五人の適合者

アオヤカ

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クロス・トランキル。10年以上適合者として活躍し、その後、突然引退した、幻の剣士。兵士の中では、歴代最高とまで呼ばれていた。今尚生き残る、適合者の一人であった。
食事を済ませて、クロスは口を開く。
「アルム、お前には雑念がある。そして、黒い靄がある。そんなお前には何も教えることはない。」
厳しい言葉が彼の口から出てきた。
「……奴らが憎いんですよ。目の前で殺された……母を今でも覚えています。」
アルムは揺れる唇を必死に喋らせる。
「………だからこそ、お前にはその武器はふさわしくない。その武器は人々をカゲの脅威から救う物だ。ここに辿り着いたことは認めよう。しかし、そのうち後悔するのはお前だ。復讐に駆られた人間は毎回、同じさ。」
クロスはあることを伝えた。
「俺の戦友であるやつも同じ目をしていた。そいつは何かを目指してどこかへ行ってしまった。まだ死んでないとは思うがな。俺はやつを探している。」
クロスの想いが何故か重かった。彼の人生を話しの中でほんの少し体験した気分だった。
「それでも、俺は進みます。これからもそれが後悔だったとしても…」
アルムは目でそれを訴える。
クロスの中に何か別のものを読みとった。アルムの雑念とは別のものを…やつにはなかったその炎を…魂を…

クロスは頭の中にある光景が浮かぶ。見たことがない景色と???と???達が…託した想いが…


人は何度も過ちを繰り返すのだろうか。……あの時のようにそれが俺の罪なのか。だが、そうなんだろう。???、お前がそう言っていたよな。俺の代わりをしてくれるって。未来を変えてくれると…なら信じてもいいかもな。
「俺は心の構造がわかる。俺はお前を信じていない。だが、賭けても良いと思った。」
クロスは笑った。
アルムはクロスの心境の変化に驚いた。あそこまで復讐を望むアルムを否定していた。クロスが別人のように、変わってしまったかのように思った。
「………………ありがとうございます。」
言葉が出てこないくらいに頭が動かない。きっとこれを恐れと言うのだろうか。彼をもっと知りたくなった。彼は一体どんな人物なのだろうか。
「お前…アルム、その剣は自身のエネルギーを使って力を得るものだ。アルムは自身のエネルギーを使いこなせていない。だからこそ、月姫の少ない力で負けるんだ。」
アルムは困った表情をする。
「では、どうすれば?」
「それを訓練していく。明日から始める。それまでに準備をしておけ。」
クロスは、椅子から立ち上がる。そして別の部屋に行ってしまった。
「アルム、…一様おめでとう。これで訓練してもらえると思うよ。」
月姫はクロスの出ていった方向を見ていた。
「おめでとうございます。彼は元々は面倒見の良い方だと聞いたことがありますよ。」
天姫もその方向を見ていた。
「そうだな。良かったよ。」

1日後。
彼らは、各部屋を用意され、それぞれ、目標を持ち、強くなる決意をした。アルムはクロスから直接指導されることになった。朝早くに呼び出されたアルムは、剣を持ち、あくびをしながら部屋を出る。
クロスは外で腕を組み、待っていた。
「遅いぞ。3分遅れだ。」
クロスの言葉は静かな朝に透き通るように響く。
「すみません。眠れなくて…」
アルムの顔には少し疲れが見える。しかし、関係ないことだ。これから訓練なのだから。
「早速だが始めるぞ。まずはこれを持て。」
そう言って渡されたのは、木の棒だった。
「はい?」
アルムはその木の棒を受け取るのだった。
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