転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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516.竜公国の陣にて3

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「俺は別にアルに心酔なんかしてない。
あいつの弱さも知っているし、女にだらしないことも知っている。
結構、打算が働くことも知ってる。
だがあいつは俺の親友だし、ライバルだ。
あいつと約束しちまったんだよ、
リシェーヌを助ける手伝いをするってな。
友を助けるのは当たり前だし、約束を反故にするのもあり得ない。
一緒にいる理由はそれだけだ」

天幕の後ろから声がした。
「嘘ばっかり。
最もらしいことを言っているけど、
本当はアルフレートさんが大好きなんです。
一緒にいたいだけです」

「はっ、アミラ。訳の分からないこと言うなよ。
アルは男だぞ。好きとかどうとかないだろう」
アミラの方へ振り返ってヴェルは答えた。

アミラの人と少し違う目の瞳孔が大きく見開いて、
ヴェルの瞳を覗き込んでいた。

「アミラ、じっと見つめてもその答えは変らないからな」
何故か背筋に悪寒を感じて、動揺するヴェルであった。

「ふん、そうだな。
人を好きになるのに理由を求めても仕方ないな。
最もらしい理由は単なる後付けだろう」
ヴェルの後ろから良く分からないような分かったような
グロウの声が聞えた。

ヴェルは振り向き、むきになって全否定した。
「ちょっと待って。好きとか嫌いとかそう言うのじゃない」

「まあいい、とにかく貴様は王都に戻りたいんだな。
だが、情報を漏らされては我々も困る。監視役が必要だな」
表情の変化に乏しいグロウだったが、
ヴェルはグロウが両手を組んでいることから
考えるふりをしていることは何となく分かった。

「いや、グロウさん。考えるふりでなく考えないと」

「馬鹿者が!貴様の事だろう。貴様で考えんか」
グロウがヴェルを怒鳴りつけた。

怒鳴りつけられるヴェルの肩をちょんちょんとアミラが叩いた。
「私が同行するです。ヴェルが裏切らないか監視するです」

「いや駄目だって。それは危険過ぎる。
竜公国の間者扱いされたら、どうにもならないって。
絶対に駄目だ」

「そうだな。それがいい。
アミラ、ヴェルについて王都に向かうがいい。
俺はエドワード陛下に許可を貰って来る」
グロウは足早にひときわ豪奢な天幕に向かって歩き出した。

「アミラ、ちょっと無茶ぶりが過ぎるぞ」
ヴェルの声には少し棘があった。

アミラはその声に少し身体を震わせながらも答えた。
「心配ないです。父は竜公国に残るより安全だと考えたです」

ヴェルの声が和らいだ。そして、顔には?マークが浮かんでいた。
「すまん、アミラ。もう少し詳しく頼む。ちょっと良く分からない」

「政治的なことはわからないです。
だけど、エドワード陛下は賢君たる道より望みの薄い覇王の途を選んだです。
後の世は陛下を梟雄か英雄と呼ぶでしょう」

ヴェルは困惑した。全く理解が及ばなかった。
それを見てとったアミラは話を続けた。

「つまりです。このヴェルトール王国の混乱に乗じて、
天下を目指して戦いに挑んでいるです。
おそらく戦禍を被り、治安は著しく悪くなるです。
戦場は言うまでもなく竜公国も危険なのです。
だから最も安全な王都に避難させようとしているのです」
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