転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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815. ジェルミラ領進撃7

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ティモフェイとの歳の差、
親子程の男が笑みを浮かべた。
「ティモフェイ様の指揮の素晴らしき事、
この上無きにございます」

取り巻きの貴族の一人がそう言うと、
直ぐに他の取り巻きたちも後に続いた。

「これこそ日頃のティモフェイ様の努力の賜物です」

「神の恩寵はティモフェイ様に注がれておりまする」

「いやいや、これもティモフェイ様の
才能のなせる技でございます」

取り巻きの阿諛追従にすっかり気を良くして、
気分の高揚したティモフェイは剣を大きく振り上げて、
吠えた。

「勝利を我が手に」

取り巻き達はそれに続いた。

剣を引き抜き、同様に振り上げた。

「勝利を我が手に!」

高々と掲げられた剣は、大地に降り注ぐ陽を反射した。
輝く光は眩しく多くの将兵に目を瞑らせた。

総大将ドルレアン・ストラッツェールは
不快気に左腕でその光を遮った。
数多の戦場を経験し、いかなる戦場においても
一瞬たりとも目を閉じる様な愚かな真似を
することはなかった。
すなわちそれが戦場では致命的なことになることを
熟知しており、ドレルアンにとってそれは
ごく当たり前なことであった。

「ティモフェイ様、
一気に兵を投入して勝敗を決めましょうぞ」
取り巻きの一人が勇ましく吠えた。

「ふむ、そうだな。
撤退する敵兵に我らが軍の精強を伝えて貰うか。
父上、ここは一気に攻めましょう。
我が王国軍の強さを改めて南方に知らしめる良い機会です」

ドレルアンの不快気な表情は、険しくなった。
どの顔も勝ち戦に乗じて、戦功を上げたくギラギラとしていた。
付き従う諸侯の気持ちは分からないでもないが、
敗残兵を討って、功を誇ることを恥ずかしげもなく
主張する息子に情けなくなった。

「よかろう。ただし深追いはするなよ」
ため息一つつくとドレルアンは許した。
こうして幾つもの砦や城で行われた王国軍に
よる敗残兵の狩りがここでも始まった。

王国軍の騎士たちは我先にと敗残兵の群れに突撃した。
ジェミロ・ジェルミラの籠る居城まであと僅かしかなかった。
それ故に勝ちに乗じて戦功をたてる機会は残り僅かしかなかった。

 夜を迎え、王国軍による追撃戦も終了した。
意気揚々と己の功を誇る王国軍の野営地は、
真夜中を迎えても騒がしかった。
それとは対照的に糧秣の護衛を仰せつかっている
誠一の率いる軍は、静かであった。
無論、先の攻城戦で誇るべき功も語るべき功もなく、
前日、前々日と同じような夜を迎えていた。
本軍の騒ぎがあろうとなかろうと、夜の警戒を
解くことはなかった。
誠一は自分の当番が回ってくるとヴェルに眠りから起こされた。
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