしてくれないんだっ!
全部、全部あの女のせいだっ!!
僕がイライラして頭を掻き毟ると、隣にいたママが優しく抱き締めて、僕の頭を撫でながら話し始めた。
「バルド……聞いた話なのだけどね、リリィが隣国で結婚したそうよ…私達を不幸にして自分だけ幸せになるなんて、許される事じゃないと思わない?」
あの女が幸せになる?!僕達をこんな目に遭わせたくせに?!そんなの……絶対ダメだ!
「うん、ママ!そうだよ!許せないっ!僕たちがこんなに苦労してるのに、アイツだけ幸せになるなんてっ!!」
バルドは、鬼の形相で力強く頷く。
バルドとサリアは、自分たちのした事を棚に上げてリリィばかりを責めだした。
そして、有ろう事かリリィに何かをすると明言したのだ。
王都に辿り着いた2人は、街中でルリィを見つけた。
「ママっ!あいつっ!」
「あらぁ?直ぐに見つかったわねぇ」
2人はリリィとルリィの区別が出来ていない。お忍びで、街に遊びに出ていたルリィをまたリリィと間違えた。
その日、リリィはルリィと一緒に街中に出ていた。少し離れた場所には、アレフとお忍びのジェストが居た。
ルリィが、執務を早急に終わらせて、リリィの元に行き街中に誘ったのだ。
部屋に閉じこもってばかりも、体に良くないから……と、そう、リリィのお腹には赤ちゃんが居たのだ。
2人は並んでいたけれど、リリィのお腹が膨らんでいた為、バルド達は気付かなかったのだ。
バルドとサリアは、2人の後をつけた。
会話を盗み聞き、お腹の膨らんだ方がリリィだと気が付いた。
絶句し立ち尽くしている内に、リリィ達は何処かに行ってしまっていた。
「ママ……アイツ、子供が居るって…」
「許せない……私の愛しいバルドが、辛い目にあってるのに、アイツの子は幸せになるなんてっ……」
サリアの目は黒く淀み、怒りや憎しみのこもった目をしていた。離れていくリリィを、殺意を込めた目で睨みつけるように見ていた。
「バルド……アイツの子供を殺しましょう?」
「ママ?」
「大丈夫……ほんの少し衝撃を与えれば良いだけ。それだけで、赤ん坊は簡単に流れるわ……っ」
サリアが憎しみを募らせ、バルドと共に計画を立てていた。
だが、この2人の存在に気付いていた者がいた……
アレフとジェストだ。
2人は離れた所でリリィ達を見守っていたため気がついた。
「ジェスト様…」
「あぁ、まさかこの国に居るとはな……リリィに何かあれば、ルリィが悲しむ。早急に対策を取らねばな」
相変わらず、ルリィ一筋のジェストであった。
その数日後
リリィはアレフと街に出ていた。
「アレフ様、本日はどこに行きますの?」
「ルリィ様に教えて頂いたのですが、この近くに新しくカフェが出来たそうです。そこに行きませんか?」
「まぁ、お姉様が?また、ジェスト様に内緒で出かけましたわね?」
リリィは、アレフと結婚してからよく笑うようになっていた。
お腹に手を当てて、優しく微笑んでいる。
「もうすぐ6ヶ月になりますか」
そう言ってアレフが、リリィのお腹に手を触れた。もう片方の手は、リリィの腰に添えられて2人寄り添って歩いている。
それを憎々しげに見つめる視線があった。
バレないとでも思っているのでしょうか?愚かですね。私が、リリィを危険に晒すわけが無いでしょう……が、リリィには申し訳ありませんが…彼らを炙り出すためにも、少し席を外す必要があります。
ジェスト様も危険だからと腕利きの騎士をつけて下さいました。リリィも戦えますが、身重なため、激しい動きはさせられませんからね。
ルリィ様も来たがっていましたが、今日は大事な会合があるため、泣く泣く諦めていましたね。
呉々もリリィを頼むと言われました。頼まれなくても、守りますけれどね。
そして、あの2人には二度とリリィの目に触れさせないように!と釘を刺されました
「リリィ、先に席に着いていて下さい。私も直ぐに行きますから」
「はい、大丈夫ですよ。アレフは心配性なんですから」
口元に手を当てて、クスクス笑うリリィの額にキスをする。
「リリィは大切な私の奥さんで。リリィのお腹には、私の大切な子供がいますからね。心配しすぎるくらいが丁度いいんですよ」
そう言って私は、リリィの元を離れた。呼ばれた風を装い、護衛の騎士の元に向かう。
リリィの傍には、私服の騎士が傍に着いている。何かあれば、彼らが必ず守るでしょう(ルリィ様の逆鱗に触れますからね)
さぁ、出てきなさい。
愚かで、屑な者達よ
私のリリィに、手を出そうとした事を後悔させます。
カフェの傍の植木に隠れ(アレフにはバレている)様子を伺う2人に目を止めて、アレフは不敵に笑った。
「ママっ!男が離れた!行くなら今がチャンスだよっ!」
「ええ、行きましょう?」
アレフが離れた隙に、リリィに近寄るのは元夫バルドとその母親サリアだった。
2人は、瞳に憎しみの色を込めてリリィに近寄っていく。
「リリィっ」
「……えっ?」
名前を呼ばれて振り返ったリリィの顔から笑みが消えて、絶望に染まる。
「バルド…様」
1年前までは標準だった無表情に戻ったリリィに、街の人達が驚いた。
アレフと一緒に街に出ることも多いリリィ、街の人達とも顔見知りだった。
笑顔が絶えず、常に微笑みをたたえるリリィは街の人気者だ。
それが一瞬で鳴りを潜め、無表情に戻ったリリィに街の人達は、何があったのかと注意を向けた。
「楽しそうだな、リリィ。俺達が、こんなに苦労してるのに」
2人の姿に目を止めたリリィは、少し表情を歪ませるが直ぐに無表情に戻った。
「それは、バルド様が……」
「僕が、なんだって言うんだよっ!」
バルドが、掴みかかる勢いで近寄り手を伸ばした。それに反応したのはリリィじゃなかった。
近くに座っていたカップルが、リリィとバルドの間に入り、男性がバルドの手を掴み、女性がリリィを保護した。
このカップルは、ジェストが用意した腕利きの騎士で2人は恋人同士では無い。それを装っていただけだった。
「あ、あの……」
「大丈夫ですよ、リリィ様」
「くそっ!離せよっ!」
「離すわけがないだろう、リリィ様に手を出したお前が悪い」
「くそっ!ママ!ママ!」
バルドは、サリアを呼んだ。
少し離れた所で様子を見ていたサリアが、静かにリリィに近づいて行く。
リリィを保護した女性騎士が、サリアとリリィの間に入り守る。
「退きなさい、少し息子の元嫁に話があるだけよ」
「お断りします。リリィ様に危害を加えるものを近付けるな、と主君(ジェスト)に命じられておりますので」
街の人達は成り行きを見守っていた。そして、元嫁という言葉に驚きを隠せないでいた。勿論、リリィが離婚しアレフと再婚した事は知っていたが、元夫が彼だとは知らなかったからだ。
それを見ていたアレフが怒りを隠して笑みを浮かべ向かった。
「おや?誰かと思えば、リリィの元夫のバルドではありませんか」
穏やかな笑みを浮かべているが、目が笑っていない事は、この場にいる誰もが分かっていた。
「貴様っ!あの時のっ!」
「私は侯爵家の人間で、伯爵位を賜っています。そして、リリィは私の大切な妻で伯爵夫人…立場を弁えてください?平民に下ったバルドくん」
「っ!!」
アレフは2人を睨みつけるように見て、リリィに向き直った。既にいつもの優しい笑顔に戻っていて、リリィに嫌な思いをさせて事を謝罪し馬車に乗せた。当然、彼らが何か仕掛ける可能性もあるので、護衛と私服の騎士も同行させた。
「リリィ、申し訳ありません。嫌な思いをさせましたね…このお詫びは必ず。しかし今は、彼らに付き合う必要はありません。私に任せて帰っていて下さい。お前たち、頼みましたよ」
リリィは、心配そうな顔をしてアレフを見つめるが、小さく微笑み頷いて馬車に乗り込んだ。
走り出した馬車を見送り、再び冷たく凍りつくような笑みをバルド達に向けた。
「さて、次はお前達ですね」
「っ!何故、邪魔をするんだ!僕はただ、リリィと話がしたかっただけだ!」
「話をするだけなのに、掴みかかる必要があるのですか?」
「……っ!」
バルドも負けじとアレフを睨みつける。
「言っておきますが、リリィに手を出したことは犯罪ですよ?護衛の者が庇わなかったら、リリィはどうなっていましたか?突き飛ばされ転倒し、リリィにもお腹の子にも影響が出ていました…お腹の子が死んでいれば、殺人罪も適用されますね」
「…………」
バルドは、先程の勢いをなくし、ガタガタと震えている。サリアは、震えるバルドを抱き締め頭を撫でている。
甘やかすにも程がある……。
そんなだから頭の悪い甘えたがりに育つんだ、とアレフは思った。
「だっておかしいじゃないかっ!僕は、僕達は、こんなに目に遭ってるのに、アイツだけ幸せなんて……」
「3年も苦しめていたお前が言う言葉ですか?ちょっと辛い目にあっただけで、リリィを逆恨みするなどお門違いですよ。
さて、この国で罪を犯したのですから、この国の法にのっとって裁きを受けて頂きますよ」
騒ぎに駆けつけた警備兵に、バルドとサリアを引き渡し、街の人に謝罪し、アレフはその場を離れた。
「……と、あの後の出来事は、こんな感じでしたよ」
アレフは、次の日にリリィに事情を説明した。本当は、少し前に2人がいる事を知っていた事も、何か計画している事も影を使って調べていた事も全て。
「本当は、私も動きたかったのですけど、顔が知られていますからね。ジェスト様に頼んで影を貸して頂きました」
「そうだったのですね……私にも教えて下されば良かったですのに」
リリィは頬を膨らませ、少し拗ねた声を出した。その頬に手を伸ばし、指でつつくアレフ。
「拗ねるリリィも可愛いです」
「もうっ」
「お腹の子に、何事も無くて良かった。貴方と子供に何かあったら、私は彼らを殺していたでしょうから」
少し間を開けて、アレフが呟いた。
その後の裁判で、バルドとサリアは王都から離れた町に移送された。
そこには、監獄塔があって、彼らは一生幽閉の身になったのだった。
この事実だけは、リリィの耳には入っていない。ただ、行方不明になったとだけ伝えられた。
~完~
ここまで、お付き合い頂きありがとうございました(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
完結しました。
ご不快にさせたシーンも多くあったと思いますが、楽しんで頂けたでしょうか。
では、他の作品も楽しんで頂けるよう頑張りますね。
さて、近況ボードにも書きましたが、平日の執筆が少し難しくなっております。
休日メインで執筆していきますので、ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
ストックが沢山書けるよう……( ノД`)は、難しいですが、頑張りますので、よろしくお願いいたします。
あと、元夫の発言が幼稚化していますが、そういう性癖?とご理解下さい。
微?ざまぁ有りです。
─────
あれから1年。
リリィの元夫バルドと元義母サリアは、家を追い出され、国を追われ、リリィのいる隣国に流れ着いていた。
未だ反省すること無く、リリィを逆恨みする毎日を送っていた。
何故だ?!何故だ?!何故だ?!
何故、僕が……こんな目に……っ
僕とママは、あの日からすごく大変な目に合ってる……
それもこれも、あの女が離婚なんてするからだっ!僕がママと寝て何が悪いんだよっ!
「くそっ!ママ、ママ、大丈夫?」
「大丈夫よ、私の可愛い、バルド」
あの日からママは、夜になると良く分からないお店に行ってお金を稼いでいる。そのせいで、あまり僕の相手をしてくれないんだっ!
全部、全部あの女のせいだっ!!
僕がイライラして頭を掻き毟ると、隣にいたママが優しく抱き締めて、僕の頭を撫でながら話し始めた。
「バルド……聞いた話なのだけどね、リリィが隣国で結婚したそうよ…私達を不幸にして自分だけ幸せになるなんて、許される事じゃないと思わない?」
あの女が幸せになる?!僕達をこんな目に遭わせたくせに?!そんなの……絶対ダメだ!
「うん、ママ!そうだよ!許せないっ!僕たちがこんなに苦労してるのに、アイツだけ幸せになるなんてっ!!」
バルドは、鬼の形相で力強く頷く。
バルドとサリアは、自分たちのした事を棚に上げてリリィばかりを責めだした。
そして、有ろう事かリリィに何かをすると明言したのだ。
王都に辿り着いた2人は、街中でルリィを見つけた。
「ママっ!あいつっ!」
「あらぁ?直ぐに見つかったわねぇ」
2人はリリィとルリィの区別が出来ていない。お忍びで、街に遊びに出ていたルリィをまたリリィと間違えた。
その日、リリィはルリィと一緒に街中に出ていた。少し離れた場所には、アレフとお忍びのジェストが居た。
ルリィが、執務を早急に終わらせて、リリィの元に行き街中に誘ったのだ。
部屋に閉じこもってばかりも、体に良くないから……と、そう、リリィのお腹には赤ちゃんが居たのだ。
2人は並んでいたけれど、リリィのお腹が膨らんでいた為、バルド達は気付かなかったのだ。
バルドとサリアは、2人の後をつけた。
会話を盗み聞き、お腹の膨らんだ方がリリィだと気が付いた。
絶句し立ち尽くしている内に、リリィ達は何処かに行ってしまっていた。
「ママ……アイツ、子供が居るって…」
「許せない……私の愛しいバルドが、辛い目にあってるのに、アイツの子は幸せになるなんてっ……」
サリアの目は黒く淀み、怒りや憎しみのこもった目をしていた。離れていくリリィを、殺意を込めた目で睨みつけるように見ていた。
「バルド……アイツの子供を殺しましょう?」
「ママ?」
「大丈夫……ほんの少し衝撃を与えれば良いだけ。それだけで、赤ん坊は簡単に流れるわ……っ」
サリアが憎しみを募らせ、バルドと共に計画を立てていた。
だが、この2人の存在に気付いていた者がいた……
アレフとジェストだ。
2人は離れた所でリリィ達を見守っていたため気がついた。
「ジェスト様…」
「あぁ、まさかこの国に居るとはな……リリィに何かあれば、ルリィが悲しむ。早急に対策を取らねばな」
相変わらず、ルリィ一筋のジェストであった。
その数日後
リリィはアレフと街に出ていた。
「アレフ様、本日はどこに行きますの?」
「ルリィ様に教えて頂いたのですが、この近くに新しくカフェが出来たそうです。そこに行きませんか?」
「まぁ、お姉様が?また、ジェスト様に内緒で出かけましたわね?」
リリィは、アレフと結婚してからよく笑うようになっていた。
お腹に手を当てて、優しく微笑んでいる。
「もうすぐ6ヶ月になりますか」
そう言ってアレフが、リリィのお腹に手を触れた。もう片方の手は、リリィの腰に添えられて2人寄り添って歩いている。
それを憎々しげに見つめる視線があった。
バレないとでも思っているのでしょうか?愚かですね。私が、リリィを危険に晒すわけが無いでしょう……が、リリィには申し訳ありませんが…彼らを炙り出すためにも、少し席を外す必要があります。
ジェスト様も危険だからと腕利きの騎士をつけて下さいました。リリィも戦えますが、身重なため、激しい動きはさせられませんからね。
ルリィ様も来たがっていましたが、今日は大事な会合があるため、泣く泣く諦めていましたね。
呉々もリリィを頼むと言われました。頼まれなくても、守りますけれどね。
そして、あの2人には二度とリリィの目に触れさせないように!と釘を刺されました
「リリィ、先に席に着いていて下さい。私も直ぐに行きますから」
「はい、大丈夫ですよ。アレフは心配性なんですから」
口元に手を当てて、クスクス笑うリリィの額にキスをする。
「リリィは大切な私の奥さんで。リリィのお腹には、私の大切な子供がいますからね。心配しすぎるくらいが丁度いいんですよ」
そう言って私は、リリィの元を離れた。呼ばれた風を装い、護衛の騎士の元に向かう。
リリィの傍には、私服の騎士が傍に着いている。何かあれば、彼らが必ず守るでしょう(ルリィ様の逆鱗に触れますからね)
さぁ、出てきなさい。
愚かで、屑な者達よ
私のリリィに、手を出そうとした事を後悔させます。
カフェの傍の植木に隠れ(アレフにはバレている)様子を伺う2人に目を止めて、アレフは不敵に笑った。
「ママっ!男が離れた!行くなら今がチャンスだよっ!」
「ええ、行きましょう?」
アレフが離れた隙に、リリィに近寄るのは元夫バルドとその母親サリアだった。
2人は、瞳に憎しみの色を込めてリリィに近寄っていく。
「リリィっ」
「……えっ?」
名前を呼ばれて振り返ったリリィの顔から笑みが消えて、絶望に染まる。
「バルド…様」
1年前までは標準だった無表情に戻ったリリィに、街の人達が驚いた。
アレフと一緒に街に出ることも多いリリィ、街の人達とも顔見知りだった。
笑顔が絶えず、常に微笑みをたたえるリリィは街の人気者だ。
それが一瞬で鳴りを潜め、無表情に戻ったリリィに街の人達は、何があったのかと注意を向けた。
「楽しそうだな、リリィ。俺達が、こんなに苦労してるのに」
2人の姿に目を止めたリリィは、少し表情を歪ませるが直ぐに無表情に戻った。
「それは、バルド様が……」
「僕が、なんだって言うんだよっ!」
バルドが、掴みかかる勢いで近寄り手を伸ばした。それに反応したのはリリィじゃなかった。
近くに座っていたカップルが、リリィとバルドの間に入り、男性がバルドの手を掴み、女性がリリィを保護した。
このカップルは、ジェストが用意した腕利きの騎士で2人は恋人同士では無い。それを装っていただけだった。
「あ、あの……」
「大丈夫ですよ、リリィ様」
「くそっ!離せよっ!」
「離すわけがないだろう、リリィ様に手を出したお前が悪い」
「くそっ!ママ!ママ!」
バルドは、サリアを呼んだ。
少し離れた所で様子を見ていたサリアが、静かにリリィに近づいて行く。
リリィを保護した女性騎士が、サリアとリリィの間に入り守る。
「退きなさい、少し息子の元嫁に話があるだけよ」
「お断りします。リリィ様に危害を加えるものを近付けるな、と主君(ジェスト)に命じられておりますので」
街の人達は成り行きを見守っていた。そして、元嫁という言葉に驚きを隠せないでいた。勿論、リリィが離婚しアレフと再婚した事は知っていたが、元夫が彼だとは知らなかったからだ。
それを見ていたアレフが怒りを隠して笑みを浮かべ向かった。
「おや?誰かと思えば、リリィの元夫のバルドではありませんか」
穏やかな笑みを浮かべているが、目が笑っていない事は、この場にいる誰もが分かっていた。
「貴様っ!あの時のっ!」
「私は侯爵家の人間で、伯爵位を賜っています。そして、リリィは私の大切な妻で伯爵夫人…立場を弁えてください?平民に下ったバルドくん」
「っ!!」
アレフは2人を睨みつけるように見て、リリィに向き直った。既にいつもの優しい笑顔に戻っていて、リリィに嫌な思いをさせて事を謝罪し馬車に乗せた。当然、彼らが何か仕掛ける可能性もあるので、護衛と私服の騎士も同行させた。
「リリィ、申し訳ありません。嫌な思いをさせましたね…このお詫びは必ず。しかし今は、彼らに付き合う必要はありません。私に任せて帰っていて下さい。お前たち、頼みましたよ」
リリィは、心配そうな顔をしてアレフを見つめるが、小さく微笑み頷いて馬車に乗り込んだ。
走り出した馬車を見送り、再び冷たく凍りつくような笑みをバルド達に向けた。
「さて、次はお前達ですね」
「っ!何故、邪魔をするんだ!僕はただ、リリィと話がしたかっただけだ!」
「話をするだけなのに、掴みかかる必要があるのですか?」
「……っ!」
バルドも負けじとアレフを睨みつける。
「言っておきますが、リリィに手を出したことは犯罪ですよ?護衛の者が庇わなかったら、リリィはどうなっていましたか?突き飛ばされ転倒し、リリィにもお腹の子にも影響が出ていました…お腹の子が死んでいれば、殺人罪も適用されますね」
「…………」
バルドは、先程の勢いをなくし、ガタガタと震えている。サリアは、震えるバルドを抱き締め頭を撫でている。
甘やかすにも程がある……。
そんなだから頭の悪い甘えたがりに育つんだ、とアレフは思った。
「だっておかしいじゃないかっ!僕は、僕達は、こんなに目に遭ってるのに、アイツだけ幸せなんて……」
「3年も苦しめていたお前が言う言葉ですか?ちょっと辛い目にあっただけで、リリィを逆恨みするなどお門違いですよ。
さて、この国で罪を犯したのですから、この国の法にのっとって裁きを受けて頂きますよ」
騒ぎに駆けつけた警備兵に、バルドとサリアを引き渡し、街の人に謝罪し、アレフはその場を離れた。
「……と、あの後の出来事は、こんな感じでしたよ」
アレフは、次の日にリリィに事情を説明した。本当は、少し前に2人がいる事を知っていた事も、何か計画している事も影を使って調べていた事も全て。
「本当は、私も動きたかったのですけど、顔が知られていますからね。ジェスト様に頼んで影を貸して頂きました」
「そうだったのですね……私にも教えて下されば良かったですのに」
リリィは頬を膨らませ、少し拗ねた声を出した。その頬に手を伸ばし、指でつつくアレフ。
「拗ねるリリィも可愛いです」
「もうっ」
「お腹の子に、何事も無くて良かった。貴方と子供に何かあったら、私は彼らを殺していたでしょうから」
少し間を開けて、アレフが呟いた。
その後の裁判で、バルドとサリアは王都から離れた町に移送された。
そこには、監獄塔があって、彼らは一生幽閉の身になったのだった。
この事実だけは、リリィの耳には入っていない。ただ、行方不明になったとだけ伝えられた。
~完~
ここまで、お付き合い頂きありがとうございました(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
完結しました。
ご不快にさせたシーンも多くあったと思いますが、楽しんで頂けたでしょうか。
では、他の作品も楽しんで頂けるよう頑張りますね。
さて、近況ボードにも書きましたが、平日の執筆が少し難しくなっております。
休日メインで執筆していきますので、ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
ストックが沢山書けるよう……( ノД`)は、難しいですが、頑張りますので、よろしくお願いいたします。
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ゆっくり次の作品も楽しみにしてます♪
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……ヽ( ;゚;ж;゚;)ノブッ
朝か鼻かららコーヒーありがとうございました(*;゚;艸;゚;)イタイ
笑わせるつもりは……(笑)
でも、ありがとうございます٩(ˊᗜˋ*)و
姉の印象強かったな( *^艸^))))最後のアレフって誰?というぐらいになるほど( ̄▽ ̄;)読み返して、ジェスト様の影でもあり護衛騎士だったわね……と(ㅇㅁㅇ;;)アレフとリリィのお話書きますよね(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )微笑ましいストーリーを後口直しで(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )
ありがとうございます(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
勿論です!
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そちらもお楽しみ頂ければと思います!!