学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
108 / 252

第108話

しおりを挟む
岸元美波きしもとみなみ 視点◆

映画の感想も一通り交わし終えたところで思い切って今まで注意されていたことについて、二之宮にのみやさんに聞いてみることにした。


「あのさ、二之宮さん。デリケートな話になるけど聞いていいかな?」


「内容にも拠りますけど、答えたくなかったらそう言いますから、とりあえず言ってみてください」


「ごめん、ありがとね。それじゃあ、聞くね。
 冬樹ふゆきが二之宮さんを襲ったって話、二之宮さんが仕組んだって聞いたんだけど本当なの?」


「それは隆史たかしから聞いたのかしら?」


「わたしが直接じゃないけど、鷺ノ宮さぎのみや君がそう言っているみたい」


「それは残念ね・・・知っていると思うけど、隆史は岸元さんの事が好きだったから、神坂かみさか君の事が好きな私と協力しあっていたのは本当だけど・・・それは私への責任転嫁がすぎるのではないかしら?」


「じゃあ、二之宮さんが仕組んだわけではない?」


「岸元さんには私を信じてもらえると嬉しいけど、それ以上は言えないわね」


これだけハッキリわたしの目を見て言えるのだし、嘘をついていないように思うんだよね。もう一回、冬樹たちに話をしてみよう。


「うん、信じたいと思う。あとさ、これも言いにくいのだけどパパ活をしているのって本当?」


「それは本当よ。うちはそれほど裕福でもないし、でも付き合いとか美容とかちゃんとやりたいと思ったらどうしてもお金がかかるし、バイトをするという選択肢もあるけど、それにばかり時間を掛けてたら受験勉強が疎かになってしまうから効率を考えてね」


「知らないオジサンと触れ合うのは嫌じゃないの?」


「嫌かそうじゃないかで言えば、嫌だけど1~2時間程度我慢するだけで何万円かのお小遣いをもらえるのだから、それは割の良いバイトにならないかしら?
 岸元さんはバイトをしたことがあるかしら?」


「それはないけど・・・」


「どんなバイトだって大変よ。ファミレスやコンビニのバイトだってオジサンに絡まれることはあるし・・・
 逆に聞くけど、岸元さんは隆史の友達やサッカー部の男子達に無理やり事をされたでしょ?
 それであなたは汚れたかしら?
 神坂君と付き合う資格を喪ったのかしら?」


「汚された様な気持ちにはなったけど、冬樹と付き合う資格は喪ってないと思う」


「そうでしょ。当たり前よね。だって、身体を重ねただけで汚れるなんておかしいもの。
 ちゃんと洗えば綺麗になるわよ。
 それともその時から体臭がキツくなったりしたのかしら?」


「そんなことはないよ・・・」


「そうでしょう?
 岸元さんは汚れてなんかいないし、私もそう。
 私だって色々な人と身体を重ねてきたけど、見た目でわかるかしら?」


「そんなの、言われないとわからないよ・・・」


「そうでしょう。当たり前よね。一部では汚らわしいとかいう人もいるけど、結局そういう事を人たちって事実があったことを知ってから言うのよ」


「そうなのかな?」


「そうよ。岸元さんは学校の裏サイトに動画が流出してしまったから、それを知っている人たちには噂をされてしまっているけど、知られる前はそんな事なかったでしょ?
 見た目ではわかっていないの。ただ単にそういうものだという思い込みを押し付けてきているだけ。
 そうでなかったら、岸元さんは汚れていることになるのよ?
 でも、そんなことはないでしょう?」


「そう、そうだよね・・・セックスをしたくらいで汚れるはずないよね」


「そうよ。当たり前じゃない。そうじゃなかったら、あなたのご両親だって世の中の大半の人だって汚れていることになるわよ」


「そうだよね、そうなんだよね。大人なら誰でもやっていることだもんね」


「そう、その上でそれに気付けている人がオジサンと僅かな時間触れ合ってお小遣いをもらっているだけなの。
 たまにはおかしい人がいて酷い目に合うこともあるけど、そんなのは別に事故だから。
 何も悪いことをしていなくたって車に轢かれてしまう人もいるでしょ?
 それと変わらないわよ」


二之宮さんはやっぱりいい人だと思う。7月からずっと悩んでいたことが全部ではないけど解決して気持ちが軽くなった気がする。


「ありがとう、二之宮さん。なんかモヤモヤが晴れた気がするよ」


「それは良かった。岸元さんの力になれたのなら嬉しいわ。
 それでなのだけど、もし良かったら今度一緒にお小遣いをもらいにいかないかしら?」



◆神坂夏菜かな 視点◆

美波が二之宮凪沙なぎさと別れてから、春華はるかと一緒に合流した。


「あのさ、夏菜お姉ちゃん。
 わたし、やっぱり二之宮さんが悪い人に思えないんだよね。
 夏菜お姉ちゃんが言っていたことを直接聞いてみたけど、わたしの目を見て否定してくれたよ」


晴れやかにそう語る美波はここ最近ではなかった笑顔だったけど、とても不安な気持ちにさせるものだ。

恐らく二之宮凪沙と話している内に美波の抱えている不安を解消させる事ができたのだろう・・・それが、本当の意味で美波にとって良いものであれば良いのだが、二之宮凪沙は底が知れない恐さがある。


「そうか、私はどうも聞いている話に偏りがあるから判断が付けにくいが・・・
 ただ、これだけは覚えておいて欲しいのだが、私も春華もお前のことを気にかけているし、当然美晴みはるさんや冬樹だってそうだと思う。
 それだけは忘れないでもらいたいな」


「そうだよ、美波ちゃん。あたしももちろん心配しているからね」


「そうだよね、ありがとう。みんなわたしの事を気にしてくれているんだよね。ちゃんと覚えておくね」


そうやって見せる表情は、やはり不安にさせる笑顔だ・・・


「ところで、二之宮とはどんな話をしたんだ?」


「色々だよ。映画の感想はもちろん、ファッションとかコスメとかアルバイトとか。
 二之宮さんはわたしにはない知識や経験があるからすごくためになったんだ」


「そうか、それは良かったな」


「うん」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...