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4話 才能
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事務所に戻るとアカは深々と椅子に座る。
「さて…初めてのことだから整理しようか。」
アカはミロに合図するとKeyパーツをアカに渡した。
「これだけど…特別ってわけじゃないよね」
歯車をじっと見つめるが特に異常は見られなかった。
シンは…暗い顔をしていた。
「多分…自分に才能がないからですよ。」
アオは目だけこちらを見ていた。
「うーん。なんとも言えないね。色が君を拒絶したのかはわからないが…別の人間に保有してもらうしかないね。…ミロちゃんに預けるから頼んだよ。」
アカは指で歯車を弾くとミロがあたふたしながら受け取った。
「とりあえず、今日は解散だ。お疲れ様。」
ミロとアオは事務所から、すぐに出ていく。
扉が閉まり、シンをも立ち去ろうとする。
「シンくんは少し、残って。」
アカは机に肘をついている。
「………なんですか。」
シンはどうしても元気ではなかった。
「君は自分を必要な人間だと思うかい?」
シンは…その言葉になかなか答えを出せずにいた。
「…何もできないのなら必要ない…と思います。」
こんなこと…を言いたくないと心では思っていても口から出る言葉は嘘ばかりが並んでいた。
「そっか……。でもね、私は君をチームから外すつもりはないよ。」
アカは鋭い視線を送っていた。
「君のことは調べてあったんだよ。…君と会う前からね。」
その発言にシンはちょっとした驚きを見せた。
「実はね、私の上司から国民の中で変わった人間をリサーチするように命令されていて、あなたに近づいた。偶然じゃないのよ。」
シンの眼鏡が白く反射していた。
「私は最初に聞いたよね?……これが色に見えるんだねって。」
アカはYシャツを指で引っ張る。そして、こちらに赤色の三角形のマークを見せる。
「まだ言ってなかったよね。この世界の人間は無彩色しか、識別できない。有彩色は普通の人間には色として判断できない。この意味が君にはわかるかな?」
アカはシンの瞳の奥を覗き込んでいる。
シンは…ゴクリと喉を鳴らす。
「…わからないですね。」
アカはニヤリと笑う。
「私も赤色と契約しなければ有彩色を見抜く力は持っていなかったよ。君は何か特別な力を持っていることは間違いないね。それはこの私が保証する。だから君には勝手だけど人生のほとんどを私がもらうことにしたの。」
「人生の…ほとんど…?」
シンは…思考が停止してしまったようだ。
「君は高校生だけど…退学してもらった。家にも帰ってもらっては困る。国直属の組織だからね。この仕事は命懸けなんだ。そして、君は最初から有彩色を見抜くことができる唯一の人間だ。そんな人材を他に譲ったりはできない。お金も払うし、この事務所の空いている部屋も君にあげるよ。…寂しければ私が君の心を温めてあげる。他のみんなも家族と思ってくれていいよ。」
アカの勝手すぎる言動にシンは後ずさりする。
「…勝手過ぎませんか?僕はただ退屈しなければ良かっただけなんです。」
アカはため息を吐いた。
「返事は、はい…もしくは、わかりましたのみ。」
シンは…汗が顔から落ちていた。
「わかりました。」
シンの言葉に満足したのかアカは満面の笑みでシンを…抱きしめた。
彼女は言っていた。
ここには変わった人間しかいないと…。
「さて…初めてのことだから整理しようか。」
アカはミロに合図するとKeyパーツをアカに渡した。
「これだけど…特別ってわけじゃないよね」
歯車をじっと見つめるが特に異常は見られなかった。
シンは…暗い顔をしていた。
「多分…自分に才能がないからですよ。」
アオは目だけこちらを見ていた。
「うーん。なんとも言えないね。色が君を拒絶したのかはわからないが…別の人間に保有してもらうしかないね。…ミロちゃんに預けるから頼んだよ。」
アカは指で歯車を弾くとミロがあたふたしながら受け取った。
「とりあえず、今日は解散だ。お疲れ様。」
ミロとアオは事務所から、すぐに出ていく。
扉が閉まり、シンをも立ち去ろうとする。
「シンくんは少し、残って。」
アカは机に肘をついている。
「………なんですか。」
シンはどうしても元気ではなかった。
「君は自分を必要な人間だと思うかい?」
シンは…その言葉になかなか答えを出せずにいた。
「…何もできないのなら必要ない…と思います。」
こんなこと…を言いたくないと心では思っていても口から出る言葉は嘘ばかりが並んでいた。
「そっか……。でもね、私は君をチームから外すつもりはないよ。」
アカは鋭い視線を送っていた。
「君のことは調べてあったんだよ。…君と会う前からね。」
その発言にシンはちょっとした驚きを見せた。
「実はね、私の上司から国民の中で変わった人間をリサーチするように命令されていて、あなたに近づいた。偶然じゃないのよ。」
シンの眼鏡が白く反射していた。
「私は最初に聞いたよね?……これが色に見えるんだねって。」
アカはYシャツを指で引っ張る。そして、こちらに赤色の三角形のマークを見せる。
「まだ言ってなかったよね。この世界の人間は無彩色しか、識別できない。有彩色は普通の人間には色として判断できない。この意味が君にはわかるかな?」
アカはシンの瞳の奥を覗き込んでいる。
シンは…ゴクリと喉を鳴らす。
「…わからないですね。」
アカはニヤリと笑う。
「私も赤色と契約しなければ有彩色を見抜く力は持っていなかったよ。君は何か特別な力を持っていることは間違いないね。それはこの私が保証する。だから君には勝手だけど人生のほとんどを私がもらうことにしたの。」
「人生の…ほとんど…?」
シンは…思考が停止してしまったようだ。
「君は高校生だけど…退学してもらった。家にも帰ってもらっては困る。国直属の組織だからね。この仕事は命懸けなんだ。そして、君は最初から有彩色を見抜くことができる唯一の人間だ。そんな人材を他に譲ったりはできない。お金も払うし、この事務所の空いている部屋も君にあげるよ。…寂しければ私が君の心を温めてあげる。他のみんなも家族と思ってくれていいよ。」
アカの勝手すぎる言動にシンは後ずさりする。
「…勝手過ぎませんか?僕はただ退屈しなければ良かっただけなんです。」
アカはため息を吐いた。
「返事は、はい…もしくは、わかりましたのみ。」
シンは…汗が顔から落ちていた。
「わかりました。」
シンの言葉に満足したのかアカは満面の笑みでシンを…抱きしめた。
彼女は言っていた。
ここには変わった人間しかいないと…。
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