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348.交流3

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「いっ一体、何なんだ」

誠一の言葉にシエンナが反応した。
「彼女も思うところがあったてことでしょ。
軽戦士として、決して能力が低い訳でもないし、
それなりの称号も有していたけど、
どうしても他のメンバーに比べると数段劣っていると
感じざるを得ないから。
自分だけの強みと専門性を持ちたかったんでしょね。
軽戦士の基本能力なら、盗賊系のそれに近いし、
良い選択だと思うよ」

「まあ、明るくなることは良いことさ」
誠一の全てを分かった上でのような発言に
くすりとシエンナは笑った。

誠一は何気なく彼女の横になるベッドの端に腰掛けた。
急にシエンナは無口になった。
相変わらずうつぶせのシエンナの表情を誠一は見ることが出来なかった。
窓より射しこむ朝日が眩しく、誠一は右手で光を遮った。
それは今日が晴天であることを示していた。
室内で過ごすことがもったいない程の空気はからっとしており、
雲一つない空は青々としていた。
「シエンナ、着替えて、外へ行こう。今日はすごくいい天気だよ」

「そっそうね。ちょっと、見えないけど、凄く天気が良いんだね」
誠一は恐らくまだ、身体中が痛く、上手く寝返りさえできなと思い、
彼女をサポートした。

「ちょっと、アルって。もう、ちょっと突然、何。きゃ」
ロングタオル一枚を隔てて、誠一とシエンナの身体が密着した。
暴れるシエンナのせいで誠一は体勢を崩していた。

ベッドに二人は同衾するような形になった。
二人はお互いの吐息を近距離で感じていた。

「あう、アル。天気が良いから外に行くんじゃないの?」

「そっそうだね。逝くよ」

「じゃあ、ちょっとじっと密着してないで、ここから動かないとね」

「そっそうだね。動くよ」

二人の会話はかみ合っているようで合っていなかった。
誠一はシエンナのお尻に挟まったアレを動かした。
三擦り半で逝ってしまった。そのままぐったりとする誠一であった。
何て抱き心地が良いんだろうと思いつつ、瞼を閉じた。

一方のシエンナ、脈動するナニかを臀部に感じた瞬間、目を閉じた。
知識としては知っていたが、まさかこんなに硬いモノとは
思っていなかった。何度か誠一が動いた後で突然、
ソレはふにゃふにゃになっていた。

生温かい何かとイカの腐ったような臭いが腰の辺りから臭ってきた。

「ギャーちょっとアル!何したのよ」

「何だか今日はシエンナがちょっとちょっとを連呼してるね」
全身が脱力している誠一はシエンナから少し離れてゴロゴロしていた。

誠一のことを愛してやまないシエンナであったが、
この時ばかりは、この駄目生物と蔑む視線を送っていた。
そんなことは露知らず誠一は幸せそうな表情でゴロゴロしていた。

しばらく自堕落な時間を過ごした二人だが、
シエンナの蔑みの視線を感じた誠一が慌てて起きた。
シエンナの着替えをサポートして、
二人はロジェたちの待つテーブルに向かった。
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