転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

416.代理戦6

バーバラ・ダンブルは誠一の覇気の感じられない後ろ姿に
侮蔑の視線を送った。
「なんだあの男は、だらしない。
あんなのとまぐわって、子をなすなど怖気がする」

「姉上、彼自身の価値より彼が有するレア度が大切なのですよ。
姉上との間に生まれる子ならば、美しく、
高ランクのレア度を持ち合わせた優秀な子となりましょう」
ザガナス・ダンブルは年齢にそぐわないくぐもった笑いをあげた。

勝手に盛り上がるダンブルの子たちに殺意の視線を
二名ほどが送っていた。
無論、それに気づかない程の無能者では彼らはなかった。

「ふん、睨めば人が死ぬとでも思っておるのか？
賢者殿の見解を聞きたいものだな」
バーバラの言葉を受けたザガナスは、嘲笑した。

「姉上、容易に称号をばらしてはなりません。
兄上もそうおっしゃったでしょう。
そこにいる魔術師もどき共が委縮してしまいます」
ザガナスの嘲笑は、魔術院に所属する3人に
向けたものであることは容易にわかった。

「そうか、配慮が足らなかったな。
まさか、奴らを萎縮させるつもりはなかった」
バーバラも嘲笑した。嘲笑されたシエンナと、ヴェルは、
特に怒るでもなく恐れに震えるでもなくザガナスを見つめていた。

「なっ何だ？じろじろ見るなよ」

「いやさ、まあ、良いんだけど。その若さで賢者か、すげーな」
ヴェルは純粋に感心しているようであった。

「まあ、素養はあるんでしょうね。
でもまあ、称号を得るには色々とあるから」
シエンナは胡散臭げであった。

「おまえたちが師事するファウスティノは
魔道の極み賢者になり得なかった出来損ないだろう。
それに師事するお前らも大したことないな。
噂だと食うに困らないように体力だけは
どの学生にもつけさせているようだな。くだならない」
ザガナスの言葉を聞いた二人は、大笑いしてしまった。

「学院長が賢者！ないわー絶対にないわー。
雰囲気は賢者と言うより大魔導士って感じで、その通りだしな」
ヴェルは心底可笑しそうに笑った。

「学院長が賢者！あり得ない、あり得ない。
あの雰囲気で賢者とかやめてー。賢者のイメージが壊れるわ」
シエンナはお腹を抱えて笑った。

「まあ、しかしだな。学院長は尊敬に値する人だ。
賢者とかなんとかの称号のくくり評価できる方じゃないな」
ヴェルが居ずまいを正して答えた。

「そうね。研究者というより教育者ですしね。
強いて言うならば、学院長と言う言葉自体が称号のようなものよね」
シエンナが真剣な眼差しで答えた。

「くだらない。くだらない。
所詮、魔術の深淵に到達しえなかった無能者だろう。
おまえらの戯言など聞くに堪えないな。
特別に見せてやろう。魔術を極めし者の一撃を」
ザガナスの膨大な魔力が練兵場の空に巨大な水龍を顕現させた。