五人の適合者

アオヤカ

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絶望の淵

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アルムはクロについて行く。
「クロ?どうしたんだ。」
クロはゆっくりと歩く。返事はない。
彼は魂を取られてしまった。暗い道を歩く。部屋は不気味さを増していく。扉を…開けるたび現実から離れていくようだ。クロはとある部屋の前で倒れた。
「おい!…クロ大丈夫か?」
クロは完全に動かなくなっている。
アルムは少し先を見る。するとクロスが倒れていることに気がつく。
「クロスさん!」
アルムは駆け寄り、息を確認する。
「…大丈夫…みたいだ。」
やはり、体は死んでいない。魂だけが取られている。
「この先にいるっていうのか。」
アルムは扉の前に立つ。ゆっくりと扉を開ける。
部屋は真っ暗になっている。しかし、真ん中に椅子が用意されていて、そこだけ明かりがついている。
アルムは剣を展開する。
近くにスイッチがあった。アルムは押す。部屋全体の明かりがつく。部屋には無数の人形が用意されていた。全ての人形にはそれぞれの顔がついている。その中にクロスさんやクロの人形もあった。
「な…なんて大量に人を閉じ込めていたんだ。」
そして、あのカゲが、現れた。スーツを着たカゲは何もしてこない。しかし、何か不自然を感じたアルムはその場から離れる。
「コイツ…何か別の手段で攻撃してるんじゃ…。」
部屋はまた暗くなった。
「何!?」
アルムはスイッチのほうを見る。
先程までオンになっていたがオフになっている。
そうか…わかったぞ。
コイツは暗闇の中で何かしているんだ。
「炎を出してやるよ!」
剣は炎を纏って大きく振り回す。
一瞬だけ部屋を明るくすると部屋の中で…カゲの手が無数にうごめいていた。
「コイツは暗闇の中でこの攻撃をするってわけだな!」
アルムはスーツの男に近づく、そして、無数の手を明かりで照らすことでかわしていく。
「見えていれば…怖くないなッ!」
アルムはカゲを斬りつける。
ダメージが少しは入っているようだ。いける!
アルムは攻撃を続ける。
「火力…30%衆合ッ!」
巨大な炎の柱が作られ、それを振り下ろす。
とてつもない熱さと圧力で相手は瀕死になるだろう。
「やったか?」
炎が、一気にかき消された。そこにはスーツのカゲが呆然と立っている。
「嘘だろ…。」
何一つ効いていなかった。
まずい状況だろう。これが第一特殊型のカゲの力というものだろう。殺人鬼のカゲは巨大な剣を握る。
そして、舌で刃を舐める。
恐怖を煽るカゲは、ものすごい勢いでアルムを襲う。
放たれた斬撃は一度に二回攻撃している。とてもさばききれない。なんとかして、距離を取らなければ…。アルムは部屋全体を利用して攻撃を防ぐが、速すぎる。そして無数の手が襲ってくるため、それもかわさなければゲームオーバーである。アルムは椅子を投げる。椅子は細かく斬られる。カゲは破片がアルムに刺さるように投げてきた。アルムはかわすことができない体制だった。アルムは足に破片が刺さる。
「クソッ!…痛ぁッ」
血が飛び出るがカゲはお構い無しで笑っている。
その間もカゲの攻撃は…止まらない。
まずい…まずい。アルムは後ろに壁があることに気がついた。アルムはとうとう部屋の角に追い詰められていたのだ。

その時…。
「アルム!!伏せて!」
月姫の叫び声が聞こえた。
アルムは…伏せると凄まじい威力の矢が飛んでくる。
部屋は衝撃波で人形が転がってくる。部屋はものすごく散らかっていた。
カゲは矢に巻き込まているようだ。部屋を貫通して他の部屋に飛ばされている。
「逃げるよ!」
月姫はアルムの元に来てそう言う。
「クロスさんとクロがいるんだ!助けないと!」
アルムは走り出そうとする。
「待って!今はだめ!いつあいつが戻ってくるかわからないでしょ!!」
月姫はアルムの手を掴む。そして離さない。
「でも!!」
アルムの声は凄まじい音に遮られる。
「カゲが来ます!気をつけてください!」
天姫がカゲに向けて発泡している。
「今…逃げることが最優先だよ。……行くよ。」
月姫に引っ張られてアルムは走る。そして、出口への脱出に成功した。



「……………………どうして逃げたんだ。」
アルムは建物の外でそう言った。
「あれは本物の化け物だよ。戦える相手じゃない。君も戦ってわかったでしょ?」
月姫は弓を首飾りに戻す。
「……………じゃあどうしたいいんだよ。」
アルムは完全に座り込んでしまう。
月姫はそんなアルムを見て覚悟を決めた。
「………………まだ私の秘密を言ってなかったよね。」
月姫はゆっくりと口を開いた。
「えっ…。」
アルムは月姫のほうを見る。
「お姉様秘密って…なんのことですか?」
天姫も知らない様子だった。
「………………………………………………。これはね。数千年前の記憶。私達が初めて生まれた話。」
月姫は話し始める。世界の誕生と物語の始まりを…。

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