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585.狩猟祭10
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「ふーむ、ナサレノもであるが、近頃のS級は
どうもレア度や称号、武具の力に頼り過ぎでござるな。
それでも称号や武具に振り回されている貴族どもに比べれば
多少見るべき所はあるようでござる」
天空より落ちて来た雷はシエンナの水魔術により
明後日の方へ誘導されて落雷した。
若干、得意げな表情のシエンナの額に小石がぶつかった。
「ぎゃん」
「慢心しない」
剣豪から叱責が飛んだ。
剣豪の周囲に向かって飛来した矢は
その数倍の矢によって全て撃ち落されていた。
「うーん、一本くらいあなたに当てても良かったかしら」
恐ろしいことを言うキャロリーヌであった。
ロジェは暗殺者である莉々奈の動きを止めるべく
身体をぶつけようとした。
剣豪の立ち位置とロジェの動きによって
進路を限定された莉々奈はロジェの後方へ身を
隠していたサリナによって、組み伏せられてしまった。
「えっ、ちょっと何でこんなに簡単にいくの。
何かおかしくない」
余りにも容易に莉々奈を組み伏せられたために
サリナはその理由に自問自答を繰り返した。
「ここは再戦だ!さっきの様にはいかないぜ」
ヴェルの言葉の勢いとは裏腹に莉々の一撃で
棍は粉砕されてしまった。
莉々が剣を振り下ろしきった瞬間、
アミラの強烈な一撃が莉々の腹部を襲った。
「ぐっ」
苦悶に顔を歪める莉々であった。
「おおおっ超至近距離からのフレイムチャージ!」
綺麗な装飾の短刀を右手にヴェルが莉々に向かって突っ込んだ。
刺突を莉々に避けられたヴェルは勢いそのままで
莉々にぶつかりそのまま地面に押し倒した。
ヴェルは何とか莉々の上に馬乗りになり組み伏せた。
ヴェルはまじまじと莉々の顔を見た。
「うおっ、めっちゃ美人だ」
直後、ヴェルと莉々は凄まじい殺気を感じた。
「シュルシュル、人の男を誘惑する屑は
顔を潰すか殺すしかありませんです」
アミラは顔を歪めていた。
怖い女を演出しているつもりだろうが、
どう見ても変顔にしかヴェルと莉々には見えなかった。
莉々は笑ってしまった。
「アミラ、どうやらこの騎士は降参したようだ。
その位にしておけよ、可愛い顔が台無しだ」
「ヴぇヴェルがそう言うなら、
このくらいで許しておきましょう」
戦場にそぐわない二人のほんわかした会話に
莉々は二人を少しからかってみたくなった。
「私を組み伏せた槍兵さんはそれでこれからどうしたいのかな。
ここも随分と槍のようになっているような気がするけど」
莉々に腰回りを擦られて、ヴェルは動揺してしまった。
「どっどうにもするかよ。このままだよ」
途端に後ろから首根っこを引っ掴まれて、
ヴェルは強引に莉々から引き上げられた。
「なっアミラ。あっいや、悪いアミラ。
兎に角、俺が悪かった。謝る」
泣き出しそうなアミラの顔を見て、
ヴェルは莉々をほっぽり謝った。
「むう、わかったです。それでこの人はどうするですか?」
「さあな、アルが後で決めるだろ。
どのみち先生が出て来た時点でどの連中も動揺して
どうにも全力で戦える状態じゃなかったしな」
そう言って、ヴェルは莉々が立ち上がるのを
助けるために手を差し出した。
むくれるアミラの顔を見て、莉々はまた、笑ってしまった。
どうもレア度や称号、武具の力に頼り過ぎでござるな。
それでも称号や武具に振り回されている貴族どもに比べれば
多少見るべき所はあるようでござる」
天空より落ちて来た雷はシエンナの水魔術により
明後日の方へ誘導されて落雷した。
若干、得意げな表情のシエンナの額に小石がぶつかった。
「ぎゃん」
「慢心しない」
剣豪から叱責が飛んだ。
剣豪の周囲に向かって飛来した矢は
その数倍の矢によって全て撃ち落されていた。
「うーん、一本くらいあなたに当てても良かったかしら」
恐ろしいことを言うキャロリーヌであった。
ロジェは暗殺者である莉々奈の動きを止めるべく
身体をぶつけようとした。
剣豪の立ち位置とロジェの動きによって
進路を限定された莉々奈はロジェの後方へ身を
隠していたサリナによって、組み伏せられてしまった。
「えっ、ちょっと何でこんなに簡単にいくの。
何かおかしくない」
余りにも容易に莉々奈を組み伏せられたために
サリナはその理由に自問自答を繰り返した。
「ここは再戦だ!さっきの様にはいかないぜ」
ヴェルの言葉の勢いとは裏腹に莉々の一撃で
棍は粉砕されてしまった。
莉々が剣を振り下ろしきった瞬間、
アミラの強烈な一撃が莉々の腹部を襲った。
「ぐっ」
苦悶に顔を歪める莉々であった。
「おおおっ超至近距離からのフレイムチャージ!」
綺麗な装飾の短刀を右手にヴェルが莉々に向かって突っ込んだ。
刺突を莉々に避けられたヴェルは勢いそのままで
莉々にぶつかりそのまま地面に押し倒した。
ヴェルは何とか莉々の上に馬乗りになり組み伏せた。
ヴェルはまじまじと莉々の顔を見た。
「うおっ、めっちゃ美人だ」
直後、ヴェルと莉々は凄まじい殺気を感じた。
「シュルシュル、人の男を誘惑する屑は
顔を潰すか殺すしかありませんです」
アミラは顔を歪めていた。
怖い女を演出しているつもりだろうが、
どう見ても変顔にしかヴェルと莉々には見えなかった。
莉々は笑ってしまった。
「アミラ、どうやらこの騎士は降参したようだ。
その位にしておけよ、可愛い顔が台無しだ」
「ヴぇヴェルがそう言うなら、
このくらいで許しておきましょう」
戦場にそぐわない二人のほんわかした会話に
莉々は二人を少しからかってみたくなった。
「私を組み伏せた槍兵さんはそれでこれからどうしたいのかな。
ここも随分と槍のようになっているような気がするけど」
莉々に腰回りを擦られて、ヴェルは動揺してしまった。
「どっどうにもするかよ。このままだよ」
途端に後ろから首根っこを引っ掴まれて、
ヴェルは強引に莉々から引き上げられた。
「なっアミラ。あっいや、悪いアミラ。
兎に角、俺が悪かった。謝る」
泣き出しそうなアミラの顔を見て、
ヴェルは莉々をほっぽり謝った。
「むう、わかったです。それでこの人はどうするですか?」
「さあな、アルが後で決めるだろ。
どのみち先生が出て来た時点でどの連中も動揺して
どうにも全力で戦える状態じゃなかったしな」
そう言って、ヴェルは莉々が立ち上がるのを
助けるために手を差し出した。
むくれるアミラの顔を見て、莉々はまた、笑ってしまった。
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