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アナザーサイト
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その転校生の顔は覚えられなかった。
僕は、クラス委員をしている。ので人の顔を覚えるのは得意だった。
「ふうん…。私の顔こんな風に見えるんだ…。」彼女の顔には、あるはずのものがなかった。
その転校生は、夏やってきた。期末後に。新学期に来ればいいのに、と思ったが、大人の都合なのだろう。
担任が、お定まりのセリフを言う。
「今日から新しくこのクラスに入る…さんだ。」は?皆「へー。」「よろしくー。」とか普通にざわめく。
男は、「おー可愛い。」「顔ちっせー。」とか言ってる。僕には彼女が、目、鼻、口があるのかも分からない。名前も聞き取れない。
「おう、吉武。あいつがクラス委員だ。分からないことはあいつに聞け。」と体躯教師の担任は僕に丸投げした。「おー。松山丸投げすんなよー。」男子生徒がやじると
「俺は難しいこたー分かんねえんだよ。」と居直る。いつものことだ。
「まず、色々案内してやれー。て、女子の方がいいのか。」
「お願いします。吉武君。」
「はい。えーっと…」
「お。委員長、可愛い子の前でキンチョーしてんのか?」「…さん。こんな奴だけど頭はいいから。大丈夫だからさ。」また名前が聞き取れない。
彼女がこちらを、じっと見てるような気配がした。
授業の合間に、移動教室の場所とか教える。
「今頃珍しいね…。」無言。
「あなたが…」
「…さーん。ーもうすぐ次だよー。」
「行こ行こー。」あっというまに女子に囲まれる。
「ちっ。」顔を見ようとするやつがいた。
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺…
スマホの画面いっぱいにいれて、消す。こんな簡単ならいいのに。
世界は消したい奴ばっかりだ。
仮初の住居のジジイ。朝からげえげえうるせえんだよ。鼻かんでる音まで聞かすんじゃねえよ。死ね。
歩行者につっこんでくる電動チャリのジジイ。死ね。車のジジイマジ死ね。スーパーのレジで文句たれるジジイ
とか、もーくんな。死ね。「痩せたいんだー。」とかてめえの手元の菓子片していえよ。死ね。
病院の点滴もってたばこ吸うなら初めからくんな。気持ち悪い笑い顔のTVタレント。キモイ。
ゾロリとした、殺意。こいつら、きっと、ナイフで刺しても手に、粘っこい汚れが付くだろう。はきそう。
首を絞めても、汚いよな。なんか残って。洗濯機で洗っても、得体のしれない汚れが落ちない感じがする。
殺したい、って思う自分がおかしいのか。ゾンビを液体にした感じのやつら。
「殺したいの?」
そんな時、妙に澄んだ聲を聞いた。
ゴスロリのぴらぴら。ヘッドドレス付。10歳くらいのとんでもない美少女。プラチナブロンドっていうんだっけ。とかカラカラの頭で思った。
カツンと。こちらに。目が赤いなあ、と思った。
「いいよ。力をかしたげる。殺すといいよ。」
「へえ…」
「でもね、ターゲットはこっちの指定だけど。」だから色々まかせてね。でも気にいる様にしてあげる。甘い聲。
「手段とターゲットをあげる。」
「殺されてもいい奴、いっぱい消したらいいよ。」
「~~~♪」
彼女は、スマホで音楽を聴いているようだ。授業中の教室で。隣から音漏れする。あいみょん、だっけか。
「今授業中だよ。」と言うが音は消えない。
少しして音が消える。彼女が立った。そして、ピッと、右手を振った。
彼女は、開いてる後ろのドアから出て行った。教室の皆は、何もなかったようにしている。
ふっと、近くの男子がこっちを見る。すると全員が、こっちを見る。教師までも。
「えっ?」思わず声がでた。その声が合図みたいに元に戻った。
「ん~んん~。」
気が付くと、僕は、屋上にいた。ありえないくらい空が青い。
彼女は、僕の正面にいる。どうやって声だしてるんだろう。少しして、彼女はまた、右手を、ピッと払った。
そして、左手でつるりと自分の顔をなでた。
「ふうん…。私の顔こんな風に見えるんだ…。」
ふふん、と彼女は笑った?何もない顔から、息を吐く音が聞こえてくる。
「世の中ってさ、やな奴ばっかだよね。」
「…」
「その中にアンタも足してもいいんだよ。」
ぞわっとした。
そしていきなり風景が彼女の右と左で、分かれた。
片方には、担任が、女子生徒にわいせつ行為をしている所が。もう一方には、どこかのビルから担任が、落ちていくところが。
「悪い奴しかやれないけどさ、もう一人くらい…」
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ…
僕は人生でこれが初めてというくらいの大声を出した。
気が付くとそこには宙に浮かぶ、年齢不詳の女がいた。白いワンピースの。
「え?」
「ふうん」
「ターゲットはやれたけど…」
「ああ。いるよそういうの。」マスターと呼ぶようになった少女は
「昔はもっといたんだがなあ。」と不似合いな口調をきかす。
こちらがどんな姿であれターゲットにふさわしい姿に化けられる。
周りが、「その場所にふさわしい」と思うからだ。
「昔より心が広いのか狭いのか」無関心なのか。
そうか奴は面倒だな。
「殺した方がよかった…。」
「ばかいえー」
マスターは遠い目で、こちらをみた。
僕は、クラス委員をしている。ので人の顔を覚えるのは得意だった。
「ふうん…。私の顔こんな風に見えるんだ…。」彼女の顔には、あるはずのものがなかった。
その転校生は、夏やってきた。期末後に。新学期に来ればいいのに、と思ったが、大人の都合なのだろう。
担任が、お定まりのセリフを言う。
「今日から新しくこのクラスに入る…さんだ。」は?皆「へー。」「よろしくー。」とか普通にざわめく。
男は、「おー可愛い。」「顔ちっせー。」とか言ってる。僕には彼女が、目、鼻、口があるのかも分からない。名前も聞き取れない。
「おう、吉武。あいつがクラス委員だ。分からないことはあいつに聞け。」と体躯教師の担任は僕に丸投げした。「おー。松山丸投げすんなよー。」男子生徒がやじると
「俺は難しいこたー分かんねえんだよ。」と居直る。いつものことだ。
「まず、色々案内してやれー。て、女子の方がいいのか。」
「お願いします。吉武君。」
「はい。えーっと…」
「お。委員長、可愛い子の前でキンチョーしてんのか?」「…さん。こんな奴だけど頭はいいから。大丈夫だからさ。」また名前が聞き取れない。
彼女がこちらを、じっと見てるような気配がした。
授業の合間に、移動教室の場所とか教える。
「今頃珍しいね…。」無言。
「あなたが…」
「…さーん。ーもうすぐ次だよー。」
「行こ行こー。」あっというまに女子に囲まれる。
「ちっ。」顔を見ようとするやつがいた。
殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺…
スマホの画面いっぱいにいれて、消す。こんな簡単ならいいのに。
世界は消したい奴ばっかりだ。
仮初の住居のジジイ。朝からげえげえうるせえんだよ。鼻かんでる音まで聞かすんじゃねえよ。死ね。
歩行者につっこんでくる電動チャリのジジイ。死ね。車のジジイマジ死ね。スーパーのレジで文句たれるジジイ
とか、もーくんな。死ね。「痩せたいんだー。」とかてめえの手元の菓子片していえよ。死ね。
病院の点滴もってたばこ吸うなら初めからくんな。気持ち悪い笑い顔のTVタレント。キモイ。
ゾロリとした、殺意。こいつら、きっと、ナイフで刺しても手に、粘っこい汚れが付くだろう。はきそう。
首を絞めても、汚いよな。なんか残って。洗濯機で洗っても、得体のしれない汚れが落ちない感じがする。
殺したい、って思う自分がおかしいのか。ゾンビを液体にした感じのやつら。
「殺したいの?」
そんな時、妙に澄んだ聲を聞いた。
ゴスロリのぴらぴら。ヘッドドレス付。10歳くらいのとんでもない美少女。プラチナブロンドっていうんだっけ。とかカラカラの頭で思った。
カツンと。こちらに。目が赤いなあ、と思った。
「いいよ。力をかしたげる。殺すといいよ。」
「へえ…」
「でもね、ターゲットはこっちの指定だけど。」だから色々まかせてね。でも気にいる様にしてあげる。甘い聲。
「手段とターゲットをあげる。」
「殺されてもいい奴、いっぱい消したらいいよ。」
「~~~♪」
彼女は、スマホで音楽を聴いているようだ。授業中の教室で。隣から音漏れする。あいみょん、だっけか。
「今授業中だよ。」と言うが音は消えない。
少しして音が消える。彼女が立った。そして、ピッと、右手を振った。
彼女は、開いてる後ろのドアから出て行った。教室の皆は、何もなかったようにしている。
ふっと、近くの男子がこっちを見る。すると全員が、こっちを見る。教師までも。
「えっ?」思わず声がでた。その声が合図みたいに元に戻った。
「ん~んん~。」
気が付くと、僕は、屋上にいた。ありえないくらい空が青い。
彼女は、僕の正面にいる。どうやって声だしてるんだろう。少しして、彼女はまた、右手を、ピッと払った。
そして、左手でつるりと自分の顔をなでた。
「ふうん…。私の顔こんな風に見えるんだ…。」
ふふん、と彼女は笑った?何もない顔から、息を吐く音が聞こえてくる。
「世の中ってさ、やな奴ばっかだよね。」
「…」
「その中にアンタも足してもいいんだよ。」
ぞわっとした。
そしていきなり風景が彼女の右と左で、分かれた。
片方には、担任が、女子生徒にわいせつ行為をしている所が。もう一方には、どこかのビルから担任が、落ちていくところが。
「悪い奴しかやれないけどさ、もう一人くらい…」
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ…
僕は人生でこれが初めてというくらいの大声を出した。
気が付くとそこには宙に浮かぶ、年齢不詳の女がいた。白いワンピースの。
「え?」
「ふうん」
「ターゲットはやれたけど…」
「ああ。いるよそういうの。」マスターと呼ぶようになった少女は
「昔はもっといたんだがなあ。」と不似合いな口調をきかす。
こちらがどんな姿であれターゲットにふさわしい姿に化けられる。
周りが、「その場所にふさわしい」と思うからだ。
「昔より心が広いのか狭いのか」無関心なのか。
そうか奴は面倒だな。
「殺した方がよかった…。」
「ばかいえー」
マスターは遠い目で、こちらをみた。
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