五人の適合者

アオヤカ

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刀が照り輝く。一歩一歩…カゲのケモノに近づいていく。
風が程よく吹き、髪が流れる。
「作戦通り、残りのカゲはアルムと月姫で頼むぞ。嬢ちゃんが頑張ったんだから、アルムができる限り行動しろ。…
天姫!行くぞ。」
鋭い目は今も狼の王を捉えている。いつでも殺せるというオーラを感じる。

今も月姫は息切れが続いている。かなりの消耗だ。しばらくはアルム一人で戦うしかないだろう。月姫の適合武器は地面に落ちた歯車や部品などが少しずつ元の位置に戻っていく。どういう理屈でこうなるのかは知らない。まだこの現象が起きるのは月姫だけである。力を使えているのは、月姫のみということなのだろうか。
アルムは、必死に狼の集団を引き連れて走っている。そろそろ、体力がしんどい。
「火力10%…等活ッ!」
アルムは、次々と技を出す。一通り、火の使い方を理解出来るようになっていたのだ。
アルムの剣から、小さな火が現れる。とても強そうには見えない。
「こいつが一番恐ろしいかもしれないな。」
アルムは、地面に剣を刺すと、地面に波動が広がる。カゲがその波動の中に入った途端、他のカゲを…攻撃し始める。爪を掻き立てる。牙がカゲを噛み砕く。カゲの中で混乱が広がる。
「一体…何が?」
一部始終を見ていた月姫は呟く。
アルムは、少し、距離を取ると、月姫の所に近づいた。
「あれは敵を混乱状態にする能力。自分達でその周りにいる仲間を攻撃してしまう。残酷な技だよ。」
アルムは、笑っている。カゲの苦しむさまを見て笑っているのだ。優しい彼がこんなにも残酷な技で笑うとは、信じられない。それだけカゲを恨んでいるのだろう。
「これでしばらくは持つはずだ。クロスさんたちに加勢しよう。」
アルムは、一気に真剣な顔に戻ると、月姫に手を差し出す。月姫は少し、遅れてからその手を握る。そして、立ち上がった。

クロスは走り出した。力を込めて、刀を握る。
「出力30%…適眼発動。」
クロスは大きく目を見開く。力が吸われたあとに視界の情報が膨大になる。敵の行動。敵の予測を目で行うことができるようになる。
「天姫、俺が指示する方向に撃ってくれ!」
クロスは、振り向くと合図を送る。
「わかりました!」
天姫は、適合武器の銃を構える。
クロスは、予測を開始する。まず、このまま突っ込めば、右足の爪で攻撃してくる…振り下ろすタイミングを狙うか。
「自分から見て左側の足を撃て!」
クロスは指示した。
クロスは狼の王の間合いまで近づいた。
予測通り、右足を大きく振り上げようとしている。
「空力50%…暁」
天姫は右足に照準を合わせると発泡する。
赤く光を出しながら弾丸が一直線に右足を貫通する。
「うおおおッ!」
クロスはそのまま胴体部分を斬りつけながら走る。
やはり、胴体部分の傷はすぐに治ってしまった。
「クソッ!なんでこいつには俺の攻撃が効かないんだ!?」
クロスは、予測ですぐに攻撃が来るのを確認すると距離を取る。
「…!?」
クロスは、気がついた。クロスの攻撃した傷は塞がっているが、天姫の攻撃した右足は今も出血している。こいつには適合武器しか効かないってことか?
しばらくするとアルムと月姫がこっちに戻ってくる。
「おまたせしました。」
アルムは走ってクロスの元にたどり着いた。
月姫はそのまま天姫と共に狼の王に攻撃をする。
「他のカゲは?」
クロスは周りを見る。
「今、仲間同士で戦わせてます。多分…もう少しで全滅すると思います。」
アルムは冷徹に言った。
「…どんな力か知らないが、とりあえずだ。やつを倒すことを手伝え。やつの弱点は適合武器だ。それしか効かないみたいだ。せっかく、爆弾を用意したのにな。」
クロスは自分の苦労を無駄にしたと思い、少しがっかりする。
「なら、今すぐに攻撃しますよ!」
アルムは飛び出す。
その時、クロスは予測で何か攻撃が来ることを確認した。
「待て!今すぐに離れろ!!」
クロスの声にアルムは減速する。しかし、遅かった。
「全員!その近くから離れろッ!!」
クロスの叫びが響き渡る時、狼の王は地面から黒いカゲを渦巻きのように広げるとアルム、天姫、月姫の足に触れた。その瞬間、激しい痛みと共に倒れる。クロスはギリギリのところで回避した。3人の身体に黒いカゲが巻き付いている。

そして、彼らの意識が消えた。
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