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5話 それぞれの夜といちごジャム
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シンは…じっと部屋のベッドに寝転んでいた。
アカから伝えられたの衝撃の内容に頭の理解が追いついていなかった。
暗いだけの部屋でいつものパンを食べる。味はするが美味しく感じなかった。いつもより、パサついているようで水が欲しくなるような噛みごたえだった。
眼鏡を外して完全に眠りについたのだった。
アカは屋上でスマホを取り出す。
軽くシューティングゲームを始める。
単純な操作でサクサクと進んでいく。大きな敵の弾をかわして残り少ないライフをギリギリまで攻める。
Complete の文字が現れたと同時に電話がかかってきた。
「はい。アカ色彩一等官です。」
少し、冷える夜にアカの声がほんの少し響く。
「あー。聞こえるか?」
電話から声の低い男が電話に出る。
「はい。通信に問題ありません。」
「…ならいい。次の仕事が入った。色の回収も順調だが、そればかりに気を取られすぎるな。…それと君のところの新人を私のところまで呼んでほしい。以上だ。」
電話は切れる。ツーツーとスマホから聞こえてきていた。
「……。」
アカは空を見上げた。
「そろそろ、秋か。」
冷え込む風を感じながら屋上を後にした。
ミロとアオは居酒屋にいた。
「なぁーあいつ使えるのか?」
ミロはビールをぐっと飲みながらそう言った。
「…知らねーな。俺はアカさんが迷惑じゃなきゃいいんだよ。」
アオは焼き鳥を一気に口に入れた。
しっかりと味わいながら食べる。
「ほんっっっとにアカさんのことが好きなんだな…一目惚れってやつ?」
冷たい視線でアオを見る。
「…一目惚れじゃない。運命だ。俺は将来…アカさんと結ばれる運命にあるんだ!」
拳を握りしめて妄想を語るアオ。
「キモい、そしてウザい。」
ミロはアオの執念深さにドン引きしていた。
アオは…鼻で笑った。
「他人の恋は理解できないのさ。」
明るい店内は賑やかに時間が過ぎていった。
眠りにつくとほんの少し、夢を見ていた。
シンはただ立ち尽くす。
前にはアカとアオ…そしてミロ。
前でシンを…見ている。
黒く重い空気が感覚に伝わってくる。
「真実を見ることができたら…きっと気づくことができるだろうね。」
アカは話す。
「色とは何か。この世界に何故あるのか。」
アオは話す。
「テメーの頭で考えろ。」
ミロが話す。
シンが歩み寄ると三人は黒い墨のように溶けて消える。
夢から覚める瞬間…大きな黒い手がシンをぐっと掴む。
「………お前も統一の取れた世界が良いと思わないか?」
…………………………………。
………………意識は覚醒する。
朝の光がシンを…現実に戻していく。
身体を動かそうとした時、何か重いものが乗っていた。
それは柔らかくて、いい匂いがした。
いやいやいや…。
シンは一気に意識がはっきりした。
急いで布団から外に出る。
「な…何をしてるんですか??アカさん!」
アカはベットから起き上がると大きくあくびをした。
「君が寂しくないように隣で添い寝していた…だけじゃないかぁー。」
シンは顔が熱くなった。
「い…いや結構ですよ。べべ…別に一緒に寝てほしかったわけじゃないんですから!びっくりするからやめてくださいね…。」
アカは目をこすりながら微笑む。
「君がそこまで焦るとは思っていなかったよ。さぁ…朝食を食べようか。お腹空いているでしょ?」
アカは何事もなかったのように起き上がり、部屋を出ていく。
「今日も仕事があるんだ。君には一生懸命働いてもらうから頼んだよ。」
部屋を出て階段を降りるとリビングがある。アカは自分の部屋によってからリビングに来ていた。もう着替えが済んでいるようだ。今日の服は前と同じ制服だが、少し違った。薄く赤色が入っている。シンも着替えを済ませる。ボタンをとめながらリビングの扉を開けた。
テーブルにはトーストとヨーグルト、スープが用意されている。
「早く食べちゃってね。もうすぐアオ君達が来ると思うから。」
アカは器用にジャムをトーストにたっぷりとつける。
イチゴジャムと書いてあるジャムは赤かった。
甘い香りが部屋全体を包み込んでいる。
アカは口に運び、トーストのサクッとする音が聞こえてくる。
「イチゴって赤いんですね。」
シンは椅子に座るとビンを手に取る。
「私が触るとね。元々赤いものは赤く変化するんだよ。覚えておいてね。ちなみに他のみんなも別の色でそれができると思うよ。」
食べ物は色があるだけでこんなにも美味しそうに見えるのか…。
初めて知ることばかりだ。
シンはジャムをスプーンで取り出した。
まるで宝石だった。光に照らせば、キラキラとしていてなんて美しい。味は見た目でも楽しむことができるのではないかと考えた。
「見惚れてないで食べなよ。冷めちゃうじゃないか。」
アカは食べ終わっていた。
シンは急いでトーストを口に入れた。
味は同じだが、全然別物を食べているようで不思議だった。
なぜ世界はこんなにも美しいものを教えてくれなかったのか?
僕は教えてほしい…他にも知りたい。
…アカさんについていく理由はそれだけで十分だった。
アカから伝えられたの衝撃の内容に頭の理解が追いついていなかった。
暗いだけの部屋でいつものパンを食べる。味はするが美味しく感じなかった。いつもより、パサついているようで水が欲しくなるような噛みごたえだった。
眼鏡を外して完全に眠りについたのだった。
アカは屋上でスマホを取り出す。
軽くシューティングゲームを始める。
単純な操作でサクサクと進んでいく。大きな敵の弾をかわして残り少ないライフをギリギリまで攻める。
Complete の文字が現れたと同時に電話がかかってきた。
「はい。アカ色彩一等官です。」
少し、冷える夜にアカの声がほんの少し響く。
「あー。聞こえるか?」
電話から声の低い男が電話に出る。
「はい。通信に問題ありません。」
「…ならいい。次の仕事が入った。色の回収も順調だが、そればかりに気を取られすぎるな。…それと君のところの新人を私のところまで呼んでほしい。以上だ。」
電話は切れる。ツーツーとスマホから聞こえてきていた。
「……。」
アカは空を見上げた。
「そろそろ、秋か。」
冷え込む風を感じながら屋上を後にした。
ミロとアオは居酒屋にいた。
「なぁーあいつ使えるのか?」
ミロはビールをぐっと飲みながらそう言った。
「…知らねーな。俺はアカさんが迷惑じゃなきゃいいんだよ。」
アオは焼き鳥を一気に口に入れた。
しっかりと味わいながら食べる。
「ほんっっっとにアカさんのことが好きなんだな…一目惚れってやつ?」
冷たい視線でアオを見る。
「…一目惚れじゃない。運命だ。俺は将来…アカさんと結ばれる運命にあるんだ!」
拳を握りしめて妄想を語るアオ。
「キモい、そしてウザい。」
ミロはアオの執念深さにドン引きしていた。
アオは…鼻で笑った。
「他人の恋は理解できないのさ。」
明るい店内は賑やかに時間が過ぎていった。
眠りにつくとほんの少し、夢を見ていた。
シンはただ立ち尽くす。
前にはアカとアオ…そしてミロ。
前でシンを…見ている。
黒く重い空気が感覚に伝わってくる。
「真実を見ることができたら…きっと気づくことができるだろうね。」
アカは話す。
「色とは何か。この世界に何故あるのか。」
アオは話す。
「テメーの頭で考えろ。」
ミロが話す。
シンが歩み寄ると三人は黒い墨のように溶けて消える。
夢から覚める瞬間…大きな黒い手がシンをぐっと掴む。
「………お前も統一の取れた世界が良いと思わないか?」
…………………………………。
………………意識は覚醒する。
朝の光がシンを…現実に戻していく。
身体を動かそうとした時、何か重いものが乗っていた。
それは柔らかくて、いい匂いがした。
いやいやいや…。
シンは一気に意識がはっきりした。
急いで布団から外に出る。
「な…何をしてるんですか??アカさん!」
アカはベットから起き上がると大きくあくびをした。
「君が寂しくないように隣で添い寝していた…だけじゃないかぁー。」
シンは顔が熱くなった。
「い…いや結構ですよ。べべ…別に一緒に寝てほしかったわけじゃないんですから!びっくりするからやめてくださいね…。」
アカは目をこすりながら微笑む。
「君がそこまで焦るとは思っていなかったよ。さぁ…朝食を食べようか。お腹空いているでしょ?」
アカは何事もなかったのように起き上がり、部屋を出ていく。
「今日も仕事があるんだ。君には一生懸命働いてもらうから頼んだよ。」
部屋を出て階段を降りるとリビングがある。アカは自分の部屋によってからリビングに来ていた。もう着替えが済んでいるようだ。今日の服は前と同じ制服だが、少し違った。薄く赤色が入っている。シンも着替えを済ませる。ボタンをとめながらリビングの扉を開けた。
テーブルにはトーストとヨーグルト、スープが用意されている。
「早く食べちゃってね。もうすぐアオ君達が来ると思うから。」
アカは器用にジャムをトーストにたっぷりとつける。
イチゴジャムと書いてあるジャムは赤かった。
甘い香りが部屋全体を包み込んでいる。
アカは口に運び、トーストのサクッとする音が聞こえてくる。
「イチゴって赤いんですね。」
シンは椅子に座るとビンを手に取る。
「私が触るとね。元々赤いものは赤く変化するんだよ。覚えておいてね。ちなみに他のみんなも別の色でそれができると思うよ。」
食べ物は色があるだけでこんなにも美味しそうに見えるのか…。
初めて知ることばかりだ。
シンはジャムをスプーンで取り出した。
まるで宝石だった。光に照らせば、キラキラとしていてなんて美しい。味は見た目でも楽しむことができるのではないかと考えた。
「見惚れてないで食べなよ。冷めちゃうじゃないか。」
アカは食べ終わっていた。
シンは急いでトーストを口に入れた。
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なぜ世界はこんなにも美しいものを教えてくれなかったのか?
僕は教えてほしい…他にも知りたい。
…アカさんについていく理由はそれだけで十分だった。
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