COLOR

アオヤカ

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9話 敵の正体

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アオが運転する車内には他に三人収集屋が座っていた。
一人はまだ深い眠りについたままだった。
ミロは運転席の隣で周りを警戒している。
アカはシンに肩を貸していた。
「今回の武力集団はそれほどの脅威にはならないけど…かなりの警戒度だったね。政府の組織がちょっっとだけ覗いていただけで発砲してくるあたり正気ではないね。COLORのメンバーでなければ死人が出ていたよ。残念なことに、私も殺されかけたしね。」
アカは指を空中でくるくると回しながら話す。
「そうだな。(アカさんかわいい。推しだ。)しかも、組織の人間であるとすぐにわかるほど情報をかなり手に入れている。今まで反政府組織とは別物だ。」
アオは心の声と真面目な話をしていた。
ミロはアオの些細な表情の変化に気がついていた。
そして、軽く殴った。
「私はあいつらが大きなテロでも起こそうとしていたようにしか見えなかった。結構あぶねぇ武器も持っていたしな。なんとか潰せて良かったんじゃね。なぁアカさん?」
アカは少し、暗い顔をした。
「…まだ終わっていない気がする。化け物が出てこなかったことが一番の疑問点だ。私達が命令を受けたのは化け物を作っている可能性のある組織だ。それなのに研究資料も出てこない。……なんでだろうね。あとさ。あれってグループぽくないよね?」
アカは疑問を投げかけた。
「確かに…。収集屋って感じじゃなかった。アカさん…一旦事務所に戻ろう。嫌な予感がする。」
アオはハンドルを回してUターンする。
途中、後ろを確認しナビをつけた。
そして、高速道路に入るとスピードを上げた。
「………アオくん?どうしたの?随分急いでいるみたいだけど…。」
アオは…焦っていた。いや…様子がおかしい。
「…う…後ろの車なんですけど、変な感じがする…。た…助けてくださいアカさんッ!」
アカはアオの動揺の仕方に驚きながら後ろの車を確認した。
「とりあえず、落ち着きなさい。そうだね~。なるほどなるほど。登録されていないコレクターさんがいるんだね。君達だと恐ろしい者に見えるようだ。……………色持ちか。飛ばして…逃げ切るよ。」
アカの指示でやっと正気に戻ったアオはアクセルを全開で踏んだ。
シンは加速した圧力で目を覚ました。
「………あれ…いつの間に寝て…たんですね。」
シンは周りを見渡した。
まず様々なことが変わっていた。
一つ目車が違う。
二つ目アオさんとミロさんがいること。
そして、三つ目空気が張り詰めていたこと。
「何があったんですか!?」
シンの発言にミロがこちらを見た。
「あぁ!?うっせぇ!新人は黙って見てろやぁ!」
あたりが強い…。
シンは後ろを見た。その時、明らかに色の違う車が近づいていた。
「あの色は…?」
シンの反応にアカが笑った。
「やっぱり君って最高!何の色に見える?」
目を輝かせてシンを見つめている。
「えっと…ですね。うーん。青色に似ているような感じがします。でも赤色にも似ているような…。」
シンからのヒントを元にアカは深く考えた。
「紫かな。なるほど私じゃ見にくいわけだ。」
「どういうことですか?」
シンはアカの言葉の意味を聞いた。
「色彩検定で私は一等官に推薦されたんだけど…赤色に近い色しかはっきりと見えなくてね。正反対の色は…色として認識はできる程度しか力がないんだよ。だから君は特別なんだよ。収集屋として申し分ないくらいにね。」
「見えなかったんですか?」
アルムは疑問に思った。
なぜならまるで普通に見えているような言動をしていたからである。
「まぁ…見えるんだよ。でもね…ぼやけて見えるんだよ。はっきりとしていない。探すのには問題ない範囲なんだけどね。」
紫の車は徐々に距離を詰める。
「まずいぞ。これ以上はスピードが上がらない。アカさんそろそろ戦闘準備を…お願いします。」
アカは運転手を確認した。
女性で清楚な感じだ。
「はぁ……わかりました。逃げれないのなら拘束するだけのこと。」
すると急にスピードが下がる。
「ス…スピードが下がる。あいつ何かしたのか?」
アオは路肩でスリップしないように停車させる。
扉を開けて降りるアカは紫の車は睨む。通り過ぎた車の女性はニッコリと笑っている。
「………通り…過ぎた…。」
その時、空中から手榴弾が落ちてくる。
激しい衝撃と爆音が響き渡り、アカは爆発に巻き込まれる。
車はミロの力の植物が守る。
煙でむせながらアカが出てくる。
「一日に何度も殺されかけるのは気分が良くないものだね。」
シンは…その能力にちょっとした恐怖を抱いた。
人ではない存在に近いのではないかと考えた。
すると後ろからトラックが突撃してくる。
アカは力を使い車を移動させた。
しかし、アカは轢かれてしまう。
グチャッと潰れた音が生々しい。
トラックはそのまま走り去る。
そして、高速道路を囲うように武装集団が現れる。
アカに向かって銃撃を開始する。
「この程度では死なないぞ。爆弾をもってこい!吹き飛ばすッ!」
シンはあまりの光景に車から降りてアカの元に向かおうと走る。
しかし、アオがシンの手を掴んだ。
「よせ。アカさんなら大丈夫だ。俺達があの中に入ってもすぐに死ぬだけだ。俺とミロでお前を守るように命令されている。ここを動くな。」
「嫌ですッ!何かできることがあるはずです!アオさんならきっとアカさんの手助けができるんじゃないんですか?アカさんのことが好きなんですよね?」
シンの言葉にアオは顔を赤くする。
「ばっバカ野郎!今…ここでそれを言うな!俺は完璧に隠しているんだから!」
ミロがアオの顔を全力で殴った。
その勢いで吹っ飛んだ。
「何ぃ…ふざけたこと言ってんだ?隠しきれてねーんだよバーカ。…おい新人。」
ミロはシンをギロッと睨む。
「あのなー私らは色彩能力の最低レベルの能力しかまだ持ってねぇんだよ。アカさんは…この業界で一番色彩能力を使えるエリートだぞ。あの人はなんだってできる。多分…一人じゃ死ねぇ身体にすらなってんじゃねーの。」
武装集団はシン達にも銃口を向け始めた。
「おーい!アオてめぇいつまで倒れてるつもりだ!私に殺されたくなかったら今すぐ私達を守れぇ!」
発砲された音だけがこちらに近づいてくる。
しかし弾はこちらに全く近づいてこない。
「……水の力。青の根源だ。この世界は空から海までこの色が支配している。覚えておけシン。」
アオは…よろよろとこちらまで戻ってきていた。

激しい銃撃戦の中一人の女が弾丸をかわして男を赤色のナイフで切り裂く。
「……最近は物騒だよね。まったく…。」
バラを吹き出しながら倒れる男を見ながら彼女は微笑んでいた。
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