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719.初の戦略・戦術9
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「おおおっ一番乗りだ!いくぞぉ」
敵兵は誰もヴェルに近づかなかった。
敵兵たちは背を向けて、本城に逃げ出していた。
「くっそう!背中を向ける敵に振るう刃は持ってねえ」
歩みを止めたヴェルを雇った傭兵や冒険者たちが追い越して、
容赦なく斬りつけていた。
「ヴェルさんヨ。敵兵はうちらの数倍だぞ。
何をちんたらしてやがる」
「おうおう、普段の威勢の良さはどうした!」
「徹底的に俺らの恐怖を刷り込まんと逆にやられんだよ」
「坊や、しっかりしろ」
野次や発破をかけて味方はヴェルを追い越してった。
ヴェルは周囲を見渡した。ロジェやキャロリーヌが
背を向けて逃げ出している敵兵を容赦なく倒していた。
ヴェルは覚悟を決めた。逃げ纏う敵兵の背に向けて
ハルバートを突き出した。敵兵は首筋から血を噴き出して、絶命した。
「ちっ、あんまり気持ちの良いもんじゃねえな」
後味の悪さを感じつつもヴェルは一刺し一刺しと敵兵を倒した。
誠一も城壁内に侵入した。
逃げ纏う敵兵を見つけては、メイスを叩きつけた。
潰れ飛散する肉、折れ砕ける骨、何度も繰り返すが、
誠一はこの感触に慣れそうになかった。
叩き潰された敵兵は倒れ痛みと苦しみに
藻掻いていた。
誠一たちは城壁に囲まれた街を通過して、
ジェミロ・ジェルミラが籠る本城に向かった。
「くくっこれは嵌められてかもしれないな、アルフレート。
さてどうする?」
無造作に敵兵を斬り殺すマリアンヌがくぐもった笑い声を上げた。
「はあはあ、確かにマリの言う通りかもしれない」
一連の戦闘で呼吸を乱す誠一だった。
ヴェルやロジェも同様に肩で息をしていた。
「アル、どういう事だ?」
「対城、対軍の大技の一撃を放たなくとも
恐らく正門は突破できたはずだよ」
ヴェルが珍しく黙って誠一の話を聞いた。
「城壁内に誘い込み、城外と本城から挟み討ちにして、
一網打尽にするつもりだったんだよ。
恐らく協力的だった村民は家族を人質にとられてか
脅されてか偽の情報を提供していたのかもしれない」
「まさかと思うが、ここでも兵を犠牲にする戦術なのかよ」
ヴェルの声のトーンが珍しく低かった。
「多分ね。本城から眺めて、体力の限界を計っているよ。
それに弱兵を倒させて、油断させるつもりだろうね」
「でっ、どうするんだよアル」
誠一とヴェルが話していると本城の方より
奇妙に甲高い声が聞えて来た。
「策士、策に溺れる。ファファファァ、逆賊アルフレート。
貴様の暴虐もここまでだ。大人しく降るなら、
生きて兄上に献上してやらんでもない」
ジェイコブ瓜二つの男が誠一たちの前で
わめき散らしている。
敵兵は誰もヴェルに近づかなかった。
敵兵たちは背を向けて、本城に逃げ出していた。
「くっそう!背中を向ける敵に振るう刃は持ってねえ」
歩みを止めたヴェルを雇った傭兵や冒険者たちが追い越して、
容赦なく斬りつけていた。
「ヴェルさんヨ。敵兵はうちらの数倍だぞ。
何をちんたらしてやがる」
「おうおう、普段の威勢の良さはどうした!」
「徹底的に俺らの恐怖を刷り込まんと逆にやられんだよ」
「坊や、しっかりしろ」
野次や発破をかけて味方はヴェルを追い越してった。
ヴェルは周囲を見渡した。ロジェやキャロリーヌが
背を向けて逃げ出している敵兵を容赦なく倒していた。
ヴェルは覚悟を決めた。逃げ纏う敵兵の背に向けて
ハルバートを突き出した。敵兵は首筋から血を噴き出して、絶命した。
「ちっ、あんまり気持ちの良いもんじゃねえな」
後味の悪さを感じつつもヴェルは一刺し一刺しと敵兵を倒した。
誠一も城壁内に侵入した。
逃げ纏う敵兵を見つけては、メイスを叩きつけた。
潰れ飛散する肉、折れ砕ける骨、何度も繰り返すが、
誠一はこの感触に慣れそうになかった。
叩き潰された敵兵は倒れ痛みと苦しみに
藻掻いていた。
誠一たちは城壁に囲まれた街を通過して、
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「くくっこれは嵌められてかもしれないな、アルフレート。
さてどうする?」
無造作に敵兵を斬り殺すマリアンヌがくぐもった笑い声を上げた。
「はあはあ、確かにマリの言う通りかもしれない」
一連の戦闘で呼吸を乱す誠一だった。
ヴェルやロジェも同様に肩で息をしていた。
「アル、どういう事だ?」
「対城、対軍の大技の一撃を放たなくとも
恐らく正門は突破できたはずだよ」
ヴェルが珍しく黙って誠一の話を聞いた。
「城壁内に誘い込み、城外と本城から挟み討ちにして、
一網打尽にするつもりだったんだよ。
恐らく協力的だった村民は家族を人質にとられてか
脅されてか偽の情報を提供していたのかもしれない」
「まさかと思うが、ここでも兵を犠牲にする戦術なのかよ」
ヴェルの声のトーンが珍しく低かった。
「多分ね。本城から眺めて、体力の限界を計っているよ。
それに弱兵を倒させて、油断させるつもりだろうね」
「でっ、どうするんだよアル」
誠一とヴェルが話していると本城の方より
奇妙に甲高い声が聞えて来た。
「策士、策に溺れる。ファファファァ、逆賊アルフレート。
貴様の暴虐もここまでだ。大人しく降るなら、
生きて兄上に献上してやらんでもない」
ジェイコブ瓜二つの男が誠一たちの前で
わめき散らしている。
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