五人の適合者

アオヤカ

文字の大きさ
15 / 56

連携と共に

しおりを挟む
鳥のさえずりが聞こえ始める。太陽が少しづつ姿を現す。四人の兵士が戦いに向けて着々と準備を進めている。クロスは刀の調整と銃を何丁か用意する。弾を一つずつ丁寧に詰めていく。そこには闘志が感じられる。内に込めたオーラが外に溢れてくる。天姫と月姫は楽しそうに話してはいるがどこかいつもとは違う。緊張があるのだろうか。…緊張感がない人間も一人いた。アルムだ。マイペースに食事を取っている。髪も少し寝癖がついており、だらしがない。
「まだ寝ていたかった…」
そんな言葉を出していた。そんなアルムを見ていたクロスは特に何も言わなかった。
「全員、聞いてくれ。約ニ時間後に奴らに攻撃を仕掛ける。そのための罠も設置してある。」
クロスは一度手を止めてから、立ち上がる。
「罠ですか?」
月姫は珍しく質問した。大体、天姫かアルムが質問するが、一番はじめに声を出した。
「そうだ。俺達が有利に戦況を持っていくためのものだ。地面に爆弾を埋め込んである。いわゆる地雷ってやつだな。」
クロスは実物を見せながら言う。爆弾は木の中に爆薬らしきものが入っているようで完全に見た目が木箱。
「爆弾を……踏んだり…しませんかね?」
アルムが、今も眠そうに質問した。
「目印がある。爆弾の中に衝撃で、着火する特殊な石が入ってる。それは常にほんのりと光を発している、それを見つけて奴らに踏ませろ。」
そんな石があるとは、知らなかった。…威力があまりにも強すぎないことを願いたいものだ。
「ちなみにどのくらいの威力なのでしょうか?」
天姫がナイスな質問をした。
「………人が一人粉々になるぐらい…?…だ。」
クロスはどのくらいなのか曖昧に伝えた。
「………なるほど。よくわかりません。」
天姫は、そう言うとニコッとした。
「まぁ…俺達が踏まなければいい話だから。」
アルムは、天姫にそう伝えた。天姫も月姫同様に笑顔で怖い事を言う時が来るかもなと思った。流石は双子だ。
「話を戻すぞ。俺と天姫で攻撃をし、爆弾の元に誘導する。その間にアルムと月姫で他のカゲの相手をしてくれ。カゲ共は森を少し進んだ所に岩が多くある地帯に潜伏している。そこまで行くぞ。気を引き締めろ。」 
クロスの指示で作戦は開始された。
武器を持ち。拠点を出発する。ドアを開けると風が強くアルム達に吹く。まるで引き返せと言っているように…。しかし、そんなもの気にならない。なぜなら仲間達がいるから、一人ではないのだから。多くの武器を持ち歩くクロスを手伝う姉妹を見て、昔に読んだ冒険の物語を思い出していた。両親がよく読んでくれたのを覚えている。でもなんだか、おかしいな。他の人からも読んでもらった記憶が…あるような…。そう思うアルムであった。アルムは、クロスのもとに近づき一緒に手伝う。彼の銃はとても重かった。
こんなものを何丁も持っているとは…恐ろしい…いや怖い。
「師匠…重くないんですか?」
アルムは…質問した。
「………そうだな。あと5丁はきついかもな。今のところは大丈夫だ。お前らが持ってくれたお陰で10丁でなんとか済んだからな(笑)」
満面の笑みでこっちを見ている。ちゃんと数えていなかったが、アルムが持っている銃は、2丁。天姫は1丁。月姫も1丁つまり…もとは14丁を自分で持っていこうとしていた。それに刀まで持っているので重さが………もう考えるのをやめよう。彼は人類最強ですもんね。はい。そう考えましょう。そんなことを考えて進むと約1時間で目的地に着いた。確かに森の中に岩石が多く転がっている。しかも、かなり大きい。身長より高いものもある。
「止まれ。ここからは奴らの拠点だ。見ろ。あの洞窟が拠点らしいな。」
そこに現れたのは地面が石になっていて、洞窟になっている。
「ここから先制攻撃を仕掛ける。」
クロスは爆弾をアルムに持たせた。
「どうするつもりです?」
アルムは、首を傾けた。
「思いっきり投げろ!」
クロスが指示したので洞窟に向かって思いっきり投げた。
「今だ月姫!」
クロスは月姫に向かって叫んだ。
「はいー。わかってますよ!」
月姫は首飾りを弓に展開すると光の矢を爆弾に貫通させた。その瞬間、洞窟の入口で爆発する。土煙と凄まじい爆音が響き渡る。
「めちゃくちゃ凄い威力……」
アルムは、呟いてしまった。
煙がしばらくすると晴れてくる。入り口は完全に塞がっている。
「これでカゲは出てこれませんね。」
天姫がこれ以上戦わなくて良いと思ってそう言うと。
「ここからだぞ。天姫。」
クロスの言葉の意味がすぐにわかった。
「え…」
天姫は絶望に似た声を出す。
「あの爆発に巻き込まれたやつはいいが、奥の方に多くいたみたいだな。」
クロスは持ってきた銃を準備する。
「射撃用意。奴らをできる限りここで倒す。持ってきた銃で出てくるカゲを攻撃しろ。当たらなくても構わない。弾がある限り撃ちまくれ。」
銃を投げて全員に渡す。アルムは受け取ると銃を洞窟に構える。他の3人も構える。
カゲは液体のように岩の隙間から逆さまの水が落ちるように地面に現れる。そして狼の形になる。
「一斉射撃!!」
一斉に引き金を引く。フルオートで弾丸が飛び出る。光と音が目や耳を刺激する。洞窟辺りに現れた無数のカゲに風穴を開ける。弾切れになるとカゲはある程度少なくすることができたが、まだ多くいる。しかも、洞窟から未だに湧き出てくる。
「ここからは、アルムと月姫に任せるぞ。」
クロスは、銃を投げ捨てると模造剣を手に持つ。
「了解です!…月姫!行くぞ!」
アルムは走って飛び出す。
「わかってるって!」
月姫は弓を引きながら後を追う。
アルムは剣に力を込めた。
「火力30%…衆合ッ!」
アルムに握られた剣から炎から高く燃え上がる。それを頭の上で構えて振り下ろす。炎がカゲを広範囲で押し潰す。やけどと圧縮される苦しみを感じるらしい。
「月光10%…朔」
月姫の矢は所々見えない。いや、見えない。狼は、反応できずに貫通する。
アルムは、カゲを引き付けるように走る。
「こっちだ!こっちに、こいッ!!」
アルムにヘイトが集まる。今がチャンスだ。月姫は弓をしっかりと握り、最大の一撃を放つ準備をした。
「月は夜を照らす夜の太陽。」
月姫は溢れる力を開放する。それは月姫を輝く光と風で包む。
「闇を消し去りし、満月の光。」
弓をゆっくりと手で引っ張る。そこには光の矢が現れる。
「我が心に灯る。」
全てを取り込み、力が矢に集中する。
「月光100%…天満月…開放!!」
弓の機械が外れる。すべての機械のパーツが地面に落ちると同時に矢は洞窟をめがけて放たれる。轟音と共に衝撃波が木々をざわつかせる。洞窟は矢に地面ごと削り取られながら大爆発を起こす。
全てを消し炭にした。洞窟は消えた。しかし、狼の王の姿が見えない。ここまで無数のカゲはいたが、あの巨大な体のカゲはいつになっても現れない。
「………はっあ………はっ…」
月姫は完全に今ので完全にガス欠だ。
「月姫!後ろ!!」
アルムの叫び声が聞こえる。
月姫は振り返ったが、遅かった。隠れていた狼の王は月姫に爪の攻撃を仕掛けようとしている。間に合わない。アルムはそう思った。
「ゼロシステム。」
クロスはエネルギーを剣に注ぎ込む。
目をつぶった時、痛みが走らない。目を開くとクロスに抱えられている。
「さぁ…リベンジマッチだ。」
クロスは月姫を下ろすと狼の王に向かって歩いて行くのだった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者の様子がおかしい

しばたろう
ファンタジー
勇者は、少しおかしい。 そう思ったのは、王宮で出会ったその日からだった。 神に選ばれ、魔王討伐の旅に出た勇者マルク。 線の細い優男で、実力は確かだが、人と距離を取り、馴れ合いを嫌う奇妙な男。 だが、ある夜。 仲間のひとりは、決定的な違和感に気づいてしまう。 ――勇者は、男ではなかった。 女であることを隠し、勇者として剣を振るうマルク。 そして、その秘密を知りながら「知らないふり」を選んだ仲間。 正体を隠す者と、真実を抱え込む者。 交わらぬはずの想いを抱えたまま、旅は続いていく。 これは、 「勇者であること」と 「自分であること」のあいだで揺れる物語。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...